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4話 絡まざるは兄弟
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『風邪って聞いたけど。家行こうか?』
『必要ない』
返信した覚えのないメッセージに目がとまったのは、完全に熱が下がった日の夜だった。
相手はよりにもよって久しぶりに連絡してきたオルガン奏者。牧師が他意なく教えたのだろう。普段であれば高熱が良識を奪ったのだと自身に失望するところだが、今回はもうひとつの可能性が残されている。それも、かなり濃厚に。
同居人として居座る“開く者”は、スマホのロックくらい簡単に外してしまうのである。
「やったのはお前か」
「おれだが」
メッセージ画面を突きつけても犯人はまるで悪びれなかった。寝惚けたことをと嗤わんばかりに片眉を持ちあげ、晴澄の鼻先をつつく。
「このおれが世話してやっていたのだから、必要ないのは事実だろう。それともおまえは 別れた男の顔を見れば体調がよくなるのか」
相手が誰なのか承知の上で返信したらしい。つくづくたちが悪い。
「……断るにしても言い方がある。変に波風を立てたくはないんだ」
「穏便に済ませたいと? はあ、元を辿ればその男がおまえに風邪を引かせたというに。事なかれ主義の何が面白い、ハル」
溜息をつきたいのはこちらである。確かにあの夜を原因とするのは正しいが、自棄酒などに走った晴澄の自己責任と不運が招いた事態であり、元恋人のせいにするのはお門違いだ。そして、面白おかしく生きたいと思ったことなど生涯一度もない。
しかし論点はそこではなかった。元恋人の厚意を無碍にしたことをこれ以上責める気はない。ただ、過ぎたことだと今回の件を容認すれば、いずれ晴澄の社会生活に支障をきたすだろう。ろくに言葉が通じない彼にもわかりやすいよう、迂遠に訴えかけるのはやめて、切なる要望に切りかえてみる。
「頼むから……勝手に返事をするのだけはやめてくれ」
人間の形はしているものの、彼──ヴェスナは人ならざる存在だ。常識外れはある程度寛大に受けとめた上で、対話による理解を図っていかなければ。
「よかろう。それ以外は何でも許すということだな?」
「は?」
しかしてまっすぐ投げたはずのボールは、次元を突き抜ける速度でうなじにめりこんでくる。
「まあ、どうあれおまえの許しを求めるつもりもないのだが」
煌めく双眸に宇宙が広がる。開きっ放しの瞳孔が時を止めて、気付いたときにはソファに組み敷かれていた。
悪魔の笑みで埋まる視界。酷い既視感だった。接しているのが床や壁ではないため、背中が痛まないのがまだ救いである。この短期間でこうも手荒な真似を繰りかえす横暴さにはいっそ感心してしまう。
「回復したなら容赦はしない。おとなしくしていろよ」
──そういえば昨日、手酷く扱うとか何とか宣言していたか。噎せかえるほどの妖艶さにも慣れてきたようで、どこか他人事のように思い出していた。
「……おい。最初の夜の勢いはどうした」
やがて彼は不機嫌そうに唸り声をあげた。やわらかな指先がどこに何を施そうと、晴澄の眉間が皺を刻んだまま固まっていたからだ。
「近頃の風邪薬には不感症を誘発する成分でも入っているのか?」
「別に副作用じゃない……意に沿わない行為で悦べるほど若くないだけだ。だからこの間のことは忘れてくれと」
「百戦錬磨の美青年を前にしてよくもそんなことが言えるな」
「そっちこそ自分で言うな。腕も顔も関係ない。好みでもないし」
「ふ、はは。やはりあのとき凍死させておくべきだった。今からでも外に放り出してやろうか」
これまで超然とした態度を崩さなかったヴェスナだが、傲岸不遜なだけに今の発言は癇に障ったらしい。今夜は吹雪でこそないものの、裸に剥かれた状態で放り出されれば普通に死ぬのでやめてほしい。
脳裏に蘇るのは過去の色恋。乖離していく心を宥めるのに必死で、体が先に機能を損なうのはいつものパターンである。
