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1章
10話
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作戦会議の後、資料の編纂が得意な僧侶によって内容が纏められそれが各自の手に渡った。
政府も協力的になり、あれから数日経った今、例の新興宗教は閉鎖及び、逮捕者が続出することになった。
工事も順調に進んでいるが、妨害が入らないように僧侶と警察と自衛隊員が各所に常駐している。なお、僧侶への日当5万円の出どころも僕の懐からだ。
流石に無給だと家族がくいっぱぐれるとのことだ。
なお、政府から神社仏閣の責任者に国民を護るための経や祝詞をあげてもらうように声がかかったそうだ。その結果、目に見えてアレに関する力は停滞したように見えた。
ここ数日は家で特訓をし、夜に悪霊を狩りまくる生活をしていた。やはり、山の周辺は大変なことになっており、一晩で平均600近くの悪霊を始末している。合計で約78億円の利益だった。
あの山に出没する悪霊の強さが並ではなかったのだ。
元の結界は内部から出さないようにする効果だったが、もう一つずつ仮設で地蔵を置き、内部への侵入を防ぐ結界を張った。
“霊力妨害の指輪”はいい働きをしており、つけ始めて数日だが、霊力を使った大抵の術の効率や効果、発動までの速さなどが上昇した。
1週間後の夜、自衛隊のジープで例の教団の施設に送られた。車から刀袋と一緒に降りる。
刀袋には封印用の魔法陣やルーン文字が縫い込まれ、その内の呪具である太刀の鞘にも大量の封印用の御札を張り付けてある。
たった数日であるが食わせ過ぎたらしく、鞘に入っている状態ですら周囲の人を呪殺することも容易な力を手に入れてしまったからだ。
僕が常時霊力で抑えることは面倒なのでこういう手段を取っているが、それでも完ぺきではない。
さて、ここの施設は予想通り、教団で歪な神が生み出されていたらしい。
自衛隊の人は外で待機だ。僕の応援で見たり聞いたりできる僧侶が来ており、緊張しながらもやばいときには自衛隊の人に指示を出して撤退する手筈になっている。
建物の中に入って施設の電気をつける。その空間は大型のドームのような作りをしていた。プレートを見れば、礼拝堂とか祈祷の間とか呼ばれていたらしい。正面にシンボルマークを入れた額縁が掲げられている。
その前に存在する化け物。
極彩色の巨大な芋虫に人間の手が足として左右3本ずつ生え、その上に人間の女の腰から上が生えており、豊満な胸を晒している。目玉は中央に大きいものが一つ。鼻はなく、小ぶりな口がついていた。上半身の腕は左右に2本ずつの計4本。それぞれが西洋風の槍を持っている。髪は腰までの長さがあり、逆立っていた。その髪も極彩色だった。
「神力3と霊力3と呪力4のハイブリットといったところか」
それは片足と半分ほど神の領域に入っている怪物だった。既に“霊力妨害の指輪”は外してある。濃く分厚い霊力を重ねるように纏った。
呪具を取り出して不要になった刀袋は隅に投げ捨て、御札ばかりの打刀を引き抜く。
「“祟り刀躯晒し髑髏”」
その刃を晒せば、鞘と鍔に貼っていた封印用の札が悉く朽ち果てる。呪いが拡散する前に僕の霊力で抑え込み指向性を持たせる。
総数2000近いそれなりの悪霊を切って来たことで“躯晒し”は格を上げた。半ば付喪神に近い何かになりかけているらしい。
だから呪具としての名も変わった。
こちらを認識した直後、怪物は極彩色の蝶を無数に飛ばす。
触れたら精神が滅びることを感じた。
僕はその全てを縦横無尽に回避しつつ、この“祟り刀躯晒し髑髏”で斬り裂く。
剣技に体の使い方はすっかり身についた。
怪物に接近し、一太刀食らわす。
とんでもない量のエネルギーを霊力に返還して奪い、その6割を僕が、残りの4割を祟り刀躯晒し髑髏が吸収する。
僕を4つの手が持つ槍が襲う。
その全てを磨かれた足さばきで回避する。
