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しおりを挟む近所迷惑になるのはこちらとしても避けたい事態だったので渋々中に入れることに。
チェーンロックを外すために扉を閉める。
そのわずかな時間にこちらの様子を伺っていたりぃくんに駆け寄った。
「いいかい、りぃくん。
これからトイレに入って鍵をかけてじっとしているんだ。
開けていいときは僕がトイレのドアを3回ノックするから。
それまで絶対開けちゃいけないよ。」
僕が必死な顔で頼んだからか、りぃくんはおとなしくトイレに籠ってくれた。
これでひとまずりぃくんの身は安心だ。
後は……僕もお守り代わりに銀色の箱を手が届く位置に用意しておく。
……この箱の中身を使わないことを願って。
ガチャ
「……どうぞ。」
「開けるのに随分かかりましたね。」
「……下着とかを片づけていたので……。」
「そうですか。
それでは失礼いたします。」
後ろにいる人を案内するようにその人は家の中に土足で入ってこようとするので慌てて止めた。
靴を脱いでいる間にテーブルを出し、お茶の用意を。
そしてやっとこの空間と異様なほど浮き離れている人たちと対峙した。
さっきから黙っているこの人……。
リュカさんや伊南さんにどことなく似た顔立ち。
この人は恐らく……。
「私の名はレイ=ロレンツォ=ルグゼンブルク。
リュカ=フラヴィオ=イオリ=ルグゼンブルクの義兄だ。」
やっぱり……。
でもレイさんはリュカさんと違って目に温度が無く、纏っている雰囲気もとても怜悧なものだった。
「……義兄?」
つい気になった言葉が口から出てしまった。
「私には西園寺の血は入っていない。
そんなことはどうでもいい。
手短に言おう。
今すぐリュカ=フラヴィオ=イオリ=ルグゼンブルクと関わりを切ってほしい。
もちろんただとは言わない。
ここに3億ある。
これを手切れ金代わりに差し上げよう。」
恐らくドアに足を挟んだ人はレイさんの秘書かなにかなのだろう、びっしりお金が詰まったアタッシュケースをテーブルの横に出してきた。
手切れ金か…。
縁を切れと言われるのは人生で2回目だ。
2回目はりぃくんを産んで、育てていかなければならなかったとき。
まぁでも
「お断りします。」
今回は1回目のときと違って、もらわないと困るということはない。
「僕がこれで縁を切ると…?」
「欲深い男だな。
いくら払えば諦める。」
「そうですね。
僕が一番ほしいものが手に入れば諦めるかもしれませんね。」
「宝石か?」
「リュカさんです。」
何を言っているんだっていう目で見られた。
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