ひりつく空気にかえって余裕が生まれ、晴澄は動かなくなったつむじに自嘲混じりの声をかけた。
「……恋人にも遊び相手にも向かないのは自覚してる。傷が浅いうちによそを当たったらどうだ」
「何だそれ。おまえ、恋人にも同じことを言ってきたのか」
「まっとうな人間は言わなくても察する」
「は、確かにこのざまではな」
からかうように下腹を這う指。それ自体が不愉快なわけではないが、同時にまじまじと顔を見つめられるのはさすがに気まずい。
しかし、ヴェスナはここで初めての行動に出た。
その瞼を晴澄の手で覆わせたかと思えば、長い睫毛で掌をくすぐる。つまり──目を“閉じた”のだ。
唇を湿していた甘い呼吸が滞る。重なっている心音も、弱く緩やかになっていく。徐々に速度を上げる自身のそれが、彼の存在を上塗りしてしまうほどに。
「……ヴェスナ?」
腕の中に残された体温を思わず抱き寄せたが反応はなく、胸に寝そべる肉体が重くなったようにさえ感じられた。
四肢を巡る血の感触が気色悪い。足首を舐めるさざ波のような衝動が脊髄に響き、知らず彼の白い顎を持ちあげていた。
親指で最後の躊躇を拭い、物言わぬ場所に口づける。差し入れた舌が熱い粘膜に包まれ、擦りつけるような蠢きで迎えられて、微かな安堵に唾を呑む。
「……っふ、……」
無意識の確認を終えても戯れじみた接触は続いた。息を交え、舌を食んでいるうちにしなやかな両腕で首を抱かれ、例の香りに閉じこめられる。心臓が震え、晴澄もいつしか彼の頬に手を回していた。
紫紺の瞳がうっすらと開かれる。罠にかかった獲物に向ける残忍な目つきが至近距離にあることで、のぼせかけていた頭がわずかに冷えた。現実の糾弾から逃れるように、至極どうでもいいことを口に上らせる。
「目を瞑れるとは知らなかった」
「意識さえすれば難しくはないさ。多少息が詰まるがな。意に沿わんというなら仕方ない、おまえの作法に従ってその気にさせるまでだ」
ちゅ、とわざとらしく唇を啄み、ヴェスナは再び晴澄の臍をなぞってみせた。
「それで? おまえはどうしたい、ハル」
乱れた金糸の絡むうなじ。
髪筋から覗くのは紅潮した耳殻。
なめらかな背中に落ちた汗の雫が、腰骨を伝い落ちてソファに染みを作る。
彼の自由を制すように、力がこもり白くなった手を指で縫いとめ、漲る獣欲を沈めていく。
「は、……ッんん、──」
蕩けた喘ぎが沈黙を揺らし、雄の本能を刺激する。
後ろから責めたてられるのは好まないだろうと勝手に思っていたが、存外自尊心一辺倒の男ではないらしい。あるいは単なる色狂いなのか。前戯を飛ばした丁寧とは言えぬ扱いに、声こそ抑え気味であるものの、淫猥な腰つきで応じている。
熱い肌はやわらかで、もたらされる快楽も、すべてを搾り取られそうではあるが害はない。人ではない者との行為に溺れている自分の存在だけが違和感として残っているが、いずれ消失するだろう。曝け出された彼の細い首に自ら口づけを落とし、硬く尖った胸の頂を、濡れそぼったその性器を愛撫する。
「……ハル、ぁ……んっ、はやく……っ」
「ん……」
請われるがまま奥を抉って、精を吐き出し、晴澄は陶酔に震えるヴェスナの肩に額を埋めた。
彼から力が抜けていくのが伝わってくるも、それを支えてやれる余力はない。互いに姿勢を維持できなくなり、折り重なるような形でその場に突っ伏す。
「──おもい」
文句を言われてもすぐに体は起こせないが、彼を押し潰しているのは事実なので、抱きかかえるようにしてソファの上で横になる。そのまま晴澄の腕の中でぐるりと向きを変えたヴェスナは、嗄れた喉を満足そうに鳴らして笑みを見せた。
「が、やはり悪くない」
減らず口が、とは思ったものの、抱いた感慨がまるで同じだったために、反論せずただ唇を塞ぐ。
まったく。死者よりもあたたかく、生者よりもシンプルだが、誰よりもやかましいのが難点である。
けっして恋人ではない。望んで体を繋げてさえ、愛おしいとも愛されているとも感じない。在るのは居心地のよい薄情さのみだ。
