泥棒だと思って成敗した男の正体は、麗しの王子様でした。〜この後断罪される予感しかない私の話〜

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シイラの言葉に今度はルーシーが驚く番である。

 ……え?
 何?
 今、なんて言った?
 泥棒が、捕まった?

 シイラの後ろに視線を向けてみると、なるほど憲兵が薄汚れたカップについた茶渋みたいな色の服を着て道化師みたいな黄色・・に染めた髪の、しょぼくれた男を引き連れている。
 
 ……じゃあ、この人は???

 恐る恐る視線を下に向ければ、男はそれみたことかと言わんばかりに、相変わらず赤らんだ顔でこちらをギロリと睨みつけている。
 
「だから私は、そんなことをしていないと言っていだろうがっ」
「だ、だって!泥棒は金色の髪で、茶色の服を着てるって……!」
「お前は泥棒あれをよく見たのか?あれは黄色・・の髪だし、服の色だって大分違うだろうが!……まあ、どうせ曖昧な情報だけで先走ったといったところなのだろう?そういった行動は、「自分は短絡的思考で浅はかな人間である」と、言っているようなものだぞ」

 偉そうな口調で男はフンと鼻を鳴らす。
 たった数分前に出会ったばかりの男に腹立たしいことばかり指摘されるが、悔しいことにそれは全くの正論である。……正論ではあるものの、先程まで実に紛らわしい怪しい行動をしていたこの男に、ここまで嫌味を言われたままで黙って引き下がってもいられない。

 組み敷いた身体の下から這い出して、やれやれといった様子で服の埃を払っている男に向かってルーシーは、何か文句の一言でも言ってやろうと口を開こうとした。
 

 
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