フェアリー・フェロウ~追い出されたフーテン野郎だが、拾い物でまぁなんとか上手くいく~

マッサン

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2章

24 人の世に外れた物 9

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 兵隊怪獣どもを五行竜アショーカに任せ、ガイ達はジュエラドン本体に突撃した。
 敵も巨体で地響きを立てながらガイ達へ迫る。

 抜刀する骸骨武者機Sバスタードスカルが先頭に躍り出た。タリンが叫ぶ。
「行くぜ! アサルト……」
「私の後ろからにしろ!」
 慌ててその前に出るレレンのSレディバグ。
 分厚い背面装甲を敵へ向けて防御態勢に入る。

 が……ジュエラドンは熱線の束をブレスとして吐いた。
 それらは着弾地点で大爆発を起こす。
 まとめて爆発の嵐に巻き込まれ、タリンとレレンが「ぬううー!」「ウギャアァア!」と悲鳴をあげた。
 煙をあげて転がるスカルとレディバグ。

『身の程がわからん奴だな』
「ミノホド? なんだそりゃ食った事ねーな……」
 呆れる骸骨馬シロウに、タリンはひっくり返ったまま呻いた。

「いっしょにやられちゃった……」
「範囲攻撃はカバーし難いな」
 肩の上でイムが恐々と呟く声に、ガイも顔をしかめた。


「ならば別々に波状攻撃だ。私が仕掛けるから隙をつけ」
 ユーガンがそう通信を送り、Sブラスバットが高度を上げて飛ぶ。
「よし!」
 ガイは頷くと聖剣に珠紋石じゅもんせきをセットし、呪文を読み込ませた。
『アイスボール。ファイヤーボール』

 ブラスバットは敵の頭上を飛び越えて背中を狙う。
 急降下しながら打ち込む必殺剣!
「ブラッド……エンド!!」
 刃は赤いコウモリ状の魔力を吸い込み、黄金に輝く。それが怪獣の背に炸裂した!
 しかし……
「なにィ!?」
 驚愕するユーガン。

合成発動アマルガム……ファイヤーフリーザー!」
 ガイのサバイブキマイラは炎と冷気を同時に放つ。それは魔力により中和される事なく放たれた。
 だがしかし。
 その時、前進し続ける敵怪獣はガイ機のすぐ前に迫っていた!
 炎と冷気を真正面から食らいながら、微塵も効かず、意にも介さずに。

 敵は背にユーガン機の必殺剣が食い込んでいるのに、全く構わず前進していたのだ。

「バカな!?」
 驚愕するガイ機が踏みつぶされる。
「師匠!」
 スティーナが悲鳴をあげた途端、背に取り付いていたユーガン機が多数の鱗から放たれる熱線を食らって吹っ飛ばされた。

 運搬機の操縦席で茫然とするスティーナ。
 兵隊と本体の戦力差は、まさに大人と子供。ガイも哀れ土中に消えた……


 と思いきや。
「スティーナ……」
 そのガイの声が、通信機ごしにスティーナへ呼びかけたではないか。
「え?」
 戸惑うスティーナにガイが告げる。
「生存性重視は、大正解だったぜ」

 ジュエラドンの足の下から、剣を握るガイ機の腕が飛び出した!
 踏み潰されてもなお、サバイブキマイラはその頑丈な装甲で致命傷に至らず耐えたのである。
 そして剣を、己を踏む足へ突き立て、切り裂いた。

『サンダークラウド。エクスプロード』
 聖剣が呪文を読み込み、ガイが土中で叫ぶ。
「超電爆裂……一文字斬りぃ!!」

【エクスプロード】火領域6レベルの攻撃呪文。激しい爆炎が範囲内の敵を焼き払う。
【サンダークラウド】大気領域6レベルの攻撃呪文。雷雲が頭上に生じ、そこからの落雷が範囲内の敵を一掃する。

 五行属性において、雷は木に属し、木からは火が生じる。

 剣が眩い電撃を帯びた。手が柄を離した。
 同時に黒雲が上空を覆い、無数の落雷が生じる。
 落雷の雨はジュエラドンに降り注ぎ、鱗を流れて剣に向かい、剣に達し――ショート! 大爆発!
 食い込んだ剣が激しい爆発を起こしたため、怪獣の足が大きく穿うがたれ、えぐられる!

 初めてジュエラドンが苦悶に吠えた。
 巨体がバランスを維持できなくなり、小さな地震を起こして横倒しになる。

 そして初めて、この巨大で強大な改造古竜の弱点が露わになった。
 後ろに長く伸びた体形のせいで、バランスを失うとなかなか立て直せないのである。
 この怪獣を転倒させられるほどの存在が、この世界にいくつあるのかは別の話だが。

 起き上がろうと緩慢に四苦八苦する怪獣の足元から、自由になったリバイブキマイラが転がり出た。
 流石にダメージが大きく、全身に亀裂が走っている。すぐには攻撃に移れない。
 それを見たスティーナが必死に叫ぶ。
「今です! 集中砲火を!」

「承知!」
 応えるユーガン、ブラスバットが放つコウモリのような魔力塊達が超音波砲を撃つ!
「心得た!」
 応えるレレン、レディバグの拳が燃えて幾条もの熱線が放たれる!
 なんとか上体を起こした怪獣の、右半身と左半身をそれぞれが撃った。
 体中を走った電撃とその爆発により砕けていた怪獣の鱗が、さらに次々と砕けてゆく。

 そしてバスタードスカルも立ち上がった。
「来たぜきたぜクライマックスがよォー」
 タリンの呻きとともに虎のようなオーラが立ち昇った。
 その横に骸骨のカエル怪獣が、土中から這い出して来る。
 不死アンデッド怪獣は敵へ跳ぶ……事なくタリン機を抱えて敵へと思いきりブン投げた。
 取り残された虎のオーラが汗を飛ばして焦るが、ともかくスカルは敵の頭上へ!
「食らえオラァー!」
 渾身の刃がジュエラドン本体のひび割れた頭部に突き刺さった!
 身を捩って吠える改造魔竜。

 振り飛ばされ、臀部を上げて地面にめり込んだスカルの操縦席でタリンが死にそうになりながら勝ち誇る。
「見たか……トリプルアサルトタイガーを……」
『よくやった。もう永遠に寝ていいぞ』
 骸骨馬のシロウがねぎらいの言葉をかける。
「そんな名前か……」
 同時攻撃につけられた名称に、露骨に嫌そうな顔をするレレン。
(まぁ構わんが……)
 ちょっぴり納得しかねがらも、ユーガンの方は黙っていた。


 それでも、ジュエラドンは最後の力を振り絞ってブレスを吐こうとした。
 しかし――

『サンダー・ボルト』

【サンダー・ボルト】大気領域第5レベルの攻撃呪文。大気中より集まった雷電を敵に落とす。

 聖剣が呪文を読み込み、稲妻が天から落ちた。
 それはタリンが突き刺した剣に落ちる!
 そして頭より流れ込む……怪獣の体内へ。

 自機の剣が吹き飛び、作り置きの珠紋石じゅもんせきも尽きかけていたガイには、操縦席で即席に作る事ができるアイテムしか使う事はできなかった。
 だが――もはやそれで充分だったのだ。

 全身の亀裂が一気に深まった。
 そして――大爆発!
 ジュエラドン本体は巨大な噴煙と化し、粉々に飛び散った。

 天変地異と扱われた古代の魔竜を人為的に強化改造した、狂気の産物……それがついに滅んだ。
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