【モフモフは正義‼︎】親友に裏切られて国外追放された悪役令嬢は、聖女になって返り咲く

星 佑紀

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第参譚

0030:第三王妃の告白

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 ーートルネード王国王城舞踏会の次の日。ーー

 ーーここは、フィックスド家の会議室。ーー

 ーー室内には、パトリック殿下にマリア嬢、サネユキ、ノア、オリビア、第三王妃にトモヨシの七名が顔をつき合わせている。(ちなみにアルトとアリスはお勉強中だぞ!)ーー


「パトリック殿下、全員揃いました。(真面目ノア)」

「了解。……じゃあ、おばちゃん、洗いざらい吐いてもらおうか。(真面目殿下)」

「…………ええ。いいでしょう。」


 ーー第三王妃は、お茶を一口飲んでから口を開いた。ーー


「まず、私とリゲルは月国出身の難民であり、月国王ユエ様に拾われて、トルネード王国へ来ました。」

「「「「「ーーーーっ⁉︎」」」」」

「私は、リゲルとの血の繋がりは無く、何も無い道で、赤ちゃんだったリゲルをたまたま拾った時に、ユエ様とばったり居合わせました。そして、ユエ様の深い思惑から、トルネード国王陛下の第三王妃と第三王子というカタチで、十数年間トルネード王国で暮らすようになったのです。」

「ちょっと待って、おばちゃん。それって、リゲルは父上とは、血が繋がってないっていうことなの?(驚愕殿下)」

「その通り。国王陛下と唯一血が繋がっている正当後継者は、マーズ殿下ただ一人です。」

「「「「「ーーーーっ⁉︎」」」」」

「……おばちゃん、……僕もってことなの?」

「ええ。……パトリック、……貴方の本当の父親は、国王陛下ののお兄様です。」

「ーーーーっ‼︎(実父が父上の双子の兄……⁉︎)」

「だからパトリックは、本来ならば、マーズ殿下の従兄弟にあたるのですよ。……但し、トルネード王国王族の掟では、『双子は同一人物とみなす、すなわち、一人は王位継承者、もう一人は』なので、世間に国王陛下が双子だという事は、隠されていますし、として、パトリックやのパトラッシュ殿下のように、の子どもにも、王子という権限が与えられているのです。」

「……は、腹違いではなかったんだね。」

「国王陛下は、二股三股をかけるような器量を持ち合わせてはいらっしゃいませんよ。……陛下が想っていらっしゃるのは、第一王妃様ただ一人ですわ。」

「それを聞いて安心したような、なんだか複雑というか…………。それで、は、何が目的なの?」

「……私にもわかりません。しかし、ユエ様は、かなりの数の月国民をトルネード王国へ移住させていますし、それと同じくらい、月国の鉱物や兵器をトルネード王国へ運んでいらっしゃいます。」

「ふーーん。…………運んだ鉱物は、農薬としてトルネード国全土に撒き散らかし、兵器は、これからの戦争と他国への脅しに使う。……どちらとも使えば猛毒ってことを知っていて。……そうでしょ、おばちゃん?」

「ええ。……私にそれを止める権利は、ありませんでした。トルネード王国が汚れることを分かっていて、私は、貿易契約書に印を押したのです。……この罪の大きさは、重々承知しています。私の命をもって、償うつもりです。」

「…………勘違いしてるみたいだけどさ、別に僕達は、おばちゃんのことを責めているわけじゃないよ。」

「…………えっ。(きょとん第三王妃)」

「僕達の目的は、月国からの内政干渉をシャットアウトして、トルネード王国の主権を取り戻すこと‼︎ ……月国の人が来て暮らしてても別に構わないし、おばちゃんやリゲルを追い出すつもりも無いから。……でも、王妃と王子の権威からは降りてもらうけどね。」

「……パトリック。(うるうる第三王妃)」

「そして、一番は僕とマリア様が結婚すること‼︎ ……おばちゃんの一番の罪は、リゲルとマリア様を婚約関係にした事だよ。……絶対に一生をかけて呪ってやる。(ジト目で第三王妃を睨みつける魔王殿下)」

「そ、それは、ーーーーっ‼︎(大焦り第三王妃)」

「マリア様もマリア様だよ。僕という運命がいるのに、リゲルなんかに懸想して、色々手作りクッキーとか差し入れしてたでしょ。……許さない。リゲルは追放して、マリア様は一生僕だけの檻に閉じ込めてやる……‼︎(お膝に抱っこしているマリア嬢をギュウギュウに抱き締めるヤンデレ殿下)」

「く、くるちー、たすけてえー‼︎(顔面真っ青マリア嬢)」

「……。(マリア様、手作りクッキー差し入れしてたんだ。健気だな。でも、なんでそれをパトリック殿下が知っているんだろう? ……殿下って、やっぱりマリア様の追っかけというか、ストーカーだったのかな。……うん。知ると後が怖いから、聞かなかったことにしよう。 二人を生暖かい目で見守るノア)」

「……。(まあ! マリア様は、クッキーも作られるのですね! 今度、マリア様流のクッキーの作り方を教えてもらいましょう! パトリック殿下の一途さに、マリア様も癒されていらっしゃいます‼︎ 本当にお二人は、理想的なカップルですわ‼︎ マリア嬢の真っ青な顔に全然気づいていない天然オリビア)」

