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第壱譚(修正前)
0008:未来のために
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ーーここはクーデター組織『スピカ』の野営地屋外。ーー
「おいお前、名を名乗ってみろ。」
「……。(どうすれば、この状況を切り抜けられる?)」
「言わないと、そのゴキブリの髪の毛、むしり取るぞ。」
「セト・ロックだ。(怖ええ。 滝のような汗)」
「ほう。…………アデル皇国のロック家か?」
「ああ、そうだ。(滝のような汗)」
「ならそう言ってよ。僕てっきり、リゲルの手先かと思ったじゃないか! 勘違いしてごめんなさい!(きゅるるん)」
「ーーっ⁉︎(さっきの緊迫した空気は何だったんだ⁉︎)」
「僕は、パトリック・サイフォン。クーデター組織『スピカ』の棟梁をやってるよ! よろしく!(丁度いいカモが、ネギと鍋と出汁に薪まで背負ってやってきたのだ!)」
「あ、ああ、よろしく?(く、クーデター組織だと⁉︎)」
「よろしく、よろしく! そのゴキブリさんもよろしく!」
「………………。(気絶中のモブ)」
「……殿下、流石に他国の旅行客に対してゴキブリ呼ばわりはいけませんよ。……ロック様、殿下の無礼をどうかお許しください。(スライディング土下座)」
「ああ、いや俺達も悪いから気にしないでくれ。(スライディング土下座だと⁉︎ この国はそんなにも謝罪に命を掛けているのか⁉︎ 恐怖に慄くセト公)」
「ロック様、こんな殺風景な外ではさぞかしつまらないでしょう。さあ、殿下の天幕の中で御休憩ください。」
「えー、でもジョナサン、僕の天幕はマリア様との愛の巣だから絶対いゃ……むぐっ⁉︎(ジョナサンに口を塞がれる)」
「さあ、ロック様、お入りください。(殿下、賓客なんだから、しっかりおもてなししないと駄目ですよ!)」
「あ、ああ、ありがとう。(汗)」
ーーこうして五人は殿下の天幕で休むことになった。ーー
◇ ◇ ◇
「へえー、……それでゴキブリ、もといロイド侯は生まれつき『磁場を狂わす』性質を持っているんだね。」
「ああ、だから、ずっと同じ場所に留まると磁場のバランスが崩れるから……。」
「常に旅を続けているということだね。」
「そうだ。」
「すごいね。……なかなか大変だったでしょ?(その能力、かなり使えるな。 ニヤリ)」
「そうだな、…………一応、ロイドの性質を封じる魔法具はあるにはあるのだが、ロイドが苦しい思いをしてしまうから、できる限り着けたくないんだ。」
「ふーん、そうなんだ。…………ちょっと試してみたいことがあるけどいいかな?」
「あ、ああ。(な、何をする気だ?)」
ーー殿下は抱いてるマリア嬢を強制的に起こした。ーー
「マリアさまー、マリアさま、起きて?(瞳孔ピカッ)」
「うーーん、……パトリックさま?」
「そうだよ、僕だよ。(にっこり)」
「パトリックさま、……大好きでしゅー。(パトリック殿下にベッタリ抱き付くマリア嬢)」
「…………。(瞳孔ピカッ)」
「パトリックさま、早く結婚して既成事実をちゅくりましょう!(パトリック殿下にスリスリする)」
「…………正気に戻れ、マリア様‼︎」
「ーーーーっ‼︎(びっくりして涙ぐむマリア嬢)」
「マリア様は、そんな媚を売ったりしない! こんな碌でもない磁場に狂わせられたら駄目だ‼︎」
「ーーーーっ‼︎ ふ、ふえーーん、パトリックしゃまにきらわれたー! もう生きていけましぇんーー!(涙ゴーゴー流してもなおパトリック殿下に抱きつきにいくマリア嬢)」
「(ええええ、殿下、自分で強制的にマリア様のこと起こしたくせに、マリア様のこと怒ってて、マリア様、可哀想すぎる! なんか、見ているこっちが涙出てきたぞ。)」
「にゃんでもするから、ゆるしてくだしゃいー、パトリックしゃまー!(大泣き)」
「許して欲しかったら、磁場に狂わされないこと! 僕以外の応力に惑わされている時点でもうそれは浮気だからね!」
