44 / 59
第肆譚
0043:隠れ里の巫女寮屋敷
しおりを挟む
ーーときは、お日様がもう少しで真上になる頃。ーー
ーーここはニホンの隠れ里にある『巫女寮』入り口。ーー
パアアアアア、……シュトッーー‼︎
ーー光とともにパトリック殿下御一行が降り立った‼︎ーー
「みんな、大丈夫?(まだ気絶中なマリア嬢をお姫様抱っこしているパトリック殿下)」
「ああ、なんともない。(服装を整える大巫女)」
「ここが、大巫女様の本拠地……。(ほえーなノア)」
「巫女寮、通称鏡屋敷です。(同行したシグレ)」
「……カガミヤシキですか?(全面鏡張りなのかな?)」
「はい。……ニホンの巫女は、様々な道具を用いて占いをしたり、お祓いをしたりするのですが、その中でも、突出して鏡を使用します。」
「パトリックは知っているからいいが、フィックスド辺境伯よ、……これから入る屋敷は、四方正面鏡と思ってこころせよ。(巫女っぽい佇まいな大巫女)」
「はいっーーーー‼︎(よくわからんけどカッコ良さそう‼︎ 内心はしゃぎまくってるノア)」
「じゃあ、早速入っちゃうよ‼︎」
「「「ラジャーー‼︎」」」
「スピースピー、……もふう。(もふもふマリア嬢)」
ーー殿下御一行は、屋敷の敷居を跨ぐのであった‼︎ーー
◇ ◇ ◇
ーーここは、巫女寮内の応接間。ーー
「皆様、この度はようこそお屋敷にお参りくださいました。(全員分のお茶とお菓子を出してからご挨拶する巫女見習いハナオ)」
「ハナオよ、お婆様はいらっしゃるか?(大巫女)」
「はい。支度にもう少しかかりますので、少々お待ちくださいませ。(深く礼をするハナオ)」
「わかった。……ハナオよ、屋敷の守り、ご苦労であった。(超巫女っぽい大巫女)」
「ありがたきお言葉でございます、ミクル姉様。……それでは皆様、なにもございませんが、ごゆっくりお過ごしください。(優しく微笑み退出するハナオ)」
ーー殿下御一行はお茶とお菓子を頂くことにした‼︎ーー
「ズズウーー(お茶をすする音)。……ニホンのお茶は久しぶりだな。(懐かしそうな表情の殿下)」
「あっ、……おいしい。(お茶を飲んで驚きノア)」
「そうだろ、そうだろ。もっとたくさん飲みなさい。(ややドヤ顔な大巫女)」
「……ミクル様、私は、外で見張りをしてきます。(大真面目なシグレ)」
「そうか、……なら、これを持って行きなさい。」
ーー大巫女はシグレにあん餅を持たせた‼︎ーー
「ありがとうございます、ミクル様。……では。(あん餅を大切に仕舞ってシュパッと消えるシグレ)」
「……忍者のシグレさん、かっけー‼︎(大喜びノア)」
「……。(元忍者なんだけどね。 ややドン引き殿下)」
「パトリックとフィックスド辺境伯も、あん餅食べなさい。これは、本日の早朝についた餅だからな。(二人にあん餅をすすめる大巫女)」
ーー殿下とノアは、あん餅を食べることにした‼︎ーー
「……うまーっ!(懐かしい味に思いを馳せる殿下)」
「……あんぱんもいいですけど、このお餅? もなかなか良いですね。(はじめて食べるお餅に舌鼓を打つノア)」
「そうだろ、そうだろ。巫女寮の餅は、ちと有名だからな。もっと食べなさい。(上機嫌な大巫女)」
「…………。(畳の上にて、もふもふ気絶中なマリア嬢の鼻付近で、あん餅を小さくゆする殿下)」
「スピー、スピー、……もふ? くんくん、……ふがふがふがあ‼︎(気絶してたけど、あん餅の匂いを嗅ぎ取って、鼻息を鳴らすマリア嬢)」
「わあ! さすがマリア様! お餅の美味しい匂いが分かるんですね‼︎(相変わらずマリア嬢の鼻の当たらない真上で、あん餅を揺らしてる殿下)」
「……いい加減、マリア様を起こしてあげて一緒に食べればいいのに。(小声でボソッと呟くノア)」
