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第2章
47.引っ越し2 ざまあ
王都から持ってきたスコット領地とクレイマー領地は、グラント領地の横に出す。貴族邸は、そのままタウンハウスを並べていくつもりでいたが、少々誤算が生じた。
それは、王都で使用人の家を引っ越すのは、たいして問題にはならなかったのだが、スコット邸の地面を収納している最中に、運悪く国教会の連中に見つかってしまったからで、国教会は、それならば、と大聖堂の地面を差し上げますので、自分たちも聖女様と共に行きたいと申し出てこられた。
えー!と思ったけど、面倒ごとになるのでは?と……、でもアルカイダ国は、いずれ黒い雨が降り壊滅することは、わかっている。前世のジャガード国の様になることがわかっていながら、少なくとも聖女様の存在、女神さまを信仰している者をこのままアルカイダ国へ置いていても大丈夫かと、不安がよぎる。
それで、国教会ごと連れてくることにしたのだ。アルカイダ国に散らばっている牧師、修道士の類も、国教会の命令ひとつで、それぞれ国境を越え、南の島へ行くまでの間、拾えるものは、拾って、避難所へ連れて来ている。
後は、司祭様を案内役として、鄙びた教会を回収して、ついでにそこの地面ももらうため、大聖堂を束して戻ってきたところ。
それら地面を全部海上に浮かべれば、そこそこの広さの島になるが、ジェニファーはあえて、ドーナッツ型にして、真ん中は望めば、いつでも海の幸が手に入れられるようにしたのだ。
ちょうど、前世のアサシン国の様に。ただ、違うのは、いきなり外洋ではなく湾にすることで、漁をしやすくしたつもり。
嵐や時化の時も、湾にしといた方が何かと安心なのでは?という配慮で、ドーナッツ型の島にしてみたのだ。
少しずつだが、島らしくなってきたと自己満足している。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
その頃、リリアーヌ・ドイルは荒れている。
「どうして、わたくしが婚約してもらえないのかしら?スティーブンは、2~3日前には、ジェニファーと婚約破棄しているというのに!」
「いえ。お嬢様、グラント公爵令嬢様は聖女様になられたからでございましょう。ですから、ひょっとすれば王家はまだ婚約破棄ということには、至っていないのかもしれません。」
「なんですって!?それなら、わたくしも聖女様になるわっ!それならジェニファーと互角になるわよね?」
「いいえ、それが聖女様とは、1000年に一人しかなれないので、ございますれば、今世でジェニファー嬢のほかを置いて、聖女様となることは出来かねます。」
「フン。そんなもの教会にお金を掴ませたら、どうにでもなるって話でしょ?今すぐ、教会へ行って、ジェニファーを聖女様の地位から引きずり降ろしてきなさい!」
「いや、そればかりは、なんともなりません。」
「いいから。今すぐ行ってきなさい!」
リリアーヌお嬢様は、少々バカだから、聖女様というものがどういうものか、さっぱり理解されていない。
1000年に一人という意味も、お金では買えないということも、そして何より大切なことは、聖女様は処女でしかなれないということをわかっていらっしゃらない。
バカに付ける薬はないのだから、このまま無視しておこうかとも、思う。
そこへ絶妙のタイミングで、スティーブン殿下がお見えになり、ドイル家は、ホっとため息を漏らす。
「リリアーヌ、すまない。別れてくれ。」
「はあ?何、言っているのよ。ジェニファーとは、婚約破棄していないの?聖女様になったから?スティーブンを引き留めるために、聖女様なんて、手を使ったに違いはないわよ!目を覚ましてよ。」
「いや、ジェニファーと別れてから、聖女様判定が下ったのだ。それで親父にさんざん怒られて、リリアーヌと別れろって言われてさ。頼む。今は王位継承権がかかっている大事な時期なんだ。だから継承権の決着がつくまで、しばらく別れたフリをしていてくれ。きっと、迎えに行くから。頼む。」
スティーブンにそこまで言われたら、ワガママも言えない。
「わかったわ。おとなしく待つ。でも、今日は、泊っていくのでしょう?」
「あ、いや……ダメだ。そんなことすれば、廃嫡になりかねない。ごめん。」
「っもう!なんなのよ。」
リリアーヌは、手当たり次第にモノを投げ、そのうちの一つがスティーブンに命中し、額が少し切れたようで、血がにじんでいる。
それだけで、不敬罪と傷害罪、それに国家反逆罪の疑いまで着くのだが、頭に血が上っているリリアーヌは、気づいていない。
ドイル家から、項垂れて出てきたスティーブンを見て、刃傷沙汰があったと勘違いした護衛の騎士は、ドイル家に舞い戻り、リリアーヌを引っ立てて、お城の地下室に放り込む。
