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3 死闘 1
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Cパンゴリンはハチマの街を離れた。格納庫で自機が整備されるのを横目に、ジン達はああだこうだと相談していた。
「マジでそのゴブリンを部下にするんですか!?」
「ああ。名前はゴブオというらしい」
目を丸くする整備班にゴブリンを紹介するジン。
「ウェヘヘヘ、あんじょう頼むッス」
ゴブリン――ゴブオはニヤニヤ笑いながらへこへこ頭を下げた。
整備班達は誰一人として警戒を解かない。もちろんそれが当然なのである。
しかしジン達三人は相談を始めた。
「ゴブオにはこれから何をさせるの?」
ナイナイに訊かれ、少し考えるジン。
「ゴブオのステータスを知りたい。だが【スカウト】で調べるためには、ケイオス・ウォリアーに乗らないといけないのか?」
そこへヴァルキュリナが姿を現した。一枚の鏡を手にして。
「話を聞いて見に来たが……本当にそんな魔物を連れてきたのか」
呆れてそう言いながらも、手にもつ鏡をジンに渡す。
「ケイオス・ウォリアーに乗らなくても、この鏡でステータスが確認できる」
そういうアイテムらしい。だがジンは首を傾げる。
「ありがとさんよ。しかしなんで鏡なんだ?」
「古来から情報を映し出す魔法は鏡か水晶玉を使う事が多くてな。その延長にある魔法だからだ」
ヴァルキュリナの説明を聞き、ジンはなんとなく納得した。
この世界の常識や習慣にはいまいち慣れない物もあるが、だいたい理由らしき物はあるようだ。
ともかくジンはその鏡をゴブオに向けてかざす。
すぐに鏡はゴブオのステータスを映し出した。
魔王軍兵 レベル6
格闘140 射撃140 技量168 防御117 回避82 命中87 SP52
「なんだ、意外と使えそうだな。確か俺らはレベル4……いや、もう少しは上がってるか」
そう言うジンの頭上へリリマナが飛んで来る。
「さっそく確かめようよォ!」
言われてジンは自分のステータスを映した。
ジン レベル7
格闘159 射撃154 技量185 防御134 回避86 命中94 SP74
ケイオス3 底力7 援護攻撃1 援護防御1
スピリットコマンド 【スカウト】【ウィークン】
「おお! ケイオスレベルが上がってるじゃねぇか。スピリットコマンドも増えたか! よしよし、効果は……」
【ウィークン】敵1体の気力を10低下させる。
「これかよ……!」
これもジンが転移前に遊んでいたゲームにほぼ同じ効果のあったコマンドである。
「でも、操縦者の気力はケイオス・ウォリアーの状態に大きな影響があるよ? 攻撃力も防御力も気力によって増減するし、強い武器や一部のスキルは気力が上がらないと使えないもン」
リリマナの言う通り、この世界のロボットはそういう物であり、だからこそ気力がステータス画面にも表示されて確認できるようになっている。
そう考えると非常に有益な技ではあるのだが……ジンが遊んでいたゲームでは、基本、これを習得する者はギャグメーカーやコメディリリーフだった。
(やっぱり俺は主役になるべく呼ばれたわけじゃねぇのな……)
ちょっと納得できないジンは、ダインスケンも映してみる。
ダインスケン レベル7
格闘161 射撃150 技量180 防御130 回避99 命中94 SP74
ケイオス3 底力6 援護攻撃1 援護防御1
スピリットコマンド 【ヒット】【フレア】
【フレア】一度だけ敵の攻撃を確実に回避する。
「相変わらずお前が一番強いな……」
ちょっと僻んで横目でダインスケンを睨むジン。
「ゲッゲー」
ダインスケンはそう鳴くだけだ。
(しかし、なぁ……こいつ、高運動性機に乗って回避主体で戦ってるのに、コマンドはスーパーっぽいというか……)
ジンの遊んでいたゲームだと、1ターンの間命中回避を上げるようなコマンドがあったのだが……この世界には無いのだろうか?
当然、ナイナイの確認もする。
ナイナイ レベル8
格闘152 射撃161 技量182 防御127 回避96 命中101 SP76
ケイオス3 底力5 援護攻撃1 援護防御1
スピリットコマンド 【フォーチュン】【トラスト】
「あれ? ボクはレベル8?」
鏡を覗き込んだナイナイが首を傾げた。
「MAP兵器で一番敵を倒しているからだろ。お前もなんか習得してるな」
ジンは新しいコマンドにカーソルを合わせる。
【トラスト】味方1体のHPを2000回復。
「やった! これでみんながもっと安全になるよ」
嬉しそうに微笑むナイナイ。だがジンは強い口調で言う。
「ダメだ。回復は修理装置でやれ。SPは全部【フォーチュン】に回して獲得資金を増やせ」
「ええ……」
目を丸くするナイナイ。
だがジンの知識では、とにかく資金を稼いで機体の強化改造を施すべきなのだ。
「私もレベルは上がってるし、新しいコマンドも覚えたよォ!」
「ああ、そっちに回復系があれば助かるな」
リリマナが主張するので、ジンはそれも映してみる。
リリマナ レベル7
SP51
スピリットコマンド 【サーチ】【ガッツ】【ウィークン】
「この新技! 俺と被ってるじゃねぇか!」
「そんな事言われても仕方ないもン!」
歯軋りするジンに不貞腐れるリリマナ。
頭を掻きながらジンはヴァルキュリナも映した。
ヴァルキュリナ レベル7
格闘156 射撃147 技量177 防御131 回避83 命中91 SP74
ケイオス2 指揮官2 援護防御2
スピリットコマンド 【プロテクション】
※指揮官2LV:周囲の味方の命中率・回避率を上昇させる。
【プロテクション】短時間の間、被ダメージを75%軽減する。
「ほほう、神官戦士様は防御系か。流石にそれらしいな……ん?」
ジンはケイオスレベルに目を留めた。
「ここが2レベル以上になる者は、この世界にはほとんどいないんじゃなかったのか?」
「全くというわけではないのでな」
ヴァルキュリナはそう言うだけだ。ジンは少し違和感を覚えた……が、何か根拠があるわけでもない。とりあえず黙っておく事にした。
「ところで機体の強化改造ですけど。どこいじるんですか?」
話が一段落したのを見計らい、整備員が訊いてきた。
そもそもジン達がここにいるのは、これまでの戦いで貯まった資材で機体を強化してもらうためである。
「ステータスを何か上げるんだよね?」
ナイナイが確認し、ジンはそれに頷く。問題はどの機体のどのステータスを強化するか、なのだが……ジンは自分が遊んでいたゲームを思い出す。
(メインに使う機体に集中。防御力か回避力のどちらかを選び、重点的に強化。武器もそれと同じぐらい強化。中盤に強い機体が手に入るまではそれがセオリーだったと思うが……)
だがしかし。いざ自分が戦う立場になると、どうにもそれは実行し難い。
(ゲームみたいに一人が何キャラも持ってるわけじゃねぇ。体一つが今の自分の全てだからよ。脇役扱いで無改造ポンコツ機に乗ってろ、それで死んでも運命だ――なんて話、俺ならお断りだ。それを他の二人に押し付けるのもスジが通らねぇ)
ジンはナイナイとダインスケンを横目で見る。そして格納庫のハンガーに立っている、自分達の平凡な量産機を。
(それに……どう考えても単騎無双できる器はここには無ぇ)
ジンは二人へ声をかける。
「単純にいこう。均等に頭割りして、三機とも強化してもらう。武器と機体性能、両方いじってもらうか」
結局、結論はそれだった。ゲームなら微妙な方針であっても、この場で危険に相対するのは自分達なのだ。
しかしナイナイが異を唱える。
「ねぇねぇ、この艦も強化した方が良くない?」
「お、そりゃそうだ。雇い主様を疎かにしちゃいけねぇよ。じゃあ母艦も含めて資金は四分割な」