「……ノア、なんか言った?(にっこり魔王殿下)」
「いえ、なんでもないです。(殿下と距離を取るノア)」
「ふがふがふがふがあー‼︎(気絶しがらも頑張って殿下の手ごとお餅にかぶりつくマリア嬢)」
「ーーーーっ‼︎ ……まままりあさまが、釣れちゃった‼︎(マリア嬢に手を食べられてる状態で顔を真っ赤にするウブな殿下)」
「いやいや殿下、早く外してあげないとマリア様がお辛いですよ⁉︎(隣でぎょぎょるノア)」
「ええー、でも、なんて言えばいいんだろう、……嬉しくない? だってさ、マリア様が僕のことを想ってくれている証拠じゃないか‼︎(何故か興奮気味の殿下)」
「殿下、マリア様のお顔をよく見てあげてください。……なんだか、悩ましい表情というか、苦しそうですよ。(殿下を見てドン引きしてるノア)」
「ふご? ふがふがふが……?(無意識に甘いものを口にした筈なのに、全然甘くなくて困惑気味な気絶中マリア嬢)」
「違うよ、ノア。僕を本当に食べてもいいのか、苦渋の決断を迫られているんだよ。(謎の酔いしれた表情の殿下)」
「……。(その酔いしれた顔はなんなんですか⁉︎ 本当は言いたいけど殿下が怖くて言えないので黙ってるノア)」
「うん? どうした、二人とも、……(殿下の手を咥えてるマリア嬢を見て)…………ぱぱぱとりっくが、マリア嬢に食べられているだと⁉︎(ぎょぎょぎょ大巫女)」
「ミクル姉さん、……僕、マリア様の為なら、片手食べられても平気ですから。(謎の黄昏れた表情の殿下)」
「……。(殿下のことはガン無視して、瞳孔ピカッとマリア嬢を強制的に起こす大巫女)」
「…………もごもご、……もふう⁉︎(目覚めたら、殿下の手を咥えてる自身に驚きを隠しきれない、ややパニック状態のマリア嬢)」
「あああーー‼︎(マリア嬢がシュパパッと殿下から距離を取った為、ものすごく残念そうな殿下)」
「ももももふもふ、……もふふう⁉︎(いいいったい、何があったんですの⁉︎ 気絶してからの記憶が一切無くて、混乱中なマリア嬢)」
「……二人で愛を感じていたのですよ、マリア様。(キザっぽい表情の殿下)」
「いや、絶賛あん餅を食べてるところだ。……ほら、マリア嬢も食べなさい。(殿下とマリア嬢の間に入って、マリア嬢にあん餅を渡す大巫女)」
「もふう!(ありがとうございます、大巫女様! 頂きます! ……美味。これは、あんぱんにも引けを取らないポテンシャルをおもちのようですわね‼︎ もふもふあん餅を口に運ぶマリア嬢)」
「そうだろ、そうだろ。……もっとたくさんあるから、食べなさい。(完全なるドヤ顔の大巫女)」
「もっふふう‼︎(ありがとうございます、ミクル様‼︎)」
ーーマリア嬢はゆっくりとあん餅を楽しみ出した‼︎ーー
「……マリアさまあ。(マリア嬢に相手されずにしょぼくれてる殿下)」
「殿下、ドンマイですね。(さりげなく、あん餅を三個程菓子鉢から取り出して、包み出すノア)」
「うん? ノア、そのお餅どうするの?(きょとん殿下)」
「(小声で)オリビアさんとアルトとアリスの分です。」
「…………。(あーね。 何かを悟った殿下)」
「なんかお餅? って長期保存できそうなんで、霊力で密閉パックにしたら、長持ちするかなって、……えへへ。(ごく普通のパパの顔なノア)」
「……保管はできるかもしれないけど、多分固くなって美味しく無くなるんじゃないかな。(一時期ニホンで暮らしてた経験をもとにアドバイスする殿下)」
「な、ん、で、す、と⁉︎(しょんぼりノア)」
「…………。(ちょっと気まずい殿下)」
「…………。(殿下の前であからさまに悲しむノア)」
「……わかったよ、ノア。……その包んだお餅出して。(仕方がないなあ。 ポケットから移動用魔法陣を出す殿下)」