だが、その現場をスティーブンは、側近に手当てしてもらっていたので、見ていない。ということも、不運の拍車がかかる
それは、王都で使用人の家を引っ越すのは、たいして問題にはならなかったのだが、スコット邸の地面を収納している最中に、運悪く国教会の連中に見つかってしまったからで、国教会は、それならば、と大聖堂の地面を差し上げますので、自分たちも聖女様と共に行きたいと申し出てこられた。
えー!と思ったけど、面倒ごとになるのでは?と……、でもアルカイダ国は、いずれ黒い雨が降り壊滅することは、わかっている。前世のジャガード国の様になることがわかっていながら、少なくとも聖女様の存在、女神さまを信仰している者をこのままアルカイダ国へ置いていても大丈夫かと、不安がよぎる。
それで、国教会ごと連れてくることにしたのだ。アルカイダ国に散らばっている牧師、修道士の類も、国教会の命令ひとつで、それぞれ国境を越え、南の島へ行くまでの間、拾えるものは、拾って、避難所へ連れて来ている。
後は、司祭様を案内役として、鄙びた教会を回収して、ついでにそこの地面ももらうため、大聖堂を束して戻ってきたところ。
それら地面を全部海上に浮かべれば、そこそこの広さの島になるが、ジェニファーはあえて、ドーナッツ型にして、真ん中は望めば、いつでも海の幸が手に入れられるようにしたのだ。
ちょうど、前世のアサシン国の様に。ただ、違うのは、いきなり外洋ではなく湾にすることで、漁をしやすくしたつもり。
嵐や時化の時も、湾にしといた方が何かと安心なのでは?という配慮で、ドーナッツ型の島にしてみたのだ。
少しずつだが、島らしくなってきたと自己満足している。
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その頃、リリアーヌ・ドイルは荒れている。
「どうして、わたくしが婚約してもらえないのかしら?スティーブンは、2~3日前には、ジェニファーと婚約破棄しているというのに!」
「いえ。お嬢様、グラント公爵令嬢様は聖女様になられたからでございましょう。ですから、ひょっとすれば王家はまだ婚約破棄ということには、至っていないのかもしれません。」
「なんですって!?それなら、わたくしも聖女様になるわっ!それならジェニファーと互角になるわよね?」
「いいえ、それが聖女様とは、1000年に一人しかなれないので、ございますれば、今世でジェニファー嬢のほかを置いて、聖女様となることは出来かねます。」
「フン。そんなもの教会にお金を掴ませたら、どうにでもなるって話でしょ?今すぐ、教会へ行って、ジェニファーを聖女様の地位から引きずり降ろしてきなさい!」
「いや、そればかりは、なんともなりません。」
「いいから。今すぐ行ってきなさい!」
リリアーヌお嬢様は、少々バカだから、聖女様というものがどういうものか、さっぱり理解されていない。
1000年に一人という意味も、お金では買えないということも、そして何より大切なことは、聖女様は処女でしかなれないということをわかっていらっしゃらない。
バカに付ける薬はないのだから、このまま無視しておこうかとも、思う。
そこへ絶妙のタイミングで、スティーブン殿下がお見えになり、ドイル家は、ホっとため息を漏らす。
「リリアーヌ、すまない。別れてくれ。」
「はあ?何、言っているのよ。ジェニファーとは、婚約破棄していないの?聖女様になったから?スティーブンを引き留めるために、聖女様なんて、手を使ったに違いはないわよ!目を覚ましてよ。」
「いや、ジェニファーと別れてから、聖女様判定が下ったのだ。それで親父にさんざん怒られて、リリアーヌと別れろって言われてさ。頼む。今は王位継承権がかかっている大事な時期なんだ。だから継承権の決着がつくまで、しばらく別れたフリをしていてくれ。きっと、迎えに行くから。頼む。」
スティーブンにそこまで言われたら、ワガママも言えない。
「わかったわ。おとなしく待つ。でも、今日は、泊っていくのでしょう?」
「あ、いや……ダメだ。そんなことすれば、廃嫡になりかねない。ごめん。」
「っもう!なんなのよ。」
リリアーヌは、手当たり次第にモノを投げ、そのうちの一つがスティーブンに命中し、額が少し切れたようで、血がにじんでいる。
それだけで、不敬罪と傷害罪、それに国家反逆罪の疑いまで着くのだが、頭に血が上っているリリアーヌは、気づいていない。
ドイル家から、項垂れて出てきたスティーブンを見て、刃傷沙汰があったと勘違いした護衛の騎士は、ドイル家に舞い戻り、リリアーヌを引っ立てて、お城の地下室に放り込む。
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