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第二章 御曹司くんの呼び出し
6.先輩の提案
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ガラリ。
蒼木先輩が生徒会室のドアを開ける。
「それじゃ、ここで話すか」
「し、失礼します……」
私はわけも分からないまま生徒会室に入った。
「とりあえずそこ座って」
蒼木先輩は生徒会室のソファーを指さす。
私がおずおずとソファーに座ると、先輩は私の真向かいに腰かけた。
二人の間に微妙な沈黙が流れる。
私はすっかり縮こまりながら蒼木先輩の言葉を待った。
「さっきも言ったけれど、とりあえずこの間のお礼を言いたい。ありがとう」
蒼木先輩は表情を崩さずに淡々とした口調で言う。
「いえ……」
私はどんなことを言われるのかとどきどきして先輩の顔を見た。
「それで……仁科朱里、あんたには俺のそばにいてほしい」
「……はあ」
私は首をかしげた。
それってどういうこと?
「もちろん俺のそばにいてくれるのなら、俺はあんたへの助力は惜しまない。実家のお店の経営が苦しいことも把握している。そういう部分でも蒼木グループとして援助してあげられるし、学費やもろもろの費用も――」
と、そこまで蒼木先輩が話したところで、またしても涼間先輩がパンパンと手を叩きながら部屋に入ってきた。
「ハイハイハイ、ダメだよ、そんなに難しい言葉遣いじゃ。もっとストレートに言わないと」
「涼間、お前また立ち聞きしてたのか」
眉間にしわを寄せる蒼木先輩。
「だって、凪季ひとりじゃ心配でさ。凪季の話っていちいち難しすぎるしさ。ほら見て、朱里ちゃん、すっかり混乱しちゃってるじゃん?」
涼間先輩は優しく微笑むと、蒼木先輩の隣に腰かけた。
「もっとシンプルに話しなよ。『俺の彼女になってくれ』ってさ」
か、彼女!?
私がポカンと口を開けていると、蒼木先輩は少し頬を赤く染めて横を向いた。
「……まあ、端的に言えばそうだ。俺の彼女として側にいてほしい。俺もまたいつ狙われるか分からないから側にいてもらえると心強いし、俺もあんたのことを色々と助けてあげられるし、色々とメリットもあると思う」
えーっと、よく分からない。
話を整理しなきゃ。
えっとえっと……。
私は校舎に書かれていていた落書きを思い出した。
『蒼木凪季を呪い殺す』
落書きにはそう書かれていた。
それから昨日見た謎の黒い手のことも思い出す。
ひょっとしたら、蒼木先輩は誰かに狙われているのかもしれない。
つまり、私が蒼木先輩の彼女として側にいて蒼木先輩を呪いから守る。
その代わりに、蒼木先輩は私の家のお店を助けてくれるってことでいいのかな。
……要するに、蒼木先輩のボディーガードってこと?
だよね。蒼木先輩みたいな完璧超人が、ごく普通の地味な私を彼女にしたいだなんて本気で思うわけないし。
彼女ってことにすればずっと側にいてもおかしくないし、誰かに狙われてる蒼木先輩のことを守ることもできる。
うーん……。
私は腕を組んで考えた。
確かにお店は苦しいし、助けてもらえれば助かるけど……。
でも偽物とはいえ蒼木先輩の彼女になるだなんて、注目を浴びちゃう。
いつも通り普通ではいられなくなる。
そうなるのは困るっ……。
でも、下手に断って私の能力のことをバラされても困るし……。
「か、考えさせてください」
私は小さな声で絞り出すようにして答えた。
いったいどうしたらいいの?
先輩の彼女になれば注目されちゃうし、かといって断るのも後が怖い。
私が困っているのを見て、蒼木先輩が私の肩に手を置く。
「分かった。返事はすぐじゃなくていい。いつでもいいから」
優しい口調に少しホッとする。
「はい」
蒼木先輩、顔の表情が変わらないから怖く見えるけど、本当はそうでもないのかな?
私がじっと蒼木先輩の顔を見ていると、先輩はぷいと視線をそらした。
「話はこれで終わりだ」
「そ、そうですか」
「じゃあ、教室まで送っていく」
そう言って、蒼木先輩は無理やり私の横を陣取った。
「えっ、でも三年生は別棟じゃ……」
私が言うと、蒼木先輩は低い声で答えた。
「良いんだよ。俺が送っていきたいんだから」
「はあ」
私が首をかしげていると、涼間先輩も蒼木先輩とは反対側の隣に立った。
「じゃあ僕も一緒に行こうかな」
「何でお前も?」
蒼木先輩が少し渋い顔をする。
涼間先輩はひょうひょうとした笑顔でそれをかわした。
「いいじゃん、僕一人で教室に帰るのは寂しいし、二人のほうが安心でしょ」
蒼木先輩はフンと鼻をならした。
「……勝手にしろ」
結局、私は蒼木先輩と涼間先輩の二人に挟まれ、三人で教室に戻ることになってしまった。
「見て、蒼木先輩と涼間先輩よ」
「二人ともイケメン!」
「あの一緒にいる女の子は誰?」
「いいなー、羨ましい」
ざわざわと女子生徒たちのウワサ話が聞こえてくる。
私はこれ以上ないくらい縮こまりながら廊下を歩いたのでした。
うう……やっぱり誘いは断ろう。
こんなの、目立ちすぎちゃうよー!