「殿下……‼︎(ものすっごく嬉しそうにオリビア達へのお土産を殿下の前に出すノア)」
「ふう、……指定物魔法転送。(瞳孔ピカッ)」
ーー橙色の光とともにお土産は消失した‼︎ーー
「ありがとうございます、殿下‼︎(嬉しげノア)」
「…………オリビアちゃん達が気づいてくれるといいね。」
「もふう、もふう!(大丈夫です! オリビア先生なら気づいてくださる筈ですわ‼︎ もふもふ食べつつ、殿下達をあたたかい眼差しで見てたマリア嬢)」
「…………マリア様、お餅、美味しい?(動いてるマリア嬢を見て、目に光が宿る殿下)」
「もっふふう‼︎(当たりの前様ですわ‼︎ とても貴重な食べ物ですからね、食べきれないお餅はコソッと包んで持って帰りますわよ‼︎)」
「…………。(いじめたい。このもっふもふ、こねくりまわしたい。 殿下に新たな感情が生まれた瞬間)」
「さあさ皆、食べれるうちに食べておくぞ‼︎(大巫女)」
「「「ラジャーー‼︎(もふう‼︎)」」」
ーー巫女寮の時間は賑やかに過ぎてゆくのであった‼︎ーー
【おまけ】
ーーここは、トルネード王国のノアのお屋敷。ーー
「アリスちん、一緒にかけっこするでちゅよー‼︎」
「あー、うっ‼︎(アルト、待ってー‼︎ ハイハイアリス)」
ーーおや、なにやら大広場でアルト達が遊んでいる⁉︎ーー
「二人とも、とても逞しいわね。(側で見守ってるビア)」
「ははも一緒にかけっこしまちゅよね?(謎の圧をオリビアにかけようとするアルト)」
「……私が走り出すと、床が落ちてしまうから、また今度にしましょうね。(普通に恐ろしい事をさらっと言いのけるオリビア)」
「な、ん、で、しゅ、とー⁉︎(ガクブルアルト)」
「あーあー、ううっ‼︎(やっとアルトに追いついた‼︎ いつの間にかハイハイスキルを身につけたアリス)」
「うおっ‼︎ アリスちん、早いでしゅね‼︎ ようし、もう一回勝負でちゅよー‼︎(てってけ走り出すアルト)」
「うーっ、あっ‼︎(アルトのイジワル‼︎ それでもアルトについて行くアリス)」
「アリスちん、まだまだでちゅねー、ファイトでちゅよー‼︎(前を見ずにアリスの方ばかりを気にしてるアルト)」
ーーと、アルトの上空に、橙色の光が⁉︎ーー
パアアア、…………シュトッーー‼︎
ーーそして、アルトの頭上に謎の包みが現れた‼︎ーー
バタン、キュー‼︎(アルトと包みが接触した音)
「グピャーー⁉︎(いきなり降ってきた包みに頭を攻撃されて、泣き出すアルト)」
「「ーーーーっ⁉︎(驚愕オリビアとアリス)」」
「アルト、大丈夫⁉︎(アルトを抱き上げてあやすビア)」
「ははー、頭が痛いー、どうにかしてでちゅー‼︎(頭に乗っかってる包みをペシっとオリビアに渡しつつ、オリビアに甘えまくるアルト)」
「おー、よしよし。(包みをキャッチしつつアルトの頭を撫で撫でするオリビア)」
「あうあー‼︎(アルト、なんだか大丈夫そうだね‼︎)」
「……でも、不思議ね。この包み、一体どこから来たのかしら?(勇猛果敢に包みをおりゃーっと開封するオリビア)」
「「「ーーーーっ⁉︎」」」
ーー包みから出てきたブツは三つのあん餅であった‼︎ーー
「見たことない食べ物でちゅね。僕ちんが毒味をしてあげまちゅよ。(ころっと泣き止んでお餅に手を出すアルト)」
「駄目ですよ、アルト。……私が頂きましょう。」
ーーオリビアは、お餅を一口いただいた‼︎ーー
「ーーーーっ‼︎ お、おいしいですわ……⁉︎」
「「ーーーーっ‼︎」」
「こんな美味しい食べ物を一体誰が……。」
「ははー、僕ちんも毒味してあげるでちゅよー‼︎」
「あうー。(私も食べれるかな? ソワソワアリス)」
「そうね、二人とも、……ちょっとノアさんに相談してからにしましょうね!(アルトからお餅を遠ざけるビア)」