これまでの自分の人生では考えられないような関係がはじまったことに、今は拳を握りしめるのが精一杯だった。
『必要ない』
返信した覚えのないメッセージに目がとまったのは、完全に熱が下がった日の夜だった。
相手はよりにもよって久しぶりに連絡してきたオルガン奏者。牧師が他意なく教えたのだろう。普段であれば高熱が良識を奪ったのだと自身に失望するところだが、今回はもうひとつの可能性が残されている。それも、かなり濃厚に。
同居人として居座る“開く者”は、スマホのロックくらい簡単に外してしまうのである。
「やったのはお前か」
「おれだが」
メッセージ画面を突きつけても犯人はまるで悪びれなかった。寝惚けたことをと嗤わんばかりに片眉を持ちあげ、晴澄の鼻先をつつく。
「このおれが世話してやっていたのだから、必要ないのは事実だろう。それともおまえは 別れた男の顔を見れば体調がよくなるのか」
相手が誰なのか承知の上で返信したらしい。つくづくたちが悪い。
「……断るにしても言い方がある。変に波風を立てたくはないんだ」
「穏便に済ませたいと? はあ、元を辿ればその男がおまえに風邪を引かせたというに。事なかれ主義の何が面白い、ハル」
溜息をつきたいのはこちらである。確かにあの夜を原因とするのは正しいが、自棄酒などに走った晴澄の自己責任と不運が招いた事態であり、元恋人のせいにするのはお門違いだ。そして、面白おかしく生きたいと思ったことなど生涯一度もない。
しかし論点はそこではなかった。元恋人の厚意を無碍にしたことをこれ以上責める気はない。ただ、過ぎたことだと今回の件を容認すれば、いずれ晴澄の社会生活に支障をきたすだろう。ろくに言葉が通じない彼にもわかりやすいよう、迂遠に訴えかけるのはやめて、切なる要望に切りかえてみる。
「頼むから……勝手に返事をするのだけはやめてくれ」
人間の形はしているものの、彼──ヴェスナは人ならざる存在だ。常識外れはある程度寛大に受けとめた上で、対話による理解を図っていかなければ。
「よかろう。それ以外は何でも許すということだな?」
「は?」
しかしてまっすぐ投げたはずのボールは、次元を突き抜ける速度でうなじにめりこんでくる。
「まあ、どうあれおまえの許しを求めるつもりもないのだが」
煌めく双眸に宇宙が広がる。開きっ放しの瞳孔が時を止めて、気付いたときにはソファに組み敷かれていた。
悪魔の笑みで埋まる視界。酷い既視感だった。接しているのが床や壁ではないため、背中が痛まないのがまだ救いである。この短期間でこうも手荒な真似を繰りかえす横暴さにはいっそ感心してしまう。
「回復したなら容赦はしない。おとなしくしていろよ」
──そういえば昨日、手酷く扱うとか何とか宣言していたか。噎せかえるほどの妖艶さにも慣れてきたようで、どこか他人事のように思い出していた。
「……おい。最初の夜の勢いはどうした」
やがて彼は不機嫌そうに唸り声をあげた。やわらかな指先がどこに何を施そうと、晴澄の眉間が皺を刻んだまま固まっていたからだ。
「近頃の風邪薬には不感症を誘発する成分でも入っているのか?」
「別に副作用じゃない……意に沿わない行為で悦べるほど若くないだけだ。だからこの間のことは忘れてくれと」
「百戦錬磨の美青年を前にしてよくもそんなことが言えるな」
「そっちこそ自分で言うな。腕も顔も関係ない。好みでもないし」
「ふ、はは。やはりあのとき凍死させておくべきだった。今からでも外に放り出してやろうか」
これまで超然とした態度を崩さなかったヴェスナだが、傲岸不遜なだけに今の発言は癇に障ったらしい。今夜は吹雪でこそないものの、裸に剥かれた状態で放り出されれば普通に死ぬのでやめてほしい。
脳裏に蘇るのは過去の色恋。乖離していく心を宥めるのに必死で、体が先に機能を損なうのはいつものパターンである。
ひりつく空気にかえって余裕が生まれ、晴澄は動かなくなったつむじに自嘲混じりの声をかけた。
