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第1章 獣人が支配する世界
3.獣人が人間のメスを買う理由
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ここでは人間の奴隷が普通なので、まるで家電でも買う感覚で売れていく。
やはり人気は、若い女性か男性みたいだ。
まあ、そうだろうね。
あと、老人も男女関係なくそこそこ出ていく。
聞こえてきた話を総合するに、〝炭鉱のカナリヤ〟の役目らしい。
危ないところには先に彼らを入らせ、安全を確かめる。
年寄りなら安いし、足腰も弱っているから逃げることもないから、という理由らしい。
もう、ご愁傷様、としかいいようがない。
私はといえば、愛玩するには年がいっていて、カナリヤには元気がよすぎる。
というわけで、なかなか売れなかった。
それでも一週間ほどして私にも買い手がついた。
飼い主はアライグマのオスだ。
檻を出されると同時に首輪を嵌められた。
首輪をしている人間は誰かのものなので、危害を加えたりすると器物損壊で罪になるようだ。
首輪についた縄を引かれて街を歩くのはいい気がしない。
けれどそんな私を獣人たちはまったく気にしていなかった。
それくらい、珍しくないのだろう。
「よろしくお願いいたします」
アライグマの家に着き、奴隷商から教えられたとおり床に座ってあたまを下げる。
「と、とりあえず、掃除、して」
それだけ言って、アライグマはどこかへ行ってしまった。
「掃除……」
見渡した部屋の中は、雑多にいろいろなものが積まれている。
特に、本が多い。
「これを?」
途方に暮れる状態だが、命じられた仕事となれば仕方ない。
しかもこちらは元ブラック企業の社畜なので、これくらい慣れている。
「やるか!」
腕捲りをしてはじめたんだけど……。
一時間ほどしてアライグマが戻ってきた。
「ぜ、全然進んでないじゃないか!」
部屋の状態を見ていきなり、ヒステリックに叫びだす。
「え……」
これで進んでいないなどと言われても困る。
とりあえず本を集めて綺麗に積み直している最中なのに。
「この役立たず、役立たず、役立たず!」
「いたっ、いたっ、いたっ!」
手に持った棒で、バシバシ叩かれた。
「もういい、食事を作れ。
マズかったらまた、罰だからな!」
「……はい」
怒りマックスなアライグマに恐れをなし、台所へ向かう。
視界の隅で本が宙に浮いた気がして振り返ると、空中に複数の本が浮かんでいた。
「うそっ!?」
アライグマが手を振った途端、浮いていた本が一カ所に積まれていく。
あんなことができるのなら、確かに私のやっていたことは遅いだろう。
「なにぼさっと見てるんだ!
さっさと食事を作れ!」
「す、すみません!」
アライグマの鋭い声が飛び、慌てて台所へ行く。
「えっと。
食材……」
きょろきょろと見渡したら、それらしき木箱が見えた。
……虫とか入っていたらどうしよう。
おそるおそる開けた木箱だが、中には見慣れた野菜や果物が入っていてほっとした。
「調理器具は、っと……」
包丁とまな板、鍋らしきものは見つかった。
しかし水道はないし、ガスもない。
「薪か……」
かまど調理は自信がないが、それ以前に問題がある。
ライターはもちろん、マッチすらないのだ。
「あの、マッチとかない……ですよね」
「まっちってなんだよ!
お前、火もつけられないのか!」
私がなにもできないものだから、アライグマはカリカリしっぱなしだ。
「ほんっとに、人間ってなにもできないクズだな!」
「……すみません」
命じられたとおり、床の上に正座する。
アライグマはテーブルに着き、パンと果物の食事をはじめた。
ふわふわの白いパンはとても美味しそうだ。
果汁の滴る果物が甘い匂いを放つ。
ずっと硬いパンのみの食事、しかもそれも満足に与えられていなかった私にとってそれは、空腹をさらに増させ、ついに。
――ぐうーっ!
それはもう、あたりに響き渡るほど大きな音で腹が鳴った。
「満足に仕事もできないのに、腹を空かせる資格があると思うのか!」
「いたっ」
アライグマの足先が私の身体を蹴る。
資格もなにも、生理現象なので仕方ないんですけど。
ひたすら、アライグマの理不尽な言葉に耐えた。
悪いが、あの上司のおかげでこれくらいは可愛いもんだ。
「掃除もできない、食事も作れない。
本当に無能だな、お前」
「……すみません」
とにかく、あたまを下げる。
こういう輩にはそれに限るが、これから長い付き合いになるのかと思うと気が重い。
「まあいい。
そんなもの、人間に期待するだけ無駄だ。
人間の女を買ってやることなんて決まっているからな」
「あっ!」
強引に綱を引かれ、首が絞まる。
そのまま、寝室らしきところへ連れていかれた。
「若い女は高いし、かといって安いのはババアだしな。
多少歳はいっているが、お前で我慢してやる」
ベッドに腰掛けたアライグマが、いやらしく舌舐めずりする。
「……ご主人様にご奉仕しろ」
その目に見つめられ、あたまがぼーっとなった。
「……はい」
操られるように足のあいだに膝をつく。
自分の意思とは関係なく、手がアライグマのズボンにかかった。
私はいったい、なにをしようとしているんだ?
いくら奴隷でも、そんなことはしたくない。
嫌だ、絶対。
そんなこと!
