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事件終了

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百合ちゃんの方は済んだけど、他の2人の方はどうなのか……少し不安だけどまだ眷属達が怪我をしたような感覚はないし、まだきっと大丈夫。
それよりもまずは……

「そういえば百合ちゃん、この近くで変な奴らを見かけなかった?」
「え、何も……」
「マスター……それならば、恐らくそこの蜘蛛に殺されているかと……」
「そっか。それでツバサ、ルーナ、怪我の方は大丈夫?」
「はい。マスターのお陰で助かりました。ありがとうございます」
「アリガトウゴザイマス」
「気にしないで。3人とも俺の大事な人だからさ。助けるのなんて当たり前だよ」

3人が無事でよかったけど、一応確認もしておこうかね。
もしかしたらまだ行きがあるかもしれないし。
そう思って周囲を確認したが、残念なのかは分からないが既に全員死んでいた。
その遺体の損壊具合は結構酷く、手足が折れ曲がってたり、お腹を切り裂かれて中身をぶちまけてたり、頭が抉られていて中の物が見えていたりしている。
グロいよ……。
胃の中の物が出そうになるが、なんとか堪える。
こんなの百合ちゃんには見せられないよ。

地面に穴を開け、そこに集めた遺体を放り込むが、その前に身ぐるみを剥いでおく。
一応遺品としてクロウさんに渡しておこうかなと。
クズ野郎共だから別にこんな事する必要も義理もないんだけど、クロウさんはまともそうだったし一応仲間だったみたいだからね。
遺体を穴に入れたら燃やして荼毘に付す。
だが、俺は手を合わせないし祈らない。
悪党に合わせる手も祈る心も持ち合わせていないのでね。
酷いやつに思われるかもしれないけど、どうしてもそういう気にはなれない。

百合ちゃん達を回収してルセアちゃんの元へ跳ぶ。
突然目の前に現れたからルセアちゃんが驚いていたけど、事情を説明したら納得してくれた。
そんで、ここの見張り連中だけど、まだ動きはなかったようだが、突然俺が現れた事であの馬鹿共が失敗した事を悟り逃げ出す。
追おうかと思ったけど、魔物に殺されるもよし、逃げ帰ってクロウさんにボコられるもよし、と、俺が直接手を下す必要もないと判断した。

続けてハイネちゃんの所に転移すると、4人の男が死屍累々といった感じに積み上がっていた。

「うわっ、レンちゃん!?  びっくりしたー」
「それどうしたの?」
「え、ああ、なんか尾け回されてるなーって思ったからわざと隙作って誘き出した所を一網打尽にしたの。それよりもこの子達、元はゴブリンなのに結構やるねー」
「まだまだだよ。吸血鬼の血の影響で元のゴブリンよりかは強くなってるけど、下3人の内の2人だし。ハイネちゃんには悪いけど、3人の中で1番強いから弱いのをつけさせてもらったんだよ」
「あのー、レンちゃん……その2人がめっちゃ落ち込んでるんだけど……」
「うわー、ご、ごめん!  弱いって言っても今はだから!  ちゃんと強くしてあげるから!  だから落ち込まないで!」

ごぶたろうとごぶのすけを宥めるのに少々時間をかけてようやく立ち直ってくれた。

「えっと、それでこいつらはなんなのかな?」
「ああ、ただの変態だから気にしないでいいよ」
「え、あ、うん」

ロリっ子(俺)を拐かそうとする奴らとその仲間なんか変態で十分。
そんな変態達も一緒に元の場所へ移動するとそこには律儀に待っていたアリーダさん達とクロウさんが。
そんなクロウさんの前に変態を落としていく。
死んでなきゃ安いの精神で痛みとかは無視してる。

「捕まえたのはこいつらだけで、残りは逃げたのと魔物に殺されていたよ。これが殺された奴らの遺品ね」

うめいている奴らに動揺している所に畳み掛けていくスタイル。
知り合いの品を見つけたのかその場に膝をつき男泣き。
どうしてお前がーとか言ってるけど知ったこっちゃない。
犯罪に手を出そうとした時点でアウトです。
俺が淡白な反応なのは会ったこともない奴らだからかね。

「アリーダさん、今日はありがとね。謝罪、受け入れてもらえるといいですね。全部清算出来たなら……ふふっ、また、相手してあげますよ」
「あ、ああ!  絶対清算する!  その時は是非頼む!」

天然ふたなり巨根女性なんてレアだからね。
お相手出来るのならこちらとしても願ったり叶ったりです。

「それじゃあクロウさん、俺達はそろそろ帰りますね。その、これから大変でしょうけど、頑張って下さい」
「……ああ」

空返事しか返ってこないが、それも仕方ないだろう。
俺に出来る事は何も無いので、静かに立ち去る。

街へと帰り、組合に森の中で起こった事を説明する。
転移とかは省いているけど、それ以外はきちんと報告していく。
だが流石に事が事だけにただの受付嬢の所で済ませていい話ではなく、支部長に会ってそこでも説明してくれと言われた。
支部長はロリババアを期待していたけど出てきたのは厳ついおっさん。
好みじゃないです。
琴線に引っ掛からない。
 
「なんだその顔は?」
「いえ、美人の女性が良かったなと」
「……悪かったなおっさんで」
「レン……」

ルセアちゃんに呆れられるが、期待するくらいいいじゃないか。

「それで、クロウの所の奴らがやらかしたんだって?」
「はい。1週間前に眷属達とのんびりお昼を食べていたら馬鹿が突っかかってきて、それ以降ずっと尾けられていて、今日依頼に出た所で行動に出たって感じです」
「そうか……それで、結果はどうなったんだ?」
「何人かには逃げられて、何人かは蜘蛛の魔物に殺されてました。それ以外は捕まえてクロウさんに預けたんでその内戻ってくるんじゃないですかね?」
「蜘蛛の魔物……だと?  大きさは?  色は?」
「2mくらいの黒い蜘蛛ですが、それが何か?」
「白じゃないんだな?」
「ええ、黒ですよ。なんなら実物を見せましょうか?」
「今も持ってるのか?」
「はい」
「そうか……。いや、見せなくていい。白じゃなきゃ問題はない。何より、もう倒されているんだからな」
「白いと何かあるんですか?」
「ああ……白い悪魔と呼ばれる恐ろしき魔物、全てを灰燼へと変える白焔の王、インフェルノスパイダーというのが居るんだ」
「蜘蛛のくせに火を使うんですか?」
「ああ……蜘蛛なのにな」
「……それで、黒はどうなんですか?」
「いや、黒は強いことには強いが常識の範疇だ。ランク5の魔物だからなんとでもなる」
「そうですか。何もないのなら換金しても問題ないですよね」
「ああ、後で手続きさせるよ。それで話の続きだが、その馬鹿どもを君はどうしたい?」
「別にどうもしないよ。興味はないしどうするかはクロウさんに押し付けます。組合なり衛兵隊なりに突き出すもよし、ぶん殴って更生させるもよし。これ以上こっちに迷惑かけないなら好きにして」
「そうか。分かった。また何か聞きたい事があればその時に聞かせてくれると助かるが、いいか?」
「暇な時なら構いませんよ」
「助かる」
「じゃあ、俺達は帰っていいんですよね?」
「ああ、構わないよ」
「分かりました。では失礼します」

さて、これで事件解決って事でいいのかな。
それにしても、お腹空いたなぁ。
早くご飯食べに行こうっと。
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