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第一章 入学までの出来事
3,私には家族がいるらしい。
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私は今温かい家で温かいスープを飲んでいる。
何故こんなことになったのか、説明するには少し時を遡らなければならない。
~二時間前~
「くそぅ・・・俺がなにしたってんだ・・・。家に帰りてぇなぁ・・・。」
異世界に転生して、よく分からないハムスターのような生物に噛まれ、ドラゴンを見て絶望した上に完全にホームシック状態の大和は木の下に突っ立っていた。
そんな大和の耳に人の声が入ってきた。
「・・・り!・ゆ・・・り!ゆり!何処にいるの?ゆり!返事をして!」
その声は中年の女性のような声で誰かを探しているようだった。
普通この状態でその声の方へ進み一緒に人探しをしようなんて馬鹿はいないハズだが、右も左もわからない大和にとってはその声がただ一つの救いであり、そこへ向かうしかなかった。
「あのぅ・・・。誰か探してるんですか?」
相手に警戒されないようにできるだけ優しい声で問いかけた。
「ゆりっ!」
と探してるであろう相手の名前を女性が呼んだところまでは良かった。
しかし、その女性は泣きながら私に抱きついて来たのだ。
「ゆりっ!もうっ!探したんだから!!なんで一人で家からでたの!!」
女性からの質問攻めに圧倒され、一瞬頭の中が真っ白になった。
しばらく呆けたまま話を聞いてると女性は泣き止んだようで、こちらの目を見て優しい声で
「さぁ、お家に帰りましょう?」
と言ってきた。
ますます頭が混乱する。
この人が探しているのはゆりという名前の人で私ではないハズだが、この女性は私に話しかけているようだし、辺りを見回しても自分の他には誰もいなかった。
そこで私は思いきって尋ねてみた。
「あのぅ・・・。人違いじゃないでしょうか?」
しかし女性は
「アモンにでもやられたのかしら・・・。大丈夫、家に戻ってゆっくりしたら、すぐ混乱も治るでしょう。」
と意味不明な事を言っている。
そしてその後、場の空気に流され女性の家に連れていかれ今に至るわけである。
「あの、本当に人違いだと思うんですが・・・。」
と女性に訴えかけてみる。
しかし、
「なに言ってるの!貴方は私の大事な一人娘よ!見間違うハズなんかないわ!」
と言われてしまった。
ここで大和は疑問を抱いた。
(ひとり娘・・・?見間違うハズがない・・・?)
「あの、すみません。鏡ってありますか?」
大和は疑問を解決するために勇気を出して聞いてみる。
「なんでそんなに他人行儀なのかはわからないけど鏡なら隣の部屋にあるわよ?この前も言ったでしょ?」
「ありがとうございます。」
そうお礼を言い大和は隣の部屋に移動し、おそるおそる鏡を見る。
なんとそこには小さな女の子の姿が写っていたーーー
何故こんなことになったのか、説明するには少し時を遡らなければならない。
~二時間前~
「くそぅ・・・俺がなにしたってんだ・・・。家に帰りてぇなぁ・・・。」
異世界に転生して、よく分からないハムスターのような生物に噛まれ、ドラゴンを見て絶望した上に完全にホームシック状態の大和は木の下に突っ立っていた。
そんな大和の耳に人の声が入ってきた。
「・・・り!・ゆ・・・り!ゆり!何処にいるの?ゆり!返事をして!」
その声は中年の女性のような声で誰かを探しているようだった。
普通この状態でその声の方へ進み一緒に人探しをしようなんて馬鹿はいないハズだが、右も左もわからない大和にとってはその声がただ一つの救いであり、そこへ向かうしかなかった。
「あのぅ・・・。誰か探してるんですか?」
相手に警戒されないようにできるだけ優しい声で問いかけた。
「ゆりっ!」
と探してるであろう相手の名前を女性が呼んだところまでは良かった。
しかし、その女性は泣きながら私に抱きついて来たのだ。
「ゆりっ!もうっ!探したんだから!!なんで一人で家からでたの!!」
女性からの質問攻めに圧倒され、一瞬頭の中が真っ白になった。
しばらく呆けたまま話を聞いてると女性は泣き止んだようで、こちらの目を見て優しい声で
「さぁ、お家に帰りましょう?」
と言ってきた。
ますます頭が混乱する。
この人が探しているのはゆりという名前の人で私ではないハズだが、この女性は私に話しかけているようだし、辺りを見回しても自分の他には誰もいなかった。
そこで私は思いきって尋ねてみた。
「あのぅ・・・。人違いじゃないでしょうか?」
しかし女性は
「アモンにでもやられたのかしら・・・。大丈夫、家に戻ってゆっくりしたら、すぐ混乱も治るでしょう。」
と意味不明な事を言っている。
そしてその後、場の空気に流され女性の家に連れていかれ今に至るわけである。
「あの、本当に人違いだと思うんですが・・・。」
と女性に訴えかけてみる。
しかし、
「なに言ってるの!貴方は私の大事な一人娘よ!見間違うハズなんかないわ!」
と言われてしまった。
ここで大和は疑問を抱いた。
(ひとり娘・・・?見間違うハズがない・・・?)
「あの、すみません。鏡ってありますか?」
大和は疑問を解決するために勇気を出して聞いてみる。
「なんでそんなに他人行儀なのかはわからないけど鏡なら隣の部屋にあるわよ?この前も言ったでしょ?」
「ありがとうございます。」
そうお礼を言い大和は隣の部屋に移動し、おそるおそる鏡を見る。
なんとそこには小さな女の子の姿が写っていたーーー
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