4 / 99
第1章
4.ざまあ
いよいよ結婚式当日の朝になる。
ジェニファーの学園のお友達も着飾り、花嫁控え室に来て、大盛り上がりに盛り上がっている。
「今日のスカーレットがどんな顔をするかが、見ものね。楽しみだわ。」
「あのね。アーノルドについて、よからぬ噂を耳にしていたから、心配していたのよ。」
「へー。どんな?」
「それがね。わたくしのお友達のお友達がアーノルドに妊娠させられたって噂。その子が産んだのは男の子だったらしくて、今も領地に引っ込んだままだそうよ。だから今日来るの。本当は、ものすごく心配していたのだけど、相手がアーノルドでなくて、よかったわ。」
「どこまでクズ男なのかしら。あのクズ、見た目だけはいいから女の子はみんな騙されちゃうのよね?」
ジェニファーとは、政略結婚とでもいうべきか、幼い頃に家が向かい側だったから、なんとなく親同士が決めたもので、でも年頃になると、毎日のように「愛している。」と言ってくれていたのに、あれは口先だけのデタラメだったのかもしれない。
愛って、なんだろう?でも、間違いなく言えることは、ジェニファーはアーノルドを愛していたわけではなく、ただ親同士が決めた相手と結婚しようとしていたことだけは確かなこと。そういう意味では、生まれて初めて、好きになり愛する人と呼べる存在は、もうアレクサンダー様しかいない。
だから、愛する人と今日、結婚式を挙げられて、幸せを実感する。
こう思えたのも、スカーレットのおかげかもしれない。
スカーレットは、ジェニファーの婚約者を奪い勝ち誇った気分でいるだろうけど、果たして、アーノルドのことを本気で愛しているのだろうか?それが疑問だ。愛する人と結婚できる幸せは、たぶんスカーレットには、永遠にやってこないと思う。
そうこうしているうちに、ファンファーレが鳴り響き、婚約披露宴が開幕したことを知らせる合図だ。
「んじゃ、そろそろ行くね。」
ジェニファーの友人や、各国の要人は、そそくさと自分の指定席へ戻る。
父上も兄上も、ニヤニヤしながら最後尾の末席に鎮座する。バラード側の席は、空いたままになって、スカーレットとアーノルドの親族席は、そもそもない。
だから両家は、ステージ前で二人が登場するのを今や遅しと待ち構えている。
再び、ファンファーレが鳴り響き、続いてアナウンスがされる。
「カスバートソン公爵家ご令嬢スカーレット様ご入場、続きまして、オビンソン家ご令息アーノルド様ご入場。」
二人は、真ん中に作られたステージに上がり、本日、ここで婚約したことを皆様に発表いたしますと。挨拶をするが、両家の親族以外からは、嘲笑が漏れるばかり、スカーレットが思っていた反応と違うことに戸惑いは隠せない。
アーノルドもある程度の混乱はあると予想していたが、まさか大爆笑されるとは、思ってもみなかったこと、両家の親族も所在なさげにしている。公爵家が雇ったサクラだけが拍手をして盛り立てようとするも、他の招待客から、怒号が飛び交い、ごみや石を投げられる始末に、困惑を隠せない。
「ブレンディ!ブレンディ侯爵はおるか?」
怒ったカスバートソン公爵が、怒りに任せて、父を呼んでいる。
「はいはい。当然、おりましてございます。本日は、我が娘の結婚式の披露宴でございますから、カスバートソン公爵様ともあろうお方が娘の結婚式にご臨席を賜るなど、身に余る光栄でございますな。はて?何やら、違うご様子。そういえば、そこのオビンソン家の当主が、1週間前に我が家へ来て、娘との婚約破棄をしたいと申し出てこられましたな。そればかりか、今日の結婚式に乱入したいと仰せでしたが……、このことでございましたか?」
「うぬぬ……、貴様、よくもこの儂に恥をかかせてくれたな!」
「はて?何のことでしょうか?婚約者がいる男性に、粉をかけてくる女性に育てられたのは、どこのどなたのことでしょうか?そのような下賤の女がするようなこと、よもや公爵令嬢がされるなどとは、親御さんの躾がなっていないと言われても致し方がないことでは、ございませんか?」
「言わせておけば……!」
その時、領民のうちの誰かが「帰れ!」と叫んだことが皮切りになり、
まるでシュプレヒコールのごとく、「帰れ」コールが蔓延していく。
「「「「「「「「「「「帰れ。帰れ。帰れ。帰れ。帰れ、帰れ。」」」」」」」」」」」
スカーレットは、「お父様、なんとかしてよ!ウチは公爵家なのだから、公爵家は王様の次に偉いのでしょう!」
「いや、ここの招待客は、他国の要人もいるから下手なことをすれば外交問題に発展しかねない。辛抱するのだ。だいたい、スカーレットがその男が欲しいというから、こういうことになったのだ。そんな格下の男なんぞに惚れおって。」
「惚れてなんかいないわよ!ただ、ジェニファーから奪いたかっただけなんですもの。だって、ジェニファーはいつも幸せそうにして、余裕があるような顔をしていたから、それに 腹が立って、ちょっかいを出したら、あっという間に深い関係になってしまったの。」
「バカ!でも、今更、キズモノになったことをこんな大勢の前で晒してしまったのだから、とにかく婚約は認める。今日は、帰るぞ!」
