132 / 147
2章
24 人の世に外れた物 4
しおりを挟む
ガイは機体を岩陰に屈ませ、急いで降りる。背後で起こった巨大な戦いを尻目に洞窟へ駆け込んだ。
天然の洞窟はすぐに行き止まり……に見せかけてあったが、岩壁に見せかけた隠し扉がある事をすぐに見抜く。
(罠をいちいち調べる時間は惜しいな)
ガイは腰の鞄から珠紋石を取り出し、その力を解放した。
【ディテクト・シークレット】精神領域第2レベルの呪文。魔法の探知能力で、隠れた物があれば「何かがある」事を察知できる。
(ここに隠された物はもう無い。よし!)
ガイは扉の奥に飛び込んだ。
――岩山の中に造られた基地内――
基地の中には魔王軍の残党も罠もあちこちで待ち受けていた。
魔物兵は珠紋石と聖剣で、罠は探知魔法と盗賊系技能で、ガイは次々と突破する。
基地内にはいくつも分かれ道があったが――
「あっちから大きなモノを感じるよ」
その度にイムが行き先を指し示してくれた。
(地に属する太古の魔竜……その存在を感じるんだな)
それを察し、ガイはイムが導く方へ走る。
――基地内最深部――
城でも入りそうな広大な空洞。壁にそって螺旋を描くように張り出した通路が設けられている。
その巨大な部屋で、ガイはついに目当ての物を見つけた。
身長はケイオス・ウォリアーの2~3倍……50メートルはあるだろう。外見は兵隊怪獣によく似ているが、大きさがまるで違う。
最も違うのは下半身。尻尾ではなく体が後ろに伸びており、何対もの足がそれを支えている。まるで女王アリのように。
その頭上、洞窟の天井には炎のように輝く結晶のドームが備えられており、そこから何本もの管が伸びて親玉怪獣の体に繋がっていた。
ガイが入った扉は怪獣の頭と同じ高さの張り出し通路に出ていた。
そこでジュエラドンの本体を眺め、思わず呟く。
「映像で見たラヴァフロウと全然違う……」
「なんかこわいよぉ」
古竜を改造して造った異形の怪物を見て、イムは震えてガイにしがみついた。
「増殖する力を重点的に改造した結果だ」
その声は頭上からかけられた。
ガイは自分より上にある張り出し通路に黒装束の刺客を見つける。
「影針……」
敵の姿を見つけたガイは、聖剣を手に、腰の鞄から呪文の封じられた宝珠を取り出した。
そして呪文を発動。
全く別方向の、やはり己より上に位置する通路へ!
真空の刃が通路を切り裂く――と、そこに潜んでいた影が跳び退いて刃を避けた。
黒装束は布人形に黒い布で作ったダミーである。
影針は声の反響を利用し、全く別の位置に隠れていたのだ。
「見破ったか。ユーガンが来るかと思えば先にお前とは。相変わらず邪魔な奴だ」
「この状況なら誉め言葉だな。面倒ついでに大それた事は諦めてどこかへ消えろ。それとも、どうしてもケイト帝国を潰さないと済まない理由がお前にも有るのか?」
ガイの問いに、影針は「ふん」と小さく鼻を鳴らす。
「無いな。ただここから始めるのが手っ取り早かっただけだ。ここでやらんならどこか別の地でやらねばならん。人類の生息域を奪い、魔物の領域を広げるというのが俺の望みだからな」
「魔物の国を作りたいのか?」
「大雑把に言えば、その通りだ。ユーガンがこの帝国にとどめを刺すというのでそれに乗り、跡地で俺の望みを叶えようと思ったが……まさか奴がこうも早く諦めるとは。しょせん、奴も根っこでは人類側だったというわけだ」
影針の声には嘲りと失望が混じっていた。
こいつは魔物なのか……以前みなで話した事を思い出すガイ。
ならば常に黒頭巾に隠れている影針の容姿は?
