皆に優しい幸崎さんは、今日も「じゃない方」の私に優しい

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決意

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「幸崎さんって、本当に紳士的だよね。この間も、私の用事に付き合ってくれたんだぁ」

 この声は、橘さくらだ。私の胸がギシリと軋んだ。
 
「え、幸崎さんとそんな関係なの?じゃあもうすぐ付き合っちゃう感じ?」
「うーん、どうかなぁ。でも、幸崎さん、最近私に優しいんだよねぇ。何気に声かけてくれる回数も増えてるしぃ」
 
 はやし立てるような友人の言葉に橘さくらが自信に満ちた声で答える。

「……きっと見栄っ張りな橘の、口から出まかせだよ」

 隣で雪が小さな声で私を慰めてくれる。そうなのかもしれない。けれど、出まかせなんかじゃないかもしれない。

(用事につきあってくれたって、一体いつの事なんだろう) 

 橘さくらの言葉はまるで毒のようだ。ジワジワと私の心を蝕んでいく。

「ねぇ、美和、大丈夫?」

 雪の心配そうな声が聞こえるけれど、私はただ、頷くことしかできなかった。胸の中にはモヤモヤとしたどす黒い感情が渦巻いていく。先程までの浮かれていた気持ちは、もはや跡形もなく消え失せていた。

 それから私は橘さくらの言葉が頭から離れず、午後の仕事に集中できずにいた。幸崎さんが彼女に優しくするのは、私に優しくするのと全く同じ。彼だからこその、平等な優しさというものなのだろうか。
 昨日まで感じていた喜びやときめきは、もしかしたら全て私の勘違いだったのかもしれない。そう考える度になぜか胸に鈍い痛みが走った。
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