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1章
13 チマラハ攻略戦 6
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敵の攻撃で火達磨となるSバスタードスカル。
小さな爆発をいくつも起こして倒れ、操縦席の辺りからも炎があがっていた。
意識を取り戻したタリンが「あん?」と呟く。
「ガイの奴、死にやがったのか」
「死んでねーよ!」
怒鳴りながら、近くの植え込みからガイがよろめきつつも出て来た。
「たいへんだったあ~」
肩でイムが疲れ切った声をあげる。
今回はギリギリだったが、ガイはなんとか脱出してのけた。
ケイオス・ウォリアーの脱出装置は座席が背面から射出され、短時間だけ浮遊系の魔力が働いて軟着陸を試みるという物だ。
大雑把で危険な機能ではある……が、ガイは工兵であり、盗賊系の技能に長けている。落下時の受け身も、その後に物陰へ隠れて逃走する事も、十分な訓練を積んでいた。
多少の負傷はあるが、聖剣の【自動回復能力】でその傷も癒えつつある。
「脱出したのね!」
安堵するミオンに頷くガイ。
「次の機体を出す!」
そう言うとミオンが担当していた運搬機へと走った。
一方、マスターキメラは燃えるバスタードスカルを眺めて感慨に耽っていた。
(やった……ようやくガイに勝った。本当に、手こずらされた……。さて、次は……)
周囲を覗うと、前庭に停められた運搬機を2つ、その周囲に数人の人影を見つける。そこに見覚えのある連中も。
(タリン達? ならばあれはガイの仲間か)
運搬機の片方が急に発進する。そして通信機ごしに声が――
「町の外へ急いでくれ!」
それはガイの声だった!
『おのれ! 逃げ延びたか!』
思わず怒りに叫び、マスターキメラは運搬機の後を追って機体を走らせた。
――街の側を流れる大河――
運搬機の改造ミズスマシは大河へ乗り込み、水上を走る。
川の中ほどでハッチが開き、中から魚人型機のBバイブグンザリが出撃した。
全速力で追いついたSヒートキマイラの操縦席で、マスターキメラはグンザリが花吹雪に包まれるのを見る。
肩と背中を細い緑のすだれが外套のごとく覆い、胸にはスイセンの花のような模様が生じている。
モニターに表示される機体名が【パンドラグンザリ】に変わっていた。
何度も見た変形能力に苛立つマスターキメラ。
『毎度毎度、妙な機能を使う!』
しかし怒りにはやる心とは逆に、機体は水辺で止めた。水中行動の得意な機体ではないからだ。
一方、ガイも敵の機体能力をモニターに表示させていた。
>
Sヒートキマイラ
ファイティングアビリティ:150
ウェポンズアビリティ:150
スピードアビリティ:110
パワーアビリティ:130
アーマードアビリティ:120
>
(能力値は敵の方がやや高いか。けれどな……)
ガイは深海型に属するグンザリの半身を水面から出したまま、頭部の左右にあるエラを広げる。パラボラアンテナのごとく開いたエラが輝き、大気が振動した。
「マッシャーウェーブ、発射!!」
「はっしゃあ!」
ガイとイムが叫ぶや、破壊の振動がヒートキマイラに炸裂した。広範囲ではなく敵一機に収束させたその威力で、キラマイラの全身に亀裂が走る。
周囲の大地が砕かれ、砂と化して噴き上がった。
だが……その威力の只中でヒートキマイラの拳が燃えた。
『それが最大の武器ならば……私の勝ちだ!』
高周波で砕かれながらも、ヒートキマイラは最大の拳を繰り出す。
『ブレイズプラズマーー!!』
何条もの超高熱が迸り、大量の水蒸気を上げながら川面を走って埋め尽くした!
その威力がガイ機からの攻撃を上回る事をマスターキメラは確信している。
水面で起こる水蒸気の爆発。
川辺で起こる砂塵の爆発。
この世界でも滅多に見る事のない破壊力の撃ち合いだった。
結果――
砂煙が晴れゆく中、ヒートキマイラはよろめいていた。
全身の装甲は痛み、欠け、損傷が大きい。
一方、水煙が晴れゆく中、パンドラグンザリは……水の中から立ち上がる。
「やはり火属性の武器。水場への地形適応は低いようだな!」
確信するガイの声を通信機ごしに聞き、マスターキメラは愕然とする。
(しまった! 誘い出されたか!)
