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三話
ヒートに気をつけながら学校へ行くこと1、2週間。
だいぶ、本調子に戻ってきた。
「そう言えば、私今日の放課後検診だ。」
「検診?」
「うん、抑制剤、もうすぐ切れるから。」
宿題をしながら呟く優佳里ちゃんに、私もそう言えば検診行かなきゃ、と思い出した。
初夏のこの時期が私にとって体調を崩しやすい時期なのだ。
暑いのに寒いっていう状況になると頭はぼーっとするし、体はだるくなるしで大変な事態になる。
「私も一緒に行こうかな?」
「行く?」
二人して、急いで宿題を終わらせた。
病院に入って、エレベーターを探す。
バース科に、私達は通院しているからだ。
私なんかはバース性関係ない症状だけど、オメガはとにかくバース科!と決まっているから。
「なんか、いい匂いしない?ここ。」
珍しくいい匂いだと言う優佳里ちゃんに驚きながらもエレベーターに乗り込むと、優佳里ちゃんが悶だした。
「なに、この匂い。…はっ、はぁ、はぁ。」
私にとっては何もない匂いでも、優佳里ちゃんは何か感じられるようだ。
「大丈夫?優佳里ちゃんっ!」
藁にもすがる思いでバース科のボタンを押す。
・・・早く付いて!
「優佳里ちゃん、優佳里ちゃん。」
不安で、不安で仕方が無い。
心なしか心臓がいつもより早いペースでドクドクと、波打っているような気がした。
エレベーター内に広がる甘い香り。
同じオメガだからか大したことはないけど、これ、発情………?
「優佳里ちゃん!もうすぐ着くから!」
必死に名前を呼んだ。
エレベーターのドアが開くと、見えるのはバース科の受付。
「すみませんっ!」
これまで出したことのないような、大きな声で叫べば、
「どうしましたか?!」
看護師さんたちがやってくる。
「優佳里さん、優佳里さん、大丈夫ですかー!」
すぐにストレッチャーに乗せられて、処置室へ消えた。
ドクン、ドクン。
自分のことを考えられない。
心臓の鼓動ばっかり。
「どこ!僕の運命!」
俯いていたら入って来たあの人。
「アルファの方はこちらへ…」
「今ここにヒートのオメガいるよね?!そのこ、僕の運命、僕の運命の人だから!!」
「お、落ち着いて下さい。」
「落ち着けるわけ無いよね?!運命だよ!すぐ会わせて!」
「ですが…」
あの人、アルファなんだ。
ヒートのオメガって、優佳里ちゃんのことだよね、きっと。
優佳里ちゃんの、運命?
頭がはてなでいっぱいになりかけたとき、処置を終えたらしいいつもの先生がやってきた。
「あなたが、運命だと言うのなら、お相手の方もわかるはずです。何か、持ち物を貸してください。持ち物についている匂いで判断がつくでしょう。それから、ここは病院です。具合が悪くていらっしゃる方も居ますから、少し静かにして頂けませんか。休憩室をご用意しますから。」
冷静な先生に、アルファの男性も少し落ち着いたようだ。
腕に着けていた腕時計を外すと、おとなしく看護師さんについていった。
周りは落ち着いても、私は落ち着けない。
むしろ、落ち着きすぎて、パニックを起こしそうだ。
優佳里ちゃん、大丈夫かな…。
優佳里ちゃんの鞄を持ったままいると、また、あたりが騒がしくなった。
「すみません、先程こちらに伺ったアルファ男性の従者の者です。」
アルファの従者が来たのだ。
それから、もう少しして、優佳里ちゃんをお姫様抱っこしたあのアルファが戻ってきた。
「番が見つかったよ。佐々木優佳里って言うんだ。」
なんの違和感無くキスを落とす様子に、やっと我が帰ってくる。
このかばん、渡さなきゃ。
スマホとか、色々入ってるから、目覚めたとき、無かったら優佳里ちゃん、驚いちゃうよ。
「あの、私、優佳里ちゃんの友人です。これ、優佳里ちゃんの荷物です。」
勇気を振り絞って従者の人にそう言えば、素直に受け取ってもらえた。
「お名前と、電話番号を教えてください。」