「(理不尽だ! 理不尽すぎますよ、殿下! マリア様、まだ霊力のれの字もわからないのに、磁場に惑わされるなって、不憫すぎる! でも口に出して言えないよー。 悩)」
「う、うわきしてないもん! パトリックさまだけなんだもん!(もっと殿下に密着してスリスリする)」
「そうゆうところだよ! 通常運転のマリア様は身体を密着させて甘えたりなんかしないんだからね! 気高いマリア様なら、こんな状況だと羞恥心に負けて僕から逃げようとするんだからっ! そこを追いかけて泣かせることに悦びを感じているんだよ、僕は! この時点で君、失格だから!」
「ふ、ふえええーーん!(大泣き)」
「…………な、なあ、俺は、一体何を見せられているんだ?(ジョナサンに聞くセト公)」
「……僕もわかりかねるといいますか。……マリア様のことになると、殿下、気が狂ってしまいますので。(ああ、ここから逃げ出したい。)」
「マリア……。ーーーーっ! も、もしかして、宰相のラーズベルト公爵のご令嬢なのか⁉︎(嘘だろ⁉︎ あの一番まともなお方の娘さんがこんな目に合わされているのか⁉︎)」
「流石ですね、ロック様。……詳細は端折りますが、一昨日殿下が、マリア様をどこからか拾ってこられました。」
「ーーーーっ⁉︎(なんてことだ! ……トルネード王国では何が起こっているんだ⁉︎)」
「マリア様、僕の瞳を見て泣き止んでね。(瞳孔ピカッ)」
「ぱ、とりっく、さ、ま、……スピー。(寝てる)」
「マリア様、よーしよし。(マリア嬢の頭を撫で撫で)」
「……で、殿下、マリア様は悪くありませんよ。(大汗)」
「……そんなことは分かっている。……セト・ロック、……ロイド侯の能力を封じる魔法具は持っているのかい?」
「ああ、ここにある。(鞄の中から魔法具を取り出して、殿下に渡すセト公)」
「どれどれ、……ふーーん、首輪になってるんだ。(ロイド侯に近づいて)エイッと‼︎」
ーーパトリック殿下はロイド侯に魔法具を装着した!ーー
「ーーーーっ‼︎(びっくり仰天なセト公)」
「ーーオイ、オキロ、ゴキブリ。(瞳孔ピカッ)」
「むにゃむにゃ……うーーん。(パチっと目を開けて)せ、セト、……セトどこ?」
「ろ、ロイド、ここにいる……。」
「僕から離れちゃいけないじゃないか!(セト公に抱きついて身体を密着させてスリスリする)」
「ーーーーっ‼︎(理性が、持たない‼︎ 滝汗)」
「ほら、早く帰って一緒に寝るよ。(スリスリ)」
「だ、駄目だ、ロイド。(脂汗)」
「なんでだよ、セトは僕のことキライなの?(ウルウル)」
「い、いや、愛してる。(大汗)」
「じゃあ、お家に帰って子作りだね!」
「ーーーーっ‼︎」
「うーーん、なんか、おめでとう?(ニヤニヤしている黒パトリック殿下)」
「ぱ、パトリック殿下、頼む。ロイドの魔法具を外してくれ!(必死にロイド侯の誘惑に抗うセト公)」
「いやだよー、なんか、面白そうじゃん。(ニヤリ)」
「ーーーーっ‼︎ 魔法具を装着しているときは、ロイドの記憶は無いんだ! 俺の理性は持ちそうにない! 頼む! 心の伴っていない行為はしたくないんだ‼︎(必死なセト公)」
「……君はそう思ってるかもしれないけれど、彼女のご先祖様達はそう思ってはいないみたいだよ。」
「ーーーーっ‼︎(目が点なセト公)」
「彼女のご先祖様達曰く、『子供身籠ったら、とりあえず、磁場が安定するから、よろしく頼む。』って言ってる。……まあ、君が出来ないなら、僕の部下のジョナサンがやればいいからさ。(黒パトリック殿下)」
「ーーーーっ!(怒りで頭が沸騰するセト公)」
「セト・ロック、いいかい? もうじき、大きな戦争が起こるんだ。ーーその流れは誰にも止められない。彼女の気持ちを待って、先延ばしにして、子孫繁栄を途絶えさせるのか、今出来ることをやって、次の世代を育てていくのか。……二つに一つだよ。(ビシッと)」
「………………。(ぐうの音も出ないセト公)」
