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長すぎた春
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侯爵令嬢のマリアントは、学生時代から付き合っていた恋人がいて、婚約者でもあった。別に政略結婚だったわけでもないけど、このほど、その彼から「マリアント君とは、もうやっていけない。君に何か瑕疵があるわけではないのだが、俺は、真実の愛にめざめてしまったんだ。君は、強いから一人でも生きていけるだろうが、子爵令嬢のジェシカは、か弱い。俺が傍にいてやらないと、生きてはいけないんだ。わかってくれ。頼む。」と言われて、婚約破棄された。
婚約破棄の違約金は、きちんと支払われたから、文句もないけど、ちょっぴりショックだった。子爵令嬢はピンクブロンドで赤い目をしていて、庇護欲をそそられる容姿をしている。対して、マリアントは、ブロンドの髪で金色の目をしていたから、印象がキツイ。
「でも、私だって、女の子なのよぉ。か弱いのよぉ。」
と誰も言ってくれないから自分で言う。
何が真実の愛だ。
若いジェシカと浮気して、若いジェシカのカラダに乗り換えただけじゃない。
まぁ、別にシャルマンに惚れていたってわけじゃないから、別にいいけど。
長すぎた春はダメね。お互い最初は、燃えても、どうしてもマンネリになるからね。
シャルマンとは、学生時代からだから、もう5年は付き合っていたし。お互い結婚を意識しつつ、言い出せないでいた。
愛し合った頃のことを考えても仕方がないので、気持ちを切り替えるべくマリアントは、仕事に精を出した。マリアントの仕事は、この国の幼い王子の養育係、以前からの知り合いのダグラス王弟殿下からの要請で引き受けた。公務に忙しい国王陛下にかわって、王子の教育係をしている。いまだ、独身で大変な美丈夫なのだが、堅物で有名である。
マリアントは、王立学園を首席で卒業した才媛で、当時から多数、縁談があった。
にもかかわらず、同じ学園の同級生シャルマンに手を付けられてしまったのが運の尽き。
マリアントは、幼い王子を見て、「これぐらいの子供がいてもおかしくない年頃になった。」と思う。ダグラス王弟殿下とは、王子様の教育方針で、よく話し合いをする。
そして、ダグラス様から、思いもよらない話を聞く。
その頃、シャルマンとジェシカ夫婦は、領地経営に失敗し、借金を作り、平民落ちしていた。貴族身分と領地の返上を引き換えに、借金棒引きを頼み、平民落ちになったそうだ。
シャルマンと結婚しなくて、良かった。どうせジェシカの手前、いい恰好をするために、お金を使い過ぎたのだろう。今は、市井の貧民窟で、ひっそり暮らしているそうだ。
もう、会いに行こうとも思わない。それぐらい冷めたのだ。
完全に住む世界が異なってしまったから、というのもある。
少し、しょんぼりしていた私に王弟殿下は、
「実は、デビュタントの時から、マリアントに目を付けて惹かれていた。」
「マリアントが首席で卒業したとき、プロポーズをと、思ったけど、その時には、すでにシャルマンが横にいた。その時、ずいぶん後悔したよ。好きな女を手に入れるためには、有無も言わさない強引さが必要だということを理解したよ。」
ダグラス様が、マリアントの前で跪いて。
「マリアント、どうか私と結婚してほしい。初めて会ったときからずっとあなたを愛している。そしてこれからもずっと、死ぬまであなたひとりを愛し続けると誓う。」
「ダグラス様、わたくしのようなキズモノで、よろしいのでしょうか?」
「何を言う。マリアント、あなたがいいのだ。あなたしかいないのだ。」
「では、改めまして、謹んでお受けいたします。今後とも宜しくお願いしま…。」
言い終わらないうちに、ダグラス様に唇を塞がれそして、そのまま愛し合った。
おしまい
婚約破棄の違約金は、きちんと支払われたから、文句もないけど、ちょっぴりショックだった。子爵令嬢はピンクブロンドで赤い目をしていて、庇護欲をそそられる容姿をしている。対して、マリアントは、ブロンドの髪で金色の目をしていたから、印象がキツイ。
「でも、私だって、女の子なのよぉ。か弱いのよぉ。」
と誰も言ってくれないから自分で言う。
何が真実の愛だ。
若いジェシカと浮気して、若いジェシカのカラダに乗り換えただけじゃない。
まぁ、別にシャルマンに惚れていたってわけじゃないから、別にいいけど。
長すぎた春はダメね。お互い最初は、燃えても、どうしてもマンネリになるからね。
シャルマンとは、学生時代からだから、もう5年は付き合っていたし。お互い結婚を意識しつつ、言い出せないでいた。
愛し合った頃のことを考えても仕方がないので、気持ちを切り替えるべくマリアントは、仕事に精を出した。マリアントの仕事は、この国の幼い王子の養育係、以前からの知り合いのダグラス王弟殿下からの要請で引き受けた。公務に忙しい国王陛下にかわって、王子の教育係をしている。いまだ、独身で大変な美丈夫なのだが、堅物で有名である。
マリアントは、王立学園を首席で卒業した才媛で、当時から多数、縁談があった。
にもかかわらず、同じ学園の同級生シャルマンに手を付けられてしまったのが運の尽き。
マリアントは、幼い王子を見て、「これぐらいの子供がいてもおかしくない年頃になった。」と思う。ダグラス王弟殿下とは、王子様の教育方針で、よく話し合いをする。
そして、ダグラス様から、思いもよらない話を聞く。
その頃、シャルマンとジェシカ夫婦は、領地経営に失敗し、借金を作り、平民落ちしていた。貴族身分と領地の返上を引き換えに、借金棒引きを頼み、平民落ちになったそうだ。
シャルマンと結婚しなくて、良かった。どうせジェシカの手前、いい恰好をするために、お金を使い過ぎたのだろう。今は、市井の貧民窟で、ひっそり暮らしているそうだ。
もう、会いに行こうとも思わない。それぐらい冷めたのだ。
完全に住む世界が異なってしまったから、というのもある。
少し、しょんぼりしていた私に王弟殿下は、
「実は、デビュタントの時から、マリアントに目を付けて惹かれていた。」
「マリアントが首席で卒業したとき、プロポーズをと、思ったけど、その時には、すでにシャルマンが横にいた。その時、ずいぶん後悔したよ。好きな女を手に入れるためには、有無も言わさない強引さが必要だということを理解したよ。」
ダグラス様が、マリアントの前で跪いて。
「マリアント、どうか私と結婚してほしい。初めて会ったときからずっとあなたを愛している。そしてこれからもずっと、死ぬまであなたひとりを愛し続けると誓う。」
「ダグラス様、わたくしのようなキズモノで、よろしいのでしょうか?」
「何を言う。マリアント、あなたがいいのだ。あなたしかいないのだ。」
「では、改めまして、謹んでお受けいたします。今後とも宜しくお願いしま…。」
言い終わらないうちに、ダグラス様に唇を塞がれそして、そのまま愛し合った。
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