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第1章 皇女は旅立つ
一期一会って大切だよねぇ。
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「オロロロロロっうぇぷ」
絶賛嘔吐中で元・皇女なルーナエちゃん参上!
皇女様の命を付け狙う暗殺者共に殺された兵士を復活させて、最後に従者の存在を思い出したダメダメな私は見た。
あらぬ方向へ曲がった関節と腸が飛び出し、脳味噌までぶち撒けた従者の死体を目撃した私はスキル・精神耐性がMaxにもかかわらず吐いた。
胃から酸っぱい胃液がこみ上げ、しこたま吐く。
「うっぐ……兵士の死体はまだ我慢できたけど従者の損傷が激し過ぎ」
馬車の中に居た皇女様より、身体剥き出しの彼が悲惨なのは当然だ。
「ごめんよぉ。直ぐに復活させるから皇女様を責めないでね」
ただ一人、癇癪を起こして散々酷く当たり散した皇女に最後まで忠義を尽くしたのは彼だけ。
他の護衛は嫌だオーラ全開だったぞ!なんで俺がぁって顔に出したらダメでしょ!?
「それにしても、なぜに黒猫イケメン獣人君は酷く扱われても忠誠心が続いたのかねぇ?」
ロリショタ?M君だったり。ひどい言い草なのは承知してるけど、本当に辛く当たってたのよ。健気で献身的にご主人様である皇女に仕えていた姿は不気味だ。
「皇女様も恐怖抱いてたぞ?他の連中は呆れた顔や失望した態度だったのに、従者である君は仕えた頃から微塵も態度が揺らがない」
困惑して恐怖を抱くよ。失望しない理由が分からないと。
どうして、こんな私に失望しないの!?私はみんなが想像している立派な姫じゃない。悪い子だもの!だから、お父様やお母様は私を見てくれない。要らない皇女だから!!
「娘に随分と残酷な思いを抱かせたな」
前世の私と同じじゃん。多少は違うけどさー、なんか腹立つ。
「従者君を復活させて、王宮に彼が帰ったら妹の側仕え決定だよね?帝国は実力主義者の国だから優秀な従者を放置する訳がない」
実際、何度か妹の従者をするよう打診があった。その度に丁寧に断ってたけどな!
「皇女様を主に決めた理由があるのかね?私の記憶を見る限りないのだけど」
気になるから本人に直接聞いちゃえ!
『職業・女神に転職を確認。ステータスが変化します。職業に適したスキル及びに魔法をお使いください』
『魔法・神級を選択』
『復活魔法・女神の祝福を発動』
私の足元に、美しく光輝く魔法陣が現れる。光魔法の最高峰である神級を、対象である彼に放てば真っ白な薔薇の花びらが従者の身体を包み込み、淡く優しい光は天と大地へ降り注ぐ。
「………ん」
私には馴染みの派手なエフェクトが終わると従者である彼が小さく動いた!
あんなに身体が破損した状態で五体満足、復活するか心配だったけど治ってホッとしたー。仮想ゲームじゃ、あんなに破損しないからね。兵士達は酷くなかったし。
「問題なさそうだから、抱えて持ってくか」
んー、成人男性をお姫様抱っこで運ぶ幼女。
しかも高速で運ぶ絵面は軽くホラーじゃね?日本なら警察に通報されてるよ!!日本じゃないから良いけど。
その日、帝国から北の大地へ女神の光が降り注いだ光景は、北に住む民達の目と心に深く刻まれた。淡く優しい光は、まるで大切な人を包み込む美しい光だったとも民は言う。
女神様は誰を祝福したのだろか?光が降った天を見上げ、彼らは思い馳せる。
絶賛嘔吐中で元・皇女なルーナエちゃん参上!
皇女様の命を付け狙う暗殺者共に殺された兵士を復活させて、最後に従者の存在を思い出したダメダメな私は見た。
あらぬ方向へ曲がった関節と腸が飛び出し、脳味噌までぶち撒けた従者の死体を目撃した私はスキル・精神耐性がMaxにもかかわらず吐いた。
胃から酸っぱい胃液がこみ上げ、しこたま吐く。
「うっぐ……兵士の死体はまだ我慢できたけど従者の損傷が激し過ぎ」
馬車の中に居た皇女様より、身体剥き出しの彼が悲惨なのは当然だ。
「ごめんよぉ。直ぐに復活させるから皇女様を責めないでね」
ただ一人、癇癪を起こして散々酷く当たり散した皇女に最後まで忠義を尽くしたのは彼だけ。
他の護衛は嫌だオーラ全開だったぞ!なんで俺がぁって顔に出したらダメでしょ!?
「それにしても、なぜに黒猫イケメン獣人君は酷く扱われても忠誠心が続いたのかねぇ?」
ロリショタ?M君だったり。ひどい言い草なのは承知してるけど、本当に辛く当たってたのよ。健気で献身的にご主人様である皇女に仕えていた姿は不気味だ。
「皇女様も恐怖抱いてたぞ?他の連中は呆れた顔や失望した態度だったのに、従者である君は仕えた頃から微塵も態度が揺らがない」
困惑して恐怖を抱くよ。失望しない理由が分からないと。
どうして、こんな私に失望しないの!?私はみんなが想像している立派な姫じゃない。悪い子だもの!だから、お父様やお母様は私を見てくれない。要らない皇女だから!!
「娘に随分と残酷な思いを抱かせたな」
前世の私と同じじゃん。多少は違うけどさー、なんか腹立つ。
「従者君を復活させて、王宮に彼が帰ったら妹の側仕え決定だよね?帝国は実力主義者の国だから優秀な従者を放置する訳がない」
実際、何度か妹の従者をするよう打診があった。その度に丁寧に断ってたけどな!
「皇女様を主に決めた理由があるのかね?私の記憶を見る限りないのだけど」
気になるから本人に直接聞いちゃえ!
『職業・女神に転職を確認。ステータスが変化します。職業に適したスキル及びに魔法をお使いください』
『魔法・神級を選択』
『復活魔法・女神の祝福を発動』
私の足元に、美しく光輝く魔法陣が現れる。光魔法の最高峰である神級を、対象である彼に放てば真っ白な薔薇の花びらが従者の身体を包み込み、淡く優しい光は天と大地へ降り注ぐ。
「………ん」
私には馴染みの派手なエフェクトが終わると従者である彼が小さく動いた!
あんなに身体が破損した状態で五体満足、復活するか心配だったけど治ってホッとしたー。仮想ゲームじゃ、あんなに破損しないからね。兵士達は酷くなかったし。
「問題なさそうだから、抱えて持ってくか」
んー、成人男性をお姫様抱っこで運ぶ幼女。
しかも高速で運ぶ絵面は軽くホラーじゃね?日本なら警察に通報されてるよ!!日本じゃないから良いけど。
その日、帝国から北の大地へ女神の光が降り注いだ光景は、北に住む民達の目と心に深く刻まれた。淡く優しい光は、まるで大切な人を包み込む美しい光だったとも民は言う。
女神様は誰を祝福したのだろか?光が降った天を見上げ、彼らは思い馳せる。
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