刀を使い続けることで肉体に刷り込まれた技術だ。
普通の刀を使っても同じ動きができるほどに体に馴染んでいる。
腕を3本同時に切り飛ばす。残りの一本が持っている槍を足場に、尋常ではない身体能力でもって跳躍し、その首に一太刀を入れることに成功した。
胴体と首が泣き別れる。
僕はその胴体を踏み台にして地面に着地する。霊力を纏っていればある程度霊体に物理干渉が可能だ。
振り返り、芋虫の方も切り刻む。
その都度還元される霊力を僕と祟り刀躯晒し髑髏で6対4に分ける。とんでもないエネルギー量だ。
例の指輪で事前に負荷をかけて修練していなかったら制御しきれなかったと思う。恐らく、エネルギー量だけで見たら僕よりも格上だ。でも、祟り刀躯晒し髑髏があれば僕の方が格上になる。
「とっとと去ね」
その瞬間、僕はそれの全身を賽子ステーキの如くバラバラにした。剣の技巧がかなり上昇したから出来るようになったことだ。
強度や結合、密度が弱い線や点になっているところを切る。たったそれだけで格上であるはずのこれを蹂躙できている。
あれ?剣の超絶技巧とか達人的な話になってしまったかもしれない。
並行して膨大に流入してくるエネルギーの分配及び吸収。やることが多く、忙しい。
じゃじゃ馬な祟り刀躯晒し髑髏は主導権をよこせと僕を呪いのこもった霊力で侵食してくる。
幾つ作業を並行しているのかという具合だ。
半蟲半人は賽子状になった瞬間、パン生地のように纏まり、すぐさま再生する。
「再生……。回復?それとも再構成?核があれば早いんだけれど消耗戦か……」
僕は無駄なことを考えるのを辞め、スプラックの製造に興じた。
時折、ポルターガイストと呼ばれる現象、サイコキネシスじみた物体浮遊で椅子や机、割れたガラスなどそんなものを僕にぶつけて攻撃しようとして来る。
「遠隔……、式神みたいなものか?」
大きめのものは回避するか、刀で切り払うが、それでも僕の体に確かな傷を付けた。ガラスは思ったよりも切断力が高い上に切り払い難い。
服が裂け全身血だらけのズタボロになりながら僕は動くのを辞めない。
傷つくのは痛い。痛いからどうした?
僕の固有能力で霊力を消費し、傷がついた瞬間には異物の排出と肉体の再生が完了している。
「ナゼダ ナゼダ ナゼダ!?」
半蟲半人は小さな口でそう呪うに呟く。僕はそれが実戦経験が乏しいと判断した。攻撃のせいで自然と距離があいてしまった。
アレとの距離は10メートル。その間には瓦礫の山が転がっている。足場が悪い。
「コ イ!」
それが完全体の上半身にある4本の腕の掌を地面に向けた。
コンクリートで舗装された床が4ヵ所アレを護るように割れ、4つのそれが這い出して来る。
アレの命令でそれらは武器を持って襲いかかってくる。
「成り代わりって感じじゃないな。魂がある。……体内に芋虫……。寄生と支配か?」
4人の人間だった。
それらの体内には人差し指サイズの芋虫のような何かが潜伏していた。霊力とも呪いとも神の分体とも見える。
セーラー服を着た女子高生。和服を着た老齢の女性。袈裟を着た僧侶。壮年の痩せ型の男性。
4人はそれぞれが厄介な呪具や霊具を持っていた。
全員が恐らく霊能力者かその類であることが僕の目には分る。
セーラー服を着た女子高生は数珠が連なる刀を持っていた。和服を着た老齢の女性は体を中心に目測で16枚の札を宙に浮かべていた。袈裟を着た僧侶は鎖のように長い数珠を宙に浮かべている。壮年の痩せ型の男性は呪具と思わしき鉄扇を手にしていた。
どの人も2週間くらい前の僕なら軽く負けていたような実力者しかいない。
特に厄介なのはセーラー服の女子高生。あの刀状の呪具は……。
「面倒な……」
僕は僕の体に加速系の呪いをかける。霊術の応用だ。それにより僕は異次元の速さを得た。
まあ、本来は自己回復系の呪いなどを併用しないと肉体が使い物にならなくなるのだが、僕の場合固有能力でその辺りのスペックは元から高い。
「“縮地”」