「ええー、ははだけズルいでちゅよー‼︎(ジタバタ)」
「えへへ、もうすぐお昼ご飯ですからね。」
「ははー、はやくごはんごはんー‼︎(気持ちの切り替えが早いアルト)」
「あうー‼︎(ごはんー‼︎ 最近離乳食を解禁したアリス)」
「(小声で)……ノアさん、さすがですわ。(なんとなく、状況を察知したオリビア)」
ーー数刻後、ノアと確認が取れたので、オリビアとアルトとアリスは、美味しくあん餅をいただいたのであった‼︎ーー
ーーここはニホンの隠れ里にある『巫女寮』入り口。ーー
パアアアアア、……シュトッーー‼︎
ーー光とともにパトリック殿下御一行が降り立った‼︎ーー
「みんな、大丈夫?(まだ気絶中なマリア嬢をお姫様抱っこしているパトリック殿下)」
「ああ、なんともない。(服装を整える大巫女)」
「ここが、大巫女様の本拠地……。(ほえーなノア)」
「巫女寮、通称鏡屋敷です。(同行したシグレ)」
「……カガミヤシキですか?(全面鏡張りなのかな?)」
「はい。……ニホンの巫女は、様々な道具を用いて占いをしたり、お祓いをしたりするのですが、その中でも、突出して鏡を使用します。」
「パトリックは知っているからいいが、フィックスド辺境伯よ、……これから入る屋敷は、四方正面鏡と思ってこころせよ。(巫女っぽい佇まいな大巫女)」
「はいっーーーー‼︎(よくわからんけどカッコ良さそう‼︎ 内心はしゃぎまくってるノア)」
「じゃあ、早速入っちゃうよ‼︎」
「「「ラジャーー‼︎」」」
「スピースピー、……もふう。(もふもふマリア嬢)」
ーー殿下御一行は、屋敷の敷居を跨ぐのであった‼︎ーー
◇ ◇ ◇
ーーここは、巫女寮内の応接間。ーー
「皆様、この度はようこそお屋敷にお参りくださいました。(全員分のお茶とお菓子を出してからご挨拶する巫女見習いハナオ)」
「ハナオよ、お婆様はいらっしゃるか?(大巫女)」
「はい。支度にもう少しかかりますので、少々お待ちくださいませ。(深く礼をするハナオ)」
「わかった。……ハナオよ、屋敷の守り、ご苦労であった。(超巫女っぽい大巫女)」
「ありがたきお言葉でございます、ミクル姉様。……それでは皆様、なにもございませんが、ごゆっくりお過ごしください。(優しく微笑み退出するハナオ)」
ーー殿下御一行はお茶とお菓子を頂くことにした‼︎ーー
「ズズウーー(お茶をすする音)。……ニホンのお茶は久しぶりだな。(懐かしそうな表情の殿下)」
「あっ、……おいしい。(お茶を飲んで驚きノア)」
「そうだろ、そうだろ。もっとたくさん飲みなさい。(ややドヤ顔な大巫女)」
「……ミクル様、私は、外で見張りをしてきます。(大真面目なシグレ)」
「そうか、……なら、これを持って行きなさい。」
ーー大巫女はシグレにあん餅を持たせた‼︎ーー
「ありがとうございます、ミクル様。……では。(あん餅を大切に仕舞ってシュパッと消えるシグレ)」
「……忍者のシグレさん、かっけー‼︎(大喜びノア)」
「……。(元忍者なんだけどね。 ややドン引き殿下)」
「パトリックとフィックスド辺境伯も、あん餅食べなさい。これは、本日の早朝についた餅だからな。(二人にあん餅をすすめる大巫女)」
ーー殿下とノアは、あん餅を食べることにした‼︎ーー
「……うまーっ!(懐かしい味に思いを馳せる殿下)」
「……あんぱんもいいですけど、このお餅? もなかなか良いですね。(はじめて食べるお餅に舌鼓を打つノア)」
「そうだろ、そうだろ。巫女寮の餅は、ちと有名だからな。もっと食べなさい。(上機嫌な大巫女)」
「…………。(畳の上にて、もふもふ気絶中なマリア嬢の鼻付近で、あん餅を小さくゆする殿下)」