「……ここに来たのは、単なる遊びではないでしょ? 勿論、偵察に来たんだよね?」
「……ああ。(キッと睨みつけるセト公)」
「そんな君にプレゼントだよ。」
ーーパトリック殿下はセト公に小瓶を手渡した!ーー
「……これは?(怪訝そうなセト公)」
「新型爆弾の核となる部分の物質さ。」
「ーーーーっ!」
「今日広場に飾られていた爆弾は、間違いなく、土も水も、空気さえも汚染する。」
「ーーーーな、ん、だって⁉︎」
「放射能だ。……それで、トルネード王国の三分の一の領土が汚されて、人間、いや、動物や植物さえも住めない状況になっている。」
「ーーーーっ‼︎」
「これは最初に、トルネード王国とアデル皇国との国境沿いで試験的に投下されるだろう。ときは、大よそ半年後だ。」
「ーーーーっ、その根拠は?」
「……僕は、君の叔父であるエドワード・ロックと同じで、ちょっと先が視えるんだよ。(儚い表情)」
「ーーーーっ‼︎」
「とりあえず、君が今しないといけないことは、第一に、そのゴキブリを制御すること! そして、その物質を中和する方法を考えることだ!(ビシッと)」
「ーーーーっ、わかった。……争い事で死んでしまったら、このままの状態では、後悔しかないからな。」
「時間が無いからね! 男は度胸だよ!(ファイト!)」
「ああ、なんか、……ありがとな。(満身創痍)」
「……あと、この書簡をマーズ兄さんに、……それと、このメモをエドワード・ロックに届けてくれ!」
「あ、ああ、……随分と用意周到なんだな。」
「元々、ジョナサンあたりに国境を越えて届けてもらおうと思ってたんだけどね、アデルの人からの方が、信憑性高いでしょ?(にっこり)」
「ーーっ!(ええええ、行きたかった。アデルの豊かな領土で、一年くらいお一人様満喫したかったです、殿下。)」
「…………わかった。二人に必ず届けよう。」
「ありがとう、セト・ロック。……それとね、ゴキブリの能力は、今後絶対に必要になるから、何があっても、誰かに其の力を抜き取られることがないように、気をつけなよ。」
「ーーーーっ? わかった。ロイドのことは、俺が責任を持ってなんとかする。」
「心強いね。……もうすぐ、皆が帰ってくる。早くここを出た方がいい。」
「ああ、パトリック殿下、ありがとう。……また、会うときまで、死ぬなよ。」
「そちらこそだよ、また会おうね!」
ーーセト公は、爆睡中のロイド侯を担いで転送した!ーー
「で、でんか。」
「うん、どうしたの、ジョナサン?」
「い、いつ、爆弾のサンプリング採取したのですか⁉︎」
「えへへ、それは、な、い、しょ、だよ!」
「はあ、そうですか。(死んだ魚の目)」
「それよりも、マリア様がハニートラップにかかってしまうと大変になってしまうことが露見した。ーー明日からマリア様の特訓を始めなければならない。(真剣な眼差し)」
「……いや殿下、ずっとマリア様の身体スリスリ触ってて、よく言えますよ!(マリア様が不憫すぎる!)」
「そりゃあ、僕は正真正銘、男だからね。……明日、死ぬかもしれないんだから、後悔のない人生を送りたいんだよ。(何かに酔いしれている殿下)」
「(死んだ魚の目)……そうですね。……それと殿下、もうさすがにマリア様の柴犬のコスプレ、やめてあげてもいいのではないのでしょうか?」
「ああ、これ? 可愛いでしょ! 僕のお母様の生まれ故郷のわんこだからね、……押し倒したくなる気持ちをすっごく抑え込んでるんだ!(黒パトリック殿下)」
「……普通にマリア様が可哀想なので、やめてあげてください。(ほんとに不憫!)」
「そうかなあ? 結構似合ってると思うんだけどなー。(ギュッとマリア様を抱き締める黒パトリック殿下)」
「あと、マリア様、わんこじゃないんですから、おかしな芸を仕込まないでください。」
「可愛かったでしょ? マリア様、なかなか乗り気でやってくれたから、ヒートアップしちゃったよ!(テヘペロ)」
「…………。(ああ、もう、故郷に帰りたい。)」
ーー新型爆弾投下まであと半年‼︎ーー
