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第4章 幸せになる後ろめたさ
3.獣の世界の恋愛事情
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あれから、火打ち石もうまく使えるようになった。
食事の準備も慣れたものだ。
「じゃあ食うか」
「そうですね」
一緒のテーブルで向かいあって食事をする。
他の獣や人間が見たらきっと、目を丸くするだろう。
それくらい、この世界ではありえないことだから。
「そういえばですよ。
結婚って同じ種族同士じゃないとできないんですか」
「なんだ、藪から棒に」
確かに唐突な質問ではあると思うが、気になったのだ。
羊のマーシーさんの結婚相手は羊だった。
うさぎの、アプリコットさんの憧れの君もうさぎだ。
「別に他の種族と結婚してはいけないという決まりはない。
けどまあ、大抵、同種族で結婚するな」
「へー」
それってうさぎが鹿を好きになったり、ライオンがトラを好きになったりっていうのはないってことなんだろうか。
「付き合うだけでなら異種族同士のカップルもいる。
けど、夫婦となるとほとんど同種族だ。
異種族間だと子供ができないからな。
だから恋愛と結婚は別、って考えが普通だな」
「そう、なん、だ」
レオンは当たり前のように話しているけれど、好きな獣と結婚できないって嫌じゃないのかな。
それとも、子孫のために割り切っているとか?
「そういうわけだから、人間のメスを買って……あ、いや。
なんでもない」
曖昧に笑いながら誤魔化してくれたレオンの気遣いには感謝する。
いくら犯しても問題ない、しかも孕む危険もないからそういう扱いなのだろう。
最低だ。
「昼から少し出掛けるが、一緒に行くか?」
「いいんですか!?」
思わず、食いついていた。
庭で襲われたあの日から、庭にすら一歩も出ていない。
「ただし、首輪をつけなきゃならんが……いいか?」
申し訳なさそうにレオンは訊いてくるが、勢いよく何度も頷いていた。
だって、外だよ!? ほぼ、市場のあの、檻から見た景色と、この家の中しか知らない私からしたら、興味津々に決まっている。
きっと私に尻尾があったら、千切れんばかりに振っていただろう。
「わかった」
あまりの私の喜びように、レオンが苦笑いした。
食後、レオンに首輪をつけてもらう。
「わるいな」
レオンは詫びてくるが、これは私の命の危険を軽減させるためのものだってわかっているから別に嫌じゃない。
それにミレニーさんが可愛いのを作ってくれたからね。
……ピンクのリボン付きはアラサーの私には可愛すぎる気がするけれど、彼女のイメージからするとこれらしいので別にいい。
レオンと一緒に家を出る。
「どこへ行くんですか」
「知り合いの、オランウータンの家だ。
前に言っただろ?
神話系の本をたくさん持っている知り合いがいるって」
道行く獣が私に注目する。
なかには、指をさしている獣までいた。
「……気になるか?」
「あ、いえ!
全然!」
耳をぺたんと倒して訊いてくるレオンに、笑って答える。
気になるかと言われれば気になるし、指さしてひそひそ話されるのはいい気はしない。
でも、彼らにしてみれば珍しい人間が、しかも自分たちと同じ格好をして歩いているのだ。
注目しない方がおかしい。
「でもレオンこそ、いいんですか?」
こそこそ話に混ざる嘲笑は、レオンに向けられたものだ。
人間にあんな格好させて同じように扱うなんて、あたまおかしいんじゃないか?
そんな声がそこかしこから聞こえる。
「俺か?
別に恥ずかしいこととかなにもないだろ。
それよりチハルみたいな美しいメスを連れて歩けて優越感でいっぱいだな」
「いたっ!」
だから堂々と歩け、とでもいうのか、レオンの手が私の背中を叩く。
それで少し、彼に対する申し訳ない気持ちが軽くなった。
食事の準備も慣れたものだ。
「じゃあ食うか」
「そうですね」
一緒のテーブルで向かいあって食事をする。
他の獣や人間が見たらきっと、目を丸くするだろう。
それくらい、この世界ではありえないことだから。
「そういえばですよ。
結婚って同じ種族同士じゃないとできないんですか」
「なんだ、藪から棒に」
確かに唐突な質問ではあると思うが、気になったのだ。
羊のマーシーさんの結婚相手は羊だった。
うさぎの、アプリコットさんの憧れの君もうさぎだ。
「別に他の種族と結婚してはいけないという決まりはない。
けどまあ、大抵、同種族で結婚するな」
「へー」
それってうさぎが鹿を好きになったり、ライオンがトラを好きになったりっていうのはないってことなんだろうか。
「付き合うだけでなら異種族同士のカップルもいる。
けど、夫婦となるとほとんど同種族だ。
異種族間だと子供ができないからな。
だから恋愛と結婚は別、って考えが普通だな」
「そう、なん、だ」
レオンは当たり前のように話しているけれど、好きな獣と結婚できないって嫌じゃないのかな。
それとも、子孫のために割り切っているとか?
「そういうわけだから、人間のメスを買って……あ、いや。
なんでもない」
曖昧に笑いながら誤魔化してくれたレオンの気遣いには感謝する。
いくら犯しても問題ない、しかも孕む危険もないからそういう扱いなのだろう。
最低だ。
「昼から少し出掛けるが、一緒に行くか?」
「いいんですか!?」
思わず、食いついていた。
庭で襲われたあの日から、庭にすら一歩も出ていない。
「ただし、首輪をつけなきゃならんが……いいか?」
申し訳なさそうにレオンは訊いてくるが、勢いよく何度も頷いていた。
だって、外だよ!? ほぼ、市場のあの、檻から見た景色と、この家の中しか知らない私からしたら、興味津々に決まっている。
きっと私に尻尾があったら、千切れんばかりに振っていただろう。
「わかった」
あまりの私の喜びように、レオンが苦笑いした。
食後、レオンに首輪をつけてもらう。
「わるいな」
レオンは詫びてくるが、これは私の命の危険を軽減させるためのものだってわかっているから別に嫌じゃない。
それにミレニーさんが可愛いのを作ってくれたからね。
……ピンクのリボン付きはアラサーの私には可愛すぎる気がするけれど、彼女のイメージからするとこれらしいので別にいい。
レオンと一緒に家を出る。
「どこへ行くんですか」
「知り合いの、オランウータンの家だ。
前に言っただろ?
神話系の本をたくさん持っている知り合いがいるって」
道行く獣が私に注目する。
なかには、指をさしている獣までいた。
「……気になるか?」
「あ、いえ!
全然!」
耳をぺたんと倒して訊いてくるレオンに、笑って答える。
気になるかと言われれば気になるし、指さしてひそひそ話されるのはいい気はしない。
でも、彼らにしてみれば珍しい人間が、しかも自分たちと同じ格好をして歩いているのだ。
注目しない方がおかしい。
「でもレオンこそ、いいんですか?」
こそこそ話に混ざる嘲笑は、レオンに向けられたものだ。
人間にあんな格好させて同じように扱うなんて、あたまおかしいんじゃないか?
そんな声がそこかしこから聞こえる。
「俺か?
別に恥ずかしいこととかなにもないだろ。
それよりチハルみたいな美しいメスを連れて歩けて優越感でいっぱいだな」
「いたっ!」
だから堂々と歩け、とでもいうのか、レオンの手が私の背中を叩く。
それで少し、彼に対する申し訳ない気持ちが軽くなった。
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