「スピー、スピー、……もふ? くんくん、……ふがふがふがあ‼︎(気絶してたけど、あん餅の匂いを嗅ぎ取って、鼻息を鳴らすマリア嬢)」
「わあ! さすがマリア様! お餅の美味しい匂いが分かるんですね‼︎(相変わらずマリア嬢の鼻の当たらない真上で、あん餅を揺らしてる殿下)」
「……いい加減、マリア様を起こしてあげて一緒に食べればいいのに。(小声でボソッと呟くノア)」
「……ノア、なんか言った?(にっこり魔王殿下)」
「いえ、なんでもないです。(殿下と距離を取るノア)」
「ふがふがふがふがあー‼︎(気絶しがらも頑張って殿下の手ごとお餅にかぶりつくマリア嬢)」
「ーーーーっ‼︎ ……まままりあさまが、釣れちゃった‼︎(マリア嬢に手を食べられてる状態で顔を真っ赤にするウブな殿下)」
「いやいや殿下、早く外してあげないとマリア様がお辛いですよ⁉︎(隣でぎょぎょるノア)」
「ええー、でも、なんて言えばいいんだろう、……嬉しくない? だってさ、マリア様が僕のことを想ってくれている証拠じゃないか‼︎(何故か興奮気味の殿下)」
「殿下、マリア様のお顔をよく見てあげてください。……なんだか、悩ましい表情というか、苦しそうですよ。(殿下を見てドン引きしてるノア)」
「ふご? ふがふがふが……?(無意識に甘いものを口にした筈なのに、全然甘くなくて困惑気味な気絶中マリア嬢)」
「違うよ、ノア。僕を本当に食べてもいいのか、苦渋の決断を迫られているんだよ。(謎の酔いしれた表情の殿下)」
「……。(その酔いしれた顔はなんなんですか⁉︎ 本当は言いたいけど殿下が怖くて言えないので黙ってるノア)」
「うん? どうした、二人とも、……(殿下の手を咥えてるマリア嬢を見て)…………ぱぱぱとりっくが、マリア嬢に食べられているだと⁉︎(ぎょぎょぎょ大巫女)」
「ミクル姉さん、……僕、マリア様の為なら、片手食べられても平気ですから。(謎の黄昏れた表情の殿下)」
「……。(殿下のことはガン無視して、瞳孔ピカッとマリア嬢を強制的に起こす大巫女)」
「…………もごもご、……もふう⁉︎(目覚めたら、殿下の手を咥えてる自身に驚きを隠しきれない、ややパニック状態のマリア嬢)」
「あああーー‼︎(マリア嬢がシュパパッと殿下から距離を取った為、ものすごく残念そうな殿下)」
「ももももふもふ、……もふふう⁉︎(いいいったい、何があったんですの⁉︎ 気絶してからの記憶が一切無くて、混乱中なマリア嬢)」
「……二人で愛を感じていたのですよ、マリア様。(キザっぽい表情の殿下)」
「いや、絶賛あん餅を食べてるところだ。……ほら、マリア嬢も食べなさい。(殿下とマリア嬢の間に入って、マリア嬢にあん餅を渡す大巫女)」
「もふう!(ありがとうございます、大巫女様! 頂きます! ……美味。これは、あんぱんにも引けを取らないポテンシャルをおもちのようですわね‼︎ もふもふあん餅を口に運ぶマリア嬢)」
「そうだろ、そうだろ。……もっとたくさんあるから、食べなさい。(完全なるドヤ顔の大巫女)」
「もっふふう‼︎(ありがとうございます、ミクル様‼︎)」
ーーマリア嬢はゆっくりとあん餅を楽しみ出した‼︎ーー
「……マリアさまあ。(マリア嬢に相手されずにしょぼくれてる殿下)」
「殿下、ドンマイですね。(さりげなく、あん餅を三個程菓子鉢から取り出して、包み出すノア)」
「うん? ノア、そのお餅どうするの?(きょとん殿下)」
「(小声で)オリビアさんとアルトとアリスの分です。」
「…………。(あーね。 何かを悟った殿下)」
「なんかお餅? って長期保存できそうなんで、霊力で密閉パックにしたら、長持ちするかなって、……えへへ。(ごく普通のパパの顔なノア)」
「……保管はできるかもしれないけど、多分固くなって美味しく無くなるんじゃないかな。(一時期ニホンで暮らしてた経験をもとにアドバイスする殿下)」