「おいお前、名を名乗ってみろ。」
「……。(どうすれば、この状況を切り抜けられる?)」
「言わないと、そのゴキブリの髪の毛、むしり取るぞ。」
「セト・ロックだ。(怖ええ。 滝のような汗)」
「ほう。…………アデル皇国のロック家か?」
「ああ、そうだ。(滝のような汗)」
「ならそう言ってよ。僕てっきり、リゲルの手先かと思ったじゃないか! 勘違いしてごめんなさい!(きゅるるん)」
「ーーっ⁉︎(さっきの緊迫した空気は何だったんだ⁉︎)」
「僕は、パトリック・サイフォン。クーデター組織『スピカ』の棟梁をやってるよ! よろしく!(丁度いいカモが、ネギと鍋と出汁に薪まで背負ってやってきたのだ!)」
「あ、ああ、よろしく?(く、クーデター組織だと⁉︎)」
「よろしく、よろしく! そのゴキブリさんもよろしく!」
「………………。(気絶中のモブ)」
「……殿下、流石に他国の旅行客に対してゴキブリ呼ばわりはいけませんよ。……ロック様、殿下の無礼をどうかお許しください。(スライディング土下座)」
「ああ、いや俺達も悪いから気にしないでくれ。(スライディング土下座だと⁉︎ この国はそんなにも謝罪に命を掛けているのか⁉︎ 恐怖に慄くセト公)」
「ロック様、こんな殺風景な外ではさぞかしつまらないでしょう。さあ、殿下の天幕の中で御休憩ください。」
「えー、でもジョナサン、僕の天幕はマリア様との愛の巣だから絶対いゃ……むぐっ⁉︎(ジョナサンに口を塞がれる)」
「さあ、ロック様、お入りください。(殿下、賓客なんだから、しっかりおもてなししないと駄目ですよ!)」
「あ、ああ、ありがとう。(汗)」
ーーこうして五人は殿下の天幕で休むことになった。ーー
◇ ◇ ◇
「へえー、……それでゴキブリ、もといロイド侯は生まれつき『磁場を狂わす』性質を持っているんだね。」
「ああ、だから、ずっと同じ場所に留まると磁場のバランスが崩れるから……。」
「常に旅を続けているということだね。」
「そうだ。」
「すごいね。……なかなか大変だったでしょ?(その能力、かなり使えるな。 ニヤリ)」
「そうだな、…………一応、ロイドの性質を封じる魔法具はあるにはあるのだが、ロイドが苦しい思いをしてしまうから、できる限り着けたくないんだ。」
「ふーん、そうなんだ。…………ちょっと試してみたいことがあるけどいいかな?」
「あ、ああ。(な、何をする気だ?)」
ーー殿下は抱いてるマリア嬢を強制的に起こした。ーー
「マリアさまー、マリアさま、起きて?(瞳孔ピカッ)」
「うーーん、……パトリックさま?」
「そうだよ、僕だよ。(にっこり)」
「パトリックさま、……大好きでしゅー。(パトリック殿下にベッタリ抱き付くマリア嬢)」
「…………。(瞳孔ピカッ)」
「パトリックさま、早く結婚して既成事実をちゅくりましょう!(パトリック殿下にスリスリする)」
「…………正気に戻れ、マリア様‼︎」
「ーーーーっ‼︎(びっくりして涙ぐむマリア嬢)」
「マリア様は、そんな媚を売ったりしない! こんな碌でもない磁場に狂わせられたら駄目だ‼︎」
「ーーーーっ‼︎ ふ、ふえーーん、パトリックしゃまにきらわれたー! もう生きていけましぇんーー!(涙ゴーゴー流してもなおパトリック殿下に抱きつきにいくマリア嬢)」
「(ええええ、殿下、自分で強制的にマリア様のこと起こしたくせに、マリア様のこと怒ってて、マリア様、可哀想すぎる! なんか、見ているこっちが涙出てきたぞ。)」
「にゃんでもするから、ゆるしてくだしゃいー、パトリックしゃまー!(大泣き)」
「許して欲しかったら、磁場に狂わされないこと! 僕以外の応力に惑わされている時点でもうそれは浮気だからね!」
「(理不尽だ! 理不尽すぎますよ、殿下! マリア様、まだ霊力のれの字もわからないのに、磁場に惑わされるなって、不憫すぎる! でも口に出して言えないよー。 悩)」
「う、うわきしてないもん! パトリックさまだけなんだもん!(もっと殿下に密着してスリスリする)」
