14 / 33
開くな!新しい扉(2)
しおりを挟む
その後、神山透は浴室から湯の入った洗面器を持って来て、甲斐甲斐しくも唾液で濡れまくった私の足を丁寧に洗ってくれたのだった。
なんというお姫様扱い!何かの漫画のワンシーンみたいな光景だが、惜しむらくは姫が圧倒的に地味で、従僕が従僕らしからぬ美しさってところだろうか。
そんでもってお姫様のお御足ならきっとスラリとして華奢なんだろうな。それに対して私の足ときたら……自分で言ってて少しヘコむ。
「私の足は丸っこいですけど、これ、母方の遺伝なんですよね。」
想像上の姫とはいえ、比べてしまうと悲しくなってきて、ポツリと言葉をこぼしてしまう。
「父は甲が薄いから、どんな靴も履けるんですよ。けど、私は母に似ちゃったので靴を選ぶのに苦労するんですよね。母も、その母もみんな甲高幅広なんで、私も将来子供を産んだら、きっとその子もそうなんですよ。だから、自分の子供にまで靴の選び方で苦労させることになるのかと思うと、なんだか申し訳ないなあって思って。」
まあ子供を生む予定なんてまだ全然無いんですけれど、と言いながら、一度口にしてしまえば、甲高幅広への根深いコンプレックスが、ポロリポロリと言葉となって出てきてしまう。
ちらりと神山透に目を向ければ、私が憧れてやまない甲薄幅狭の足が目に入る。
「神山さんが羨ましい」
思わず羨望の言葉が口に出ると、イケメンはフフッと笑うと愛でるように優しく爪先を撫でつける。
「僕は山本さんの足、可愛らしくて好きですよ。そういう足を好きな人もいるんですし、靴選びだって、最高に自分に合う靴に出会った時は、僕ら甲薄幅狭の足の人間に比べたら嬉しさも感慨深さも何倍にもなると思いますから、そういう楽しみな点を生まれてきた子には伝えて行ければいいんじゃないんですか?」
そう慰めてくれる一方では、
「まあでも僕の足に似た子も、色々な靴を履けるので、それはそれで楽しいとは思いますけどねっ。」
と、ついでに将来の自分の子供自慢もちゃっかりアピールしてくるものだから、生まれてもいないのにお互いの子供自慢かよ!となんだか可笑しくなってくる。
そしてしょんぼりした空気を一掃させてくれようとしたイケメンに、私は心の中で、ちょっぴり感謝するのだった。
「ところで神山さんて、足フェチかなにかなんですか?」
「はあ?」
足を洗って、タオルで優しく拭いてもらいながら、そんな素朴な疑問を訪ねてみると、神山透は予想外の質問をされたとばかりに面食らった顔する。
「だってあんなに熱心に足を舐めてましたし」
慌ててそう付け加えると、神山透は額に手をあて少し顔を赤らめる。
「山本さんの足が自分の筋張った足と正反対で可愛らしくなって、思わずやってしまった行為ですが、足フェチではございません!」
「じゃ、あの借りてきたDVDは……」
「山本さんが店の中で動揺させるようなこと言うから間違えたんでしょ!!」
呆れたようなその口調に納得できずに再度質問を投げかけると、私はなぜか怒られてしまうのだった。
神山透が何を借りようとしていたのかは謎のまま。結局教えてもらうことはできなかったが、とりあえずイケメンの全力の否定でもって、足フェチでないことだけは確認できた。
そして足がすっかり綺麗になった後、体(というか、主に下腹部)も拭いて綺麗にしてあげようと、悪そうな顔で神山透が提案してくるので慌ててそれを辞退して、私はとっとと浴室に逃げ込みシャワーを浴び直すのであった。
なんというお姫様扱い!何かの漫画のワンシーンみたいな光景だが、惜しむらくは姫が圧倒的に地味で、従僕が従僕らしからぬ美しさってところだろうか。
そんでもってお姫様のお御足ならきっとスラリとして華奢なんだろうな。それに対して私の足ときたら……自分で言ってて少しヘコむ。
「私の足は丸っこいですけど、これ、母方の遺伝なんですよね。」
想像上の姫とはいえ、比べてしまうと悲しくなってきて、ポツリと言葉をこぼしてしまう。
「父は甲が薄いから、どんな靴も履けるんですよ。けど、私は母に似ちゃったので靴を選ぶのに苦労するんですよね。母も、その母もみんな甲高幅広なんで、私も将来子供を産んだら、きっとその子もそうなんですよ。だから、自分の子供にまで靴の選び方で苦労させることになるのかと思うと、なんだか申し訳ないなあって思って。」
まあ子供を生む予定なんてまだ全然無いんですけれど、と言いながら、一度口にしてしまえば、甲高幅広への根深いコンプレックスが、ポロリポロリと言葉となって出てきてしまう。
ちらりと神山透に目を向ければ、私が憧れてやまない甲薄幅狭の足が目に入る。
「神山さんが羨ましい」
思わず羨望の言葉が口に出ると、イケメンはフフッと笑うと愛でるように優しく爪先を撫でつける。
「僕は山本さんの足、可愛らしくて好きですよ。そういう足を好きな人もいるんですし、靴選びだって、最高に自分に合う靴に出会った時は、僕ら甲薄幅狭の足の人間に比べたら嬉しさも感慨深さも何倍にもなると思いますから、そういう楽しみな点を生まれてきた子には伝えて行ければいいんじゃないんですか?」
そう慰めてくれる一方では、
「まあでも僕の足に似た子も、色々な靴を履けるので、それはそれで楽しいとは思いますけどねっ。」
と、ついでに将来の自分の子供自慢もちゃっかりアピールしてくるものだから、生まれてもいないのにお互いの子供自慢かよ!となんだか可笑しくなってくる。
そしてしょんぼりした空気を一掃させてくれようとしたイケメンに、私は心の中で、ちょっぴり感謝するのだった。
「ところで神山さんて、足フェチかなにかなんですか?」
「はあ?」
足を洗って、タオルで優しく拭いてもらいながら、そんな素朴な疑問を訪ねてみると、神山透は予想外の質問をされたとばかりに面食らった顔する。
「だってあんなに熱心に足を舐めてましたし」
慌ててそう付け加えると、神山透は額に手をあて少し顔を赤らめる。
「山本さんの足が自分の筋張った足と正反対で可愛らしくなって、思わずやってしまった行為ですが、足フェチではございません!」
「じゃ、あの借りてきたDVDは……」
「山本さんが店の中で動揺させるようなこと言うから間違えたんでしょ!!」
呆れたようなその口調に納得できずに再度質問を投げかけると、私はなぜか怒られてしまうのだった。
神山透が何を借りようとしていたのかは謎のまま。結局教えてもらうことはできなかったが、とりあえずイケメンの全力の否定でもって、足フェチでないことだけは確認できた。
そして足がすっかり綺麗になった後、体(というか、主に下腹部)も拭いて綺麗にしてあげようと、悪そうな顔で神山透が提案してくるので慌ててそれを辞退して、私はとっとと浴室に逃げ込みシャワーを浴び直すのであった。
0
あなたにおすすめの小説
シンデレラは王子様と離婚することになりました。
及川 桜
恋愛
シンデレラは王子様と結婚して幸せになり・・・
なりませんでした!!
【現代版 シンデレラストーリー】
貧乏OLは、ひょんなことから会社の社長と出会い結婚することになりました。
はたから見れば、王子様に見初められたシンデレラストーリー。
しかしながら、その実態は?
