10 / 29
1章ー義兄
8話 【義妹は】
しおりを挟む
「セシリアッ!」
手を伸ばした先には何もなかった。
いつもそうだ。
今回もそうなのか。
木目の綺麗な天井を見ながら、落胆する。
自分が嫌で嫌でしょうがない。
「フフッ。妹さんはご無事ですよ。」
「えっ?!」
突然、視界の外から出てきた声に驚く。
「お怪我の方は?」
「えーと、大丈夫です。」
優しい声と共に視界に映ったのは看護服を着たお姉さんだった。
流石、乙女ゲー世界というべきか。
かなり顔が整っていた。
「あのッ!セシリアは...!!」
「妹さんは、あちらで寝ていますよ。歩けますか?」
「は、はい。」
「それでは、お手を。」
看護師に連れられるがまま、木造の施設の中を歩く。
前世の医療施設には劣ってしまうが、この異世界には回復魔法が存在する。
それだけで、この世界の人間の死亡率は前世とは段違いだ。
俺も回復魔法を使えれば良いのだが、この魔法に関しては他の魔法と違い、才能がものをいう。
「こちらです。」
案内されたのは、集中治療室と書かれた個室だった。
それだけで、セシリアの傷が回復魔法でも治せない程のものだった事が分かる。
「セシリアさ~ん。」
看護師がノックをして、セシリアの名前を呼ぶ。
「はい。」
中から聞こえたのは、凛とした鈴の音色の様な声。
今まで何度も聞いてきた、義妹の声だ。
その事に、とてつもない嬉しさを感じたと共に、俺の中で様々な不安が頭をよぎる。
俺みたいな奴が会ってもいいのだろうか、と。
情けない兄に落胆しているのではないか。
弱い俺を許してくれるだろうか。
それに、傷跡や後遺症は。
様々な感情や不安要素が頭の中を埋め尽くす。
「セシリアさん、入りますよー。」
「はい。」
セシリアの返事と共に、看護師は取手を引き中へ入る。
俺は、入るか入らないか、少し悩みながらも部屋に入る事を選んだ。
ここで逃げたら、何か後悔する気がしたのだ。
「セシリアさん、お兄さんがいらっしゃってますよ。」
「へっ?!に、兄さん?!」
そんな声が中から聞こえたが、俺は構わず取手を引き、中へ入る。
「セシリア...。」
俺は下を向きながら、セシリアが寝ているベッドの近くに寄る。
どんな顔をすれば良いか分からない。
「ちょっと、兄さん!」
というか、俺は今どんな顔をしているのだろう。
セシリアを不安にさせてはいないだろうか。
「絶対に前を向かないでね!」
何から謝ろうか、どう謝ろうか、それで頭が一杯だった。
とりあえず、笑おう。
セシリアだって不安の筈だ。
そんな半笑いの様な、引き攣った表情のまま、セシリアの方へと顔を上げる。
「キャアッ!!」
その瞬間、セシリアから悲鳴の声が上がる。
俺は目を大きく見開き、何かあったのではないかと、即座にセシリアに視線を移す。
「見ないでって言ってるでしょッ!!」
最後に見えたのは、豊満な身体に赤色の下着を着た最愛の義妹の姿だった。
「グウェッ!」
やってしまった...。
手を伸ばした先には何もなかった。
いつもそうだ。
今回もそうなのか。
木目の綺麗な天井を見ながら、落胆する。
自分が嫌で嫌でしょうがない。
「フフッ。妹さんはご無事ですよ。」
「えっ?!」
突然、視界の外から出てきた声に驚く。
「お怪我の方は?」
「えーと、大丈夫です。」
優しい声と共に視界に映ったのは看護服を着たお姉さんだった。
流石、乙女ゲー世界というべきか。
かなり顔が整っていた。
「あのッ!セシリアは...!!」
「妹さんは、あちらで寝ていますよ。歩けますか?」
「は、はい。」
「それでは、お手を。」
看護師に連れられるがまま、木造の施設の中を歩く。
前世の医療施設には劣ってしまうが、この異世界には回復魔法が存在する。
それだけで、この世界の人間の死亡率は前世とは段違いだ。
俺も回復魔法を使えれば良いのだが、この魔法に関しては他の魔法と違い、才能がものをいう。
「こちらです。」
案内されたのは、集中治療室と書かれた個室だった。
それだけで、セシリアの傷が回復魔法でも治せない程のものだった事が分かる。
「セシリアさ~ん。」
看護師がノックをして、セシリアの名前を呼ぶ。
「はい。」
中から聞こえたのは、凛とした鈴の音色の様な声。
今まで何度も聞いてきた、義妹の声だ。
その事に、とてつもない嬉しさを感じたと共に、俺の中で様々な不安が頭をよぎる。
俺みたいな奴が会ってもいいのだろうか、と。
情けない兄に落胆しているのではないか。
弱い俺を許してくれるだろうか。
それに、傷跡や後遺症は。
様々な感情や不安要素が頭の中を埋め尽くす。
「セシリアさん、入りますよー。」
「はい。」
セシリアの返事と共に、看護師は取手を引き中へ入る。
俺は、入るか入らないか、少し悩みながらも部屋に入る事を選んだ。
ここで逃げたら、何か後悔する気がしたのだ。
「セシリアさん、お兄さんがいらっしゃってますよ。」
「へっ?!に、兄さん?!」
そんな声が中から聞こえたが、俺は構わず取手を引き、中へ入る。
「セシリア...。」
俺は下を向きながら、セシリアが寝ているベッドの近くに寄る。
どんな顔をすれば良いか分からない。
「ちょっと、兄さん!」
というか、俺は今どんな顔をしているのだろう。
セシリアを不安にさせてはいないだろうか。
「絶対に前を向かないでね!」
何から謝ろうか、どう謝ろうか、それで頭が一杯だった。
とりあえず、笑おう。
セシリアだって不安の筈だ。
そんな半笑いの様な、引き攣った表情のまま、セシリアの方へと顔を上げる。
「キャアッ!!」
その瞬間、セシリアから悲鳴の声が上がる。
俺は目を大きく見開き、何かあったのではないかと、即座にセシリアに視線を移す。
「見ないでって言ってるでしょッ!!」
最後に見えたのは、豊満な身体に赤色の下着を着た最愛の義妹の姿だった。
「グウェッ!」
やってしまった...。
応援ありがとうございます!
3
お気に入りに追加
114
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる