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4.結婚式
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いよいよ結婚式の日が近づいた。
キャロラインは、カナリア王国の国境沿いに結界を張り巡らせた。
魔物だけでなく、悪意ある人間をも封じ込めてしまう強力な結界を張り巡らせた。
もちろん、膨大な魔力を必要とするが、今のキャロラインからすれば、難なくこなせる仕事だ。
アノ王国からの追手が入ってきて、結婚式の邪魔をされたくないからである。
育ての親の教会の司祭様を、結婚式に招待した。
数日前に、到着されて、涙の再会を果たしたところである。
「キャロライン、美しさに磨きがかかったな。さぞベルハルト国王陛下に大事にされておるようで安堵したよ。」
「司祭様、お久しぶりに存じます。此度は、私の結婚式に来てくださり、恐悦至極に存じます。」
「あの王国は、もう終わりになったと思うが、ジークフリクが廃嫡になり、国外追放になった。他の王子たちも、キャロラインを追っている。連れ戻したほうが王位継承権を得られるそうだが、私が出た時さえ結界が消えて、危なかったから、今頃はもう終わっていると思うが、とにかくキャロラインが奴らにとっては、キーパーソンになるから、くれぐれも気を付けるのだよ。」
「ご忠告感謝します。カナリア王国の国境に、魔物と悪意ある人間は侵入できないような結界を張りました。結界を張る前に入っていたものは仕方がないですが、結界後は、いくら元王子でも無理ではないでしょうか。」
「くれぐれも気を付けるのだよ。」
結婚式がついに始まった。
各国からの招待客が参列する中、緊張してヴァージンロードを進む。
ベールが上げられ、誓いのキスが終わった。
その後は、披露宴だ。
披露宴は、王城内のホールで行われた。立食形式で、それぞれ歓談しながら、和やかな雰囲気の中、私は夫であるベルハルト様の隣にべったり寄り添いながら、黙って、微笑み従っていた。
急に腕を引っ張られた。
見ると、ジークフリクだった。「この売女!やっと見つけたぞ。」
「1か月前から、この国に潜んでいた甲斐があったわ。まさか、今日の結婚式で会えるとは思わなかったが。あはは。これでまた王位継承権が俺のところに来る。」
会場は騒然となった。結婚式の晴れの日である披露宴会場で、崩壊した王国の廃嫡された息子元王子が、上機嫌で王妃様を罵り拉致しようとしているのだから、
「無礼者!その乱心者をひっ捕らえよ。王妃の腕を離せ!」
「へ?王妃ぃ?この偽聖女がぁ?」
「重ね重ねの無礼、許さぬ。」ベルハルト様が腰の帯剣をふりかざし、ジークフリクに切りつけた。
すかさず、キャロラインが聖魔法で止血したところを、衛兵に引きずられていった。
「キャロライン王妃様、なにゆえ止血されたのですか?」と司祭様が聞いてこられたので、
「晴れの舞台を血で汚したくなかったからです。」と申し上げたら
「さすが!聖女様です。」と皆様から、褒め称えられました。
この事件後、結界が効いたのか、もう誰も聖女キャロライン王妃様に手出しをする者がいなくなり、ベルハルト国王陛下といつまでも幸せに暮らしました。
1年後、世継ぎとなる可愛い王子様がお生まれになられました。
おしまい
キャロラインは、カナリア王国の国境沿いに結界を張り巡らせた。
魔物だけでなく、悪意ある人間をも封じ込めてしまう強力な結界を張り巡らせた。
もちろん、膨大な魔力を必要とするが、今のキャロラインからすれば、難なくこなせる仕事だ。
アノ王国からの追手が入ってきて、結婚式の邪魔をされたくないからである。
育ての親の教会の司祭様を、結婚式に招待した。
数日前に、到着されて、涙の再会を果たしたところである。
「キャロライン、美しさに磨きがかかったな。さぞベルハルト国王陛下に大事にされておるようで安堵したよ。」
「司祭様、お久しぶりに存じます。此度は、私の結婚式に来てくださり、恐悦至極に存じます。」
「あの王国は、もう終わりになったと思うが、ジークフリクが廃嫡になり、国外追放になった。他の王子たちも、キャロラインを追っている。連れ戻したほうが王位継承権を得られるそうだが、私が出た時さえ結界が消えて、危なかったから、今頃はもう終わっていると思うが、とにかくキャロラインが奴らにとっては、キーパーソンになるから、くれぐれも気を付けるのだよ。」
「ご忠告感謝します。カナリア王国の国境に、魔物と悪意ある人間は侵入できないような結界を張りました。結界を張る前に入っていたものは仕方がないですが、結界後は、いくら元王子でも無理ではないでしょうか。」
「くれぐれも気を付けるのだよ。」
結婚式がついに始まった。
各国からの招待客が参列する中、緊張してヴァージンロードを進む。
ベールが上げられ、誓いのキスが終わった。
その後は、披露宴だ。
披露宴は、王城内のホールで行われた。立食形式で、それぞれ歓談しながら、和やかな雰囲気の中、私は夫であるベルハルト様の隣にべったり寄り添いながら、黙って、微笑み従っていた。
急に腕を引っ張られた。
見ると、ジークフリクだった。「この売女!やっと見つけたぞ。」
「1か月前から、この国に潜んでいた甲斐があったわ。まさか、今日の結婚式で会えるとは思わなかったが。あはは。これでまた王位継承権が俺のところに来る。」
会場は騒然となった。結婚式の晴れの日である披露宴会場で、崩壊した王国の廃嫡された息子元王子が、上機嫌で王妃様を罵り拉致しようとしているのだから、
「無礼者!その乱心者をひっ捕らえよ。王妃の腕を離せ!」
「へ?王妃ぃ?この偽聖女がぁ?」
「重ね重ねの無礼、許さぬ。」ベルハルト様が腰の帯剣をふりかざし、ジークフリクに切りつけた。
すかさず、キャロラインが聖魔法で止血したところを、衛兵に引きずられていった。
「キャロライン王妃様、なにゆえ止血されたのですか?」と司祭様が聞いてこられたので、
「晴れの舞台を血で汚したくなかったからです。」と申し上げたら
「さすが!聖女様です。」と皆様から、褒め称えられました。
この事件後、結界が効いたのか、もう誰も聖女キャロライン王妃様に手出しをする者がいなくなり、ベルハルト国王陛下といつまでも幸せに暮らしました。
1年後、世継ぎとなる可愛い王子様がお生まれになられました。
おしまい
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