ガイは改めて、確認のため訊いた。
「お前は人類側じゃないという事か」
「その通り」
「ならば……魔物なんだな?」
「そういう事になるな。俺の故郷の世界でも、この世界でも、人間やその友好種族どもの分類に従えば。ならばこちらの身の振り方も、おのずと決まるという物だ」
影針の声にはどこか突き放したような、蔑むような響きがあった。
そして近くの壁に触れる。
そこには隠されたスイッチがあり……彼はそれを押した。
張り出し通路が崩れる!
崩壊し、手すりも床も落下する。だが全てが崩れ去ったわけではなく、通路を支えていた支柱だけは残った。
もしガイに軽業やアクロバットに関する技能が無ければ、床材とともに洞窟の地面に叩きつけられていたに違いない。だが工兵に含まれる盗賊系の技能がここでも役に立った。
ガイは支柱の一本に動じる事なく立ち、上方で同じように立つ影針へ向かって身構える。
飛来する棒手裏剣を弾き飛ばす木刀。
足場から足場へと跳びながら、ガイと影針の戦いが始まった!
天然の洞窟はすぐに行き止まり……に見せかけてあったが、岩壁に見せかけた隠し扉がある事をすぐに見抜く。
(罠をいちいち調べる時間は惜しいな)
ガイは腰の鞄から珠紋石を取り出し、その力を解放した。
【ディテクト・シークレット】精神領域第2レベルの呪文。魔法の探知能力で、隠れた物があれば「何かがある」事を察知できる。
(ここに隠された物はもう無い。よし!)
ガイは扉の奥に飛び込んだ。
――岩山の中に造られた基地内――
基地の中には魔王軍の残党も罠もあちこちで待ち受けていた。
魔物兵は珠紋石と聖剣で、罠は探知魔法と盗賊系技能で、ガイは次々と突破する。
基地内にはいくつも分かれ道があったが――
「あっちから大きなモノを感じるよ」
その度にイムが行き先を指し示してくれた。
(地に属する太古の魔竜……その存在を感じるんだな)
それを察し、ガイはイムが導く方へ走る。
――基地内最深部――
城でも入りそうな広大な空洞。壁にそって螺旋を描くように張り出した通路が設けられている。
その巨大な部屋で、ガイはついに目当ての物を見つけた。
身長はケイオス・ウォリアーの2~3倍……50メートルはあるだろう。外見は兵隊怪獣によく似ているが、大きさがまるで違う。
最も違うのは下半身。尻尾ではなく体が後ろに伸びており、何対もの足がそれを支えている。まるで女王アリのように。
その頭上、洞窟の天井には炎のように輝く結晶のドームが備えられており、そこから何本もの管が伸びて親玉怪獣の体に繋がっていた。
ガイが入った扉は怪獣の頭と同じ高さの張り出し通路に出ていた。
そこでジュエラドンの本体を眺め、思わず呟く。
「映像で見たラヴァフロウと全然違う……」
「なんかこわいよぉ」
古竜を改造して造った異形の怪物を見て、イムは震えてガイにしがみついた。
「増殖する力を重点的に改造した結果だ」
その声は頭上からかけられた。
ガイは自分より上にある張り出し通路に黒装束の刺客を見つける。
「影針……」
敵の姿を見つけたガイは、聖剣を手に、腰の鞄から呪文の封じられた宝珠を取り出した。
そして呪文を発動。
全く別方向の、やはり己より上に位置する通路へ!
真空の刃が通路を切り裂く――と、そこに潜んでいた影が跳び退いて刃を避けた。
黒装束は布人形に黒い布で作ったダミーである。
影針は声の反響を利用し、全く別の位置に隠れていたのだ。
「見破ったか。ユーガンが来るかと思えば先にお前とは。相変わらず邪魔な奴だ」
「この状況なら誉め言葉だな。面倒ついでに大それた事は諦めてどこかへ消えろ。それとも、どうしてもケイト帝国を潰さないと済まない理由がお前にも有るのか?」
ガイの問いに、影針は「ふん」と小さく鼻を鳴らす。
「無いな。ただここから始めるのが手っ取り早かっただけだ。ここでやらんならどこか別の地でやらねばならん。人類の生息域を奪い、魔物の領域を広げるというのが俺の望みだからな」
「魔物の国を作りたいのか?」
「大雑把に言えば、その通りだ。ユーガンがこの帝国にとどめを刺すというのでそれに乗り、跡地で俺の望みを叶えようと思ったが……まさか奴がこうも早く諦めるとは。しょせん、奴も根っこでは人類側だったというわけだ」
影針の声には嘲りと失望が混じっていた。
こいつは魔物なのか……以前みなで話した事を思い出すガイ。
ならば常に黒頭巾に隠れている影針の容姿は?