ジン達の話に、ヴァルキュリナは少し驚いたようだ。
「ありがたい事だが……そちらから言い出すとはな」
「こちとらまだまだこの世界の青二才だ。あんたを頼るしかないんだぜ、先輩」
軽口を叩くジン。
ヴァルキュリナは「ふん……」と呟き、つっと視線を横に逸らした。
(おやま。ちょいと照れましたかね……)
少しばかり可笑しく感じるジン。だがまぁそれを口にしない程度の分別はあった。
「おう、そういやゴブオもケイオス・ウォリアーに乗れたよな。資材から適当にかき集めて1機組み上げられねぇか? 手は多いに越した事はねぇ」
ジンは整備員に訊くが、ヴァルキュリナは露骨に顔をしかめる。
「このゴブリンに機体を与えるのか? 流石にそれは却下したい」
「機体一機分、資金が減りますしね。その使い道がゴブリンというのは……」
整備員も難色を示す。やはりこの世界の住人に歓迎される意見では無かった。
「そうですよ。オレもアニキの足手まといになりたくないです。オレは荷物持ちとモップがけに全力を尽くすため、この艦でアニキの帰りを待つッス」
ゴブオ本人にさえ同意されなかった。
まぁコイツはまた違う考えがあっての事なのだが……。
「仕方ねぇか。いや、俺も戦場で自由にさせろと言いたかったわけじゃなくてな。直衛……とでも言うのか? いつでも出撃できるようスタンバイして、指示があった時だけ飛び出して交戦して艦を守り、すぐに帰投してまた備える。そんな奴がいれば役に立つか……と思ったからよ」
ジンが肩を竦めながらそう言うと、ヴァルキュリナは顎に手をあてて考えた。
「ふむ。召喚攻撃か」
「え!? その単語まであるのか!」
それはジンの遊んでいたゲームにもあった呼び方で、データ上は存在しない機体が攻撃の映像としては使われるという一種の演出だった。
それがこの世界にあるとは?
だがヴァルキュリナは当然のように言う。
「おかしいか? 古来から召喚魔法はあったし、短時間しか持続しない戦闘専門の物もその中にあった。それになぞらえて、攻撃の時だけ出撃する機体との連携を召喚攻撃と呼ぶが……無論、正式な呼び方ではないがな」
技術が魔法によって興った世界ゆえに同じような単語が生まれたのだった。
「しかしそれならなんとかなる。砲座マイマイが一匹あった筈だ。あれを使わせて移動砲台にしよう。それで死角をカバーできる。危険度は高いが、ゴブリンにやらせるなら……」
ヴァルキュリナが言うと、整備員が『鏡』に砲座マイマイを映す。
巨大なカタツムリだが、貝の部分が改造されており、座席と風防、二門の大砲が備え付けられている。どう使う物かは見ればわかった。
「なるほど。決まりだな」
頷くジンの後ろで、ゴブオの緑の顔から血の気が引いた――わかり難さゆえ人間は誰も気づかなかったが。
ただダインスケンだけが「ゲッゲー」と鳴いた。
そして――翌日。
「あんまり気にするな。しても仕方ねぇ」
ジンがそう言っても、ナイナイは軍服の襟を引っ張り、自分の胸を確かめていた。
また体が女になっているのだ。昨日、戦闘が終わって帰艦した時には何時の間にか男になっていたのだが。
「寝たら女の子になっちゃうのかなぁ? 困るよ……」
沈んだ顔で溜息をつくナイナイ。
ジンは困って頭を掻く。
「困るのは仕方ないが、今から特訓だ。そっちに集中してくれ」
三人とリリマナがいるのは艦の一室。ケイオス・ウォリアーの操縦席と同じ物が数個設置され、その下には魔法陣。座席に前にはモニターが吊るされている。
ここは操縦訓練室で、座席はシミュレーターだ。機体のデータを送信する事で、様々な戦闘を疑似的に行う事ができるのだ。
その一つに座りながらジンは言った。
「ナイナイが余分に稼いでくれたとはいえ、今の資金じゃ気持ち程度のパワーアップにしかならねぇ」