蒼木先輩が生徒会室のドアを開ける。
「それじゃ、ここで話すか」
「し、失礼します……」
私はわけも分からないまま生徒会室に入った。
「とりあえずそこ座って」
蒼木先輩は生徒会室のソファーを指さす。
私がおずおずとソファーに座ると、先輩は私の真向かいに腰かけた。
二人の間に微妙な沈黙が流れる。
私はすっかり縮こまりながら蒼木先輩の言葉を待った。
「さっきも言ったけれど、とりあえずこの間のお礼を言いたい。ありがとう」
蒼木先輩は表情を崩さずに淡々とした口調で言う。
「いえ……」
私はどんなことを言われるのかとどきどきして先輩の顔を見た。
「それで……仁科朱里、あんたには俺のそばにいてほしい」
「……はあ」
私は首をかしげた。
それってどういうこと?
「もちろん俺のそばにいてくれるのなら、俺はあんたへの助力は惜しまない。実家のお店の経営が苦しいことも把握している。そういう部分でも蒼木グループとして援助してあげられるし、学費やもろもろの費用も――」
と、そこまで蒼木先輩が話したところで、またしても涼間先輩がパンパンと手を叩きながら部屋に入ってきた。
「ハイハイハイ、ダメだよ、そんなに難しい言葉遣いじゃ。もっとストレートに言わないと」
「涼間、お前また立ち聞きしてたのか」
眉間にしわを寄せる蒼木先輩。
「だって、凪季ひとりじゃ心配でさ。凪季の話っていちいち難しすぎるしさ。ほら見て、朱里ちゃん、すっかり混乱しちゃってるじゃん?」
涼間先輩は優しく微笑むと、蒼木先輩の隣に腰かけた。
「もっとシンプルに話しなよ。『俺の彼女になってくれ』ってさ」
か、彼女!?
私がポカンと口を開けていると、蒼木先輩は少し頬を赤く染めて横を向いた。
「……まあ、端的に言えばそうだ。俺の彼女として側にいてほしい。俺もまたいつ狙われるか分からないから側にいてもらえると心強いし、俺もあんたのことを色々と助けてあげられるし、色々とメリットもあると思う」
えーっと、よく分からない。
話を整理しなきゃ。
えっとえっと……。
私は校舎に書かれていていた落書きを思い出した。
『蒼木凪季を呪い殺す』
落書きにはそう書かれていた。
それから昨日見た謎の黒い手のことも思い出す。
ひょっとしたら、蒼木先輩は誰かに狙われているのかもしれない。
つまり、私が蒼木先輩の彼女として側にいて蒼木先輩を呪いから守る。
その代わりに、蒼木先輩は私の家のお店を助けてくれるってことでいいのかな。
……要するに、蒼木先輩のボディーガードってこと?
だよね。蒼木先輩みたいな完璧超人が、ごく普通の地味な私を彼女にしたいだなんて本気で思うわけないし。
彼女ってことにすればずっと側にいてもおかしくないし、誰かに狙われてる蒼木先輩のことを守ることもできる。
うーん……。
私は腕を組んで考えた。
確かにお店は苦しいし、助けてもらえれば助かるけど……。
でも偽物とはいえ蒼木先輩の彼女になるだなんて、注目を浴びちゃう。
いつも通り普通ではいられなくなる。
そうなるのは困るっ……。
でも、下手に断って私の能力のことをバラされても困るし……。
「か、考えさせてください」
私は小さな声で絞り出すようにして答えた。
いったいどうしたらいいの?
先輩の彼女になれば注目されちゃうし、かといって断るのも後が怖い。
私が困っているのを見て、蒼木先輩が私の肩に手を置く。
「分かった。返事はすぐじゃなくていい。いつでもいいから」
優しい口調に少しホッとする。
「はい」
蒼木先輩、顔の表情が変わらないから怖く見えるけど、本当はそうでもないのかな?
私がじっと蒼木先輩の顔を見ていると、先輩はぷいと視線をそらした。
「話はこれで終わりだ」
「そ、そうですか」
「じゃあ、教室まで送っていく」
そう言って、蒼木先輩は無理やり私の横を陣取った。
「えっ、でも三年生は別棟じゃ……」
私が言うと、蒼木先輩は低い声で答えた。
「良いんだよ。俺が送っていきたいんだから」
「はあ」
私が首をかしげていると、涼間先輩も蒼木先輩とは反対側の隣に立った。
「じゃあ僕も一緒に行こうかな」
「何でお前も?」
蒼木先輩が少し渋い顔をする。
涼間先輩はひょうひょうとした笑顔でそれをかわした。
「いいじゃん、僕一人で教室に帰るのは寂しいし、二人のほうが安心でしょ」
蒼木先輩はフンと鼻をならした。
「……勝手にしろ」
結局、私は蒼木先輩と涼間先輩の二人に挟まれ、三人で教室に戻ることになってしまった。
「見て、蒼木先輩と涼間先輩よ」
「二人ともイケメン!」
「あの一緒にいる女の子は誰?」
「いいなー、羨ましい」
ざわざわと女子生徒たちのウワサ話が聞こえてくる。
私はこれ以上ないくらい縮こまりながら廊下を歩いたのでした。
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