急な辞令に納得いかないので人事部長を襲ってみたところ、返り討ちにあった件

99

文字の大きさ
6 / 9
グズグズに甘やかされたくて、人事部長に抱いてしてほしいと誘ってみた件(仮)

1

営業3課に配属されて早5ヶ月。

慣れない環境にただひたすら適応しようと頑張ってきたけれど、最近少し、疲れを感じることが多くなってきた。

どんなに沢山眠ったとして表面上の疲れは取れるも、奥に潜む何かの調子が今ひとつ。結果、なんだかスッキリとしないでいる。
多分肉体的なものではなく、精神的なものが原因なのだろう。

仕事で何か大きなミスをした訳ではない。
けど、人間関係での些細な行き違いや、ほんのちょっとの失敗なんかの積み重ねで、自分の心の奥の、何か大事なものがささくれだって磨耗されて、ガサガサひっかかるような感じがしているのだ。

こんな気持ちになるのは入社したての頃以来……いや、今まで社会人として生きていたという変なプライドのせいで、あの頃よりも更に酷いかもしれない。まさか30歳にもなって、またこんな気持ちに苛まれるとは思ってもみないことだった。


『君はがんばっているよ、みんなもそれを知っているよ。だから無理をしなくても、今のままで十分大丈夫だよ。』


こういう日は、口当たりのよい言葉を聞きながらぎゅうぎゅう抱きしめてもらいたい。無条件に甘やかされて癒やされたい。
どうにもこうにもやりきれない感情を持て余し、最近正式なお付き合いをする運びとなった、人事部長こと佐藤俊生に「急ですが、今日、溺愛してくれませんか?」と携帯にメッセージを送ってみるのだった。

「了解。もちろん大歓迎。」
佐藤俊生からはすぐさま簡潔な返事が届き、そうして本日これから溺愛される運びになったのであった。

待ち合わせに現れた佐藤俊生は、本日も相変わらず1日の疲れを感じさせない、悔しいくらいにピシリとした佇まい。

情が薄そうなクールな表情だが、その内面は優しくてなんとも可愛らしい彼氏の姿を見かけただけで、不思議なもので先程までの沈んでいた心が浮き足だってくる。

思わずぎゅうと腕に抱きつくと、佐藤俊生は先程までとは打って変わって、チョコレートを溶かしたような甘い甘い表情になるのだから、胸がきゅぅうんとなってしまう。

「急なお誘いで、すみません」と謝ると、「愛しい彼女からのお誘いならばいつでも大歓迎ですよ」と私の頭を軽く撫でながら微笑む佐藤俊生。

……優しい!!

ちょっとした言葉をかけられだけなのに、癒やし効果抜群。なんだか泣いてしまいそう。

慌てて、「誘っておいてなんですが、今日はどちらに行きましょう?」と言うと、佐藤俊生はニッコリ笑って「今日は週末だから、俺の家に行きましょう。」と応えるのだった。

感想 0

あなたにおすすめの小説

ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?

春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。 しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。 美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……? 2021.08.13

密室に二人閉じ込められたら?

水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?

練習なのに、とろけてしまいました

あさぎ
恋愛
ちょっとオタクな吉住瞳子(よしずみとうこ)は漫画やゲームが大好き。ある日、漫画動画を創作している友人から意外なお願いをされ引き受けると、なぜか会社のイケメン上司・小野田主任が現れびっくり。友人のお願いにうまく応えることができない瞳子を主任が手ずから教えこんでいく。 「だんだんいやらしくなってきたな」「お前の声、すごくそそられる……」主任の手が止まらない。まさかこんな練習になるなんて。瞳子はどこまでも甘く淫らにとかされていく ※※※〈本編12話+番外編1話〉※※※

元遊び人の彼に狂わされた私の慎ましい人生計画

イセヤ レキ
恋愛
「先輩、私をダシに使わないで下さい」 「何のこと?俺は柚子ちゃんと話したかったから席を立ったんだよ?」 「‥‥あんな美人に言い寄られてるのに、勿体ない」 「こんなイイ男にアピールされてるのは、勿体なくないのか?」 「‥‥下(しも)が緩い男は、大嫌いです」 「やだなぁ、それって噂でしょ!」 「本当の話ではないとでも?」 「いや、去年まではホント♪」 「‥‥近づかないで下さい、ケダモノ」 ☆☆☆ 「気になってる程度なら、そのまま引き下がって下さい」 「じゃあ、好きだよ?」 「疑問系になる位の告白は要りません」 「好きだ!」 「疑問系じゃなくても要りません」 「どうしたら、信じてくれるの?」 「信じるも信じないもないんですけど‥‥そうですね、私の好きなところを400字詰め原稿用紙5枚に纏めて、1週間以内に提出したら信じます」 ☆☆☆ そんな二人が織り成す物語 ギャグ(一部シリアス)/女主人公/現代/日常/ハッピーエンド/オフィスラブ/社会人/オンラインゲーム/ヤンデレ

優しいマッチョ先輩とみたらし

羽月☆
恋愛
マッチョの松田先輩ときれいだけど実は腹黒毒舌の百合先輩。 同期のいない私 鴻島みどりはふたりに仲良くしてもらってます。 会社でも並びの席で、飲み会でもたいてい三人一緒にいて。 優しい松田先輩にはお酒を勧められます。 飲み足りない顔をしてると思います。だって私は飲めるんです! だけど三杯まで、お外では三杯までって決めてます。 今日も部屋で一人二次会。 だって恋活中の私はあふれる期待を胸に参加した飲み会で・・・まったく意識もされず。 なかなかうまくいかない恋活中の私。 どうしてなんでしょうか? そんなにダメですか? 長い間掲げていた恋活中の看板、やっと下ろすことが出来ます。 緑のちょっと変な恋愛事情の話です。

鬼上官と、深夜のオフィス

99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」 間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。 けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……? 「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」 鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。 ※性的な事柄をモチーフとしていますが その描写は薄いです。

ハイスペックな男(対象外)と私

イセヤ レキ
恋愛
神崎(かんざき)莉子(りこ)、27歳。 ハイスペックな男に恋をし、自分磨きに5年程邁進していた結果、その男はあっさりと新入社員にとられてしまった。 傷心した莉子の前に現れたのは━━? ギャグ/ほのぼの//現代/社会人/ハッピーエンド/日常

彼と私と甘い月

藤谷藍
恋愛
白河花蓮は26歳のOL。いつも通りの出勤のはずが駅で偶然、橘俊幸、31歳、弁護士に助けられたことからお互い一目惚れ。優しいけれど強引な彼の誘いに花蓮は彼の家でバイトを始めることになる。バイトの上司は花蓮の超好みの独身男性、勤務先は彼の家、こんな好条件な副業は滅多にない。気になる彼と一緒に一つ屋根の下で過ごす、彼と花蓮の甘い日々が始まる。偶然が必然になり急速に近づく二人の距離はもう誰にも止められない? 二人の糖度200%いちゃつきぶりを、こんな偶然あるわけないと突っ込みながら(小説ならではの非日常の世界を)お楽しみ下さい。この作品はムーンライトノベルズにも掲載された作品です。 番外編「彼と私と甘い月 番外編 ーその後の二人の甘い日々ー」も別掲載しました。あわせてお楽しみください。