生前死後、変わらぬ想い。

たあこ

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その手掴めず、諦めきれず。

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 俺は晴れて高校生になった。
 緊張した入学式だったが、自分のクラス……一年C組に戻ればそれも消えた。なぜなら、また星夜と同じクラスだったからだ。
「綾瀬、また一緒とか運命じゃね? もう結婚する?」
「嫌だよ」
 そして、このクラスには。
「千歳ちゃん!」
 彼女は振り向いて笑って、
「また、一緒ですね」
 俺はこれを運命だと思いたかった。

 高校生活は順調に進んでいき、俺はとても楽しい生活を送っていた。入学してから二ヶ月、星夜と二人で意味もなくベランダに出て弁当を食べる。この時期は雨が多いけれど、晴れた日は暑すぎず寒すぎずで快適だ。
「綾瀬、中学の約束覚えてるよな」
「……」
 忘れるわけがない。俺はあれ以来、そのことをずっと気にしている。
「忘れたとは言わせねえぞ。告白するんだろ」
「う、うん……」
「ちゃんとしろよ。いつ他の誰にとられるか分かんねえんだぞ」
 その言葉に、俺はハッとした。
 そうか、あんなに可愛くて優しかったら、他に千歳ちゃんに惚れる人がいても全くおかしくない。振られることは何度も考えたが、誰かにとられるなんて考えていなかった。俺はようやく、告白を決心した。
 思い立ったが吉日、千歳ちゃんに一緒に帰ろうと言ったのは昼休みが終わってすぐのことだ。話を聞いたところ、俺の部活と同じくらいの時間だったため、早く終わった方が待つことになった。部活が終わって、千歳ちゃんの靴を見ると、まだ外靴がある。どうやら俺が先だったようなので、下駄箱に寄りかかった。十分、二十分と時が過ぎる。だんだん人も減ってきて、それでもまだ来ない。何かあったのかと心配になってきたころ、千歳ちゃんが走ってきた。
「ごめんなさい……! 部活が長引いて、それから先生に捕まってしまって……。置いていっても良かったのに……すみません……」
「いいのいいの、俺が一緒に帰りたかっただけだし。遅くなったならなおさら置いてけないよ」
 正直、千歳ちゃんが俺のために走ってきたと思うと口角が上がりそうだ。じゃあ帰ろうかと言って歩き出す。他愛もない会話を続けるが、話題には限りがあった。会話が途切れたとき、俺は思い切って言った。
「千歳ちゃん、俺、千歳ちゃんのこと好きだよ……って言ったら、どうする?」
 千歳ちゃんの顔は見れず、前を向いて。
「……綾瀬くんは、とってもいい人で、優しい方なんですけど……今はまだ、そういうの考えられなくて」
「そっか。……びっくりした?」
 そう言っておどけて見せると、千歳ちゃんも笑って、びっくりしましたと答えた。
 今はまだそういうを考えられない。つまりこれは、振られたってことだ。そうか、振られたのか。
 ……卒業まではあと二年。それまでに、千歳ちゃんに、そういうのを考えさせるようにしよう。あわよくば、その相手が俺であればいいな、なんて。贅沢だ。
 千歳ちゃんを送ったあと、俺は自分の家へと引き返す。
「ストーカーとか趣味悪いぞ、星夜」
「気づいてたんだ?」
 路地裏から顔を出した星夜。ずっとつけてきていたことに、俺は気づいていた。
「泣くなよ?」
 そう言う星夜に俺は、
「諦めないから、大丈夫」
 と答えて、まっすぐと前を見据えた。