武術的な縮地と、霊力を用いた呪い的な瞬間的筋力の超強化による距離を詰める技術の併用で、10メートル近くの距離を一瞬でつめ、死角よりまずは少女の四肢を壊すために折った。
“祟り刀躯晒し髑髏”で切ってしまえば確実に死亡するので素手での殴る蹴るでだ。刀を蹴飛ばしておくのも忘れない。
動けなくなったのを確認し、次に移ろうかというところで僕は転んでしまった。見れば足に僧侶の鎖のような数珠が絡みついている。
僕の体から霊力を吐き出させる効果があるようだ。“祟り刀躯晒し髑髏”との霊力の綱引きよりかは楽なモノなので実質拘束されている以外に問題はない。
更に、和服を着た老齢の女性の体を中心に浮いていた16枚の札の2枚が、僕に飛んでくる。
「へー、封印と弱体化かな?」
どうやら札にそれぞれ何らかの効果があるらしい。
それは僕と、“祟り刀躯晒し髑髏”に張り付いた。だが、“祟り刀躯晒し髑髏”に張り付いた方は一瞬で吹き飛び、僕に張り付いた弱体化の方もボロボロになってはがれた。
脚に絡んでいた数珠をぶちぶちと引きちぎる。
鉄扇を持った男が僕を扇いで来るが、どうやらデバフ系の風を発生させているらしく、その程度の呪いの出力では僕には効かない。彼らに距離を詰め、四肢の骨を粉砕する。
余裕があったのでどうにか気絶までさせた。
そして、遠隔ではあるが霊力で彼らの中に巣くっている虫を押し出し、“祟り刀躯晒し髑髏”でとどめを刺した。
呆気ないものだった。
気を取り直し、半蟲半人に目をやるとかなり消耗しているようでふらつき気味だった。だから僕は留めとばかりに“祟り刀躯晒し髑髏”で攻撃する。
斬り裂き、突き刺し、数百、数千、数万回は切り刻んだ。
自衛隊員が様子を見に来る頃になってようやく半蟲半人のアレは消え去った。
あとに残されるのは重傷者4名と、神擬きが残した極彩色の髪の毛だけだった。
4人を固有能力で回復させると有岡さんのお寺に別の車で運ばせた。僕はその脚で例の山に運んでもらい、悪霊の間引きを行う。結界内に出入りが出来ないようになったせいで結界の外縁部に悪霊たちが密集しているのだ。
例の神擬き討伐によって“祟り刀躯晒し髑髏”はもっと進化した。僕はその制御のためにまい進するのであった。
政府も協力的になり、あれから数日経った今、例の新興宗教は閉鎖及び、逮捕者が続出することになった。
工事も順調に進んでいるが、妨害が入らないように僧侶と警察と自衛隊員が各所に常駐している。なお、僧侶への日当5万円の出どころも僕の懐からだ。
流石に無給だと家族がくいっぱぐれるとのことだ。
なお、政府から神社仏閣の責任者に国民を護るための経や祝詞をあげてもらうように声がかかったそうだ。その結果、目に見えてアレに関する力は停滞したように見えた。
ここ数日は家で特訓をし、夜に悪霊を狩りまくる生活をしていた。やはり、山の周辺は大変なことになっており、一晩で平均600近くの悪霊を始末している。合計で約78億円の利益だった。
あの山に出没する悪霊の強さが並ではなかったのだ。
元の結界は内部から出さないようにする効果だったが、もう一つずつ仮設で地蔵を置き、内部への侵入を防ぐ結界を張った。
“霊力妨害の指輪”はいい働きをしており、つけ始めて数日だが、霊力を使った大抵の術の効率や効果、発動までの速さなどが上昇した。
1週間後の夜、自衛隊のジープで例の教団の施設に送られた。車から刀袋と一緒に降りる。
刀袋には封印用の魔法陣やルーン文字が縫い込まれ、その内の呪具である太刀の鞘にも大量の封印用の御札を張り付けてある。
たった数日であるが食わせ過ぎたらしく、鞘に入っている状態ですら周囲の人を呪殺することも容易な力を手に入れてしまったからだ。
僕が常時霊力で抑えることは面倒なのでこういう手段を取っているが、それでも完ぺきではない。
さて、ここの施設は予想通り、教団で歪な神が生み出されていたらしい。
自衛隊の人は外で待機だ。僕の応援で見たり聞いたりできる僧侶が来ており、緊張しながらもやばいときには自衛隊の人に指示を出して撤退する手筈になっている。