「な、ん、で、す、と⁉︎(しょんぼりノア)」
「…………。(ちょっと気まずい殿下)」
「…………。(殿下の前であからさまに悲しむノア)」
「……わかったよ、ノア。……その包んだお餅出して。(仕方がないなあ。 ポケットから移動用魔法陣を出す殿下)」
「殿下……‼︎(ものすっごく嬉しそうにオリビア達へのお土産を殿下の前に出すノア)」
「ふう、……指定物魔法転送。(瞳孔ピカッ)」
ーー橙色の光とともにお土産は消失した‼︎ーー
「ありがとうございます、殿下‼︎(嬉しげノア)」
「…………オリビアちゃん達が気づいてくれるといいね。」
「もふう、もふう!(大丈夫です! オリビア先生なら気づいてくださる筈ですわ‼︎ もふもふ食べつつ、殿下達をあたたかい眼差しで見てたマリア嬢)」
「…………マリア様、お餅、美味しい?(動いてるマリア嬢を見て、目に光が宿る殿下)」
「もっふふう‼︎(当たりの前様ですわ‼︎ とても貴重な食べ物ですからね、食べきれないお餅はコソッと包んで持って帰りますわよ‼︎)」
「…………。(いじめたい。このもっふもふ、こねくりまわしたい。 殿下に新たな感情が生まれた瞬間)」
「さあさ皆、食べれるうちに食べておくぞ‼︎(大巫女)」
「「「ラジャーー‼︎(もふう‼︎)」」」
ーー巫女寮の時間は賑やかに過ぎてゆくのであった‼︎ーー
【おまけ】
ーーここは、トルネード王国のノアのお屋敷。ーー
「アリスちん、一緒にかけっこするでちゅよー‼︎」
「あー、うっ‼︎(アルト、待ってー‼︎ ハイハイアリス)」
ーーおや、なにやら大広場でアルト達が遊んでいる⁉︎ーー
「二人とも、とても逞しいわね。(側で見守ってるビア)」
「ははも一緒にかけっこしまちゅよね?(謎の圧をオリビアにかけようとするアルト)」
「……私が走り出すと、床が落ちてしまうから、また今度にしましょうね。(普通に恐ろしい事をさらっと言いのけるオリビア)」
「な、ん、で、しゅ、とー⁉︎(ガクブルアルト)」
「あーあー、ううっ‼︎(やっとアルトに追いついた‼︎ いつの間にかハイハイスキルを身につけたアリス)」
「うおっ‼︎ アリスちん、早いでしゅね‼︎ ようし、もう一回勝負でちゅよー‼︎(てってけ走り出すアルト)」
「うーっ、あっ‼︎(アルトのイジワル‼︎ それでもアルトについて行くアリス)」
「アリスちん、まだまだでちゅねー、ファイトでちゅよー‼︎(前を見ずにアリスの方ばかりを気にしてるアルト)」
ーーと、アルトの上空に、橙色の光が⁉︎ーー
パアアア、…………シュトッーー‼︎
ーーそして、アルトの頭上に謎の包みが現れた‼︎ーー
バタン、キュー‼︎(アルトと包みが接触した音)
「グピャーー⁉︎(いきなり降ってきた包みに頭を攻撃されて、泣き出すアルト)」
「「ーーーーっ⁉︎(驚愕オリビアとアリス)」」
「アルト、大丈夫⁉︎(アルトを抱き上げてあやすビア)」
「ははー、頭が痛いー、どうにかしてでちゅー‼︎(頭に乗っかってる包みをペシっとオリビアに渡しつつ、オリビアに甘えまくるアルト)」
「おー、よしよし。(包みをキャッチしつつアルトの頭を撫で撫でするオリビア)」
「あうあー‼︎(アルト、なんだか大丈夫そうだね‼︎)」
「……でも、不思議ね。この包み、一体どこから来たのかしら?(勇猛果敢に包みをおりゃーっと開封するオリビア)」
「「「ーーーーっ⁉︎」」」
ーー包みから出てきたブツは三つのあん餅であった‼︎ーー
「見たことない食べ物でちゅね。僕ちんが毒味をしてあげまちゅよ。(ころっと泣き止んでお餅に手を出すアルト)」
「駄目ですよ、アルト。……私が頂きましょう。」
ーーオリビアは、お餅を一口いただいた‼︎ーー