「修学旅行?」
 千歳ちゃんにそれとなく振られてから早一年。ことあるごとに好意をアピってきたが進展はなく、時の流れは早いものでもう高二、修学旅行の時期だ。奇跡としか言いようがない確率で、俺と千歳ちゃんと星夜は同じクラスである。
「おー。俺班長やる予定だから、椎名さんと綾瀬同じ班にしてやろうかなと」
「まじすか星夜さん!」
 星夜の粋な計らいによって、俺はめでたく千歳ちゃんと二度目の修学旅行に行けることになった。
 修学旅行の班が発表されて、俺を見た千歳ちゃんは、また一緒ですねと言った。嫌かなと聞くと、全然、と答える。ふわりと笑った彼女が、やっぱり可愛い。直視できなくて、なら良かったと目をそらした。

 修学旅行、楽しかったな……。卒業式の最中、俺は三年間のことを振り返っていた。嬉しかったこと、楽しかったこと、苦しかったこと、悲しかったこと。たくさん、色々なことがあった。
 万引き犯と勘違いされて補導されたり(誤解は解けた)、夏祭りでチャラいお姉さんに連れていかれそうになったり、うっかり階段から落ちて骨折したり。
 星夜は最後まで応援してくれたけど、俺は結局千歳ちゃんにとって話しやすい友達止まりだった。これからも追いかけていたいくらい好きだ。でも、自分は彼女にとってなんでもない。付きまとうのは、いい加減やめよう。そう思って、大学はまた必死に勉強して星夜と同じところを受けた。
「ホントに良いのかよ」
 星夜が耳元で囁く。
「お前、まだ好きなんだろ」
「くすぐったい、やめて」
 息がかかって気持ち悪いので、星夜を軽く小突く。
「いいんだよ、これで」
 小さな呟きは、在校生の送辞に掻き消された。そんな声をも聞かれていたけれど。
「逃げてるだけじゃないのかよ」
 はっきりと俺の耳に入ってきた星夜の声。
 ……だってさ。振られたくない。卒業したあと気まずい。千歳ちゃんに面倒かけたくない。全部言いわけだって分かってるけれど、いい。俺は、このもやもやと未練を残したまま卒業するって決めたから。我ながら男らしくないとは思う。でも、叶わない想いを追うよりも、割り切って新しい出逢いを探そうって……これで、いいんだ。

「大学生活、満喫してますか?」
「いや……千歳ちゃんが恋しい」
 卒業のときは、確かにこれが良策だと思ったのに。はっきり告白もせずに千歳ちゃんと離れてから半年、俺は早くも自分の選択を後悔していた。
「ああー、黙って千歳ちゃん追っかければよかった」
「気持ち悪いよ綾瀬。だから俺言ったのに」
 スマホを操作しながら言う星夜。
「誰と話してるの、俺がいながらそっちを優先させるなんて」
 てきとうなノリで問いかけると、
「友達」
 という非常に素っ気ない答えが返ってきた。いつも過剰にかまってもらっているから、返事が簡潔で素っ気ないと寂しい、とかそういうのではない。断じて違う。
「何、綾瀬は俺のことが好きなの?」
 スマホを置いた星夜に頭をわしゃわしゃとされる。
「俺が好きなのは千歳ちゃんだから」
「そんなこと言っていいのかなあ? 俺に逆らうとは悪い子だな?」
「やめてよ星夜気持ち悪い」
 星夜、もう長い間モテないモテないって嘆いているけど、こういうところだと思う。自分で言うのもなんだが、星夜は多分俺のことが好きすぎる。だから女子が寄ってこないんだ。
 星夜の言うことを無視して、物思いに耽ける。ぐだぐだと引きずるこんな男、向こうから願い下げだよなあ……。