ジェニファーの学園のお友達も着飾り、花嫁控え室に来て、大盛り上がりに盛り上がっている。
「今日のスカーレットがどんな顔をするかが、見ものね。楽しみだわ。」
「あのね。アーノルドについて、よからぬ噂を耳にしていたから、心配していたのよ。」
「へー。どんな?」
「それがね。わたくしのお友達のお友達がアーノルドに妊娠させられたって噂。その子が産んだのは男の子だったらしくて、今も領地に引っ込んだままだそうよ。だから今日来るの。本当は、ものすごく心配していたのだけど、相手がアーノルドでなくて、よかったわ。」
「どこまでクズ男なのかしら。あのクズ、見た目だけはいいから女の子はみんな騙されちゃうのよね?」
ジェニファーとは、政略結婚とでもいうべきか、幼い頃に家が向かい側だったから、なんとなく親同士が決めたもので、でも年頃になると、毎日のように「愛している。」と言ってくれていたのに、あれは口先だけのデタラメだったのかもしれない。
愛って、なんだろう?でも、間違いなく言えることは、ジェニファーはアーノルドを愛していたわけではなく、ただ親同士が決めた相手と結婚しようとしていたことだけは確かなこと。そういう意味では、生まれて初めて、好きになり愛する人と呼べる存在は、もうアレクサンダー様しかいない。
だから、愛する人と今日、結婚式を挙げられて、幸せを実感する。
こう思えたのも、スカーレットのおかげかもしれない。
スカーレットは、ジェニファーの婚約者を奪い勝ち誇った気分でいるだろうけど、果たして、アーノルドのことを本気で愛しているのだろうか?それが疑問だ。愛する人と結婚できる幸せは、たぶんスカーレットには、永遠にやってこないと思う。
そうこうしているうちに、ファンファーレが鳴り響き、婚約披露宴が開幕したことを知らせる合図だ。
「んじゃ、そろそろ行くね。」
ジェニファーの友人や、各国の要人は、そそくさと自分の指定席へ戻る。
父上も兄上も、ニヤニヤしながら最後尾の末席に鎮座する。バラード側の席は、空いたままになって、スカーレットとアーノルドの親族席は、そもそもない。
だから両家は、ステージ前で二人が登場するのを今や遅しと待ち構えている。
再び、ファンファーレが鳴り響き、続いてアナウンスがされる。
「カスバートソン公爵家ご令嬢スカーレット様ご入場、続きまして、オビンソン家ご令息アーノルド様ご入場。」
二人は、真ん中に作られたステージに上がり、本日、ここで婚約したことを皆様に発表いたしますと。挨拶をするが、両家の親族以外からは、嘲笑が漏れるばかり、スカーレットが思っていた反応と違うことに戸惑いは隠せない。
アーノルドもある程度の混乱はあると予想していたが、まさか大爆笑されるとは、思ってもみなかったこと、両家の親族も所在なさげにしている。公爵家が雇ったサクラだけが拍手をして盛り立てようとするも、他の招待客から、怒号が飛び交い、ごみや石を投げられる始末に、困惑を隠せない。
「ブレンディ!ブレンディ侯爵はおるか?」
怒ったカスバートソン公爵が、怒りに任せて、父を呼んでいる。
「はいはい。当然、おりましてございます。本日は、我が娘の結婚式の披露宴でございますから、カスバートソン公爵様ともあろうお方が娘の結婚式にご臨席を賜るなど、身に余る光栄でございますな。はて?何やら、違うご様子。そういえば、そこのオビンソン家の当主が、1週間前に我が家へ来て、娘との婚約破棄をしたいと申し出てこられましたな。そればかりか、今日の結婚式に乱入したいと仰せでしたが……、このことでございましたか?」
「うぬぬ……、貴様、よくもこの儂に恥をかかせてくれたな!」
「はて?何のことでしょうか?婚約者がいる男性に、粉をかけてくる女性に育てられたのは、どこのどなたのことでしょうか?そのような下賤の女がするようなこと、よもや公爵令嬢がされるなどとは、親御さんの躾がなっていないと言われても致し方がないことでは、ございませんか?」
「言わせておけば……!」
その時、領民のうちの誰かが「帰れ!」と叫んだことが皮切りになり、
まるでシュプレヒコールのごとく、「帰れ」コールが蔓延していく。
「「「「「「「「「「「帰れ。帰れ。帰れ。帰れ。帰れ、帰れ。」」」」」」」」」」」
スカーレットは、「お父様、なんとかしてよ!ウチは公爵家なのだから、公爵家は王様の次に偉いのでしょう!」
「いや、ここの招待客は、他国の要人もいるから下手なことをすれば外交問題に発展しかねない。辛抱するのだ。だいたい、スカーレットがその男が欲しいというから、こういうことになったのだ。そんな格下の男なんぞに惚れおって。」
「惚れてなんかいないわよ!ただ、ジェニファーから奪いたかっただけなんですもの。だって、ジェニファーはいつも幸せそうにして、余裕があるような顔をしていたから、それに 腹が立って、ちょっかいを出したら、あっという間に深い関係になってしまったの。」
「バカ!でも、今更、キズモノになったことをこんな大勢の前で晒してしまったのだから、とにかく婚約は認める。今日は、帰るぞ!」
あなたにおすすめの小説
【完結】王位に拘る元婚約者様へ
凛 伊緒
恋愛
公爵令嬢ラリエット・ゼンキースア、18歳。
青みがかった銀の髪に、金の瞳を持っている。ラリエットは誰が見ても美しいと思える美貌の持ち主だが、『闇魔法使い』が故に酷い扱いを受けていた。
虐げられ、食事もろくに与えられない。
それらの行為の理由は、闇魔法に対する恐怖からか、或いは彼女に対する嫉妬か……。
ラリエットには、5歳の頃に婚約した婚約者がいた。
名はジルファー・アンドレイズ。このアンドレイズ王国の王太子だった。
しかし8歳の時、ラリエットの魔法適正が《闇》だということが発覚する。これが、全ての始まりだった──
婚約破棄された公爵令嬢ラリエットが名前を変え、とある事情から再び王城に戻り、王太子にざまぁするまでの物語──
※ご感想・ご指摘 等につきましては、近況ボードをご確認くださいませ。
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
冤罪で追放された令嬢〜周囲の人間達は追放した大国に激怒しました〜
影茸
恋愛
王国アレスターレが強国となった立役者とされる公爵令嬢マーセリア・ラスレリア。
けれどもマーセリアはその知名度を危険視され、国王に冤罪をかけられ王国から追放されることになってしまう。
そしてアレスターレを強国にするため、必死に動き回っていたマーセリアは休暇気分で抵抗せず王国を去る。
ーーー だが、マーセリアの追放を周囲の人間は許さなかった。
※一人称ですが、視点はころころ変わる予定です。視点が変わる時には題名にその人物の名前を書かせていただきます。
わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。
織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。
父であるアーヴェント大公に疎まれている――
噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。
【完結】婚約破棄に祝砲を。あら、殿下ったらもうご結婚なさるのね? では、祝辞代わりに花嫁ごと吹き飛ばしに伺いますわ。
猫屋敷むぎ
恋愛
王都最古の大聖堂。
ついに幸せいっぱいの結婚式を迎えた、公女リシェル・クレイモア。
しかし、一年前。同じ場所での結婚式では――
見知らぬ女を連れて現れたセドリック王子が、高らかに宣言した。
「俺は――愛を選ぶ! お前との婚約は……破棄だ!」
確かに愛のない政略結婚だったけれど。
――やがて、仮面の執事クラウスと共に踏み込む、想像もできなかった真実。
「お嬢様、祝砲は芝居の終幕でと、相場は決まっております――」
仮面が落ちるとき、空を裂いて祝砲が鳴り響く。
シリアスもラブも笑いもまとめて撃ち抜く、“婚約破棄から始まる、公女と執事の逆転ロマンス劇場”、ここに開幕!
――ミステリ仕立ての愛と逆転の物語です。スッキリ逆転、ハピエン保証。
※「小説家になろう」にも掲載。
※ アルファポリス完結恋愛13位。応援ありがとうございます。
とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵令嬢リリアーヌは、10歳で母が他界し、その後義母と義妹に虐げられ、
屋敷ではメイド仕事をして過ごす日々。
そんな中で、このままでは一生虐げられたままだと思い、一念発起。
母の遺言を受け、自分で自分を幸せにするために行動を起こすことに。
そんな中、偶然訳ありの男性を拾ってしまう。
しかし、その男性がリリアーヌの未来を作る救世主でーーーー。
メイド仕事の傍らで隠れて淑女教育を完璧に終了させ、語学、経営、経済を学び、
財産を築くために屋敷のメイド姿で見聞きした貴族社会のことを小説に書いて出版し、それが大ヒット御礼!
学んだことを生かし、商会を設立。
孤児院から人材を引き取り育成もスタート。
出版部門、観劇部門、版権部門、商品部門など次々と商いを展開。
そこに隣国の王子も参戦してきて?!
本作品は虐げられた環境の中でも懸命に前を向いて頑張る
とある侯爵令嬢が幸せを掴むまでの溺愛×サクセスストーリーです♡
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
異世界に逃げたシングルマザー経理は、定時退勤だけは譲れない
木風
恋愛
DV夫から一歳の娘を抱えて逃げた鈴木優子は、光に飲まれて異世界の王宮へ転移してしまう。
生きるために差し出した武器は簿記と経理経験――崩壊寸前の王宮会計を『複式簿記』で立て直すことに。
ただし譲れない条件はひとつ、「午後五時の定時退勤」。娘の迎えが最優先だからだ。
その姿勢に、なぜか若き国王ヴィクトルが毎日経理室へ通い始めて――仕事と子育ての先に、家族の形が芽吹いていく。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。