「……恋人にも遊び相手にも向かないのは自覚してる。傷が浅いうちによそを当たったらどうだ」
「何だそれ。おまえ、恋人にも同じことを言ってきたのか」
「まっとうな人間は言わなくても察する」
「は、確かにこのざまではな」
からかうように下腹を這う指。それ自体が不愉快なわけではないが、同時にまじまじと顔を見つめられるのはさすがに気まずい。
しかし、ヴェスナはここで初めての行動に出た。
その瞼を晴澄の手で覆わせたかと思えば、長い睫毛で掌をくすぐる。つまり──目を“閉じた”のだ。
唇を湿していた甘い呼吸が滞る。重なっている心音も、弱く緩やかになっていく。徐々に速度を上げる自身のそれが、彼の存在を上塗りしてしまうほどに。
「……ヴェスナ?」
腕の中に残された体温を思わず抱き寄せたが反応はなく、胸に寝そべる肉体が重くなったようにさえ感じられた。
四肢を巡る血の感触が気色悪い。足首を舐めるさざ波のような衝動が脊髄に響き、知らず彼の白い顎を持ちあげていた。
親指で最後の躊躇を拭い、物言わぬ場所に口づける。差し入れた舌が熱い粘膜に包まれ、擦りつけるような蠢きで迎えられて、微かな安堵に唾を呑む。
「……っふ、……」
無意識の確認を終えても戯れじみた接触は続いた。息を交え、舌を食んでいるうちにしなやかな両腕で首を抱かれ、例の香りに閉じこめられる。心臓が震え、晴澄もいつしか彼の頬に手を回していた。
紫紺の瞳がうっすらと開かれる。罠にかかった獲物に向ける残忍な目つきが至近距離にあることで、のぼせかけていた頭がわずかに冷えた。現実の糾弾から逃れるように、至極どうでもいいことを口に上らせる。
「目を瞑れるとは知らなかった」
「意識さえすれば難しくはないさ。多少息が詰まるがな。意に沿わんというなら仕方ない、おまえの作法に従ってその気にさせるまでだ」
ちゅ、とわざとらしく唇を啄み、ヴェスナは再び晴澄の臍をなぞってみせた。
「それで? おまえはどうしたい、ハル」
乱れた金糸の絡むうなじ。
髪筋から覗くのは紅潮した耳殻。
なめらかな背中に落ちた汗の雫が、腰骨を伝い落ちてソファに染みを作る。
彼の自由を制すように、力がこもり白くなった手を指で縫いとめ、漲る獣欲を沈めていく。
「は、……ッんん、──」
蕩けた喘ぎが沈黙を揺らし、雄の本能を刺激する。
後ろから責めたてられるのは好まないだろうと勝手に思っていたが、存外自尊心一辺倒の男ではないらしい。あるいは単なる色狂いなのか。前戯を飛ばした丁寧とは言えぬ扱いに、声こそ抑え気味であるものの、淫猥な腰つきで応じている。
熱い肌はやわらかで、もたらされる快楽も、すべてを搾り取られそうではあるが害はない。人ではない者との行為に溺れている自分の存在だけが違和感として残っているが、いずれ消失するだろう。曝け出された彼の細い首に自ら口づけを落とし、硬く尖った胸の頂を、濡れそぼったその性器を愛撫する。
「……ハル、ぁ……んっ、はやく……っ」
「ん……」
請われるがまま奥を抉って、精を吐き出し、晴澄は陶酔に震えるヴェスナの肩に額を埋めた。
彼から力が抜けていくのが伝わってくるも、それを支えてやれる余力はない。互いに姿勢を維持できなくなり、折り重なるような形でその場に突っ伏す。
「──おもい」
文句を言われてもすぐに体は起こせないが、彼を押し潰しているのは事実なので、抱きかかえるようにしてソファの上で横になる。そのまま晴澄の腕の中でぐるりと向きを変えたヴェスナは、嗄れた喉を満足そうに鳴らして笑みを見せた。
「が、やはり悪くない」
減らず口が、とは思ったものの、抱いた感慨がまるで同じだったために、反論せずただ唇を塞ぐ。
まったく。死者よりもあたたかく、生者よりもシンプルだが、誰よりもやかましいのが難点である。
けっして恋人ではない。望んで体を繋げてさえ、愛おしいとも愛されているとも感じない。在るのは居心地のよい薄情さのみだ。
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