番とあれこれしてみた

沙耶

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五話

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紫苑さんとメールして分かってきたのは、私と結構気が合うなってこと。


そして、


『おはよ。しっかり寝た?』

『寝たよ。』


凄く心配性なこと。


メールしてる途中に、実はトイレに行きたくなって駆け込んだことがある。

お腹が急に痛くなって、スマホを持ったままトイレへ入った。

この前のようにトイレの廊下に居座ってたから、間に合わないって訳じゃなかったけど、また貧血起こしてたみたい。


「ちゃんちゃんちゃんちゃん~ちゃんちゃんちゃんちゃん~」

っていう電話の呼出音で意識を取り戻した。



「もしもし…」

「彩芽ちゃん、大丈夫?」

「ごめん、ちょっと意識飛んじゃってた。」

「大丈夫?」

「ぅん。」

「ちょっと、はあはあしちゃってる?ゆっくり呼吸したら、ちょっと楽にならないかな?」

「ふー」


正直。迷惑は結構かけた。



そんなメール生活が続いたある日、電話をしていたときのこと。



「お見舞い、行ってもいいかな?」


「お見舞い?」


紫苑さんから、お見舞いの話がでた。

軽口も叩けるようになった仲なので、


「ありがとう。」


素直に受け取れた。
それに、変に遠慮すると逆に彼の心配が募るだけであることをこの何日間かで痛いほど思い知らされている。


この人なら、甘えても大丈夫なのだ。




「何か買ってくけど、何が良い?」

「茶碗蒸し。」

「茶碗蒸し?そんなので良いの?」

「お菓子はまだ無理だけど、茶碗蒸しならいけそう。」


「りょーかい。茶碗蒸しね。料理人に作らせるよ。」


「料理人?」

「うん。」


自然なお金持ち発言には慣れた。
多分、本人はあんまり気づいてないんだよね。

それに、紫苑さんならそうだろうな~って納得できちゃう自分もいる。









=====「おまけ」=====


その頃、御木家では。


「大変です、奥様ー!」

「どうしたの?」


「ぼっちゃまが、紫苑坊ちゃまが、女性のお宅へお見舞いに行くそうです。」



「…紫苑が、あの紫苑が、女性のお宅へお見舞いですって~!!!!!!!」




「原!紫苑のとこへ行くわよ!何処のお嬢さんなのか聞かなくちゃ!」

「はい!奥様!」



「ようやく家の紫苑にも春が来たのよー!あー!桜はいつ咲くのかしら~!それで?アルファの方?ベータの方?まあどちらだっていいけれど~!」


「奥様、オメガの方です。」



「オメガ~!?あんなにオメガの方とお見合いして振ってきた紫苑が、オメガの方にお見舞いに…。手土産、手土産を持たせるのよ!花束と菓子折りと、ワンピース、ヘアゴムだって何だって持っていかせなさい!」


「奥様…?」


「その女性を逃したら紫苑に次はないわ!原っ!」



「はい。」



「全力で、紫苑とその女性の方のバックアップしなさい!必ず、その二人をくっつけるわよ!」

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