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2章 軌跡

9話 【始まり】

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「はぁ。遂に明日か。」

シェリアとこの街で2日という早くもあって遅くもある程の時間を共に過ごした。

遂に明日が、北に、、、王都に向かう日だ。
ダンジョン攻略やら道中の事やら、正直、不安しかないが、せめてシェリアだけでも無事に帰してやりたい。

この2日間で、シェリアと接して彼女の本質のようなものに少しだけ触れられた気がする。
彼女はバカ...で、気が強いが、心根は優しさで満ち溢れている、、、はずだ。

そんな彼女を危ない目には遭わせたくはない。

そう思いながら、俺は眠りにつく。
妙な緊張感と、焦燥感を抱きながら。

ーーーーーーーーーー

「よぉー、ロベルト。昨日はよく眠れたか?」

「まぁ、程々にはな。」

「ふっ、そうか。」

顎髭を触りながら、ニッと笑うロイの顔は自信に溢れていた。
相当の時間を冒険者業に注ぎ込んできたのだろう。

「ん?あれ?シェリアの嬢ちゃんは?」

「いるわよ。」

シェリアはずっと俺の後ろに隠れて、動こうとしない。

「どうしたんだよ?」

「...。」

「ん?」

「寝癖が...。」

「?」

「寝癖が直らないのよッ!」

シェリアの怒号が、ギルド内に飛び交う。
中にいた冒険者達が一斉に俺たちの方を向く。

ひょこっ、と怒った拍子に俺の後ろから出てきたシェリアは「あっ...」と、自分で自分の寝癖を大衆の前で晒してしまった事を悟ったらしく、また俺の後ろに隠れる。

「ははっ、そうか。可愛いじゃねーか。」

「もうっ、うるさいわねッ!」

「じゃ、行くか。」

まるで反抗期の娘と父親の様なやり取りを交わした後、俺たちはロイの背中を追いかける様に、ギルドを後にする。

ーーーーーーーーーーーー

俺たちがこの街に入ってきたのは正門からだったが、出る時には、裏門からというのがこの街の規則なのらしく、俺とシェリアはロイに連れられ、裏門へと連れてこられた。

裏門の前には、荷馬車の様なものが8台程、連なって置かれている。
冒険者も、甘く見積もっても30人程はいた。

「よぉし、俺たちは最後尾。あの一番後ろの馬車に乗るぞ。」

「あぁ。それにしても、人が多いな。」

「まぁな。5人1組のパーティが8組はいるからな。40人くらいだな。」

ん?今5人1組と言ったか?
俺たちは3人だけなんだが。

「5人1組?」

「あぁ、言ってなかったな。んーと。」

そう言って、ロイは周りを見渡して、人混みの中へ駆け足で向かう。
もしかして仲間がいるのだろうか。

勝手にロイと俺たち、3人のパーティと思っていたが、仲間がいるならそれはそれで良い。

「なぁ、シェリア。」

「...何よ。」

「話聞いてたか?」

「何よ、私忙しいの。」

もう嫌な気しかしない。
俺の経験が、第6感がそう訴える。

「よし、お前ら、早く来い!」

ロイの呼ぶ声に俺たちは、早足で人混みの中へ向かう。
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