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第3章 こんなに幸せでいいのかな
4.仕事の手伝いはいいが、大問題が……
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アプリコットさんから服をもらい、ミレニーさんも作ってくれるということで、私の服問題は一応の解決をみた。
「服も一匹前になったし、明日から少しずつ、チハルには仕事を覚えてもらう」
「仕事、ですか……?」
晩ごはんもサンドイッチだった。
そろそろ、もしかしてレオンさんは料理ができないから、簡単に作れるこれで済ませているんじゃないかという疑惑が持ち上がってくる。
「そうだ。
チハルは字が読めて計算ができるからな。
俺の助手をしてもらう」
仕事をするのはやぶさかではない。
このままなにもせずに養われるのはさすがに、肩身が狭い。
しかしながら。
「あの、問題が」
「人間だから、というなら気にしなくていい。
チハルに嫌な思いをさせる奴は俺の依頼主にはいらん」
レオンさんは清々しいばかりに言い切ったけれど。
「いいんですか、本当に?」
それで他の獣と面倒くさいことになったりしないんだろうか。
「いいんだ。
人間だろうとなんだろうと、差別するような奴はもともと好きじゃないからな」
レオンさんらしい主張でちょっと笑ってしまう。
でも凄いな、レオンさんは。
私の世界では人間同士ですら差別していたのに。
「だからなんの心配もない。
安心して働いてくれ」
手についたパン屑をレオンさんがはたく。
けれど、問題はそこじゃないのだ。
いや、そこも問題だったけど。
「それは安心なんですが。
その。
私、……字は読めるけど書ける気がまったくしません」
「……は?」
カップを持ち上げたまま、レオンさんが止まる。
ええ、これは大問題ですよね?
「あー、そーだよなー。
読めるのと書けるのは別の問題だ……」
すっかり失念していたのか、は、はははと乾いた笑いがレオンさんの口から落ちた。
「なんか……すみません」
もし、読み書きができるつもりで私を買ったのだとしたら、大誤算だ。
ここまでよくしてもらっていて申し訳ない。
こちらに来て、不思議と字を見て読めたし、意味もわかった。
けれど書ける気はまったくしない。
そもそもにおいて、私にはレオンさんをはじめ彼ら獣人が話している言葉は日本語に聞こえているし、私も日本語を話して通じている気になっているが、そこから違うのかもしれない。
「まあ、読めるだけでも助かる。
書類の分類はできるからな。
字はおいおい、教えるから問題ない」
「本当にすみません」
わかっていればレオンさんは、私を買うなんて無駄遣いをしないで済んだのに。
「チハル。
お前、変なことを考えているだろ」
「うっ」
お見通しだとばかりに軽く、爪先で鼻を弾かれた。
「確かに俺はお前が字が読めて計算できるから、買った。
でもそうじゃなかったとしても買った自信がある。
あの家畜の餌みたいなパンをうまそうに食っていた時点で、俺はお前に興味津々だったからな!」
おかしそうに、豪快にがはははっ、なんて笑われたって全然嬉しくない。
そういえば社畜時代も食い意地が張っているとみんなに笑われていたな……。
あれから、美紀ちゃんは元気にやっているんだろうか。
生きるのに余裕ができてきたからか、急にそんなことが気になってきた。
「服も一匹前になったし、明日から少しずつ、チハルには仕事を覚えてもらう」
「仕事、ですか……?」
晩ごはんもサンドイッチだった。
そろそろ、もしかしてレオンさんは料理ができないから、簡単に作れるこれで済ませているんじゃないかという疑惑が持ち上がってくる。
「そうだ。
チハルは字が読めて計算ができるからな。
俺の助手をしてもらう」
仕事をするのはやぶさかではない。
このままなにもせずに養われるのはさすがに、肩身が狭い。
しかしながら。
「あの、問題が」
「人間だから、というなら気にしなくていい。
チハルに嫌な思いをさせる奴は俺の依頼主にはいらん」
レオンさんは清々しいばかりに言い切ったけれど。
「いいんですか、本当に?」
それで他の獣と面倒くさいことになったりしないんだろうか。
「いいんだ。
人間だろうとなんだろうと、差別するような奴はもともと好きじゃないからな」
レオンさんらしい主張でちょっと笑ってしまう。
でも凄いな、レオンさんは。
私の世界では人間同士ですら差別していたのに。
「だからなんの心配もない。
安心して働いてくれ」
手についたパン屑をレオンさんがはたく。
けれど、問題はそこじゃないのだ。
いや、そこも問題だったけど。
「それは安心なんですが。
その。
私、……字は読めるけど書ける気がまったくしません」
「……は?」
カップを持ち上げたまま、レオンさんが止まる。
ええ、これは大問題ですよね?
「あー、そーだよなー。
読めるのと書けるのは別の問題だ……」
すっかり失念していたのか、は、はははと乾いた笑いがレオンさんの口から落ちた。
「なんか……すみません」
もし、読み書きができるつもりで私を買ったのだとしたら、大誤算だ。
ここまでよくしてもらっていて申し訳ない。
こちらに来て、不思議と字を見て読めたし、意味もわかった。
けれど書ける気はまったくしない。
そもそもにおいて、私にはレオンさんをはじめ彼ら獣人が話している言葉は日本語に聞こえているし、私も日本語を話して通じている気になっているが、そこから違うのかもしれない。
「まあ、読めるだけでも助かる。
書類の分類はできるからな。
字はおいおい、教えるから問題ない」
「本当にすみません」
わかっていればレオンさんは、私を買うなんて無駄遣いをしないで済んだのに。
「チハル。
お前、変なことを考えているだろ」
「うっ」
お見通しだとばかりに軽く、爪先で鼻を弾かれた。
「確かに俺はお前が字が読めて計算できるから、買った。
でもそうじゃなかったとしても買った自信がある。
あの家畜の餌みたいなパンをうまそうに食っていた時点で、俺はお前に興味津々だったからな!」
おかしそうに、豪快にがはははっ、なんて笑われたって全然嬉しくない。
そういえば社畜時代も食い意地が張っているとみんなに笑われていたな……。
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生きるのに余裕ができてきたからか、急にそんなことが気になってきた。
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