個人情報は取られたが。
だいぶ、本調子に戻ってきた。
「そう言えば、私今日の放課後検診だ。」
「検診?」
「うん、抑制剤、もうすぐ切れるから。」
宿題をしながら呟く優佳里ちゃんに、私もそう言えば検診行かなきゃ、と思い出した。
初夏のこの時期が私にとって体調を崩しやすい時期なのだ。
暑いのに寒いっていう状況になると頭はぼーっとするし、体はだるくなるしで大変な事態になる。
「私も一緒に行こうかな?」
「行く?」
二人して、急いで宿題を終わらせた。
病院に入って、エレベーターを探す。
バース科に、私達は通院しているからだ。
私なんかはバース性関係ない症状だけど、オメガはとにかくバース科!と決まっているから。
「なんか、いい匂いしない?ここ。」
珍しくいい匂いだと言う優佳里ちゃんに驚きながらもエレベーターに乗り込むと、優佳里ちゃんが悶だした。
「なに、この匂い。…はっ、はぁ、はぁ。」
私にとっては何もない匂いでも、優佳里ちゃんは何か感じられるようだ。
「大丈夫?優佳里ちゃんっ!」
藁にもすがる思いでバース科のボタンを押す。
・・・早く付いて!
「優佳里ちゃん、優佳里ちゃん。」
不安で、不安で仕方が無い。
心なしか心臓がいつもより早いペースでドクドクと、波打っているような気がした。
エレベーター内に広がる甘い香り。
同じオメガだからか大したことはないけど、これ、発情………?
「優佳里ちゃん!もうすぐ着くから!」
必死に名前を呼んだ。
エレベーターのドアが開くと、見えるのはバース科の受付。
「すみませんっ!」
これまで出したことのないような、大きな声で叫べば、
「どうしましたか?!」
看護師さんたちがやってくる。
「優佳里さん、優佳里さん、大丈夫ですかー!」
すぐにストレッチャーに乗せられて、処置室へ消えた。
ドクン、ドクン。
自分のことを考えられない。
心臓の鼓動ばっかり。
「どこ!僕の運命!」
俯いていたら入って来たあの人。
「アルファの方はこちらへ…」
「今ここにヒートのオメガいるよね?!そのこ、僕の運命、僕の運命の人だから!!」
「お、落ち着いて下さい。」
「落ち着けるわけ無いよね?!運命だよ!すぐ会わせて!」
「ですが…」
あの人、アルファなんだ。
ヒートのオメガって、優佳里ちゃんのことだよね、きっと。
優佳里ちゃんの、運命?
頭がはてなでいっぱいになりかけたとき、処置を終えたらしいいつもの先生がやってきた。
「あなたが、運命だと言うのなら、お相手の方もわかるはずです。何か、持ち物を貸してください。持ち物についている匂いで判断がつくでしょう。それから、ここは病院です。具合が悪くていらっしゃる方も居ますから、少し静かにして頂けませんか。休憩室をご用意しますから。」
冷静な先生に、アルファの男性も少し落ち着いたようだ。
腕に着けていた腕時計を外すと、おとなしく看護師さんについていった。
周りは落ち着いても、私は落ち着けない。
むしろ、落ち着きすぎて、パニックを起こしそうだ。
優佳里ちゃん、大丈夫かな…。
優佳里ちゃんの鞄を持ったままいると、また、あたりが騒がしくなった。
「すみません、先程こちらに伺ったアルファ男性の従者の者です。」
アルファの従者が来たのだ。
それから、もう少しして、優佳里ちゃんをお姫様抱っこしたあのアルファが戻ってきた。
「番が見つかったよ。佐々木優佳里って言うんだ。」
なんの違和感無くキスを落とす様子に、やっと我が帰ってくる。
このかばん、渡さなきゃ。
スマホとか、色々入ってるから、目覚めたとき、無かったら優佳里ちゃん、驚いちゃうよ。
「あの、私、優佳里ちゃんの友人です。これ、優佳里ちゃんの荷物です。」
勇気を振り絞って従者の人にそう言えば、素直に受け取ってもらえた。
「お名前と、電話番号を教えてください。」
個人情報は取られたが。
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