「そうゆうところだよ! 通常運転のマリア様は身体を密着させて甘えたりなんかしないんだからね! 気高いマリア様なら、こんな状況だと羞恥心に負けて僕から逃げようとするんだからっ! そこを追いかけて泣かせることに悦びを感じているんだよ、僕は! この時点で君、失格だから!」
「ふ、ふえええーーん!(大泣き)」
「…………な、なあ、俺は、一体何を見せられているんだ?(ジョナサンに聞くセト公)」
「……僕もわかりかねるといいますか。……マリア様のことになると、殿下、気が狂ってしまいますので。(ああ、ここから逃げ出したい。)」
「マリア……。ーーーーっ! も、もしかして、宰相のラーズベルト公爵のご令嬢なのか⁉︎(嘘だろ⁉︎ あの一番まともなお方の娘さんがこんな目に合わされているのか⁉︎)」
「流石ですね、ロック様。……詳細は端折りますが、一昨日殿下が、マリア様をどこからか拾ってこられました。」
「ーーーーっ⁉︎(なんてことだ! ……トルネード王国では何が起こっているんだ⁉︎)」
「マリア様、僕の瞳を見て泣き止んでね。(瞳孔ピカッ)」
「ぱ、とりっく、さ、ま、……スピー。(寝てる)」
「マリア様、よーしよし。(マリア嬢の頭を撫で撫で)」
「……で、殿下、マリア様は悪くありませんよ。(大汗)」
「……そんなことは分かっている。……セト・ロック、……ロイド侯の能力を封じる魔法具は持っているのかい?」
「ああ、ここにある。(鞄の中から魔法具を取り出して、殿下に渡すセト公)」
「どれどれ、……ふーーん、首輪になってるんだ。(ロイド侯に近づいて)エイッと‼︎」
ーーパトリック殿下はロイド侯に魔法具を装着した!ーー
「ーーーーっ‼︎(びっくり仰天なセト公)」
「ーーオイ、オキロ、ゴキブリ。(瞳孔ピカッ)」
「むにゃむにゃ……うーーん。(パチっと目を開けて)せ、セト、……セトどこ?」
「ろ、ロイド、ここにいる……。」
「僕から離れちゃいけないじゃないか!(セト公に抱きついて身体を密着させてスリスリする)」
「ーーーーっ‼︎(理性が、持たない‼︎ 滝汗)」
「ほら、早く帰って一緒に寝るよ。(スリスリ)」
「だ、駄目だ、ロイド。(脂汗)」
「なんでだよ、セトは僕のことキライなの?(ウルウル)」
「い、いや、愛してる。(大汗)」
「じゃあ、お家に帰って子作りだね!」
「ーーーーっ‼︎」
「うーーん、なんか、おめでとう?(ニヤニヤしている黒パトリック殿下)」
「ぱ、パトリック殿下、頼む。ロイドの魔法具を外してくれ!(必死にロイド侯の誘惑に抗うセト公)」
「いやだよー、なんか、面白そうじゃん。(ニヤリ)」
「ーーーーっ‼︎ 魔法具を装着しているときは、ロイドの記憶は無いんだ! 俺の理性は持ちそうにない! 頼む! 心の伴っていない行為はしたくないんだ‼︎(必死なセト公)」
「……君はそう思ってるかもしれないけれど、彼女のご先祖様達はそう思ってはいないみたいだよ。」
「ーーーーっ‼︎(目が点なセト公)」
「彼女のご先祖様達曰く、『子供身籠ったら、とりあえず、磁場が安定するから、よろしく頼む。』って言ってる。……まあ、君が出来ないなら、僕の部下のジョナサンがやればいいからさ。(黒パトリック殿下)」
「ーーーーっ!(怒りで頭が沸騰するセト公)」
「セト・ロック、いいかい? もうじき、大きな戦争が起こるんだ。ーーその流れは誰にも止められない。彼女の気持ちを待って、先延ばしにして、子孫繁栄を途絶えさせるのか、今出来ることをやって、次の世代を育てていくのか。……二つに一つだよ。(ビシッと)」
「………………。(ぐうの音も出ないセト公)」
「……ここに来たのは、単なる遊びではないでしょ? 勿論、偵察に来たんだよね?」
「……ああ。(キッと睨みつけるセト公)」
「そんな君にプレゼントだよ。」
ーーパトリック殿下はセト公に小瓶を手渡した!ーー
「……これは?(怪訝そうなセト公)」
「新型爆弾の核となる部分の物質さ。」
「ーーーーっ!」