建物の中に入って施設の電気をつける。その空間は大型のドームのような作りをしていた。プレートを見れば、礼拝堂とか祈祷の間とか呼ばれていたらしい。正面にシンボルマークを入れた額縁が掲げられている。
その前に存在する化け物。
極彩色の巨大な芋虫に人間の手が足として左右3本ずつ生え、その上に人間の女の腰から上が生えており、豊満な胸を晒している。目玉は中央に大きいものが一つ。鼻はなく、小ぶりな口がついていた。上半身の腕は左右に2本ずつの計4本。それぞれが西洋風の槍を持っている。髪は腰までの長さがあり、逆立っていた。その髪も極彩色だった。
「神力3と霊力3と呪力4のハイブリットといったところか」
それは片足と半分ほど神の領域に入っている怪物だった。既に“霊力妨害の指輪”は外してある。濃く分厚い霊力を重ねるように纏った。
呪具を取り出して不要になった刀袋は隅に投げ捨て、御札ばかりの打刀を引き抜く。
「“祟り刀躯晒し髑髏”」
その刃を晒せば、鞘と鍔に貼っていた封印用の札が悉く朽ち果てる。呪いが拡散する前に僕の霊力で抑え込み指向性を持たせる。
総数2000近いそれなりの悪霊を切って来たことで“躯晒し”は格を上げた。半ば付喪神に近い何かになりかけているらしい。
だから呪具としての名も変わった。
こちらを認識した直後、怪物は極彩色の蝶を無数に飛ばす。
触れたら精神が滅びることを感じた。
僕はその全てを縦横無尽に回避しつつ、この“祟り刀躯晒し髑髏”で斬り裂く。
剣技に体の使い方はすっかり身についた。
怪物に接近し、一太刀食らわす。
とんでもない量のエネルギーを霊力に返還して奪い、その6割を僕が、残りの4割を祟り刀躯晒し髑髏が吸収する。
僕を4つの手が持つ槍が襲う。
その全てを磨かれた足さばきで回避する。
刀を使い続けることで肉体に刷り込まれた技術だ。
普通の刀を使っても同じ動きができるほどに体に馴染んでいる。
腕を3本同時に切り飛ばす。残りの一本が持っている槍を足場に、尋常ではない身体能力でもって跳躍し、その首に一太刀を入れることに成功した。
胴体と首が泣き別れる。
僕はその胴体を踏み台にして地面に着地する。霊力を纏っていればある程度霊体に物理干渉が可能だ。
振り返り、芋虫の方も切り刻む。
その都度還元される霊力を僕と祟り刀躯晒し髑髏で6対4に分ける。とんでもないエネルギー量だ。
例の指輪で事前に負荷をかけて修練していなかったら制御しきれなかったと思う。恐らく、エネルギー量だけで見たら僕よりも格上だ。でも、祟り刀躯晒し髑髏があれば僕の方が格上になる。
「とっとと去ね」
その瞬間、僕はそれの全身を賽子ステーキの如くバラバラにした。剣の技巧がかなり上昇したから出来るようになったことだ。
強度や結合、密度が弱い線や点になっているところを切る。たったそれだけで格上であるはずのこれを蹂躙できている。
あれ?剣の超絶技巧とか達人的な話になってしまったかもしれない。
並行して膨大に流入してくるエネルギーの分配及び吸収。やることが多く、忙しい。
じゃじゃ馬な祟り刀躯晒し髑髏は主導権をよこせと僕を呪いのこもった霊力で侵食してくる。
幾つ作業を並行しているのかという具合だ。
半蟲半人は賽子状になった瞬間、パン生地のように纏まり、すぐさま再生する。
「再生……。回復?それとも再構成?核があれば早いんだけれど消耗戦か……」
僕は無駄なことを考えるのを辞め、スプラックの製造に興じた。
時折、ポルターガイストと呼ばれる現象、サイコキネシスじみた物体浮遊で椅子や机、割れたガラスなどそんなものを僕にぶつけて攻撃しようとして来る。
「遠隔……、式神みたいなものか?」
大きめのものは回避するか、刀で切り払うが、それでも僕の体に確かな傷を付けた。ガラスは思ったよりも切断力が高い上に切り払い難い。
服が裂け全身血だらけのズタボロになりながら僕は動くのを辞めない。
傷つくのは痛い。痛いからどうした?
