玉響から久遠へ

朝比奈和花

文字の大きさ
46 / 47
another story 2

2

しおりを挟む


side 京弥

縞さんが結婚指輪を外していた。

縞さんは世界一魅力的だ。

少しでも僕の唯一なんだと示しておかなければならない。

薄く頬に散るそばかすも、つぶらな瞳も、首や腰にあるほくろも、髪の毛一本、爪の先まで全部全部僕の。

縞さんは縞さんを大切にしないから僕がその分大切にする。


その証に指輪を贈ったのに、外した理由は食器に当たって怖いからって……。

指輪を外さなきゃいけない食器なんて叩き割ってやろうかと思ったけど縞さんが選んだ食器ばかりだからやめた。

いい案も思い浮かんだし。

善は急げと言うし自分の社長の友人がやっているジュエリーショップへすぐさま縞さんと紬を連れて行った。




「きらきら、きぇいきれいねー。」

「紬も大切な人ができたら逃さないように贈るんだよ。」

「う?」



目的も何も話していなかったから縞さんは戸惑っていたけれどのらりくらりと:交(か)わしてなんとか選んでもらうことができた。


店員に出してもらったのはすべて男性カップル用のペアネックレス。
もちろん片方しか出させなかったけど。

そんな中、縞さんが選んだのはふたつ並べるとインフィニティ形になるものだった。
それを少し加工してもらって受け取る。


ついでに夜ごはんの材料を買いたいと言う縞さんに付き合って家に帰った。



家に着いて、食材を冷蔵庫にしまう縞さんが

「結局今日はどうしたの?
いきなりあんなところに……。」

と不思議そうに聞いてきた。



「縞さん、それ終わったらこっちに来てください。」

「?…うん。」

目の前に来た縞さんに黒いベルベットの長方形の箱を差し出した。

「これ、さっき買ってくれたやつ…?

でもこれ、留め具がないよ。」

「いいの、縞さん後ろ向いて?」

僕は先程買ったネックレスを留め具を外したものにしてもらった。

チェーンをずらして嵌めてもう取れないように。


ペンチで切らない限りはずれることはない。



僕の書斎の工具箱にしかペンチはないし、書斎には縞さんは入ることができない。
そして家から滅多に出ることはないからペンチで切ることも、ちぎることもない。

紬もまだ小さいからちぎる力はまだないし。

半永久的に縞さんの首元にあることになる。



「京弥くんを不安にさせちゃったのか。

ごめんね。」

ずっとつけててねと願う僕にやっと今朝の指輪のことに気づいた縞さんがそっと僕の頭を撫でた。

「縞さん、僕もお揃いのもの買ったんだ。

つけてくれる?」


縞さんにもうひとつのネックレスを出した。

「ん?これは留め具があるよ?

京弥くん、ペンチ貸して。
これ外すから。

俺と一緒にしよう。」



支配して、支配されて。

なんとも心地いい。




その日から指だけでなく首元にも永遠を誓う証が光ることになった。




END.









しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

Ωの不幸は蜜の味

grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。 Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。 そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。 何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。 6千文字程度のショートショート。 思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。

クローゼットは宝箱

織緒こん
BL
てんつぶさん主催、オメガの巣作りアンソロジー参加作品です。 初めてのオメガバースです。 前後編8000文字強のSS。  ◇ ◇ ◇  番であるオメガの穣太郎のヒートに合わせて休暇をもぎ取ったアルファの将臣。ほんの少し帰宅が遅れた彼を出迎えたのは、溢れかえるフェロモンの香気とクローゼットに籠城する番だった。狭いクローゼットに隠れるように巣作りする穣太郎を見つけて、出会ってから想いを通じ合わせるまでの数年間を思い出す。  美しく有能で、努力によってアルファと同等の能力を得た穣太郎。正気のときは決して甘えない彼が、ヒート期間中は将臣だけにぐずぐずに溺れる……。  年下わんこアルファ×年上美人オメガ。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。

この噛み痕は、無効。

ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋 α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。 いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。 千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。 そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。 その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。 「やっと見つけた」 男は誰もが見惚れる顔でそう言った。

当たり前の幸せ

ヒイロ
BL
結婚4年目で別れを決意する。長い間愛があると思っていた結婚だったが嫌われてるとは気付かずいたから。すれ違いからのハッピーエンド。オメガバース。よくある話。 初投稿なので色々矛盾などご容赦を。 ゆっくり更新します。 すみません名前変えました。

【本編完結】偽物の番

麻路なぎ
BL
α×β、オメガバース。 大学に入ったら世界は広がると思っていた。 なのに、友達がアルファとオメガでしかも運命の番であることが分かったことから、俺の生活は一変してしまう。 「お前が身代わりになれよ?」 俺はオメガの身代わりに、病んだアルファの友達に抱かれることになる。 卒業まで限定の、偽物の番として。 ※フジョッシー、ムーンライトにも投稿 イラストはBEEBARさん ※DLsiteがるまにより「偽物の番 上巻・中巻・下巻」配信中 ※フジョッシー小説大賞一次選考通過したよ

二人のアルファは変異Ωを逃さない!

コプラ@貧乏令嬢〜コミカライズ12/26
BL
★お気に入り1200⇧(new❤️)ありがとうございます♡とても励みになります! 表紙絵、イラストレーターかな様にお願いしました♡イメージぴったりでびっくりです♡ 途中変異の男らしいツンデレΩと溺愛アルファたちの因縁めいた恋の物語。 修験道で有名な白路山の麓に住む岳は市内の高校へ通っているβの新高校3年生。優等生でクールな岳の悩みは高校に入ってから周囲と比べて成長が止まった様に感じる事だった。最近は身体までだるく感じて山伏の修行もままならない。 βの自分に執着する友人のアルファの叶斗にも、妙な対応をされる様になって気が重い。本人も知らない秘密を抱えたβの岳と、東京の中高一貫校から転校してきたもう一人の謎めいたアルファの高井も岳と距離を詰めてくる。叶斗も高井も、なぜΩでもない岳から目が離せないのか、自分でも不思議でならない。 そんな岳がΩへの変異を開始して…。岳を取り巻く周囲の騒動は収まるどころか増すばかりで、それでも岳はいつもの様に、冷めた態度でマイペースで生きていく!そんな岳にすっかり振り回されていく2人のアルファの困惑と溺愛♡

処理中です...