逃走する時にガイの声が漏れていたのは、自分がそこに居る事をわざと教えるためだったのだ。
グンザリのエラが輝き、再び必殺武器の発射体勢に入る。
マスターキメラは歯軋りしながらも最大の拳・ブレイズプラズマを繰り出すべく構えた。ダメージレースで圧倒的不利なのを承知しながらも受けて立つしかなかった――今日この場で決着をつけるのならば。
幾度も爆発が起こる。同時に二つの爆発が。川の中と川辺で。
街を揺るがすほどの爆発ではあったが……幾度目かの爆音の後、しんと静まりかえる。
『む、無念……!』
マスターキメラの呻きとともに、ヒートキマイラが煙をあげて崩れ落ちた。
あちこち破損しながらも川の中に仁王立ちしてそれを見下ろすパンドラグンザリ。
戦いは終わった。
操縦席で「ふう」と溜息をつき、ガイは汗を拭う。
通信機からミオンの声が届いた。
「お疲れ様。私もお役に立てたかしら?」
川辺で煙をあげて倒れる敵白銀級機を一瞥し、ガイは通信機へ親指を立てた。
「勝利の女神だよ」
「あらら。照れちゃうわね」
通信機の向こうでミオンがくすくすと笑っていた。
小さな爆発をいくつも起こして倒れ、操縦席の辺りからも炎があがっていた。
意識を取り戻したタリンが「あん?」と呟く。
「ガイの奴、死にやがったのか」
「死んでねーよ!」
怒鳴りながら、近くの植え込みからガイがよろめきつつも出て来た。
「たいへんだったあ~」
肩でイムが疲れ切った声をあげる。
今回はギリギリだったが、ガイはなんとか脱出してのけた。
ケイオス・ウォリアーの脱出装置は座席が背面から射出され、短時間だけ浮遊系の魔力が働いて軟着陸を試みるという物だ。
大雑把で危険な機能ではある……が、ガイは工兵であり、盗賊系の技能に長けている。落下時の受け身も、その後に物陰へ隠れて逃走する事も、十分な訓練を積んでいた。
多少の負傷はあるが、聖剣の【自動回復能力】でその傷も癒えつつある。
「脱出したのね!」
安堵するミオンに頷くガイ。
「次の機体を出す!」
そう言うとミオンが担当していた運搬機へと走った。
一方、マスターキメラは燃えるバスタードスカルを眺めて感慨に耽っていた。
(やった……ようやくガイに勝った。本当に、手こずらされた……。さて、次は……)
周囲を覗うと、前庭に停められた運搬機を2つ、その周囲に数人の人影を見つける。そこに見覚えのある連中も。
(タリン達? ならばあれはガイの仲間か)
運搬機の片方が急に発進する。そして通信機ごしに声が――
「町の外へ急いでくれ!」
それはガイの声だった!
『おのれ! 逃げ延びたか!』
思わず怒りに叫び、マスターキメラは運搬機の後を追って機体を走らせた。
――街の側を流れる大河――
運搬機の改造ミズスマシは大河へ乗り込み、水上を走る。
川の中ほどでハッチが開き、中から魚人型機のBバイブグンザリが出撃した。
全速力で追いついたSヒートキマイラの操縦席で、マスターキメラはグンザリが花吹雪に包まれるのを見る。
肩と背中を細い緑のすだれが外套のごとく覆い、胸にはスイセンの花のような模様が生じている。
モニターに表示される機体名が【パンドラグンザリ】に変わっていた。
何度も見た変形能力に苛立つマスターキメラ。
『毎度毎度、妙な機能を使う!』
しかし怒りにはやる心とは逆に、機体は水辺で止めた。水中行動の得意な機体ではないからだ。
一方、ガイも敵の機体能力をモニターに表示させていた。
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Sヒートキマイラ
ファイティングアビリティ:150
ウェポンズアビリティ:150
スピードアビリティ:110
パワーアビリティ:130
アーマードアビリティ:120
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(能力値は敵の方がやや高いか。けれどな……)
ガイは深海型に属するグンザリの半身を水面から出したまま、頭部の左右にあるエラを広げる。パラボラアンテナのごとく開いたエラが輝き、大気が振動した。
「マッシャーウェーブ、発射!!」
「はっしゃあ!」
ガイとイムが叫ぶや、破壊の振動がヒートキマイラに炸裂した。広範囲ではなく敵一機に収束させたその威力で、キラマイラの全身に亀裂が走る。
周囲の大地が砕かれ、砂と化して噴き上がった。
だが……その威力の只中でヒートキマイラの拳が燃えた。
『それが最大の武器ならば……私の勝ちだ!』
高周波で砕かれながらも、ヒートキマイラは最大の拳を繰り出す。
『ブレイズプラズマーー!!』
何条もの超高熱が迸り、大量の水蒸気を上げながら川面を走って埋め尽くした!
その威力がガイ機からの攻撃を上回る事をマスターキメラは確信している。
水面で起こる水蒸気の爆発。
川辺で起こる砂塵の爆発。
この世界でも滅多に見る事のない破壊力の撃ち合いだった。
結果――
砂煙が晴れゆく中、ヒートキマイラはよろめいていた。
全身の装甲は痛み、欠け、損傷が大きい。
一方、水煙が晴れゆく中、パンドラグンザリは……水の中から立ち上がる。
「やはり火属性の武器。水場への地形適応は低いようだな!」
確信するガイの声を通信機ごしに聞き、マスターキメラは愕然とする。
(しまった! 誘い出されたか!)
逃走する時にガイの声が漏れていたのは、自分がそこに居る事をわざと教えるためだったのだ。
グンザリのエラが輝き、再び必殺武器の発射体勢に入る。
マスターキメラは歯軋りしながらも最大の拳・ブレイズプラズマを繰り出すべく構えた。ダメージレースで圧倒的不利なのを承知しながらも受けて立つしかなかった――今日この場で決着をつけるのならば。
幾度も爆発が起こる。同時に二つの爆発が。川の中と川辺で。
街を揺るがすほどの爆発ではあったが……幾度目かの爆音の後、しんと静まりかえる。
『む、無念……!』
マスターキメラの呻きとともに、ヒートキマイラが煙をあげて崩れ落ちた。
あちこち破損しながらも川の中に仁王立ちしてそれを見下ろすパンドラグンザリ。
戦いは終わった。
操縦席で「ふう」と溜息をつき、ガイは汗を拭う。
通信機からミオンの声が届いた。
「お疲れ様。私もお役に立てたかしら?」
川辺で煙をあげて倒れる敵白銀級機を一瞥し、ガイは通信機へ親指を立てた。
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通信機の向こうでミオンがくすくすと笑っていた。
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