「ーーーーっ‼︎ お、おいしいですわ……⁉︎」
「「ーーーーっ‼︎」」
「こんな美味しい食べ物を一体誰が……。」
「ははー、僕ちんも毒味してあげるでちゅよー‼︎」
「あうー。(私も食べれるかな? ソワソワアリス)」
「そうね、二人とも、……ちょっとノアさんに相談してからにしましょうね!(アルトからお餅を遠ざけるビア)」
「ええー、ははだけズルいでちゅよー‼︎(ジタバタ)」
「えへへ、もうすぐお昼ご飯ですからね。」
「ははー、はやくごはんごはんー‼︎(気持ちの切り替えが早いアルト)」
「あうー‼︎(ごはんー‼︎ 最近離乳食を解禁したアリス)」
「(小声で)……ノアさん、さすがですわ。(なんとなく、状況を察知したオリビア)」
ーー数刻後、ノアと確認が取れたので、オリビアとアルトとアリスは、美味しくあん餅をいただいたのであった‼︎ーー
1
あなたにおすすめの小説
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!
美杉日和。(旧美杉。)
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』
そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。
目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。
なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。
元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。
ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。
いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。
なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。
このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。
悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。
ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
じゃない方の私が何故かヤンデレ騎士団長に囚われたのですが
カレイ
恋愛
天使な妹。それに纏わりつく金魚のフンがこの私。
両親も妹にしか関心がなく兄からも無視される毎日だけれど、私は別に自分を慕ってくれる妹がいればそれで良かった。
でもある時、私に嫉妬する兄や婚約者に嵌められて、婚約破棄された上、実家を追い出されてしまう。しかしそのことを聞きつけた騎士団長が何故か私の前に現れた。
「ずっと好きでした、もう我慢しません!あぁ、貴方の匂いだけで私は……」
そうして、何故か最強騎士団長に囚われました。
婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。
桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。
「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」
「はい、喜んで!」
……えっ? 喜んじゃうの?
※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる