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第壱譚
0001:お師匠様に売られた綴実(つづみ)
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★ここは、ニホン帝国にある、とある花街『暁』。その一角にひっそりと佇むお茶屋『明星』では、とある小柄な黒髪の青年『綴実』と、とある白髪の中年男性が、何とも言えない雰囲気で対峙していた。
コッコッコッ…………カポーン(鹿おどしの音)
「……お師匠様、……折り入ってお話とは一体、なんなのですか?(下座で律儀に正座をしている短髪黒髪の青年 綴実)」
「……おう。(上座であぐらを組んで綴実から身体を背けている白髪ロン毛の丸眼鏡をかけた美丈夫)」
★中年ながらも小綺麗に身なりが整っている美丈夫『お師匠様』は、微妙な表情で一点だけを見つめている。
「……その、なんだ、……綴実、……朝餉は食べたのか?(綴実から身体を背けたまま話しかけるお師匠様)」
「……? ええ、とっくの昔にですが。(謎の違和感を覚える綴実)」
「そうか。……なら、単刀直入に言おう。……綴実、……悪いけど、今日から魔法の国 アデル皇国に行って、魔石代を稼いできてくれ。(シュパパッと身体を綴実に向けて要件を言った後に、すぐ身体を背けるお師匠様)」
「………………はい?(お師匠様の言ってる意味がわからない綴実)」
「……だから、アデル皇国へ出稼ぎに行ってこいということだ。(若干早口になるお師匠様)」
「……ええっと、……お師匠様、つかぬ事をお聞きしますが、……それは一体どういう意味で仰っているのですか? ……俺がアデル皇国で出稼ぎなんて、ありえないでしょう?(顔面蒼白な綴実)」
「…………。(微動だにしないお師匠様)」
★ 二人の間に、どんよりとした重たい空気が漂う。……長い沈黙を破ったのは、お師匠様の投げやりなお言葉だった。
「…………売ったんだよ。(ため息をつきつつも、懐から煙管を取り出すお師匠様)」
「……はぇっ? ……何を?(目が点な綴実)」
「…………綴実、……お前をさ。(綴実から顔をそらし、煙管を口に咥える流し目なお師匠様)」
「ななな、なんですって~⁉︎(ワナワナと震える綴実)」
★ 綴実はあまりの動揺に立ち上がった!
「色々と大人の事情があるのだよ、綴実君。(横に置いてある火鉢から火種をもらって煙管を吸うお師匠様)」
★ 綴実は、両手で頭を押さえながら、何やらブツブツと呟いている!
「いやいやいやいや、…………考えられない。……俺を売った? 何故アデルに⁉︎ 頭おかしいでしょ……。お師匠様! いくらで俺を売ったんですか⁉︎(頭が混乱して、心のザワメキがおさまらない綴実)」
「…………魔石半世紀分……かな?(いまいち状況を把握しきれていないお師匠様)」
「魔石半世紀分だと……⁉︎ そんな高価な石と俺が対等な対価になり得るって言うのですか⁉︎ こっちは、寂れた花街の用心棒ですよ⁉︎ ありえない。……お師匠様、絶対騙されてますって‼︎(早口で捲し立てる綴実)」
「まあまあ、落ち着いて聞きなさい、綴実君。……こっちにも、色々事情があってね、……あちら側にも、のっぴきならない事情ってものがあるのだよ。……私は、綴実を売って得た魔石を更に高値で売って、生涯安泰で暮らせる。綴実は、アデルに行って、楽しく暮らせる。……等価交換さ。(吸い終わった煙管の灰を、火鉢にトントンと落とすお師匠様)」
「待ってください、お師匠様! それのどこが、等価交換なのですか⁉︎ …………確かに、身寄りのない俺を、貧乏な中でも育ててくれたお師匠様には感謝しかありません。ですが、いきなり他所に俺を売るのは違うでしょう? 何故そんな大事なことを、もっと早くに言ってくれなかったのですか⁉︎(感情が溢れ出て、両目が潤む綴実)」
「つづみ……。(綴実をじいっと見つめるお師匠様)」
「今からでも間に合います。……先方にお断りを入れましょう!(どうにかここに残りたい綴実)」
コンコンコン(障子の縁を小さく叩く音)
★と、二人の空間に、小さな音が入ってきた。
「……綴実、……行くか行かないかは、先方の話を聞いてからにしなさい。(スクっと素早く立ち上がるお師匠)」
「えっ、お師匠様……?(綴実)」
★お師匠様は、スチャッと畳の縁を跨ぎながら移動して、綴実の背後に位置する出入り口の障子を開けた。
★障子の向こうには、鮮血のように真っ赤な瞳に、白糸の滝のような美しい銀色の長髪を後ろで無造作に束ねた、まるで美少女のような男性が立っている。しかし彼の表情は、何やら暗く、曇りまくっていたのであった!
「綴実、紹介するよ。……アデル皇国の筆頭公爵、……偉大なる魔法使い 『エドワード・ロック公爵』様さ。(丸眼鏡がキラッと反射しているお師匠様)」
「──っ⁉︎(あの有名な⁉︎ 驚きで言葉が出ない綴実)」
「──古き友よ、ありがとう。……ニホンのたんぽぽを譲ってくれて。(深刻な表情のロック公爵)」
「……まあ、簡単には譲らないけどな。(丸眼鏡が反射しまくりで、表情が窺い知れないお師匠様)」
「──っ⁉︎(この二人の関係性って何なの⁉︎ 困惑ばかりな綴実)」
★後に分かるが、偉大なる魔法使いと呼ばれたこの男、エドワード・ロックは、『ニホンのたんぽぽ』が成長することを、今か今かと待ち望んで生きてきたのであった‼︎
コッコッコッ…………カポーン(鹿おどしの音)
「……お師匠様、……折り入ってお話とは一体、なんなのですか?(下座で律儀に正座をしている短髪黒髪の青年 綴実)」
「……おう。(上座であぐらを組んで綴実から身体を背けている白髪ロン毛の丸眼鏡をかけた美丈夫)」
★中年ながらも小綺麗に身なりが整っている美丈夫『お師匠様』は、微妙な表情で一点だけを見つめている。
「……その、なんだ、……綴実、……朝餉は食べたのか?(綴実から身体を背けたまま話しかけるお師匠様)」
「……? ええ、とっくの昔にですが。(謎の違和感を覚える綴実)」
「そうか。……なら、単刀直入に言おう。……綴実、……悪いけど、今日から魔法の国 アデル皇国に行って、魔石代を稼いできてくれ。(シュパパッと身体を綴実に向けて要件を言った後に、すぐ身体を背けるお師匠様)」
「………………はい?(お師匠様の言ってる意味がわからない綴実)」
「……だから、アデル皇国へ出稼ぎに行ってこいということだ。(若干早口になるお師匠様)」
「……ええっと、……お師匠様、つかぬ事をお聞きしますが、……それは一体どういう意味で仰っているのですか? ……俺がアデル皇国で出稼ぎなんて、ありえないでしょう?(顔面蒼白な綴実)」
「…………。(微動だにしないお師匠様)」
★ 二人の間に、どんよりとした重たい空気が漂う。……長い沈黙を破ったのは、お師匠様の投げやりなお言葉だった。
「…………売ったんだよ。(ため息をつきつつも、懐から煙管を取り出すお師匠様)」
「……はぇっ? ……何を?(目が点な綴実)」
「…………綴実、……お前をさ。(綴実から顔をそらし、煙管を口に咥える流し目なお師匠様)」
「ななな、なんですって~⁉︎(ワナワナと震える綴実)」
★ 綴実はあまりの動揺に立ち上がった!
「色々と大人の事情があるのだよ、綴実君。(横に置いてある火鉢から火種をもらって煙管を吸うお師匠様)」
★ 綴実は、両手で頭を押さえながら、何やらブツブツと呟いている!
「いやいやいやいや、…………考えられない。……俺を売った? 何故アデルに⁉︎ 頭おかしいでしょ……。お師匠様! いくらで俺を売ったんですか⁉︎(頭が混乱して、心のザワメキがおさまらない綴実)」
「…………魔石半世紀分……かな?(いまいち状況を把握しきれていないお師匠様)」
「魔石半世紀分だと……⁉︎ そんな高価な石と俺が対等な対価になり得るって言うのですか⁉︎ こっちは、寂れた花街の用心棒ですよ⁉︎ ありえない。……お師匠様、絶対騙されてますって‼︎(早口で捲し立てる綴実)」
「まあまあ、落ち着いて聞きなさい、綴実君。……こっちにも、色々事情があってね、……あちら側にも、のっぴきならない事情ってものがあるのだよ。……私は、綴実を売って得た魔石を更に高値で売って、生涯安泰で暮らせる。綴実は、アデルに行って、楽しく暮らせる。……等価交換さ。(吸い終わった煙管の灰を、火鉢にトントンと落とすお師匠様)」
「待ってください、お師匠様! それのどこが、等価交換なのですか⁉︎ …………確かに、身寄りのない俺を、貧乏な中でも育ててくれたお師匠様には感謝しかありません。ですが、いきなり他所に俺を売るのは違うでしょう? 何故そんな大事なことを、もっと早くに言ってくれなかったのですか⁉︎(感情が溢れ出て、両目が潤む綴実)」
「つづみ……。(綴実をじいっと見つめるお師匠様)」
「今からでも間に合います。……先方にお断りを入れましょう!(どうにかここに残りたい綴実)」
コンコンコン(障子の縁を小さく叩く音)
★と、二人の空間に、小さな音が入ってきた。
「……綴実、……行くか行かないかは、先方の話を聞いてからにしなさい。(スクっと素早く立ち上がるお師匠)」
「えっ、お師匠様……?(綴実)」
★お師匠様は、スチャッと畳の縁を跨ぎながら移動して、綴実の背後に位置する出入り口の障子を開けた。
★障子の向こうには、鮮血のように真っ赤な瞳に、白糸の滝のような美しい銀色の長髪を後ろで無造作に束ねた、まるで美少女のような男性が立っている。しかし彼の表情は、何やら暗く、曇りまくっていたのであった!
「綴実、紹介するよ。……アデル皇国の筆頭公爵、……偉大なる魔法使い 『エドワード・ロック公爵』様さ。(丸眼鏡がキラッと反射しているお師匠様)」
「──っ⁉︎(あの有名な⁉︎ 驚きで言葉が出ない綴実)」
「──古き友よ、ありがとう。……ニホンのたんぽぽを譲ってくれて。(深刻な表情のロック公爵)」
「……まあ、簡単には譲らないけどな。(丸眼鏡が反射しまくりで、表情が窺い知れないお師匠様)」
「──っ⁉︎(この二人の関係性って何なの⁉︎ 困惑ばかりな綴実)」
★後に分かるが、偉大なる魔法使いと呼ばれたこの男、エドワード・ロックは、『ニホンのたんぽぽ』が成長することを、今か今かと待ち望んで生きてきたのであった‼︎
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