 そのまま何も変わらず、翌年二月八日。
 その日俺は二十歳の誕生日を迎えた。母さんからお祝いメッセージが届く。
「綾瀬、お誕生日おめでとう! もう二十歳ね。泣いてばかりだったあのころとは違うのね。そろそろ彼女の一人くらい連れてきてよ」
「ありがとう、彼女ねー。考えとく」
 彼女なんていないし、こんな気持ちのままではできるはずもないのに、思わせぶりな返事をしてみた。他にも大勢からきていたお祝いに返事をして、眠る。
 星夜と二人で街を歩いていると、どうも注目を浴びる。隣に百八十六センチメートルのイケメンがいるからだろう。
「見られるねえ、星夜」
 けれど星夜は平然と言った。
「いや、お前じゃね? 金髪緑目に耳ピアス、そりゃ怖がられるわ」
 他人事のように言うが、そもそもこの金髪カラコンにピアス、全て星夜に強制されたものなのである。一週間前、高三のとき同じクラスだった人を集めて同窓会もどきのようなものをした。千歳ちゃんは用事で不参加だった。そのときにやった王様ゲームで、星夜は王様になると透視ができるように俺の番号を当てた。その一つに、金髪とカラコン、耳ピアスで三年過ごすという命令をしてきたのだ。王様ゲームでそんな長期命令をするやつがあるか、と星夜の頭にチョップをする。

 二月十四日。
 俺の誕生日から約一週間後、そこらじゅうに甘い空気が漂う。
 クリスマス、初詣に続く、俺的リア充三大イベントの一つだ。人によってはこの三大イベントの考え方に差が出るのだろう、例えばこの男、雪成星夜。
「リア充三大イベントってなんだと思う?」
「それはそうだな……クリスマス、バレンタイン、……ジューンブライド」
 予想の斜め上を行く回答をいただいた。
「正直さ、リア充は毎日がイベントなんじゃないかと思うわ」
 星夜は諦めたような目で語る。毎日がイベント、か。相手と一緒にいられるだけで幸せ、俺も誰かにそんなふうに思ってもらえたら幸せだろう。
「……星夜」
 前方から星夜の名前を呼びながら走ってくる女子を見つけた俺は、リア充について語る親友を呼ぶ。彼女が持っている袋の中に、綺麗に包装された箱が見えた俺は、先に行ってるねと言って立ち去った。その子に頑張ってねと耳打ちをすると、彼女はなぜバレた、という顔をしたあと、ありがとうと呟いた。それ以上は話さず、ただ応援する意味の笑みを返してその先の公園へ。
 自販機でジュースを購入して、公園のベンチに座る。公園では、ちびっこがたくさん遊んでいた。
「あっ」
 小さな男の子が、俺の足につまづいて転んだ。男の子が手に持っていたりんごジュースがこぼれて、地面に染みを作る。
「あ、っう、うああああ、うっ」
 転んだ痛さからか、ジュースをこぼした悲しさからか、男の子は泣き出した。
「ごめんね、大丈夫!?」
 はっとした俺は子供と同じ目線までかがみ、座り込んだ子を立たせる。幸い怪我はしていないようだった。
「ジュース……」
 どうやら、こぼした方だったらしい。
「ごめんね、お兄さん新しいジュース買ってあげるから、許してくれる……?」
「ほんとう?」
 ぴたりと泣き止んだ男の子は、期待に充ちた目で俺を見つめた。うん、本当だよと笑えば、嬉しそうに笑い返してくれた。公園の自販機の前で、男の子を抱き上げてどれがいいかと聞く。
「これは?」
 ブラックコーヒーを指さす男の子。
「それはねえ、苦いんだよー。お兄さんも飲めないんだ」
 苦笑しながら言うと、男の子はふうんと言って別のものを指さした。それは結局りんごジュースで、買ってあげるととても喜んだ。手渡すと男の子は、つめたー! と言って満足げに走り出す。また転ばないかとひやひやしながら見守ってついていくと、母親らしき女性が駆け寄ってきた。
「あ、すみません、この子のお母さんですか?」
 俺が話しかけると、その人はさっと顔色を変えて男の子を後ろへ隠した。こんな金髪野郎が突然近づいてきたらそうなるのも無理はない。
「そ、そうですけど」
「さっき俺の不注意でその子を転ばせてしまったんです。すみません。それで、持っていたジュースがこぼれたので新しいのを買ったんです」
 どうやら相手は俺が悪い人ではないと分かってくれたらしく、普通に接してくれた。
「そうだったんですか、こちらこそすみません。この子、周りを見ないところがあるもので。ああ、ジュース代はお返しします」
 そう言って財布を取り出すその子のお母さん。
「あっ、大丈夫ですよ! 俺が悪いことですから」
 はは、と苦笑いしてその場を立ち去ろうとすると、男の子が俺の服の裾を引いて尋ねた。
「おにいちゃん、おなまえは?」
「えっとね、あやせだよ。ふたば、あやせ」
「あやせ?」
「うん、そうだよ」
 すると嬉しそうな男の子は、ぼくはやまと! と名乗ってくれた。
「やまとくんかあ」
「そう! ばいばい、あやせ!」
「うん、ばいばいやまとくん」
 にこにこと手を振ってくれるやまとくんを見ながら、弟ができたような気分を味わう。可愛い。三歳くらいに見えたが、すごくよく喋られる子だった。
 公園を出ると、星夜から電話がきた。
「聞いて聞いて!」
「おめでとう」
「まだ何も言ってない! チョコもらった!」
「ほら、おめでとう」
 あの子、絶対に星夜にチョコ渡すと思ったから席を外したんだぞ星夜。
 そのあと合流したら、延々と本命チョコの素晴らしさについて語られた。そんな親友の幸せが微笑ましくて、俺は終始笑いながら話を聞いた。俺も千歳ちゃんにチョコ、もらいたかったな……。もらうどころか会えてすらいないけれど。

 三月十四日。
 ホワイトデーと銘打たれたその日、俺はまたこいつに振り回されていた。
「星夜、遅い」
 待ち合わせの時間を大幅に過ぎても姿を現さない星夜。まさか事故にでも遭った……? と、最悪の事態が頭をよぎっていてもたってもいられなくなった俺が立ち上がったとき。
「ごめん遅れたー」
 ごめんと言いつつまったく悪く思っていないであろう親友に、怒りを通り越して呆れが生じた。
「こっちの気持ちはつゆ知らず……」
 俺がそっぽを向くと、星夜は俺の頬をつついた。
「なあに、綾瀬心配してくれたの?」
「そんなことない」
 星夜は明るく笑って、ありがとう嬉しいぜ、なんて言って歩き出した。俺は多分、星夜のことを大切に思っているんだろう。
 バレンタインに星夜にチョコをくれた、佐倉さくら知里ちさとちゃん。どうやら彼女とはいい関係を保てているらしく、今日の午後のデートで今から買うプレゼントを渡して告白すると意気込んでいた。
 佐倉ちゃんの方は前から星夜を知っていたらしいが、星夜は佐倉ちゃんをまったく知らなかったらしい。つまり、星夜的には出逢って一ヶ月。部外者が口を挟むことではないので何も言わないが、千歳ちゃんに片想いすること七年の俺としては早いと思う。
 ……七年? そうか、七年も経つのか。七年って、これは軽くストーカーなのでは。というか、ここ二年は会ってもいない。
「元気かな……」
「元気でしょ。あの椎名さんのことだし」
「え」
 心を読めるのか、なんて馬鹿なことを考えながら目的地に着く。
 ずらりと並んだチョコと甘ったるい匂いと雰囲気。ホワイトデーだから、ネックレスなどのアクセサリーも売っている。俺はこの甘い匂いもチョコ自体も大好きである。星夜は真剣にチョコとにらめっこしている。そうだな、今年は何人からもらったっけ。義理でも美味しいし、くれた心遣いが嬉しいから、ちゃんとお返しはしないと。全員に渡すとなると、それなりに値段は行きそうだが仕方ない。恐らく、向こうもお返しにはそれなりに期待しているだろう。 
 それからしばらくして、会計も終えて俺たちはベンチで息をついていた。
「だーっ疲れた……お返し選びってあんなに緊張するもんなの?」
 気疲れした、と言う星夜に、俺は苦笑いで答える。
「そりゃ、相手のこと考えながら、なるべく喜んでもらえるように慎重に選ぶからね。その相手が好きな子ならなおさら」
 そういうものなんだなとうんうん頷く星夜は、それから数分だんまりして、やがて決心したらしく立ち上がった。
「じゃあ、俺行ってくる」
 いつになく真剣な面持ちの親友。
「星夜」
 俺はそんな親友に、応援の意を込めて名前を呼んだ。
「頑張ってね」
 にこ、と笑って星夜にチロルチョコを渡す。
「チロル?」
「うん。応援してるよーって、お守りみたいな?」
「何それ。でもありがと、頑張るよ」
 笑ってくれた。ずっと真剣な顔をしていて、ちょっと似合わなかったんだ。星夜はいつも笑っている気がして。
「じゃ、そろそろまじで行くわ。結果は後ほど」
 走り去る星夜に手を振り、さて俺も帰ろうか、と近くのバス停へ。ちゃっかり帰ろうとしていたけれど、よく考えたら俺もこのお返しを届けに行かないと。
 向こうからバスが来たのが見えた。
 俺は紙袋を膝の上に置いて、一人席に座った。バス内はそこそこ混んでいて、立っている人はいないけれど空いている席もない感じだった。
 チョコの入った紙袋を覗く。バレンタインにチョコをくれた人数より、一つ多いお返しに、俺は苦笑する。
 ……渡せるはずもないのに。
 違う違う、これは俺が自分で食べるんだ。美味しそうだったから、つい買ってしまっただけ。自分に言い聞かせる。
 バス停に停車した。数人降りて、数人乗ってくる。
 最後に乗ってきた人を見て、一瞬息が止まった。
「……千歳ちゃん?」
「えっきんぱ……金髪……あ、綾瀬くん!?」
 二年ぶりに呼ばれた名前が、すごく嬉しくて。
「うん。覚えててくれたんだ」
「そりゃあ、忘れられませんよ。色々ありましたし、綾瀬くんかなり目立ってましたから」
「あはは……」
 バスは満席だったため、俺は立ち上がって彼女に席を譲った。顔色を窺うようにこっちを見る彼女に、にこっと笑ってみせると、彼女は俺の意図を分かってくれたらしく、ありがとうございますと言って座った。
 それから、元気だったか、みたいな会話をする。次のバス停ではごっそり人が降りて、席が空いた。
「綾瀬くん、あそこ、二人がけの席空きましたよ、移動しません?」
 そう言った千歳ちゃんは、そうすれば綾瀬くんも座れますし、と付け足して微笑んだ。
「う……」
 あまりに可愛い。
 そして後ろから二番目の席に移動した。
 俺の変貌ぶりに何も聞かないのは千歳ちゃんの優しさか、興味がないのか、なんてもやもやして。
「俺、次の次で降りるんだよね」
「わ、同じです!」
 何気ない仕草の一つ一つが、どうしようもなく可愛かった。俺が荒ぶる脳内を鎮めていると、窓側に座った千歳ちゃんが小さめの声で話しかけてきた。
「あの人たち、なんかおかしくないですか……?」
 彼女が指さしたのは、今停まっているバス停で乗ってくる人の列の最後に向かって走ってくる、いかにも怪しい二人組の男だった。
 全身黒づくめ、帽子にマスクとサングラス。いかにも怪しいと言ったが、いかにもすぎる。やばい、降りた方がいい。
 咄嗟に千歳ちゃんの手を引いて立ち上がったが、……少し遅かった。

「全員その場を動くな!」
 謎の男が二人乗り込んできて、そう叫んだ。

 この言葉を合図に、俺の命のカウントダウンが始まっていたんだ。
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