リリマナに頼んでデータを入れてもらう。モニターに表示される機体データはBカノンピルパグのもの、映される敵機は先日戦った魔王軍の量産機達だ。
「だから俺らの腕前でなんとかするしかねぇ。雑兵ぐらいなら相手できる自信もついたが――魔王軍には高ランクの機体に乗ってる奴がいるからよ」
ジンの脳裏に浮かぶのは、初めての戦闘で出会い、交戦はせずに去って行った白銀級機――Sフェザーコカトリス。あれが襲い掛かって来たら、自分達は今こうして生きていないだろう。
魔王軍にはあんな機体が何機もあるという。それと戦う日がいずれ来るかもしれない。
ゲームなら強い主人公機がさらにパワーアップしてクリアできるようになる筈だが――この世界の、魔王軍と戦っている勇者とやらがどこでどうしているのか。自分達の仲間になってくれるのか。そもそも味方なのか? その全てはわからない。
今頼れる物は、自分達しかないのだ。
(この世で一番頼れないのが、だらしない能無しの「自分」だったってのにな……)
転移前を一瞬思いだしたが、すぐにそれを頭から振り払って二人に檄を飛ばす。
「内容は話した通りだ。今日中に一度は成功させるぞ。合体技・トライシュートをな!」
トライシュート――それがジンの考案した合体攻撃である。
単純な話、三機の射撃を同時に敵1機へ浴びせようという物だ。三方からの射撃を避けきるのは難しく、当然、当たれば被害も大きい筈だ。
しかし他人の攻撃に続いて後から撃つのと違い、「トライシュート」の指示が仲間から出たら迅速に合わせなければ「同時」にはならない。どの敵を狙うかもすぐに読み取らねばならないし、だからといって戦闘中に動きを止めるわけにはいかない。
敵も味方も常に動いている――実際に同時攻撃を仕掛ける際に、これが大きな壁だった。
(だから練習するんだよ。昼飯までにコツぐらいは掴めれば――!)
モニタに仲間二機が映し出される。迫る映像上の敵軍。環境は整った。
「先ずは俺から指示を出す。成功したら次はナイナイ、そしてダインスケンだ。誰からでもいつでも発動できるようにな――先ずは一歩だ!」
叫ぶジン。
三機が敵軍に突撃し、矢と砲弾が交錯する。
その最中、ジンは敵のうち一気に目を付けた。
「トライシュートォー!」
三方向からの射撃に貫かれ、敵のBソードアーミーが爆発した。
「あ、できたね」
「さっすがァ!」
喜ぶナイナイ。その頭上で喝采をおくるリリマナ。
「……スジが通らねぇ……。このシミュレータ、何か誤魔化してんじゃねぇのか」
茫然と呟くジン。
「ゲッゲー」
ダインスケンが鳴いた。
その後、指示出しをナイナイに、ダインスケンにと変えてみた。
特に問題無く成功し、その度に敵機が爆発した。
ジン自身も驚いたが――他の二人からの指示や動きに合わせて動くのは、意外と簡単だった。難易度が低いわけではない筈だが、なぜかスムーズにできたのだ。
上手くいきすぎて逆に納得できないジン。
「ま、まぁ……実戦だと衝撃や疲労がまた違うだろうからよ」
「あ、ホントだ。いつでもできるわけじゃないみたい。必要気力110って表示されてるよォ」
リリマナがモニターを指さした。既に武器として表示されており、使用条件まで出ている。
(え……マジでデータに反映される所まで完成しちまったのか)
ジンの胸には不安しかなかった。
その後も何度か練習した後、食堂で昼食をとる。
ある程度好きにトッピングしていいパスタを喜んで食べるナイナイとリリマナ、とにかく量を盛るダインスケンとゴブオ。彼らの横で、ジンだけは難しい顔をしていた。
(何一つ悪い方に事が運ばねぇ……そんな事がこの世にある筈ないんだがよ)
胸中は今日という日への不信感が膨れ上がるばかりだ。
その考えは、捻くれてはいるが間違いではない。
食事が終わるや、休憩の間もなく急かすように、艦内に警報が鳴る!
一転して緊張するナイナイ。
「ジン、何か現れたみたいだよ!」
「チッ……とにかく行くか」
舌打ちしながら格納庫へ走るジン。
実はちょっとだけ、不穏になった現状への奇妙な安心を覚えていた。
「マジでそのゴブリンを部下にするんですか!?」
「ああ。名前はゴブオというらしい」
目を丸くする整備班にゴブリンを紹介するジン。
「ウェヘヘヘ、あんじょう頼むッス」
ゴブリン――ゴブオはニヤニヤ笑いながらへこへこ頭を下げた。
整備班達は誰一人として警戒を解かない。もちろんそれが当然なのである。
しかしジン達三人は相談を始めた。
「ゴブオにはこれから何をさせるの?」
ナイナイに訊かれ、少し考えるジン。
「ゴブオのステータスを知りたい。だが【スカウト】で調べるためには、ケイオス・ウォリアーに乗らないといけないのか?」
そこへヴァルキュリナが姿を現した。一枚の鏡を手にして。
「話を聞いて見に来たが……本当にそんな魔物を連れてきたのか」
呆れてそう言いながらも、手にもつ鏡をジンに渡す。
「ケイオス・ウォリアーに乗らなくても、この鏡でステータスが確認できる」
そういうアイテムらしい。だがジンは首を傾げる。
「ありがとさんよ。しかしなんで鏡なんだ?」
「古来から情報を映し出す魔法は鏡か水晶玉を使う事が多くてな。その延長にある魔法だからだ」
ヴァルキュリナの説明を聞き、ジンはなんとなく納得した。
この世界の常識や習慣にはいまいち慣れない物もあるが、だいたい理由らしき物はあるようだ。
ともかくジンはその鏡をゴブオに向けてかざす。
すぐに鏡はゴブオのステータスを映し出した。
魔王軍兵 レベル6
格闘140 射撃140 技量168 防御117 回避82 命中87 SP52
「なんだ、意外と使えそうだな。確か俺らはレベル4……いや、もう少しは上がってるか」
そう言うジンの頭上へリリマナが飛んで来る。
「さっそく確かめようよォ!」
言われてジンは自分のステータスを映した。
ジン レベル7
格闘159 射撃154 技量185 防御134 回避86 命中94 SP74
ケイオス3 底力7 援護攻撃1 援護防御1
スピリットコマンド 【スカウト】【ウィークン】
「おお! ケイオスレベルが上がってるじゃねぇか。スピリットコマンドも増えたか! よしよし、効果は……」
【ウィークン】敵1体の気力を10低下させる。
「これかよ……!」
これもジンが転移前に遊んでいたゲームにほぼ同じ効果のあったコマンドである。
「でも、操縦者の気力はケイオス・ウォリアーの状態に大きな影響があるよ? 攻撃力も防御力も気力によって増減するし、強い武器や一部のスキルは気力が上がらないと使えないもン」
リリマナの言う通り、この世界のロボットはそういう物であり、だからこそ気力がステータス画面にも表示されて確認できるようになっている。
そう考えると非常に有益な技ではあるのだが……ジンが遊んでいたゲームでは、基本、これを習得する者はギャグメーカーやコメディリリーフだった。
(やっぱり俺は主役になるべく呼ばれたわけじゃねぇのな……)
ちょっと納得できないジンは、ダインスケンも映してみる。
ダインスケン レベル7
格闘161 射撃150 技量180 防御130 回避99 命中94 SP74
ケイオス3 底力6 援護攻撃1 援護防御1
スピリットコマンド 【ヒット】【フレア】
【フレア】一度だけ敵の攻撃を確実に回避する。
「相変わらずお前が一番強いな……」
ちょっと僻んで横目でダインスケンを睨むジン。
「ゲッゲー」
ダインスケンはそう鳴くだけだ。
(しかし、なぁ……こいつ、高運動性機に乗って回避主体で戦ってるのに、コマンドはスーパーっぽいというか……)
ジンの遊んでいたゲームだと、1ターンの間命中回避を上げるようなコマンドがあったのだが……この世界には無いのだろうか?
