異世界転生しても学校はあるらしい。

ちょう爺

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第一章 入学までの出来事

5,入学試験があるらしい。

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 今、私は大きな城の前で突っ立っている。

 乗ってきた魔方陣は到着と同時に消えてしまった。

 今日から学校だとあの女性は言っていた。

 おそらく今日が入学日なのだろう。

 どうすればいいかわからず、城の門の前をうろちょろしていたら男性の係員のような人が笑顔で話しかけてきた。

 「どうしたんだい?お嬢ちゃん。」

 (お嬢ちゃんて・・・。なんか屈辱的な言葉だな・・・。)

 と思いながらも、悪い人ではなさそうので質問をしてみる。

 「あの・・・。ここに入学したくて・・・。何処に行けばいいですか?」

 すると男性係員の表情が一変して厳しいものに変わる。

 「ここに入学って、そりゃ本気かい?お嬢ちゃん。悪いことは言わねぇ、覚悟が無いなら黙ってお家に帰りな。」

 今まで感じた事が無い程にその言葉からは圧力を感じた。

 しかし、ここで引き下がってしまっては帰る方法もわからない、目的も無いで行き倒れるのは目に見えている為、敢えて大和は笑顔で答えた。

 「覚悟はとっくにできてます!私、この日を楽しみにしてきたんですから!」

 「た、楽しみに・・・だと?」

 男性係員は顔を下に向け、一瞬動揺した素振りを見せたがすぐに顔を上げ、

 「ガッハッハッ!どうやら心配なんぞいらなかったようだな!いいだろう、頑張ってこい!」

 と激励の言葉を出してきた。

 大和は訳がわからずとりあえず笑顔で対応した。

 「あぁ、因みに受付は城の門の右端だ。ほら、あそこに人の列が見えるだろ?」

 そう言うと男性係員はその方向を指差す。

 そこには二十人近い人の列が出来ていた。

 「んじゃ、俺は仕事があるからここで失礼するよ。お前が入学してくるのを楽しみにしてるからな!」 

 そう言うと男性係員はどこかへ歩いて行ってしまった。

 そこで大和の頭に疑問が浮かぶ。

(入学してくるって、まだ私は入学してないのか?)

 そんな事を考えながら大和は門の右端に移動し、列の最後尾に並んだ。

 前の二人がこちらを見て会話をしている。

 「おい、あんなガキがここに入学しようとしてるとか本気かよ。」

 「やっぱりガキはガキだな。ここの恐ろしさをわかっていないらしい。」

  (なんか感じ悪いなぁ・・・。)
 と思っていると話題が別の方向へ反れていく。

 「でもよ、あいつ結構可愛くねぇか?」

 「言われてみれば・・・。あぁ、なんか襲いたくなってきたぜ。」 

 背筋がゾワリとした。
 (男に襲われるなんぞまっぴらごめんだぞ!?てかこいつらせめてもう少し小声で話せよ!丸聞こえだっつーの!!)
 と恐怖と共に怒りを覚えた大和は地団駄を踏んでいた。

 その行為が周りの男の目を引いているとも知らずに・・・。

 少し時間が経つと今度は女性係員らしき人がこちらに向かってダルそうに話しかけてきた。

 「はーい、これで全員ね?じゃあ今から入学試験始めるわよー」

「・・・?!」

 大和は驚いてその場で固まっていた。
 
(入学試験があるなんて聞いてないぞッ!?)
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