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第1章
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しおりを挟む30食分のお弁当作りと並行して作っていた晩ごはんのホワイトシチュー。
バゲットもカリカリに焼いておく。
お弁当も作り終わって、双子を見に行ったら、ふたりはもうお互い問題を出し合っていた。
休憩させたり、お昼寝もさせて実質3時間ほどだったけれどもう覚えたのか……。
5歳だし、集中力だって限られているから途中で飽きてこちらに来るかなって思ったけれど本当に賢い子達なんだな。
書き取りも見たけれど、字はまだまだ拙いが大体書けていた。
思わず抱きしめてしまったのは仕方がない。
晩ごはんに出したクリームシチューはお昼にあまり食べなかったこともあってかおかわりまでしてくれた。
「おやすみ。」
「「おやすみなさい。」」
お風呂に入らせて毛布に入れる。
きちんと布団を被ったのを確認して俺も自室のベッドに入った。
……ガチャ
「ん?どうした?」
先ほどベッドに入れた2人がドアから顔を出している。
「……本、読んでほしいの。」
フィラが話し始めるなんて珍しい。
大体ミクロが話してから話すのに。
フィラの胸元には今日買った本が抱かれていた。
「一話だけだよ?
おいで。」
布団をめくれば俺を挟むように2人が入ってきた。
さすが子ども体温、温い。
「むかしむかしあるところに……。」
どこか懐かしい気分になる童話を読み終わればふたりは俺の腰に抱きついて寝ていた。
なぜか一度も2人を間違えたことがないんだけど、本当に似ている。
2人を少し離して俺も横になれば、すぐ胸元にひっついてきた。
こうやって誰かと寝るのは初めてだな。
慣れない温かさだけれど悪くない。
翌朝、おとなしく俺の横で寝ていたはずの2人の髪はなぜか芸術的に爆発していた。
「今日は料理の日にしよう。」
「料理の日?」
「お店を開いている日の準備をするんだ。
それと昨日2人が買ってくれたオランジとゴリンで何かお菓子でも作ろうか。」
「「おかし!」」
朝ごはんを軽く取らせ、早速2人のサイズに合わせて作ってもらったエプロンをつけさせ、キャップを被せた。
俺もギャルソンエプロンに2人と店の紋章を入れたキャップを被った。
「これがカフェの制服だよ。
料理するときは必ずこの格好をすること。」
「「はい。」」
さすがに売り物になるものは基本的に俺が作って、どんなふうに料理ができるのか学んでもらう。
とりあえず来週分のお弁当は作り終えた。
「……こんなものかな。」
「すごい……。」
「……魔法じゃないのに魔法みたい。」
「ありがとう。
魔法は使っていないけれど、魔道具は使っているよ。」
あまり表情が動かない2人だけど、今は表情がキラキラしているのがわかる。
料理人としては嬉しい限りだ。
「明後日からの3日間朝のお弁当は2人にも売ってもらうからね。」
「「はい。」」
まあ俺は前より早く起きて、2人の髪を直すところから始めなきゃいけないかもしれないけれど……。
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