当然、ナイナイの確認もする。
ナイナイ レベル8
格闘152 射撃161 技量182 防御127 回避96 命中101 SP76
ケイオス3 底力5 援護攻撃1 援護防御1
スピリットコマンド 【フォーチュン】【トラスト】
「あれ? ボクはレベル8?」
鏡を覗き込んだナイナイが首を傾げた。
「MAP兵器で一番敵を倒しているからだろ。お前もなんか習得してるな」
ジンは新しいコマンドにカーソルを合わせる。
【トラスト】味方1体のHPを2000回復。
「やった! これでみんながもっと安全になるよ」
嬉しそうに微笑むナイナイ。だがジンは強い口調で言う。
「ダメだ。回復は修理装置でやれ。SPは全部【フォーチュン】に回して獲得資金を増やせ」
「ええ……」
目を丸くするナイナイ。
だがジンの知識では、とにかく資金を稼いで機体の強化改造を施すべきなのだ。
「私もレベルは上がってるし、新しいコマンドも覚えたよォ!」
「ああ、そっちに回復系があれば助かるな」
リリマナが主張するので、ジンはそれも映してみる。
リリマナ レベル7
SP51
スピリットコマンド 【サーチ】【ガッツ】【ウィークン】
「この新技! 俺と被ってるじゃねぇか!」
「そんな事言われても仕方ないもン!」
歯軋りするジンに不貞腐れるリリマナ。
頭を掻きながらジンはヴァルキュリナも映した。
ヴァルキュリナ レベル7
格闘156 射撃147 技量177 防御131 回避83 命中91 SP74
ケイオス2 指揮官2 援護防御2
スピリットコマンド 【プロテクション】
※指揮官2LV:周囲の味方の命中率・回避率を上昇させる。
【プロテクション】短時間の間、被ダメージを75%軽減する。
「ほほう、神官戦士様は防御系か。流石にそれらしいな……ん?」
ジンはケイオスレベルに目を留めた。
「ここが2レベル以上になる者は、この世界にはほとんどいないんじゃなかったのか?」
「全くというわけではないのでな」
ヴァルキュリナはそう言うだけだ。ジンは少し違和感を覚えた……が、何か根拠があるわけでもない。とりあえず黙っておく事にした。
「ところで機体の強化改造ですけど。どこいじるんですか?」
話が一段落したのを見計らい、整備員が訊いてきた。
そもそもジン達がここにいるのは、これまでの戦いで貯まった資材で機体を強化してもらうためである。
「ステータスを何か上げるんだよね?」
ナイナイが確認し、ジンはそれに頷く。問題はどの機体のどのステータスを強化するか、なのだが……ジンは自分が遊んでいたゲームを思い出す。
(メインに使う機体に集中。防御力か回避力のどちらかを選び、重点的に強化。武器もそれと同じぐらい強化。中盤に強い機体が手に入るまではそれがセオリーだったと思うが……)
だがしかし。いざ自分が戦う立場になると、どうにもそれは実行し難い。
(ゲームみたいに一人が何キャラも持ってるわけじゃねぇ。体一つが今の自分の全てだからよ。脇役扱いで無改造ポンコツ機に乗ってろ、それで死んでも運命だ――なんて話、俺ならお断りだ。それを他の二人に押し付けるのもスジが通らねぇ)
ジンはナイナイとダインスケンを横目で見る。そして格納庫のハンガーに立っている、自分達の平凡な量産機を。
(それに……どう考えても単騎無双できる器はここには無ぇ)
ジンは二人へ声をかける。
「単純にいこう。均等に頭割りして、三機とも強化してもらう。武器と機体性能、両方いじってもらうか」
結局、結論はそれだった。ゲームなら微妙な方針であっても、この場で危険に相対するのは自分達なのだ。
しかしナイナイが異を唱える。
「ねぇねぇ、この艦も強化した方が良くない?」
「お、そりゃそうだ。雇い主様を疎かにしちゃいけねぇよ。じゃあ母艦も含めて資金は四分割な」
ジン達の話に、ヴァルキュリナは少し驚いたようだ。
「ありがたい事だが……そちらから言い出すとはな」