ガイは改めて、確認のため訊いた。
「お前は人類側じゃないという事か」
「その通り」
「ならば……魔物なんだな?」
「そういう事になるな。俺の故郷の世界でも、この世界でも、人間やその友好種族どもの分類に従えば。ならばこちらの身の振り方も、おのずと決まるという物だ」
影針の声にはどこか突き放したような、蔑むような響きがあった。
そして近くの壁に触れる。
そこには隠されたスイッチがあり……彼はそれを押した。
張り出し通路が崩れる!
崩壊し、手すりも床も落下する。だが全てが崩れ去ったわけではなく、通路を支えていた支柱だけは残った。
もしガイに軽業やアクロバットに関する技能が無ければ、床材とともに洞窟の地面に叩きつけられていたに違いない。だが工兵に含まれる盗賊系の技能がここでも役に立った。
ガイは支柱の一本に動じる事なく立ち、上方で同じように立つ影針へ向かって身構える。
飛来する棒手裏剣を弾き飛ばす木刀。
足場から足場へと跳びながら、ガイと影針の戦いが始まった!
0
あなたにおすすめの小説
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。
夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!
異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜
沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。
数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
レベルが上がらない【無駄骨】スキルのせいで両親に殺されかけたむっつりスケベがスキルを奪って世界を救う話。
玉ねぎサーモン
ファンタジー
絶望スキル× 害悪スキル=限界突破のユニークスキル…!?
成長できない主人公と存在するだけで周りを傷つける美少女が出会ったら、激レアユニークスキルに!
故郷を魔王に滅ぼされたむっつりスケベな主人公。
この世界ではおよそ1000人に1人がスキルを覚醒する。
持てるスキルは人によって決まっており、1つから最大5つまで。
主人公のロックは世界最高5つのスキルを持てるため将来を期待されたが、覚醒したのはハズレスキルばかり。レベルアップ時のステータス上昇値が半減する「成長抑制」を覚えたかと思えば、その次には経験値が一切入らなくなる「無駄骨」…。
期待を裏切ったため育ての親に殺されかける。
その後最高レア度のユニークスキル「スキルスナッチ」スキルを覚醒。
仲間と出会いさらに強力なユニークスキルを手に入れて世界最強へ…!?
美少女たちと冒険する主人公は、仇をとり、故郷を取り戻すことができるのか。
この作品はカクヨム・小説家になろう・Youtubeにも掲載しています。
{完結保証}規格外の最強皇子、自由に生きて無双する〜どこへ行っても、後世まで語られる偉業を残していく、常識外れの皇子〜
Saioonji
ファンタジー
母に殴られ、命を奪われた――そのはずだった。
だが目を覚ました先は、白く豪奢な王城の一室。
赤子の身体、仕えるメイド、そして“皇子”という立場。
前世では愛されず、名前すら価値を持たなかった少年が、
今度は世界の中心に生まれ落ちてしまった。
記憶を失ったふりをしながら、
静かに、冷静に、この世界を観察する皇子。
しかし彼の中には、すでに常識外れの思考と力が芽生えていた。
――これは復讐でも、救済でもない。
自由を求めただけの少年が、
やがて国を、歴史を、価値観そのものを揺るがしていく物語。
最強であることすら、彼にとってはただの前提条件だった。
重複投稿作品です
小説家になろうとカクヨムにも投稿しています。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる