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2章
16 魔獣咆哮 2
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――村の警備部詰め所――
人が増えるにつれ多くなった揉め事や犯罪。それらに対処するべく、村のほぼ中央に警備担当者が駐在する詰め所が造られた。
主に常駐するのは元魔王軍親衛隊ながら今や村の警備の中心を任せられたレレン。
そして最近はもう一人……ガイの元パーティメンバー、女魔術師のララもいた。
その日もララは杖を手に目を瞑り、意識を集中する。
「村の周辺、異常なし。チマラハの方角にも異変は見当たらず」
彼女は村の上空から地上を見ていた。
使い魔……魔術師が召喚、あるいは作成する魔法生物。最近それを使役できるようになったララは、一羽の青い鳥を己の使い魔としていた。意識を集中すれば感覚を共有し、使い魔の目で物を見る事ができるのだ。
「村の中はどうだ?」
レレンが訊くと、ララは使い魔を遠隔操作し村を見下ろす。
「タリンが転倒しました。脇腹を抑えて悶絶してます」
「……ディアに任せよう」
レレンが決断し、朝の監視は終了となった。
――村郊外の空き地――
村の尼僧ディアに回復魔法をかけてもらい、タリンは身を起こす。
そして骨でできた乗り物を苛々と睨みつけた。
「クソッ、本当にちゃんと合わせているんだろうな!?」
それは骨と金属シャフトで造られた馬。
不死の騎士が乗るような骸骨の馬だ。
だがその頭部は――
「シロウさんが補助するから普通の馬より乗り易い筈だと、スティーナちゃんは言っていました……」
『補助はしているぞ。乗り手が下手糞だとそれにも限度があるが』
ディアの言葉に付け加えるシロウ。そう、この骸骨馬の頭部はシロウの髑髏なのだ。
スティーナとイアンが造った、シロウの新たな体がこの骸骨馬なのである。それに合わせて髑髏を真横に貫通していたハンドルは、馬につかうような手綱に交換されていた。
「チッ……乗馬の技能なんて練習した事ないっての」
文句を垂れ流しながら、タリンはシロウの搭載された骸骨馬に再び跨る。
これに乗れれば白銀級機を任せてもらえるいう約束ゆえに。
――村の集会場――
昼食の時間の後、村の主だった面々が集まり、今後について話し合う。
まずはガイが発言した。
「こっちは慣らし運転は終わった。いつでも実戦に出られる」
「防衛の準備は概ね問題無し、か」
レレンは頷き、他のメンバーを見渡した。
「他、気になる事はないか?」
「部屋が狭いっス」
ウスラが訴える。
タリンとともに村へ戻った元パーティメンバーは、村の格安木賃宿に放り込まれていた。
「お前がでかいからだ。諦めろ。他には?」
レレンは他の意見を求める。
「おいおい、四人一部屋に詰め込んでるからじゃねーのか!?」
タリンがいきり立つ。
元パーティメンバーは格安木賃宿の一室を四人で使っているのだ。
「なら金出して個室に移れ。他には?」
レレンは他の意見を求める。
「別荘を用意するからガイ殿に街で暮らして欲しいと、領主から手紙が来たんじゃが」
村長コエトールが躊躇いがちに皆へ伝えた。
かつて魔王軍に占領され、残党にも大打撃を受けた街。二度の危機を二回ともガイが救ったとなれば、手元にいて欲しいのは当然であろう。
「燃やせ。他には?」
レレンは他の意見を求める。
「村で買い付けとる素材がいくつか届いておらんのう」
農夫のタゴサックが唸るように報告した。
レレンは首を傾げる。
「いくつか?」
「うむ。だいたい半数ほど」
「多いな? というか深刻じゃないか!? 一体なぜ……」
思った以上の事態に驚くレレン。
しかしタゴサックの返答はいまいち要領を得なかった。
「なんか大型の魔物が暴れたとかなんとか」
「え? 半数全部が? そんなにあちこちで一斉に?」
不自然極まりない事だ。そんな事をしそうな魔王軍は半年も前に壊滅している。
しかし現に起こっているなら対処の必要がある、のだが……カーチナガ領は帝国崩壊時に領域から外れてしまった。よって領内で起こった面倒事を調査・解決するのは領内の者達でやらねばならない。
そしてこの領で最も戦力があるのは、間違いなくこの村なのだ。
腕組みしてガイは考えた。
「俺達が行かないと、埒が明かないんだろうなぁ……」
人が増えるにつれ多くなった揉め事や犯罪。それらに対処するべく、村のほぼ中央に警備担当者が駐在する詰め所が造られた。
主に常駐するのは元魔王軍親衛隊ながら今や村の警備の中心を任せられたレレン。
そして最近はもう一人……ガイの元パーティメンバー、女魔術師のララもいた。
その日もララは杖を手に目を瞑り、意識を集中する。
「村の周辺、異常なし。チマラハの方角にも異変は見当たらず」
彼女は村の上空から地上を見ていた。
使い魔……魔術師が召喚、あるいは作成する魔法生物。最近それを使役できるようになったララは、一羽の青い鳥を己の使い魔としていた。意識を集中すれば感覚を共有し、使い魔の目で物を見る事ができるのだ。
「村の中はどうだ?」
レレンが訊くと、ララは使い魔を遠隔操作し村を見下ろす。
「タリンが転倒しました。脇腹を抑えて悶絶してます」
「……ディアに任せよう」
レレンが決断し、朝の監視は終了となった。
――村郊外の空き地――
村の尼僧ディアに回復魔法をかけてもらい、タリンは身を起こす。
そして骨でできた乗り物を苛々と睨みつけた。
「クソッ、本当にちゃんと合わせているんだろうな!?」
それは骨と金属シャフトで造られた馬。
不死の騎士が乗るような骸骨の馬だ。
だがその頭部は――
「シロウさんが補助するから普通の馬より乗り易い筈だと、スティーナちゃんは言っていました……」
『補助はしているぞ。乗り手が下手糞だとそれにも限度があるが』
ディアの言葉に付け加えるシロウ。そう、この骸骨馬の頭部はシロウの髑髏なのだ。
スティーナとイアンが造った、シロウの新たな体がこの骸骨馬なのである。それに合わせて髑髏を真横に貫通していたハンドルは、馬につかうような手綱に交換されていた。
「チッ……乗馬の技能なんて練習した事ないっての」
文句を垂れ流しながら、タリンはシロウの搭載された骸骨馬に再び跨る。
これに乗れれば白銀級機を任せてもらえるいう約束ゆえに。
――村の集会場――
昼食の時間の後、村の主だった面々が集まり、今後について話し合う。
まずはガイが発言した。
「こっちは慣らし運転は終わった。いつでも実戦に出られる」
「防衛の準備は概ね問題無し、か」
レレンは頷き、他のメンバーを見渡した。
「他、気になる事はないか?」
「部屋が狭いっス」
ウスラが訴える。
タリンとともに村へ戻った元パーティメンバーは、村の格安木賃宿に放り込まれていた。
「お前がでかいからだ。諦めろ。他には?」
レレンは他の意見を求める。
「おいおい、四人一部屋に詰め込んでるからじゃねーのか!?」
タリンがいきり立つ。
元パーティメンバーは格安木賃宿の一室を四人で使っているのだ。
「なら金出して個室に移れ。他には?」
レレンは他の意見を求める。
「別荘を用意するからガイ殿に街で暮らして欲しいと、領主から手紙が来たんじゃが」
村長コエトールが躊躇いがちに皆へ伝えた。
かつて魔王軍に占領され、残党にも大打撃を受けた街。二度の危機を二回ともガイが救ったとなれば、手元にいて欲しいのは当然であろう。
「燃やせ。他には?」
レレンは他の意見を求める。
「村で買い付けとる素材がいくつか届いておらんのう」
農夫のタゴサックが唸るように報告した。
レレンは首を傾げる。
「いくつか?」
「うむ。だいたい半数ほど」
「多いな? というか深刻じゃないか!? 一体なぜ……」
思った以上の事態に驚くレレン。
しかしタゴサックの返答はいまいち要領を得なかった。
「なんか大型の魔物が暴れたとかなんとか」
「え? 半数全部が? そんなにあちこちで一斉に?」
不自然極まりない事だ。そんな事をしそうな魔王軍は半年も前に壊滅している。
しかし現に起こっているなら対処の必要がある、のだが……カーチナガ領は帝国崩壊時に領域から外れてしまった。よって領内で起こった面倒事を調査・解決するのは領内の者達でやらねばならない。
そしてこの領で最も戦力があるのは、間違いなくこの村なのだ。
腕組みしてガイは考えた。
「俺達が行かないと、埒が明かないんだろうなぁ……」
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