「……誰が」
「ん?」
手はボタンを外そうとしたまま止まり、ぶるぶると震えている。
「誰がそんなこと、するかー!」
叫ぶと同時に束縛が解けた。
と、同時に繰りだしたアッパーが華麗に決まる。
「な、殴ったな、僕を。
人間の分際で。
親父にだって殴られたことがないのにー!」
アライグマの声が虚しく、響いた。
やはり人気は、若い女性か男性みたいだ。
まあ、そうだろうね。
あと、老人も男女関係なくそこそこ出ていく。
聞こえてきた話を総合するに、〝炭鉱のカナリヤ〟の役目らしい。
危ないところには先に彼らを入らせ、安全を確かめる。
年寄りなら安いし、足腰も弱っているから逃げることもないから、という理由らしい。
もう、ご愁傷様、としかいいようがない。
私はといえば、愛玩するには年がいっていて、カナリヤには元気がよすぎる。
というわけで、なかなか売れなかった。
それでも一週間ほどして私にも買い手がついた。
飼い主はアライグマのオスだ。
檻を出されると同時に首輪を嵌められた。
首輪をしている人間は誰かのものなので、危害を加えたりすると器物損壊で罪になるようだ。
首輪についた縄を引かれて街を歩くのはいい気がしない。
けれどそんな私を獣人たちはまったく気にしていなかった。
それくらい、珍しくないのだろう。
「よろしくお願いいたします」
アライグマの家に着き、奴隷商から教えられたとおり床に座ってあたまを下げる。
「と、とりあえず、掃除、して」
それだけ言って、アライグマはどこかへ行ってしまった。
「掃除……」
見渡した部屋の中は、雑多にいろいろなものが積まれている。
特に、本が多い。
「これを?」
途方に暮れる状態だが、命じられた仕事となれば仕方ない。
しかもこちらは元ブラック企業の社畜なので、これくらい慣れている。
「やるか!」
腕捲りをしてはじめたんだけど……。
一時間ほどしてアライグマが戻ってきた。
「ぜ、全然進んでないじゃないか!」
部屋の状態を見ていきなり、ヒステリックに叫びだす。
「え……」
これで進んでいないなどと言われても困る。
とりあえず本を集めて綺麗に積み直している最中なのに。
「この役立たず、役立たず、役立たず!」
「いたっ、いたっ、いたっ!」
手に持った棒で、バシバシ叩かれた。
「もういい、食事を作れ。
マズかったらまた、罰だからな!」
「……はい」
怒りマックスなアライグマに恐れをなし、台所へ向かう。
視界の隅で本が宙に浮いた気がして振り返ると、空中に複数の本が浮かんでいた。
「うそっ!?」
アライグマが手を振った途端、浮いていた本が一カ所に積まれていく。
あんなことができるのなら、確かに私のやっていたことは遅いだろう。
「なにぼさっと見てるんだ!
さっさと食事を作れ!」
「す、すみません!」
アライグマの鋭い声が飛び、慌てて台所へ行く。
「えっと。
食材……」
きょろきょろと見渡したら、それらしき木箱が見えた。
……虫とか入っていたらどうしよう。
おそるおそる開けた木箱だが、中には見慣れた野菜や果物が入っていてほっとした。
「調理器具は、っと……」
包丁とまな板、鍋らしきものは見つかった。
しかし水道はないし、ガスもない。
「薪か……」
かまど調理は自信がないが、それ以前に問題がある。
ライターはもちろん、マッチすらないのだ。
「あの、マッチとかない……ですよね」
「まっちってなんだよ!
お前、火もつけられないのか!」
私がなにもできないものだから、アライグマはカリカリしっぱなしだ。
「ほんっとに、人間ってなにもできないクズだな!」
「……すみません」
命じられたとおり、床の上に正座する。
アライグマはテーブルに着き、パンと果物の食事をはじめた。
ふわふわの白いパンはとても美味しそうだ。
果汁の滴る果物が甘い匂いを放つ。
ずっと硬いパンのみの食事、しかもそれも満足に与えられていなかった私にとってそれは、空腹をさらに増させ、ついに。
――ぐうーっ!
それはもう、あたりに響き渡るほど大きな音で腹が鳴った。
「満足に仕事もできないのに、腹を空かせる資格があると思うのか!」
「いたっ」
アライグマの足先が私の身体を蹴る。
資格もなにも、生理現象なので仕方ないんですけど。
ひたすら、アライグマの理不尽な言葉に耐えた。
悪いが、あの上司のおかげでこれくらいは可愛いもんだ。
「掃除もできない、食事も作れない。
本当に無能だな、お前」
「……すみません」
とにかく、あたまを下げる。
こういう輩にはそれに限るが、これから長い付き合いになるのかと思うと気が重い。
「まあいい。
そんなもの、人間に期待するだけ無駄だ。
人間の女を買ってやることなんて決まっているからな」
「あっ!」
強引に綱を引かれ、首が絞まる。
そのまま、寝室らしきところへ連れていかれた。
「若い女は高いし、かといって安いのはババアだしな。
多少歳はいっているが、お前で我慢してやる」
ベッドに腰掛けたアライグマが、いやらしく舌舐めずりする。
「……ご主人様にご奉仕しろ」
その目に見つめられ、あたまがぼーっとなった。
「……はい」
操られるように足のあいだに膝をつく。
自分の意思とは関係なく、手がアライグマのズボンにかかった。
私はいったい、なにをしようとしているんだ?
いくら奴隷でも、そんなことはしたくない。
嫌だ、絶対。
そんなこと!
「……誰が」
「ん?」
手はボタンを外そうとしたまま止まり、ぶるぶると震えている。
「誰がそんなこと、するかー!」
叫ぶと同時に束縛が解けた。
と、同時に繰りだしたアッパーが華麗に決まる。
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人間の分際で。
親父にだって殴られたことがないのにー!」
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