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2章 軌跡

8.5話【束の間の休息その2】

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ガランッガランッと道中を馬車が走る中、俺とシェリアは道路の真ん中で立ち止まっていた。
理由がなく立ち止まった訳ではない。

「ふぇぇん。ママァ!!どこぉ?!」

道路の真ん中で、一人泣いている少女がいたからだ。
迷子だろうか。
街中を歩く人々は、雑音がうるさいからか、少女を無視して歩く。

「大丈夫?」

俺がどうすれば良いのかも分からず、立ち止まっていると、シェリアが少女に話しかける。

「ママが、、、いないのぉ!」

どうやら迷子だったらしい。

「...一緒に探しましょう。どこで逸れたのか分かる?」

案外、シェリアは迷子の扱いに慣れている様だ。
いや、迷子の扱いに慣れているってなんだ、、

「さっきまで、手を繋いでたのぉ!」

「そう...じゃあ近くにいるかもしれないわ。着いてきなさい。」

少女はシェリアの手を取り、立ち上がる。
ズカズカと歩き出すシェリアの後ろをチョコチョコと目元を擦りながら歩く少女。
何だか、姉妹みたいでほっこりする。

「ロベルト...?」

「あぁ、ごめん。」

少女を見て、セシリアを思い出してしまった。
何だか、変な胸騒ぎがするのは気のせいだろうか。
とにかく早く戻らなければ。

「お姉ちゃん?」

「...さっ、行くわよ。」

ーーーーーーーーーー

「ルンファ!!」

「お母さん!!」

思っていたよりも、早く見つかった。
シェリアのコミュ力?のお陰だ。

いや、あれはコミュ力といえるのだろうか?

『ねぇ、この子の母親知らない?』

『特徴は?』

『知らないわよ。』

『はぁ?』

イカつい男にもズカズカと高圧的に振る舞うのは、彼女の特権だろう。
まぁ、その甲斐も会って、母親が見つかった訳だが。

「ありがとうございます!」

「ふんっ、良いわよ。」

いつまでも高圧的な彼女の姿勢に、少し頬が緩んでしまう。

「ありがとう!お姉ちゃん!」

「今度からは迷子にならない様にしなさい。」

「うんッ!」

「あの、これ些細な物ですが、どうぞ受け取って下さい。」

「...??」

「すいません、私、魔道具店を営んでまして、是非、この魔道具を。使わないのなら売ってもらって構いませんので。」

「貰うわ。ありがとう。」

「はいっ!」

少女は手を振りながら、母親は俺たちに頭を下げながら、人混みの中に消えていく。

「ロベルト、この魔道具どうやって使うの?」

「ん?ちょっと見せてくれ。」

シェリアから受け取ったのは、魔力増進のイヤリングだった。

「おぉ、こんなに品が良いのはあんまりないぞ。」

「そうなの?」

普通の魔道具店でも、あまりお目にできない代物だ。
何者なんだ、あの母親。

「どう?」

可愛い。
え?可愛い。
イヤリングを耳に付けて、こちらを真正面から見てくるシェリアは綺麗だった。

「似合ってる。」

「ふんっ。」
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