8 / 31
第弐譚
0008:舞踏会場にて
しおりを挟む
「灰かぶり姫、これ絶対おかしいよー⁉(困り眉)」
「大丈夫ですよ、ツクヨミさん。とてもお似合いですわ!」
どうも、魔法使いツクヨミさんのドレスアップを担当しました灰かぶりです。
当のツクヨミさんは恥ずかしそうにもじもじされていますが、とても良い出来映えになりましたので、私は十分に満足しております。
「ツクヨミさんって、身体の線が細くて、とても顔立ちが綺麗だから、女性用のドレスが絶対に似合うって思っていたのですよ‼(恍惚)」
「ちょっと灰かぶり姫、僕の話聞いてる⁉」
「漆黒のローブの色がとてもツクヨミさんに似合っていましたので、黒色にラメが入ったマーメイドドレスを選んでみましたが、ツクヨミさんの真っ白なお肌とのコントラストも最高で、素晴らしすぎますわ‼ 黒い髪の毛も、きれいに結って白い真珠の飾りを散らすと、まるで闇の中に輝くお星さまのように美しいです! アクセサリーは、髪飾りに合わせて、全て白い真珠に統一してみました! お化粧は、真珠のように白くて滑らかなお肌をそのままに、薄桃色のチークにリップでふんわりナチュラルに仕上げてみたのですが、魅惑的な雰囲気がいい感じに出て、謎の妖精感を演出していますわ! ……私は、理想的な幻の人魚姫を具現化してしまって、感無量です‼(嬉)」
「……。(ぽかーん)」
ちなみに、ドレスと装飾品は、ツクヨミさんに頼み込んで魔法で出してもらいました。継母様達のドレスアップのお世話を沢山してきましたが、こんなに上手くいったのは初めてです。
私の目に狂いはありませんでしたわ!(恍惚)
「さあ、お姫様、お城の舞踏会へ行きましょう‼」
「……複雑な心境なのだ。(困り眉)」
私はツクヨミさんの手を引いて、獣道に足を踏み入れたのでした。
思っていたよりも王城は近くにありまして、私たちは、すぐにお城の麓までたどり着くことができました。
「灰かぶり姫、お城へ入る前に約束してほしい。」
「……?」
「絶対に僕から離れないでね!」
「……? 了解ですわ。」
「あと、刀は没収だよ!」
「えぇーー。(しょんぼり)」
「当たり前だよ! そんなものメイドが持ってたらおかしいじゃないか!」
「……わかりましたわ。(困り眉)」
私は泣く泣く愛刀『霧雨』をツクヨミさんに預けたのでした。
「全てが終わったら必ず返すからね。」
「はい。(泣)」
「それと、……。」
ツクヨミさんは、私のワンピースの裾を軽く掴んでそよそよと振りました。すると、ボロボロだったワンピースが、みるみるうちにメイド服へと変わってしまったのです!
「ワンピースの見た目を変えただけだから、安心して。……本当はもっとすごいこともできるけど、今回はこれで我慢してあげる。」
「あ、ありがとうございます、ツクヨミさん。」
「……絶対に、僕から離れちゃ駄目だからね!」
「了解なのです!」
こうして、私達は謎のお姫様と付き人に変装して、舞踏会場へと足を運んだのでした。
「……ツクヨミさん、これが舞踏会なのですか?」
「そうだよ、真夜中にしか行われない、トルネード王国主催の――。」
――仮面舞踏会――
会場内全ての方々の目元には仮面が装着され、誰もがその正体を隠しております。ライトアップも暗く、異様な空間を演出しているようでした。
「わ、私達も仮面をつけないといけないのではないのでしょうか?」
「大丈夫、さっき魔法で、灰かぶり姫にはフィルターを掛けておいたから、周りの人には察知されないようになっている。勿論僕もだ。」
「そ、そうなのですか?」
「あぁ、……仲間の魔法使い以外にはね。」
――カツカツカツカツ――
背後から、特徴的な靴音が聞こえてきます。
「ツクヨミ、作戦は上手くいったのか?」
低く落ち着いた声が、ツクヨミさんに、そう問いかけるのでした。
――お城へ潜り込んだ二人は仲間(?)と接触する‼――
「大丈夫ですよ、ツクヨミさん。とてもお似合いですわ!」
どうも、魔法使いツクヨミさんのドレスアップを担当しました灰かぶりです。
当のツクヨミさんは恥ずかしそうにもじもじされていますが、とても良い出来映えになりましたので、私は十分に満足しております。
「ツクヨミさんって、身体の線が細くて、とても顔立ちが綺麗だから、女性用のドレスが絶対に似合うって思っていたのですよ‼(恍惚)」
「ちょっと灰かぶり姫、僕の話聞いてる⁉」
「漆黒のローブの色がとてもツクヨミさんに似合っていましたので、黒色にラメが入ったマーメイドドレスを選んでみましたが、ツクヨミさんの真っ白なお肌とのコントラストも最高で、素晴らしすぎますわ‼ 黒い髪の毛も、きれいに結って白い真珠の飾りを散らすと、まるで闇の中に輝くお星さまのように美しいです! アクセサリーは、髪飾りに合わせて、全て白い真珠に統一してみました! お化粧は、真珠のように白くて滑らかなお肌をそのままに、薄桃色のチークにリップでふんわりナチュラルに仕上げてみたのですが、魅惑的な雰囲気がいい感じに出て、謎の妖精感を演出していますわ! ……私は、理想的な幻の人魚姫を具現化してしまって、感無量です‼(嬉)」
「……。(ぽかーん)」
ちなみに、ドレスと装飾品は、ツクヨミさんに頼み込んで魔法で出してもらいました。継母様達のドレスアップのお世話を沢山してきましたが、こんなに上手くいったのは初めてです。
私の目に狂いはありませんでしたわ!(恍惚)
「さあ、お姫様、お城の舞踏会へ行きましょう‼」
「……複雑な心境なのだ。(困り眉)」
私はツクヨミさんの手を引いて、獣道に足を踏み入れたのでした。
思っていたよりも王城は近くにありまして、私たちは、すぐにお城の麓までたどり着くことができました。
「灰かぶり姫、お城へ入る前に約束してほしい。」
「……?」
「絶対に僕から離れないでね!」
「……? 了解ですわ。」
「あと、刀は没収だよ!」
「えぇーー。(しょんぼり)」
「当たり前だよ! そんなものメイドが持ってたらおかしいじゃないか!」
「……わかりましたわ。(困り眉)」
私は泣く泣く愛刀『霧雨』をツクヨミさんに預けたのでした。
「全てが終わったら必ず返すからね。」
「はい。(泣)」
「それと、……。」
ツクヨミさんは、私のワンピースの裾を軽く掴んでそよそよと振りました。すると、ボロボロだったワンピースが、みるみるうちにメイド服へと変わってしまったのです!
「ワンピースの見た目を変えただけだから、安心して。……本当はもっとすごいこともできるけど、今回はこれで我慢してあげる。」
「あ、ありがとうございます、ツクヨミさん。」
「……絶対に、僕から離れちゃ駄目だからね!」
「了解なのです!」
こうして、私達は謎のお姫様と付き人に変装して、舞踏会場へと足を運んだのでした。
「……ツクヨミさん、これが舞踏会なのですか?」
「そうだよ、真夜中にしか行われない、トルネード王国主催の――。」
――仮面舞踏会――
会場内全ての方々の目元には仮面が装着され、誰もがその正体を隠しております。ライトアップも暗く、異様な空間を演出しているようでした。
「わ、私達も仮面をつけないといけないのではないのでしょうか?」
「大丈夫、さっき魔法で、灰かぶり姫にはフィルターを掛けておいたから、周りの人には察知されないようになっている。勿論僕もだ。」
「そ、そうなのですか?」
「あぁ、……仲間の魔法使い以外にはね。」
――カツカツカツカツ――
背後から、特徴的な靴音が聞こえてきます。
「ツクヨミ、作戦は上手くいったのか?」
低く落ち着いた声が、ツクヨミさんに、そう問いかけるのでした。
――お城へ潜り込んだ二人は仲間(?)と接触する‼――
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!
キムチ鍋
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。
だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。
「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」
そこからいろいろな人に愛されていく。
作者のキムチ鍋です!
不定期で投稿していきます‼️
19時投稿です‼️
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる