【連載中】マーガレットの花言葉

華凛

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レンとヒナタ、その後の話。

#7 気づいてた【ヒナタSide】

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寝台の隣にある小さな机に押し花の入ったしおりを静かに置く。
椅子の上で背筋を伸ばし、目を閉じる。



本当は、ずっと前から気づいてた。

──何に?

本当に弱いのは俺だってこと。
謝ろうと思っても、謝れなくて。
こいつは克服しようと努力してるのに。
それに甘えてこのいい加減な立場に居座っている。



本当は、ずっと前から気づいていた。

──何に?

俺は変わらなければいけないってこと。
弱い俺から、変わらなければいけない。
変わりたくない。変わりたい。
矛盾した想いがぶつかり合って。



本当は、ずっと前から気づいていた。

──何に?

こいつに────レンに、恋をしていること。
トラウマが払拭できてないくせに俺に近づいて。
弱気だけど正直で、ひたむきで努力家で。
俺と比べものにならないくらい眩しくて。
そんなレンに、恋をしていたんだ。



瞑っていた目を開ける。

「なぁ、レン………………」

彼は深い眠りについていて、起きる気配はない。
おもむろに席から立ち上がる。

寝ている彼の頬に、唇を落とす。

保健室内にある花瓶に目を向ける。
色とりどりの花が挿されているが、全て造花だ。

そこからチューリップを一輪抜き取り、レンの隣に添える。
マーガレットの入ったしおりと並ぶ。

「……これ・・には到底敵いそうにないけど」

ため息を吐き、レンを瞳に映す。

(あんな事した俺が、どの面下げて告白すんだよ)

彼に好意を抱く資格は自分にはないのだ。


「気づいてほしい、だなんて……我儘か?」






チューリップの黄色い花弁が、静かに揺れた。
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