あの娘の彼氏はスパダリと評判ですが、その実態はただのヘタレです

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カーテンの向こうは未知の世界(1)

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ある日の会社にて。同僚と他愛ない世間話をしながら廊下を歩いていると、誰かにグイッと腕を捕まれそのまま人気のない書庫に連れ込まれた。

「会社で他の男と仲良くしないで。僕だけを見ていて。僕が会社の中で……ううん、この世の中で一番山本さんに近い場所にいる男なんだから、それを忘れないで。」

腕をつかんだ相手こと、不機嫌そうな顔の神山透はそう言うと、私を抱きしめ、キスをしながら背後から胸を揉みしだき、もう一方の手は下腹部へと伸ばす。
そしてあちこち体をまさぐされているうちに、会社の書庫の中だというのに、すっかり私は神山透が与える快楽の虜になってしまったのであった――。





「……って、夢を見たんですよ。」

ギンガムチェックの可愛らしい装飾が施されたカフェの中、コーヒーを啜りながら神山透本人にボヤく私である。
あれから強引なスケジュール調整により何度か神山透と会った私だが、その都度なんやかんやうまいこと言いくるめられて、結局毎度ホテルで、あんあん言っちゃう間柄になってしまっていたのであった。
なんたる爛れた関係!生徒役と先生役、研究者と実験体、色々言い方はあるだろうけど、まあ結局のところ、いわゆるセフレってやつだよね!ハッハッハ!!
ものすごいスピードで間違った方向の大人の階段を駆け上がっているような気がしてならないが、今となっては理性はすっかり死んで、残っているのは本能だけ。制御不能な暴走列車みたいに、他者はもちろん自分ですらどうしてよいのかわからない。

そして本日は土曜日の夕暮れ時。
待ち合せに指定されたカフェにて、昨日見た夢のせいで中途半端に欲求不満やら、そんな夢を見させている原因の神山透が腹ただしいやらで、絶賛八つ当たり中の私である。

体はすっかり神山透仕様になってしまっているというかなんというか。ついに夢にまで見るようになってしまっては、いよいよ末期である。
そう愚痴ると、神山透は真っ赤になって口を抑えながら、明後日の方向に目を向けて、

「えーと、山本さんがそんなに求めてくれているのは嬉しいですけど、さすがの僕も、社内でしちゃうのはどうかと思いますよ。」

そんなことを言うのだった。

……違う。つっこむべきところは、そこじゃない。


結局あれから寝顔の写真は、削除してもらうことができなかった。何度言っても、頑なに神山透が「一周回ってかわいい写真じゃないですか。僕、これ見て仕事のストレス解消してるんですから消したくないですよ。」と断固拒否したからだった。

一周回る前のスタート地点は一体どういう扱いなのか、聞いてみたいような聞きたくないような。まあストレス解消のお役に立てるなら、もうどうにでもせい、という心境にもなり、一応外部に流出させないよう固く誓わせた上、それ以上の追求は諦めたのであった。
なんせ我々はお互い寝顔なんかより、もっと際どいものを見てますからなぁ。アッハッハ。と、達観した笑いを浮かべるしかない私である。

「さて、今日はどうしますか?」

そう聞いてみると、神山透はいたずらっ子のように目をくりくりと輝かせると満面の笑みを向けてくるのだった。

「ちょっと付き合って欲しいところがあるんですよ」







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