「こちとらまだまだこの世界の青二才だ。あんたを頼るしかないんだぜ、先輩」
軽口を叩くジン。
ヴァルキュリナは「ふん……」と呟き、つっと視線を横に逸らした。
(おやま。ちょいと照れましたかね……)
少しばかり可笑しく感じるジン。だがまぁそれを口にしない程度の分別はあった。
「おう、そういやゴブオもケイオス・ウォリアーに乗れたよな。資材から適当にかき集めて1機組み上げられねぇか? 手は多いに越した事はねぇ」
ジンは整備員に訊くが、ヴァルキュリナは露骨に顔をしかめる。
「このゴブリンに機体を与えるのか? 流石にそれは却下したい」
「機体一機分、資金が減りますしね。その使い道がゴブリンというのは……」
整備員も難色を示す。やはりこの世界の住人に歓迎される意見では無かった。
「そうですよ。オレもアニキの足手まといになりたくないです。オレは荷物持ちとモップがけに全力を尽くすため、この艦でアニキの帰りを待つッス」
ゴブオ本人にさえ同意されなかった。
まぁコイツはまた違う考えがあっての事なのだが……。
「仕方ねぇか。いや、俺も戦場で自由にさせろと言いたかったわけじゃなくてな。直衛……とでも言うのか? いつでも出撃できるようスタンバイして、指示があった時だけ飛び出して交戦して艦を守り、すぐに帰投してまた備える。そんな奴がいれば役に立つか……と思ったからよ」
ジンが肩を竦めながらそう言うと、ヴァルキュリナは顎に手をあてて考えた。
「ふむ。召喚攻撃か」
「え!? その単語まであるのか!」
それはジンの遊んでいたゲームにもあった呼び方で、データ上は存在しない機体が攻撃の映像としては使われるという一種の演出だった。
それがこの世界にあるとは?
だがヴァルキュリナは当然のように言う。
「おかしいか? 古来から召喚魔法はあったし、短時間しか持続しない戦闘専門の物もその中にあった。それになぞらえて、攻撃の時だけ出撃する機体との連携を召喚攻撃と呼ぶが……無論、正式な呼び方ではないがな」
技術が魔法によって興った世界ゆえに同じような単語が生まれたのだった。
「しかしそれならなんとかなる。砲座マイマイが一匹あった筈だ。あれを使わせて移動砲台にしよう。それで死角をカバーできる。危険度は高いが、ゴブリンにやらせるなら……」
ヴァルキュリナが言うと、整備員が『鏡』に砲座マイマイを映す。
巨大なカタツムリだが、貝の部分が改造されており、座席と風防、二門の大砲が備え付けられている。どう使う物かは見ればわかった。
「なるほど。決まりだな」
頷くジンの後ろで、ゴブオの緑の顔から血の気が引いた――わかり難さゆえ人間は誰も気づかなかったが。
ただダインスケンだけが「ゲッゲー」と鳴いた。
そして――翌日。
「あんまり気にするな。しても仕方ねぇ」
ジンがそう言っても、ナイナイは軍服の襟を引っ張り、自分の胸を確かめていた。
また体が女になっているのだ。昨日、戦闘が終わって帰艦した時には何時の間にか男になっていたのだが。
「寝たら女の子になっちゃうのかなぁ? 困るよ……」
沈んだ顔で溜息をつくナイナイ。
ジンは困って頭を掻く。
「困るのは仕方ないが、今から特訓だ。そっちに集中してくれ」
三人とリリマナがいるのは艦の一室。ケイオス・ウォリアーの操縦席と同じ物が数個設置され、その下には魔法陣。座席に前にはモニターが吊るされている。
ここは操縦訓練室で、座席はシミュレーターだ。機体のデータを送信する事で、様々な戦闘を疑似的に行う事ができるのだ。
その一つに座りながらジンは言った。
「ナイナイが余分に稼いでくれたとはいえ、今の資金じゃ気持ち程度のパワーアップにしかならねぇ」
リリマナに頼んでデータを入れてもらう。モニターに表示される機体データはBカノンピルパグのもの、映される敵機は先日戦った魔王軍の量産機達だ。
「だから俺らの腕前でなんとかするしかねぇ。雑兵ぐらいなら相手できる自信もついたが――魔王軍には高ランクの機体に乗ってる奴がいるからよ」