僕の固有能力で霊力を消費し、傷がついた瞬間には異物の排出と肉体の再生が完了している。
「ナゼダ ナゼダ ナゼダ!?」
半蟲半人は小さな口でそう呪うに呟く。僕はそれが実戦経験が乏しいと判断した。攻撃のせいで自然と距離があいてしまった。
アレとの距離は10メートル。その間には瓦礫の山が転がっている。足場が悪い。
「コ イ!」
それが完全体の上半身にある4本の腕の掌を地面に向けた。
コンクリートで舗装された床が4ヵ所アレを護るように割れ、4つのそれが這い出して来る。
アレの命令でそれらは武器を持って襲いかかってくる。
「成り代わりって感じじゃないな。魂がある。……体内に芋虫……。寄生と支配か?」
4人の人間だった。
それらの体内には人差し指サイズの芋虫のような何かが潜伏していた。霊力とも呪いとも神の分体とも見える。
セーラー服を着た女子高生。和服を着た老齢の女性。袈裟を着た僧侶。壮年の痩せ型の男性。
4人はそれぞれが厄介な呪具や霊具を持っていた。
全員が恐らく霊能力者かその類であることが僕の目には分る。
セーラー服を着た女子高生は数珠が連なる刀を持っていた。和服を着た老齢の女性は体を中心に目測で16枚の札を宙に浮かべていた。袈裟を着た僧侶は鎖のように長い数珠を宙に浮かべている。壮年の痩せ型の男性は呪具と思わしき鉄扇を手にしていた。
どの人も2週間くらい前の僕なら軽く負けていたような実力者しかいない。
特に厄介なのはセーラー服の女子高生。あの刀状の呪具は……。
「面倒な……」
僕は僕の体に加速系の呪いをかける。霊術の応用だ。それにより僕は異次元の速さを得た。
まあ、本来は自己回復系の呪いなどを併用しないと肉体が使い物にならなくなるのだが、僕の場合固有能力でその辺りのスペックは元から高い。
「“縮地”」
武術的な縮地と、霊力を用いた呪い的な瞬間的筋力の超強化による距離を詰める技術の併用で、10メートル近くの距離を一瞬でつめ、死角よりまずは少女の四肢を壊すために折った。
“祟り刀躯晒し髑髏”で切ってしまえば確実に死亡するので素手での殴る蹴るでだ。刀を蹴飛ばしておくのも忘れない。
動けなくなったのを確認し、次に移ろうかというところで僕は転んでしまった。見れば足に僧侶の鎖のような数珠が絡みついている。
僕の体から霊力を吐き出させる効果があるようだ。“祟り刀躯晒し髑髏”との霊力の綱引きよりかは楽なモノなので実質拘束されている以外に問題はない。
更に、和服を着た老齢の女性の体を中心に浮いていた16枚の札の2枚が、僕に飛んでくる。
「へー、封印と弱体化かな?」
どうやら札にそれぞれ何らかの効果があるらしい。
それは僕と、“祟り刀躯晒し髑髏”に張り付いた。だが、“祟り刀躯晒し髑髏”に張り付いた方は一瞬で吹き飛び、僕に張り付いた弱体化の方もボロボロになってはがれた。
脚に絡んでいた数珠をぶちぶちと引きちぎる。
鉄扇を持った男が僕を扇いで来るが、どうやらデバフ系の風を発生させているらしく、その程度の呪いの出力では僕には効かない。彼らに距離を詰め、四肢の骨を粉砕する。
余裕があったのでどうにか気絶までさせた。
そして、遠隔ではあるが霊力で彼らの中に巣くっている虫を押し出し、“祟り刀躯晒し髑髏”でとどめを刺した。
呆気ないものだった。
気を取り直し、半蟲半人に目をやるとかなり消耗しているようでふらつき気味だった。だから僕は留めとばかりに“祟り刀躯晒し髑髏”で攻撃する。
斬り裂き、突き刺し、数百、数千、数万回は切り刻んだ。
自衛隊員が様子を見に来る頃になってようやく半蟲半人のアレは消え去った。
あとに残されるのは重傷者4名と、神擬きが残した極彩色の髪の毛だけだった。
4人を固有能力で回復させると有岡さんのお寺に別の車で運ばせた。僕はその脚で例の山に運んでもらい、悪霊の間引きを行う。結界内に出入りが出来ないようになったせいで結界の外縁部に悪霊たちが密集しているのだ。
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