「……。(……私とパトリックが従兄弟同士なのは変わらない……よな? 話に全然ついていけてないサネユキ)」

「(小声で)マリアちゃん、パトリックなんかに負けないでねー! おばちゃん、応援してるわよー‼︎(マリアちゃんの至近距離が可愛すぎて鼻血が出そうだわ‼︎ おもむろに鼻を押さえる第三王妃)」

「はい、そこの変態‼︎ マリア様を見て、興奮するなんて、即刻死刑だよ‼︎(第三王妃にビシッと指を指す殿下)」

「ひっそりとマリアちゃんを見ているだけなんだからいいじゃない‼︎ 冷たい宮殿内での私の癒しはマリアちゃんだけだったんだから‼︎ マリアちゃんとリゲルとの婚約だって、形式だけでも、マリアちゃんと家族になりたくておばちゃん頑張ったんだからね‼︎ ぽっと出のパトリックに取られてたまりますか‼︎(鼻を押さえつつ抗議する第三王妃)」

「ぽっと出はそっちでしょーが‼︎ 僕とマリア様はからの運命なんだから、端役のおばちゃんがしゃしゃり出てくるんじゃないよ‼︎(更にマリア嬢を締め上げる殿下)」

「ーーカハアッ‼︎(気絶するマリア嬢)」

「……。(まあ! マリア様ったら、パトリック殿下の愛情に心を打たれて、殿下に身を任せていらっしゃいますわ‼︎ ……相思相愛って素敵ですわね‼︎ ただ単に気絶しただけのマリア嬢を見て勘違いしているオリビア)」

「……。(マリア様、本当にうちの棟梁がおかしすぎてごめんなさい。……というか、地味にマリア様モテモテだな。リゲル殿下もよくもまあ簡単にモテモテマリア様を追放できたよな。……あっ、違うか。パトリック殿下が裏で手回しとかしてたんだろうなー。そうじゃないとおかしいもんなー。 パトリック殿下の暴走を見ないようにしているノア)」

「……。(マリア嬢は大丈夫なのか⁉︎ まともサネユキ)」

「……コホン。……おばちゃん、お互いのためにも、今日はこのくらいにしておこうか。(早くマリア様と二人っきりになりたい殿下)」

「……そうですわね。(鼻を押さえる第三王妃)」

「ここにいる以上おばちゃんは、僕達に協力すること。月国王との連絡も遮断する。約束できるね?(神妙殿下)」

「神に誓って約束致しますわ。(真面目王妃)」

「それじゃあ、最後に、……おばちゃん、今、トルネード国内で農薬として流通している月の鉱物を、そのままアデル側に渡して、無毒化してもらっている。」

「ーーっ⁉︎(何ですって⁉︎ そんな事ができるの⁉︎)」

「地面に撒かれたものにも、アデルの魔法使いに出向いてもらって無毒化してもらっている。もう少しでトルネード国内にばら撒かれた月の砂を殆ど無毒化出来る予定なんだ。」

「パトリック、……立派になられましたね。(うるうる)」

「それも、半強制的におばちゃんがもってきたお仕事情報網を使えたからなんだよ。……おばちゃん、ありがとう。」

「パトリック……。(涙をこらえる第三王妃)」

「でも、月国からの輸入を止めないと、鉱物の脅威は続くばかりだ。……おばちゃんは、貿易に関することにも頭を突っ込んでいたよね?」

「ええ。……ユエ様からのオーダーを聞くのに一番都合の良い部署でしたから。」

「……にも詳しいよね?」

「…………パトリック、……あなた……。」

「(間髪入れずに)後日、銀河鉄道についての情報を聞くから、おばちゃん、……頼んだよ。」

「……………ええ。承知致しましたわ。」

「……それと、なんで、月国と敵対している僕達に、こんな大事なことを話してくれたの?」

「それは、……姐御おねえさま達の願いですからね。」

「…………?(きょとん殿下)」

「私は、ユエ様に仕える反面あらゆる全ての事を、パトリックとマーズ殿下の御母堂様達に教わりました。私が月国のスパイと知っていても、裏切り者だとわかっていても、姐御おねえさま達は私のことを本当の姉妹のように扱ってくださった。ユエ様に対する感謝の気持ちはありますが、姐御おねえさま達が守ろうとしたものを、私も守りたいという気持ちの方が強いのですよ。(姐御おねえさま達のスパルタ特訓は、一生忘れませんからね‼︎)」

「ほえー。(きょとん殿下)」

「パトリック、……貴方の御母堂様もきっと、今の貴方の活躍を喜んでいらっしゃいますわ。(微笑み第三王妃)」

「…………僕は何もやってないけどね。(はえー)」


 ーーと、そこへ、一人の青年が入ってきた‼︎ーー


「失礼致します‼︎ ……隊長、『百鬼夜行の大通り』にて、大量の霊体が怨霊化し、暴れ回っております‼︎」

「「「「「「ーーーーっ‼︎」」」」」」


 ーーどうする、元スピカ団員たち⁉︎ーー
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