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19話 諍い
しおりを挟む嫌がらせをスルーし続けてたら、ついに向こうが我慢の限界を超えたらしい。
「春若さん、ちょっと来てくれる?」
放課後、五、六人の綾瀬ファンが教室で私を囲む。
何事? って感じでクラスメイトはチラチラと興味深そうにこっちを見ている。
もしかして集団リンチ? いや、さすがにないか。
そう思いながら綾瀬ファンについて行く。ちょうどいい、私も言いたいことが溜まりに溜まってる。直接来てくれて逆にありがたい。
「綾瀬様に近付くの、やめてくれない?」
校舎の外の端、人気の少ない場所まで来ると、綾瀬ファンの一人が口を開いた。他のメンバーも腕を組んで睨みつけてくる。私も負けじと睨み返した。
「最初から直接そう言えば良かったじゃん。あんな遠回しなメッセージじゃわかりにくいって」
「あなたみたいな不良が綾瀬様の周りにいると、綾瀬様の品位に傷が付くの!」
「それさあ、綾瀬恭平が望んでるの? なんで関係ないアンタらが出しゃばってくるわけ?」
付き合う人を選ぶのは本人だ。部外者にいちいち口を挟まれる筋合いはない。
ただのファンが本人の知らないところで人間関係勝手に破壊しようとするなんて、もはやファンでも何でもない。
「あ、綾瀬様は優しい方で言いづらいから、代わりに私たちが言ってるのよ。あなたに離れて欲しいって」
「連弾誘って来たの、向こうだけど」
どうやら知らなかったらしい。綾瀬ファンの女は目を開いて、歯をぎりぎりと噛み締めている。
「ぐっ……、とにかく、あんたみたいなのがいたら綾瀬様が汚れるわ!」
「ねえ、その綾瀬恭平のためって建前やめなよ。自分たちが不快だからってのが本音じゃん?」
「ち、違うわよ! 私たちは綾瀬様のためを思って──」
「綾瀬恭平本人が別に望んでないことを、ファンであるアンタたちがするの? なんで? 何の権限があって? ファンなら綾瀬恭平が嫌がること、普通しなくない?」
こいつらは綾瀬恭平のファンなど名乗る資格はない。自分勝手に暴走して、平気で人に嫌がらせして、一体何様のつもりなんだ。この際だから全部言わせてもらう。
「綾瀬恭平の品位に傷が付くとか意味わかんないけど。結局自分たちが望む綾瀬恭平のイメージでいて欲しいから、私を排除したいだけじゃん」
図星を突かれたからか、誰も何も言わない。敵ながら情けなさすぎてため息が出る。
「認めなよ。綾瀬恭平のためじゃなくて、自分たちのためだってさあ」
「こ、こいつ──!」
もっと暴言を吐かれるのを覚悟していたら、突然頭上からバシャンと大量の水が降ってきた。
「あ、春若さーんごめんねー! 掃除してたら手が滑っちゃってー!」
見上げると、ハイエナ女子たちがバケツを手に持って笑っていた。
綾瀬ファンが私を吊るし上げみたいなことをしているのを見て、好機だと便乗したんだろう。
つかそんなとこ、うちのクラスの掃除場所じゃないだろ。本当に救いようがないな、あいつら。
「ぶはっ、嫌われすぎでしょ。だから相応しくないんだって、綾瀬様のそばにあんたみたいな害虫がいるの」
綾瀬ファンたちがクスクスと馬鹿にして笑う。
……どいつもこいつも、人として終わりすぎてる。濡れて邪魔になった髪をかきあげた。
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