離婚前提の結婚生活。
果たして、シンデレラは無事に王子様と離婚できるのでしょうか。
モテ男とデキ女の奥手な恋
松丹子
恋愛
来るもの拒まず去るもの追わずなモテ男、神崎政人。
学歴、仕事共に、エリート過ぎることに悩む同期、橘彩乃。
ただの同期として接していた二人は、ある日を境に接近していくが、互いに近づく勇気がないまま、関係をこじらせていく。
そんなじれじれな話です。
*学歴についての偏った見解が出てきますので、ご了承の上ご覧ください。(1/23追記)
*エセ関西弁とエセ博多弁が出てきます。
*拙著『神崎くんは残念なイケメン』の登場人物が出てきますが、単体で読めます。
ただし、こちらの方が後の話になるため、前著のネタバレを含みます。
*作品に出てくる団体は実在の団体と関係ありません。
関連作品(どれも政人が出ます。時系列順。カッコ内主役)
『期待外れな吉田さん、自由人な前田くん』(隼人友人、サリー)
『初恋旅行に出かけます』(山口ヒカル)
『物狂ほしや色と情』(名取葉子)
『さくやこの』(江原あきら)
『爆走織姫はやさぐれ彦星と結ばれたい!』(阿久津)
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
冷徹社長の「契約」シンデレラ~一夜の過ちから始まる溺愛ルート!? 嘘つきな私と不器用な御曹司のオフィスラブ~
藤森瑠璃香
恋愛
派遣社員の桜井美月は、ある夜、会社の懇親会で泥酔し、翌朝目覚めると隣には「氷の彫刻」と恐れられる若き社長・一条蓮がいた。まさかの一夜の過ち(実際には何もなかったが、美月は勘違い)に青ざめる美月に、蓮は「責任は取る。だがこれは恋愛ではない、契約だ」と、彼の抱えるある事情のため、期間限定で恋人のフリをするよう持ちかける。破格の報酬と蓮の真剣な様子に、美月は契約を受け入れる。
氷の上司に、好きがバレたら終わりや
naomikoryo
恋愛
──地方から本社に異動してきた29歳独身OL・舞子。
お調子者で明るく、ちょっとおせっかいな彼女の前に現れたのは、
“氷のように冷たい”と社内で噂される40歳のイケメン上司・本庄誠。
最初は「怖い」としか思えなかったはずのその人が、
実は誰よりもまっすぐで、優しくて、不器用な人だと知ったとき――
舞子の中で、恋が芽生えはじめる。
でも、彼には誰も知らない過去があった。
そして舞子は、自分の恋心を隠しながら、ゆっくりとその心の氷を溶かしていく。
◆恋って、“バレたら終わり”なんやろか?
◆それとも、“言わな、始まらへん”んやろか?
そんな揺れる想いを抱えながら、仕事も恋も全力投球。
笑って、泣いて、つまずいて――それでも、前を向く彼女の姿に、きっとあなたも自分を重ねたくなる。
関西出身のヒロイン×無口な年上上司の、20話で完結するライト文芸ラブストーリー。
仕事に恋に揺れるすべてのOLさんたちへ。
「この恋、うちのことかも」と思わず呟きたくなる、等身大の恋を、ぜひ読んでみてください。
誘惑の延長線上、君を囲う。
桜井 響華
恋愛
私と貴方の間には
"恋"も"愛"も存在しない。
高校の同級生が上司となって
私の前に現れただけの話。
.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚
Иatural+ 企画開発部部長
日下部 郁弥(30)
×
転職したてのエリアマネージャー
佐藤 琴葉(30)
.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚+.。.:✽・゚
偶然にもバーカウンターで泥酔寸前の
貴方を見つけて…
高校時代の面影がない私は…
弱っていそうな貴方を誘惑した。
:
:
♡o。+..:*
:
「本当は大好きだった……」
───そんな気持ちを隠したままに
欲に溺れ、お互いの隙間を埋める。
【誘惑の延長線上、君を囲う。】
フェチではなくて愛ゆえに
茜色
恋愛
凪島みなせ(ナギシマ・ミナセ) 26歳
春霞一馬(ハルガスミ・カズマ) 28歳
同じオフィスビルの7階と9階。違う会社で働く男女が、恥ずかしいハプニングが縁で恥ずかしい展開になり、あたふたドキドキする話。
☆全12話です。設定もストーリーも緩くて薄いです。オフィスラブと謳ってますが、仕事のシーンはほぼありません。
☆ムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
取引先のエリート社員は憧れの小説家だった
七転び八起き
恋愛
ある夜、傷心の主人公・神谷美鈴がバーで出会った男は、どこか憧れの小説家"翠川雅人"に面影が似ている人だった。
その男と一夜の関係を結んだが、彼は取引先のマネージャーの橘で、憧れの小説家の翠川雅人だと知り、美鈴も本格的に小説家になろうとする。
恋と創作で揺れ動く二人が行き着いた先にあるものは──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる