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3.お姉様と木都フェリル
68.お姉様と激闘
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ドラゴンが炎を吐き、轟音とともに周囲が火の海になる。
「のわーっ、熱い熱い熱い!」
服に燃え移りそうになった火をパタパタと払う。地味だが王宮から持ってきた服は一応それなりに火耐性はあったようで、なんとか火傷はせずにすんだ。
くそっ、こちとら魔法なんか使えねえんだよっ!
ドラゴンに攻撃するにはある程度近づかなくてはいけない。しかし火を吐かれたら厄介だ。
「おいドラゴン、話を聞いてくれよ、俺たちは別に」
そうこうしている内に、ドラゴンによる鋭い爪攻撃が襲う。
「うわっ!」
動きはあまり速くなく、余裕で避けられた。が、背後の壁にくっきりと刻まれた爪の跡から察するに、当たれば大ダメージは免れまい。
「ふむ、どうやら増えすぎた闇の魔力によって完全に正気をうしなっているようじゃな」
鏡の悪魔が冷静に分析する。確かに、前に会った時に比べ、目は濁り、理性が完全に吹き飛んでいるように見える。これは厄介だ。
「仕方ない、本気でいくか」
斧を振り上げて構える。
人間相手なら手加減しなくてはいけないが、ドラゴン相手なら……
ドラゴンの動きが止まる。大きく息を吸い込むモーション。やるなら今だ!
全速力で走り、ドラゴンとの間合いをつる。
だがあと少しの所で、ドラゴンは巨大な炎を吐き出した。
「うおっ! あぶねー!」
思い切り地面を蹴って跳躍。うまい具合にドラゴンの頭上に飛んだ。
この体に生まれ変わって十六年。自分の身体機能の高さに大分慣れてはきたものの、それでもたまに思いもよらぬパワーが出てビックリすることがある。
この時も、思いがけず高く跳躍してしまい戸惑った。この後どうする?
見ると眼下のドラゴンは俺が消えたとでも思ったのか不思議そうにキョロキョロと辺りを見回している。これはチャンス。
「こっちだぜ!!」
壁に足をつき一回転。俺はそのまま一直線にドラゴンの頭上へと斧を振り下ろした。
並の人間なら頭蓋骨が粉々になるところだが、ドラゴンは脳震盪を起こしふらついているものの、まだ体力には余裕がありそうだ。
ドラゴンはふん、と鼻を鳴らすと、巨大な尻尾を振り回した。
「なあ、鏡の悪魔、あのドラゴンを何とかする方法はねーのかよ」
「ふむ、妾とてこのまま契約者が生き埋めになるのは好ましくない」
鏡の悪魔はモアに何やら紙切れをモアに手渡した。
「この魔法を唱えればいいの?」
「ああ、この場で魔力のコントロールのできないそなたが攻撃魔法を唱えるのは危険じゃ。じゃがこの魔法なら……」
鏡の悪魔がモアに授けたのは、どうやら補助魔法のたぐいらしい。
俺はモアが魔法を発動させるまでの時間稼ぎに、精一杯ドラゴンに向かって振り下ろす。
「たあああ!!」
しかし、俺の攻撃も反対側から攻撃したゼットの斬撃も通っている気配がない。
背後で声が聞こえた。
「ちょっと待って鏡ちゃん、この魔法、最後の部分が欠けてるんだけど」
「ああ。その部分はそなたが魔法をかけたい相手に言いたい言葉を入れるのじゃ。それによって、魔法をかけられた相手はパワーアップする。思いが強ければ強いほどな」
モアが呪文を唱え始めた気配がした。随分と長い呪文のようだ。
最近の簡略化された魔法と違い、古い魔法は呪文が長いと聞く。
モアを信じてドラゴンに向かって飛ぶ。
「海よ、大地よ、空の精霊よ! 力を与えたまえ……えっとえっと……」
モアが紙に書かれた呪文を唱え終わった。が、何も起こらない。まだ足りないのだ。最後の欠けている部分が。そこはモアが自分で呪文を作らなくてはいけないのだ。自分の言葉で。自分の気持ちで。
「のわーっ、熱い熱い熱い!」
服に燃え移りそうになった火をパタパタと払う。地味だが王宮から持ってきた服は一応それなりに火耐性はあったようで、なんとか火傷はせずにすんだ。
くそっ、こちとら魔法なんか使えねえんだよっ!
