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*WEB連載版
第37話 号泣
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「ご、ごめんなさい、なんでもありませんわ」
慌てて笑顔を作って、私は言った。
こんなおめでたいときに何を泣いているというんだろう、私ったら……。
だけど、やっぱり涙は止まらない。
「……私、魔力もなくて」
やがて、私はそうぽつりと言っていた。
「うん」
ルベルド殿下は微笑んで聞いてくれている。
「みんな、私のこと軽く見てきて」
「うん」
「ダドリー様だって、魔力のないお前なんかと結婚できるか! 俺は騙されたんだ! っていって、イリーナを選んで、私なんかのことはポイッって、まるで使えないオモチャを捨てるみたいに、捨てて」
「うん」
「なのに、私。あなたと出会って……。あなたと一緒に過ごすようになって……」
最初は好きになるつもりなんかなかった。
ロゼッタさんとクライヴさんの恋愛の矢印を面白おかしく見て、それで癒やされてるつもりだった。
だって元婚約者のダドリー様に捨てられて付けられた傷は、本当に深かったのだから……。
なのにルベルド殿下はそんな私にいつも全力で私にぶつかってきた。
私をからかうときも、好きっていうときも、それから二人で実験をしたときも、喧嘩をしたときも……。
「ルベルド殿下のおかげで、私、すごく……なんていうか、生活が充実しちゃったんです」
そして、いつの間にか心を奪われていた……。
「本当なら、また捨てられたらと思うと怖いはずなのに、私……」
「アデライザ……」
「あなたのことは、何故か自然と信じられたんです。……あなたは、裏表のない人だから」
マナーはなってないし気分屋で我が儘だけど、でも、彼の言うことはいつでも彼の本心だった。
「嬉しいよ、俺は。信じてもらえて……。俺のこと、そんなふうに思ってくれるなんてさ」
ルベルド殿下は優しく頭を撫でる。
その優しい手つきに、私は余計に泣きたくなってしまった。
ルベルド殿下は、しばらく黙って私の髪を触っていたけれど、やがて口を開いた。
「俺は、アデライザを幸せにするよ」
ルベルド殿下は優しい声で言ってくれた。その言葉だけで、心がじんわりと嬉しくなってしまう自分がいる。……あれ、おかしいな。私、こんなに弱かったっけ。
「だから安心して弱い部分も見せてほしい。アデライザのこと、大好きだから。全部知りたいし、全部守りたいんだ」
「ふぇ……っ、幸せすぎて怖いです……」
涙をすすったら、変な声が出てしまた。
でも、こんなに幸せになっていいのだろうか。
相手って王子様なのよ? あとで何か大きなことが起こって、彼をとられてしまうんじゃないかって、思ってしまう……。
王子様っていうのはそれだけの存在なのだから。
「ほんとに可愛いいなぁ、アデライザって。そんな心配することないって。なにがあっても俺はどこにもいかないよ。どんなことからも、あんたを必ず守るよ」
……ルベルド殿下は、ずるい。私が欲しい言葉をくれる。ずっと欲しかったものを、全部与えてくれた。……ほんの少しでいいから欲しかった魔力さえ、与えてくれた。まあ、これは自分で確かめたわけじゃないけど……。
「あ……、ありがとうございます、殿下」
「……ふふっ。ま、そうと決まれば各所に報告しないとだよな。とりあえず兄貴には報告だし、アデライザの家にも報告だ。それからブレジアン王国にも言っとかないといけない、あんたのとこの貴族令嬢をもらいうけるぜ! ってさ」
「は、はい……」
実家に報告……。そう思うと、心に影が落ちた。でもそうよね、ちゃんと報告しないといけないわよね。なんてたってオレリー伯爵家は隣国の王家と縁戚になってしまうのだから……。
「あんたがオレリー家でどういう扱いを受けていたのかは知ってる。でも、だからこそ、大丈夫だよ。誰がきても、なにが起こっても、俺が必ず守ってみせる」
「殿下……」
「もう二度と、辛い思いなんかさせない。絶対に、何がなんでも守ってみせる」
「……はい!」
私は力強く返事をした。
……不思議なことに、彼の言葉は一言一句信じられてしまうのだ。
やっぱり裏表のない人だから、なのかしら。それとも愛する人だから……?
殿下がここまでいうのだから、私はきっと殿下に守ってもらえるんだ。何があっても、絶対に。
するとルベルド殿下が立ち上がって、椅子に座った私をぎゅっと抱きしめてくれた。温かくて安心する体温に包まれて、私はとても幸せな気持ちになる。
「愛してる、アデライザ。これからは、俺があんたの帰る場所だよ。だから、どこにいても、どんなことになっても、俺を信じて欲しい。俺はアデライザを愛してる。アデライザだけを、一生愛する。約束する」
「殿下、うう、殿下……」
私は彼の胸の中で、
「わ、私もルベルド様のこと、大好きですぅ……」
と、号泣してしまった。
ルベルド殿下は、優しい手つきで私の背中をさすってくれる……。
「アデライザ……。アデライザ、よく頑張ったな。今まで辛い思いをした分、今度は俺が幸せにしてあげるから。だから、今はたくさん泣いていいんだよ」
そ、そんなこと言われたら止まらなくなっちゃうじゃない。
「はい……、あの、えぐっ、ありがとう、ございまずぅ~~」
泣きじゃくる私を、彼はいつまでも抱き締めていてくれた。
食堂に集った使用人たちも、戦いをやめて舞台に並んで座ったロゼッタさんとクライヴくんも、そんな私たちのことをそっと見守っていてくれていて……。
私、本当に幸せだ……。
こんなに幸せでいいのかな。
なんだか、怖い……。
慌てて笑顔を作って、私は言った。
こんなおめでたいときに何を泣いているというんだろう、私ったら……。
だけど、やっぱり涙は止まらない。
「……私、魔力もなくて」
やがて、私はそうぽつりと言っていた。
「うん」
ルベルド殿下は微笑んで聞いてくれている。
「みんな、私のこと軽く見てきて」
「うん」
「ダドリー様だって、魔力のないお前なんかと結婚できるか! 俺は騙されたんだ! っていって、イリーナを選んで、私なんかのことはポイッって、まるで使えないオモチャを捨てるみたいに、捨てて」
「うん」
「なのに、私。あなたと出会って……。あなたと一緒に過ごすようになって……」
最初は好きになるつもりなんかなかった。
ロゼッタさんとクライヴさんの恋愛の矢印を面白おかしく見て、それで癒やされてるつもりだった。
だって元婚約者のダドリー様に捨てられて付けられた傷は、本当に深かったのだから……。
なのにルベルド殿下はそんな私にいつも全力で私にぶつかってきた。
私をからかうときも、好きっていうときも、それから二人で実験をしたときも、喧嘩をしたときも……。
「ルベルド殿下のおかげで、私、すごく……なんていうか、生活が充実しちゃったんです」
そして、いつの間にか心を奪われていた……。
「本当なら、また捨てられたらと思うと怖いはずなのに、私……」
「アデライザ……」
「あなたのことは、何故か自然と信じられたんです。……あなたは、裏表のない人だから」
マナーはなってないし気分屋で我が儘だけど、でも、彼の言うことはいつでも彼の本心だった。
「嬉しいよ、俺は。信じてもらえて……。俺のこと、そんなふうに思ってくれるなんてさ」
ルベルド殿下は優しく頭を撫でる。
その優しい手つきに、私は余計に泣きたくなってしまった。
ルベルド殿下は、しばらく黙って私の髪を触っていたけれど、やがて口を開いた。
「俺は、アデライザを幸せにするよ」
ルベルド殿下は優しい声で言ってくれた。その言葉だけで、心がじんわりと嬉しくなってしまう自分がいる。……あれ、おかしいな。私、こんなに弱かったっけ。
「だから安心して弱い部分も見せてほしい。アデライザのこと、大好きだから。全部知りたいし、全部守りたいんだ」
「ふぇ……っ、幸せすぎて怖いです……」
涙をすすったら、変な声が出てしまた。
でも、こんなに幸せになっていいのだろうか。
相手って王子様なのよ? あとで何か大きなことが起こって、彼をとられてしまうんじゃないかって、思ってしまう……。
王子様っていうのはそれだけの存在なのだから。
「ほんとに可愛いいなぁ、アデライザって。そんな心配することないって。なにがあっても俺はどこにもいかないよ。どんなことからも、あんたを必ず守るよ」
……ルベルド殿下は、ずるい。私が欲しい言葉をくれる。ずっと欲しかったものを、全部与えてくれた。……ほんの少しでいいから欲しかった魔力さえ、与えてくれた。まあ、これは自分で確かめたわけじゃないけど……。
「あ……、ありがとうございます、殿下」
「……ふふっ。ま、そうと決まれば各所に報告しないとだよな。とりあえず兄貴には報告だし、アデライザの家にも報告だ。それからブレジアン王国にも言っとかないといけない、あんたのとこの貴族令嬢をもらいうけるぜ! ってさ」
「は、はい……」
実家に報告……。そう思うと、心に影が落ちた。でもそうよね、ちゃんと報告しないといけないわよね。なんてたってオレリー伯爵家は隣国の王家と縁戚になってしまうのだから……。
「あんたがオレリー家でどういう扱いを受けていたのかは知ってる。でも、だからこそ、大丈夫だよ。誰がきても、なにが起こっても、俺が必ず守ってみせる」
「殿下……」
「もう二度と、辛い思いなんかさせない。絶対に、何がなんでも守ってみせる」
「……はい!」
私は力強く返事をした。
……不思議なことに、彼の言葉は一言一句信じられてしまうのだ。
やっぱり裏表のない人だから、なのかしら。それとも愛する人だから……?
殿下がここまでいうのだから、私はきっと殿下に守ってもらえるんだ。何があっても、絶対に。
するとルベルド殿下が立ち上がって、椅子に座った私をぎゅっと抱きしめてくれた。温かくて安心する体温に包まれて、私はとても幸せな気持ちになる。
「愛してる、アデライザ。これからは、俺があんたの帰る場所だよ。だから、どこにいても、どんなことになっても、俺を信じて欲しい。俺はアデライザを愛してる。アデライザだけを、一生愛する。約束する」
「殿下、うう、殿下……」
私は彼の胸の中で、
「わ、私もルベルド様のこと、大好きですぅ……」
と、号泣してしまった。
ルベルド殿下は、優しい手つきで私の背中をさすってくれる……。
「アデライザ……。アデライザ、よく頑張ったな。今まで辛い思いをした分、今度は俺が幸せにしてあげるから。だから、今はたくさん泣いていいんだよ」
そ、そんなこと言われたら止まらなくなっちゃうじゃない。
「はい……、あの、えぐっ、ありがとう、ございまずぅ~~」
泣きじゃくる私を、彼はいつまでも抱き締めていてくれた。
食堂に集った使用人たちも、戦いをやめて舞台に並んで座ったロゼッタさんとクライヴくんも、そんな私たちのことをそっと見守っていてくれていて……。
私、本当に幸せだ……。
こんなに幸せでいいのかな。
なんだか、怖い……。
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