「今日広場に飾られていた爆弾は、間違いなく、土も水も、空気さえも汚染する。」
「ーーーーな、ん、だって⁉︎」
「放射能だ。……それで、トルネード王国の三分の一の領土が汚されて、人間、いや、動物や植物さえも住めない状況になっている。」
「ーーーーっ‼︎」
「これは最初に、トルネード王国とアデル皇国との国境沿いで試験的に投下されるだろう。ときは、大よそ半年後だ。」
「ーーーーっ、その根拠は?」
「……僕は、君の叔父であるエドワード・ロックと同じで、ちょっと先が視えるんだよ。(儚い表情)」
「ーーーーっ‼︎」
「とりあえず、君が今しないといけないことは、第一に、そのゴキブリを制御すること! そして、その物質を中和する方法を考えることだ!(ビシッと)」
「ーーーーっ、わかった。……争い事で死んでしまったら、このままの状態では、後悔しかないからな。」
「時間が無いからね! 男は度胸だよ!(ファイト!)」
「ああ、なんか、……ありがとな。(満身創痍)」
「……あと、この書簡をマーズ兄さんに、……それと、このメモをエドワード・ロックに届けてくれ!」
「あ、ああ、……随分と用意周到なんだな。」
「元々、ジョナサンあたりに国境を越えて届けてもらおうと思ってたんだけどね、アデルの人からの方が、信憑性高いでしょ?(にっこり)」
「ーーっ!(ええええ、行きたかった。アデルの豊かな領土で、一年くらいお一人様満喫したかったです、殿下。)」
「…………わかった。二人に必ず届けよう。」
「ありがとう、セト・ロック。……それとね、ゴキブリの能力は、今後絶対に必要になるから、何があっても、誰かに其の力を抜き取られることがないように、気をつけなよ。」
「ーーーーっ? わかった。ロイドのことは、俺が責任を持ってなんとかする。」
「心強いね。……もうすぐ、皆が帰ってくる。早くここを出た方がいい。」
「ああ、パトリック殿下、ありがとう。……また、会うときまで、死ぬなよ。」
「そちらこそだよ、また会おうね!」
ーーセト公は、爆睡中のロイド侯を担いで転送した!ーー
「で、でんか。」
「うん、どうしたの、ジョナサン?」
「い、いつ、爆弾のサンプリング採取したのですか⁉︎」
「えへへ、それは、な、い、しょ、だよ!」
「はあ、そうですか。(死んだ魚の目)」
「それよりも、マリア様がハニートラップにかかってしまうと大変になってしまうことが露見した。ーー明日からマリア様の特訓を始めなければならない。(真剣な眼差し)」
「……いや殿下、ずっとマリア様の身体スリスリ触ってて、よく言えますよ!(マリア様が不憫すぎる!)」
「そりゃあ、僕は正真正銘、男だからね。……明日、死ぬかもしれないんだから、後悔のない人生を送りたいんだよ。(何かに酔いしれている殿下)」
「(死んだ魚の目)……そうですね。……それと殿下、もうさすがにマリア様の柴犬のコスプレ、やめてあげてもいいのではないのでしょうか?」
「ああ、これ? 可愛いでしょ! 僕のお母様の生まれ故郷のわんこだからね、……押し倒したくなる気持ちをすっごく抑え込んでるんだ!(黒パトリック殿下)」
「……普通にマリア様が可哀想なので、やめてあげてください。(ほんとに不憫!)」
「そうかなあ? 結構似合ってると思うんだけどなー。(ギュッとマリア様を抱き締める黒パトリック殿下)」
「あと、マリア様、わんこじゃないんですから、おかしな芸を仕込まないでください。」
「可愛かったでしょ? マリア様、なかなか乗り気でやってくれたから、ヒートアップしちゃったよ!(テヘペロ)」
「…………。(ああ、もう、故郷に帰りたい。)」
ーー新型爆弾投下まであと半年‼︎ーー
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※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
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