31 / 45
決意
3
しおりを挟む
夕方、私は企画書を印刷するためにプリンタコーナーへと足を向けた。するとその途中のミーティングスペースでは、幸崎さんがグループディスカッションを行っていた。
真剣そうに話をしているその姿に見惚れていると、幸崎さんとぱちん目が合ってしまった。咄嗟に目を逸らそうとすると、幸崎さんはさり気ない笑顔を見せて、こちらに向けて小さくヒラヒラと手を振った。
他の人にはわからない、私だけに送られる特別な仕草。
そう思うと、胸の鼓動が早くなる。顔が真っ赤に染まっていくのを感じながら、私は慌ててぺこりとお辞儀すると急いでその場を駆け抜けた。ドクドクと全身は、激しく脈を打っていた。
(どうして幸崎さんの事を考えると、こんなに心が乱れるんだろう……)
その日の夜、ベッドに潜ったものの中々寝付けなかった私は、ぼんやりと天井を眺めていた。幸崎さんの笑顔、そして橘さくら。彼らの関係は一体どういうものなのだろう。化粧室での彼女の言葉を思い出す度に、胸がなぜか締め付けられる。それは大切なものが他の誰かに取られてしまった時に起きる、今迄何度か経験したことのある、切ない痛みだった。
真剣そうに話をしているその姿に見惚れていると、幸崎さんとぱちん目が合ってしまった。咄嗟に目を逸らそうとすると、幸崎さんはさり気ない笑顔を見せて、こちらに向けて小さくヒラヒラと手を振った。
他の人にはわからない、私だけに送られる特別な仕草。
そう思うと、胸の鼓動が早くなる。顔が真っ赤に染まっていくのを感じながら、私は慌ててぺこりとお辞儀すると急いでその場を駆け抜けた。ドクドクと全身は、激しく脈を打っていた。
(どうして幸崎さんの事を考えると、こんなに心が乱れるんだろう……)
その日の夜、ベッドに潜ったものの中々寝付けなかった私は、ぼんやりと天井を眺めていた。幸崎さんの笑顔、そして橘さくら。彼らの関係は一体どういうものなのだろう。化粧室での彼女の言葉を思い出す度に、胸がなぜか締め付けられる。それは大切なものが他の誰かに取られてしまった時に起きる、今迄何度か経験したことのある、切ない痛みだった。
0
あなたにおすすめの小説
烏の王と宵の花嫁
水川サキ
キャラ文芸
吸血鬼の末裔として生まれた華族の娘、月夜は家族から虐げられ孤独に生きていた。
唯一の慰めは、年に一度届く〈からす〉からの手紙。
その送り主は太陽の化身と称される上級華族、縁樹だった。
ある日、姉の縁談相手を誤って傷つけた月夜は、父に遊郭へ売られそうになり屋敷を脱出するが、陽の下で倒れてしまう。
死を覚悟した瞬間〈からす〉の正体である縁樹が現れ、互いの思惑から契約結婚を結ぶことになる。
※初出2024年7月
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
地味男はイケメン元総長
緋村燐
青春
高校一年になったばかりの灯里は、メイクオタクである事を秘密にしながら地味子として過ごしていた。
GW前に、校外学習の班の親交を深めようという事で遊園地に行くことになった灯里達。
お化け屋敷に地味男の陸斗と入るとハプニングが!
「なぁ、オレの秘密知っちゃった?」
「誰にも言わないからっ! だから代わりに……」
ヒミツの関係はじめよう?
*野いちごに掲載しているものを改稿した作品です。
野いちご様
ベリーズカフェ様
エブリスタ様
カクヨム様
にも掲載しています。
白衣の下 第一章 悪魔的破天荒な医者と超真面目な女子大生の愛情物語り。先生無茶振りはやめてください‼️
高野マキ
ライト文芸
弟の主治医と女子大生の甘くて切ない愛情物語り。こんなに溺愛する相手にめぐり会う事は二度と無い。
紙の上の空
中谷ととこ
ライト文芸
小学六年生の夏、父が突然、兄を連れてきた。
容姿に恵まれて才色兼備、誰もが憧れてしまう女性でありながら、裏表のない竹を割ったような性格の八重嶋碧(31)は、幼い頃からどこにいても注目され、男女問わず人気がある。
欲しいものは何でも手に入りそうな彼女だが、本当に欲しいものは自分のものにはならない。欲しいすら言えない。長い長い片想いは成就する見込みはなく半分腐りかけているのだが、なかなか捨てることができずにいた。
血の繋がりはない、兄の八重嶋公亮(33)は、未婚だがとっくに独立し家を出ている。
公亮の親友で、碧とは幼い頃からの顔見知りでもある、斎木丈太郎(33)は、碧の会社の近くのフレンチ店で料理人をしている。お互いに好き勝手言える気心の知れた仲だが、こちらはこちらで本心は隠したまま碧の動向を見守っていた。
定時で帰りたい私と、残業常習犯の美形部長。秘密の夜食がきっかけで、胃袋も心も掴みました
藤森瑠璃香
恋愛
「お先に失礼しまーす!」がモットーの私、中堅社員の結城志穂。
そんな私の天敵は、仕事の鬼で社内では氷の王子と恐れられる完璧美男子・一条部長だ。
ある夜、忘れ物を取りに戻ったオフィスで、デスクで倒れるように眠る部長を発見してしまう。差し入れた温かいスープを、彼は疲れ切った顔で、でも少しだけ嬉しそうに飲んでくれた。
その日を境に、誰もいないオフィスでの「秘密の夜食」が始まった。
仕事では見せない、少しだけ抜けた素顔、美味しそうにご飯を食べる姿、ふとした時に見せる優しい笑顔。
会社での厳しい上司と、二人きりの時の可愛い人。そのギャップを知ってしまったら、もう、ただの上司だなんて思えない。
これは、美味しいご飯から始まる、少し大人で、甘くて温かいオフィスラブ。
イケメン警視、アルバイトで雇った恋人役を溺愛する。
楠ノ木雫
恋愛
蒸発した母の借金を擦り付けられた主人公瑠奈は、お見合い代行のアルバイトを受けた。だが、そのお見合い相手、矢野湊に借金の事を見破られ3ヶ月間恋人役を務めるアルバイトを提案された。瑠奈はその報酬に飛びついたが……
愛が重いだけじゃ信用できませんか?
歩く魚
恋愛
【ヤンデレと戦えるのは遊び人である】
古庵瑠凪は、大学内における、いわゆる「何でも屋」に相当するサークルに所属している。
生徒を助け、浮かれたように遊び、大学生の青春を謳歌する、そんな毎日。
しかし、ある日「お見舞い」が自宅のドアにかけられていたことを皮切りに、彼の平穏な日々に変化が訪れる。
「好きだからです。世界中の誰よりも好きで好きでたまらないからです」
突然の告白。ストーカーの正体。
過去の一件から恋人を作らないと決意した瑠凪は、さまざまな方向に「重い」ヒロインたちのアプローチから逃れることができるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる