【モフモフは正義‼︎】親友に裏切られて国外追放された悪役令嬢は、聖女になって返り咲く

星 佑紀

文字の大きさ
3 / 59
第壱譚(修正前)

0002:パトリック殿下

しおりを挟む
「ぱ、パトリック殿下、今までの数々の非礼をお許しください。(汗だくのまま深く礼をするマリア嬢)」

「いいよ、いいよ、マリア様! 気にしないで‼ 僕は、身分とか全然関係ないって思っているから‼(にっこり)」


 パトリック殿下はそう仰いますと、深く礼をしている私をガバッと抱き起こされたのでした。


「それよりも、僕のことはパトリックと呼んでほしいな。(恍惚)」

「……パトリック殿下。」

「パトリック‼(やや強制的な口調の殿下)」

「わ、わかりましたわ。パトリック様。(汗)」

「それと、敬語もいらないからね、マリア様。(にっこりパトリック殿下)」

「は、はい。(汗)」


 パトリック様(?)は、王族の中ではとても珍しい類のお方のようです。私がお会いしてきた王族の方々は、皆厳格に身分の違いを表に出されていらっしゃいましたが、パトリック様は、なんだか、庶民的な雰囲気を漂わせていらっしゃいました。(汗)


「マリア様、本当は今すぐにでも王都へと出向きたいのですが、諸事情によって、それはできません。……とりあえず、今夜は僕の野営地で休みましょう‼」

「は、はい。よろしくお願い致します。」


 パトリック様のご提案で、私はパトリック様の野営地(?)へとお邪魔することになりました。


「足元が暗くて歩きずらいでしょうから、手をつないで行きましょう‼(すかさず、マリア嬢の右手を握る)」

「は、はい。ありがとうございます。(汗)」


 パトリック様は、……とても親切でお優しいお方なのでした。(野営地に着くまでは……。)



 ◇  ◇  ◇


「みんなー‼ 帰ってきたよーー‼」

「「パトリック様、お帰りなさいませ‼」」


 パトリック様に連れられて、やってきました野営地では、……たくさんの殿方(数百人規模)がパトリック様のお帰りを待っていらしたのでした。(汗)


「パトリック様、横にいらっしゃる女性は、一体どうなされたのですか?」

「えへへ。百鬼夜行の道でね、拾って来ちゃった‼(てへぺろ)」

「パトリック様、またそうやって、なりふり構わず拾ってきちゃうんですから。(呆れ顔)」

「だって、困っている人を見捨てられるわけないでしょ‼」


 パトリック様は、私の手をぎゅうっと強く握って言いました。


「今日からこのお方もここに住むからね‼」


 …………ええええええええ⁉


「ぱ、パトリック様。……わ、私、どうにか山を降りて自力で王都まで戻れますよ。み、皆様にご迷惑をおかけするつもりはありません。(顔面蒼白)」

「マリア様、遠慮しないで。ここでゆっくり、身体を休めて今後のことを考えよう?(あざとく)」

「いやでもですね……。(おろおろ)」

「ねっ? (無言の圧力)」

「……よ、よろしくお願い致します。(困り眉)」

「えへへ、ここでの生活は、全部僕に任せてね‼」


 パトリック様に押し切られてしまいました。しかし、周りを見渡す限り、女性の姿は見当たりません。私はここで上手く生活することができるのでしょうか。とても不安な気持ちでいっぱいです。


「みんなー、紹介するね‼ この子は、マリア・ラーズベルト公爵令嬢‼ リゲルの元婚約者なんだって‼ ……マリア様、ここにいる全員が、僕の仲間だよ。(えへへ)」

「よ、よろしくお願い致します。(深く礼)」


 シーーーーン


 パトリック様のお仲間の皆様は押し黙ったまま、私のことをじーっと睨みつけていらっしゃいます。パトリック様、全然歓迎されていませんが、大丈夫なのでしょうか。(泣)


「パトリック様、そのご令嬢は、僕たちの敵ですよ‼ 何故助けたのですか⁉」

「そうだ、そうだ‼」

「俺たちのことをチクるスパイの可能性があるのに、……危機管理意識が低すぎますよ‼」


 ザワザワザワザワ


「……お前たち、黙っていればいい気になりやがって……。(地を這うようなパトリック殿下声)」


 シーーーーン


 こ、これは、なにが起こったのでしょう⁉ 先ほどまでブーイングの嵐でしたのに、横にいらっしゃるパトリック様のお言葉一つで、辺りはシーーンと凍り付いてしまいました。


「彼女は、僕たちの敵でもスパイでもない‼ 僕が惚れた相手に、文句がある奴は出てこい‼」


 ほ、惚れたとは、どういうことなのでしょうか?(激しく汗だくなマリア嬢)


「でも、パトリック様。そのご令嬢は、第三王子の婚約者だったんですよ。(汗)」

「そんなの関係ない‼ 今から僕の恋人になるから‼ むしろ今すぐ結婚するつもりだし‼ ……それに、彼女はリゲルから捨てられたんだ‼ 奴が捨てたマリア様を僕が拾ったっていいじゃないか‼」


 パトリック様、……さすがに、皆様の前で、リゲル殿下に捨てられたことを言われますと、とても恥ずかしい思いでいっぱいになってしまいます。あと、恋人とか、結婚とか、一体、何なのでしょうか。ついさっき会ったばかりなのに……。(滝のような汗)


「そうだったのですか、パトリック様。(ほえー)」

「ああ、マリア様は何も悪くないし、知らないんだ。……それに、マリア様はいずれ、から狙われる可能性も否めない。……僕は、マリア様を助けたいし、守りたい。みんな、僕についてきてくれるか‼」

「「ラジャーーー‼(片手を振り上げる仲間達)」」

「えへへ、マリア様。みんな、マリア様のことを認めてくれたみたいだねっ‼(満面の笑み)」

「……。(そ、そうなのでしょうか。)」

「マリア様、改めまして、クーデター組織『スピカ』へようこそ‼(にぱっ)」

「――っ‼(く、クーデター組織ですって⁉)」


 ――マリア・ラーズベルトは、パトリック殿下の爆弾発言に精神を持っていかれて、気を失うのであった。(汗)――
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました

しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、 「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。 ――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。 試験会場を間違え、隣の建物で行われていた 特級厨師試験に合格してしまったのだ。 気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの “超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。 一方、学院首席で一級魔法使いとなった ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに―― 「なんで料理で一番になってるのよ!?  あの女、魔法より料理の方が強くない!?」 すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、 天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。 そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、 少しずつ距離を縮めていく。 魔法で国を守る最強魔術師。 料理で国を救う特級厨師。 ――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、 ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。 すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚! 笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが

カレイ
恋愛
 天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。  両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。  でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。 「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」  そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。

婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。

桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。 「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」 「はい、喜んで!」  ……えっ? 喜んじゃうの? ※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。 ※1ページの文字数は少な目です。 ☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」  セルビオとミュリアの出会いの物語。 ※10/1から連載し、10/7に完結します。 ※1日おきの更新です。 ※1ページの文字数は少な目です。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年12月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

処理中です...