俺が嫁になるなんて

ワンコ

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馴れ初め

仲直り

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 少し高めの居酒屋で個室に席をとる。
 特に話す話題もなく、気まずい空気が流れる。
 テキトウに枝豆や砂肝などの軽い肴を注文する。
「なんでいつも赤の他人みたいな態度するんだよ。」九条が沈黙を破る。
「…縁切るって言ったから。」
「お前が名前で呼ぶからだろ?!」
 お酒が進み、発言にも調子が乗ってくる。
「公共の場で名前で呼ばなければいいから、今までの関係に戻そう。」

 ~~~数時間後

「俺は男のお前のことなんか好きじゃない」九条は相当酔いが回っている。
「だから2人の時は響って呼んで」
「分かったから、もう帰ろう。電車無くなってまた歩く羽目になるよ。」
「やだ、まだ全然食べてない」
 九条は今までになく酔っていたが、少し大袈裟にしている部分もあった。
 そろそろ帰ろうとなった頃
「え?もう終電ないの?」
 東京と同じ感覚で過ごしていた。終電の時間を確認せずに大体で考えていた。
「じゃあもうさ泊まろうよ。酔いが回ったまま歩くの危ないし。」一ノ瀬がラブホを指差し誘ってくる。「分かったから、でも、普通のビジネスホテルね」一ノ瀬が不満そうな顔をして顔を背ける。
「…また今度ね」九条がそう呟くと、表情は変えないままだったが、ビジネスホテルへ行く足取りが速くなった。
 スーツ姿の男2人がビジネスホテルで泊まるなんてことはよくあることだ。フロントでチェックインをしている一ノ瀬を横目に九条は今日の夜、イケナイ行為に及ばないためのシュミレーションをしていた。一ノ瀬がこちらに向かってくる。シャキッとした姿勢には本当に魅力的だと思う。
「響、部屋なかった。」
 落ち着いたトーンの声は安心感を与えてくれる……え?
「部屋ない?どうすんのマジで」
「これは仕方がないことだから」




 2人はタッチパネル式のチェックインを済ます。
「陽向、ヤらないからな友達だから」
「分かってるよ」


 九条は部屋にある様々なオブジェクトから目を背けて大きいシングルベッドに倒れ込む。
「眠い、風呂入りたくない。」
「せめて着替えろよ」そう言って一ノ瀬は九条の服を脱がそうとする。
「待てよ、分かったから着替えるから」そういう雰囲気になるのが怖くて断るが、余計意識してしまう。
「先風呂入ってくるね」
 一ノ瀬が風呂に入っている間、ボーッと部屋にある設備を眺める。いろんな性癖を持った人がいるものだ。吊り革、謎の拘束具や巨大な鏡から種類豊富なコンドームまであった。今夜はゆっくり寝るだけ。仲直りしてこれからもいい友達としてやっていくつもりだ。NTRで人間不信になっている中で唯一信じられる人間だ。彼女から度々健康を気遣ったり、世間話をしようとするLlNEが来て、余計に気分が悪くなる。ブロックしない理由はどこまでその白々しさが演出されるのかがもはや気になっているからである。派手な蛍光色(主にピンク)の壁紙は目を疲れされる。九条はベッドの上で静かに目を閉じた。疲れとアルコールで眠気に耐えられずそのまま意識を失ってしまった。



 呼吸が苦しくなって目を覚ます。一ノ瀬は九条の体の上に覆い被さり、うつむいたまま、息を荒げていた。ハァハァと息を漏らしながら口づけをされる。舌をねじ込まれて頬の内側から表情が緩んでしまう。舌と舌が絡まり合ったと思えば唇で挟んで引っ張ってくる。顔が離れて目が合う。懇願するような潤う瞳に怒りは湧かなかった。
「やめて、まだ風呂入ってないし」
「いや、汗の匂い好きだからそのままで」
 一ノ瀬の吐息が首にかかる。くすぐったくて、心臓は早鐘を打つ。
 スゥーーハァ///     一ノ瀬の興奮が伝わる。
 ーーー突然九条の体がビクンッと痙攣する。
 九条の首筋を一ノ瀬の舌が撫で上げる。生暖かい吐息のせいで汗が出てくる。さっきエアコンはつけたはずなのに何故か動いていない。一ノ瀬が消したのだろう。汗フェチというものを聞いたことがある。一ノ瀬は首筋に流れる水滴を1つ残らず摂取した。
「今日はやめようって言ったじゃん」
「響はシたくならないの?今更遅いよ」
「本当にダメだからやめ…???」
 一ノ瀬を押し戻そうとしたが両手の自由が効かない。さっき眺めていた拘束具が両手につけられてベッドに固定されていた。身動きが取れないまま一ノ瀬に好き放題される。首、脇、乳首などなす術なく舐められ続ける。恥ずかしくても顔が隠せず、だらしない顔を見せてしまう。
「その顔、僕以外に見せないでよね」
 そう言って一ノ瀬は九条の両方のももをあげ、お尻を一ノ瀬に向ける形になった。
「え?生?陽向ストップ!これ以上はだめ」
 言葉での抵抗も虚しく、お腹の中が硬く熱いもので圧迫される。優しいテンポでお腹が突き上げられ、乳首はイジられたり吸われたりしている。
「ん…響のおっぱいおいしい」

 耳元で「好き好き」と囁かれる。九条は下からも正面からも責められて、声にまでも興奮していた。突き上げるスピードが速くなるにつれて九条の体も痙攣を始めた。「んふ、んぅあ」と漏れ出る喘ぎ声は自分自身をも興奮させる。足の指は大きく開き、目からは涙が溢れていた。
「響、出すね」
「イッ、や、やめてぇお願いやだぁ」
言葉では抵抗していたが、脚は一ノ瀬をガッチリとホールドしていた。痙攣中もその脚を緩めることはなかった。

「響のここ、、辛そう。楽にしてあげるから」
もう言葉を返すことも出来ない。一ノ瀬が手で上下に動かす。すすり泣く声を漏らし、呼吸がうまく出来なかった。
「いっぱいだしたな♡」一ノ瀬が優しく笑う。
最悪だ、と思う。一ノ瀬の手を汚してしまった罪悪感を感じる。

九条の体の痙攣はしばらく止まらず。永遠とすすり泣く。九条は疲れて、赤子が眠るように静かに意識を失っていった。





この夜、彼らの関係はより特別なものとなった。人生の底を感じていた2人はお互いの存在に助けられた。友達(兼恋人?)としてこれからも彼らの日常は続いていく。













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