ドラゴンに攻撃するにはある程度近づかなくてはいけない。しかし火を吐かれたら厄介だ。
「おいドラゴン、話を聞いてくれよ、俺たちは別に」
そうこうしている内に、ドラゴンによる鋭い爪攻撃が襲う。
「うわっ!」
動きはあまり速くなく、余裕で避けられた。が、背後の壁にくっきりと刻まれた爪の跡から察するに、当たれば大ダメージは免れまい。
「ふむ、どうやら増えすぎた闇の魔力によって完全に正気をうしなっているようじゃな」
鏡の悪魔が冷静に分析する。確かに、前に会った時に比べ、目は濁り、理性が完全に吹き飛んでいるように見える。これは厄介だ。
「仕方ない、本気でいくか」
斧を振り上げて構える。
人間相手なら手加減しなくてはいけないが、ドラゴン相手なら……
ドラゴンの動きが止まる。大きく息を吸い込むモーション。やるなら今だ!
全速力で走り、ドラゴンとの間合いをつる。
だがあと少しの所で、ドラゴンは巨大な炎を吐き出した。
「うおっ! あぶねー!」
思い切り地面を蹴って跳躍。うまい具合にドラゴンの頭上に飛んだ。
この体に生まれ変わって十六年。自分の身体機能の高さに大分慣れてはきたものの、それでもたまに思いもよらぬパワーが出てビックリすることがある。
この時も、思いがけず高く跳躍してしまい戸惑った。この後どうする?
見ると眼下のドラゴンは俺が消えたとでも思ったのか不思議そうにキョロキョロと辺りを見回している。これはチャンス。
「こっちだぜ!!」
壁に足をつき一回転。俺はそのまま一直線にドラゴンの頭上へと斧を振り下ろした。
並の人間なら頭蓋骨が粉々になるところだが、ドラゴンは脳震盪を起こしふらついているものの、まだ体力には余裕がありそうだ。
ドラゴンはふん、と鼻を鳴らすと、巨大な尻尾を振り回した。
「なあ、鏡の悪魔、あのドラゴンを何とかする方法はねーのかよ」
「ふむ、妾とてこのまま契約者が生き埋めになるのは好ましくない」
鏡の悪魔はモアに何やら紙切れをモアに手渡した。
「この魔法を唱えればいいの?」
「ああ、この場で魔力のコントロールのできないそなたが攻撃魔法を唱えるのは危険じゃ。じゃがこの魔法なら……」
鏡の悪魔がモアに授けたのは、どうやら補助魔法のたぐいらしい。
俺はモアが魔法を発動させるまでの時間稼ぎに、精一杯ドラゴンに向かって振り下ろす。
「たあああ!!」
しかし、俺の攻撃も反対側から攻撃したゼットの斬撃も通っている気配がない。
背後で声が聞こえた。
「ちょっと待って鏡ちゃん、この魔法、最後の部分が欠けてるんだけど」
「ああ。その部分はそなたが魔法をかけたい相手に言いたい言葉を入れるのじゃ。それによって、魔法をかけられた相手はパワーアップする。思いが強ければ強いほどな」
モアが呪文を唱え始めた気配がした。随分と長い呪文のようだ。
最近の簡略化された魔法と違い、古い魔法は呪文が長いと聞く。
モアを信じてドラゴンに向かって飛ぶ。
「海よ、大地よ、空の精霊よ! 力を与えたまえ……えっとえっと……」
モアが紙に書かれた呪文を唱え終わった。が、何も起こらない。まだ足りないのだ。最後の欠けている部分が。そこはモアが自分で呪文を作らなくてはいけないのだ。自分の言葉で。自分の気持ちで。
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