ジンの脳裏に浮かぶのは、初めての戦闘で出会い、交戦はせずに去って行った白銀級機――Sフェザーコカトリス。あれが襲い掛かって来たら、自分達は今こうして生きていないだろう。
魔王軍にはあんな機体が何機もあるという。それと戦う日がいずれ来るかもしれない。
ゲームなら強い主人公機がさらにパワーアップしてクリアできるようになる筈だが――この世界の、魔王軍と戦っている勇者とやらがどこでどうしているのか。自分達の仲間になってくれるのか。そもそも味方なのか? その全てはわからない。
今頼れる物は、自分達しかないのだ。
(この世で一番頼れないのが、だらしない能無しの「自分」だったってのにな……)
転移前を一瞬思いだしたが、すぐにそれを頭から振り払って二人に檄を飛ばす。
「内容は話した通りだ。今日中に一度は成功させるぞ。合体技・トライシュートをな!」
トライシュート――それがジンの考案した合体攻撃である。
単純な話、三機の射撃を同時に敵1機へ浴びせようという物だ。三方からの射撃を避けきるのは難しく、当然、当たれば被害も大きい筈だ。
しかし他人の攻撃に続いて後から撃つのと違い、「トライシュート」の指示が仲間から出たら迅速に合わせなければ「同時」にはならない。どの敵を狙うかもすぐに読み取らねばならないし、だからといって戦闘中に動きを止めるわけにはいかない。
敵も味方も常に動いている――実際に同時攻撃を仕掛ける際に、これが大きな壁だった。
(だから練習するんだよ。昼飯までにコツぐらいは掴めれば――!)
モニタに仲間二機が映し出される。迫る映像上の敵軍。環境は整った。
「先ずは俺から指示を出す。成功したら次はナイナイ、そしてダインスケンだ。誰からでもいつでも発動できるようにな――先ずは一歩だ!」
叫ぶジン。
三機が敵軍に突撃し、矢と砲弾が交錯する。
その最中、ジンは敵のうち一気に目を付けた。
「トライシュートォー!」
三方向からの射撃に貫かれ、敵のBソードアーミーが爆発した。
「あ、できたね」
「さっすがァ!」
喜ぶナイナイ。その頭上で喝采をおくるリリマナ。
「……スジが通らねぇ……。このシミュレータ、何か誤魔化してんじゃねぇのか」
茫然と呟くジン。
「ゲッゲー」
ダインスケンが鳴いた。
その後、指示出しをナイナイに、ダインスケンにと変えてみた。
特に問題無く成功し、その度に敵機が爆発した。
ジン自身も驚いたが――他の二人からの指示や動きに合わせて動くのは、意外と簡単だった。難易度が低いわけではない筈だが、なぜかスムーズにできたのだ。
上手くいきすぎて逆に納得できないジン。
「ま、まぁ……実戦だと衝撃や疲労がまた違うだろうからよ」
「あ、ホントだ。いつでもできるわけじゃないみたい。必要気力110って表示されてるよォ」
リリマナがモニターを指さした。既に武器として表示されており、使用条件まで出ている。
(え……マジでデータに反映される所まで完成しちまったのか)
ジンの胸には不安しかなかった。
その後も何度か練習した後、食堂で昼食をとる。
ある程度好きにトッピングしていいパスタを喜んで食べるナイナイとリリマナ、とにかく量を盛るダインスケンとゴブオ。彼らの横で、ジンだけは難しい顔をしていた。
(何一つ悪い方に事が運ばねぇ……そんな事がこの世にある筈ないんだがよ)
胸中は今日という日への不信感が膨れ上がるばかりだ。
その考えは、捻くれてはいるが間違いではない。
食事が終わるや、休憩の間もなく急かすように、艦内に警報が鳴る!
一転して緊張するナイナイ。
「ジン、何か現れたみたいだよ!」
「チッ……とにかく行くか」
舌打ちしながら格納庫へ走るジン。
実はちょっとだけ、不穏になった現状への奇妙な安心を覚えていた。
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