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第2章 極悪上司の事情
4.初めての、男性とふたりの食事
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多少のトラブルはあったものの、定時を少し回って仕事は終わった。
「じゃ、行こうか」
「はい」
西山さんと一緒に会社を出る。
男の人とふたりで食事って、初めてだ。
な、なんか急に、緊張してきた……。
「……あのさ」
しばらく歩いたところで突然、彼の足が止まる。
「誘っといてなんだけど。
オレ、デートで行くようなお洒落な店、知らないんだよね……」
はぁーっ、とため息の音と共に、がっくりと彼の肩が落ちた。
「え、じゃあいまは、どこへ向かって歩いていたんですか?」
「……なんとなく、適当に」
「……ぷっ」
悪いとは思いつつも、つい笑ってしまう。
テンパっていたのは私だけじゃなく、彼もだった。
「あの。
お洒落な店じゃなくていいので、西山さんのお勧めのお店に連れていってもらえませんか?」
「……焼き鳥屋とかになるけど」
悪いと思っているのか、彼は俯いたままだ。
「いいですね、焼き鳥。
私、実は女子校育ちで、そんなところにいったことがないんです」
「でも……」
いつもでもいじけている彼の腕を取る。
「どっちですか?
ほら、行きましょう!
お腹、空いちゃいました!」
「そうだね」
気持ちが持ち直したのか、ようやく彼の顔が上がった。
並んで、お店までの道を歩く。
「ここ」
五分ほど歩いて西山さんが連れてきてくれたお店はお洒落にはほど遠かったが、思っていたよりもずっと小綺麗だった。
「わー、楽しみです!」
また恐縮してしまいそうな彼を、半ば急かすように店に入る。
運良くカウンター席が空いていて、すぐに通された。
「なにがオススメなんですか」
おしぼりで手を拭きながら、軽く辺りを見渡す。
カウンターの上のガラスケースにはネタがたくさん入っていた。
「つくねはオススメ。
軟骨入ってて美味しいんだけど、……軟骨、嫌いじゃないよね?」
「はい、大丈夫です」
「あ、先に飲み物頼むけど、なにがいい?」
メニューが開かれ、身体を寄せた。
肩がとん、と当たり、反射的に離れる。
「あ、ごめん……」
気まずそうに西山さんが、メニューを私の方へ少し押す。
「えっと……。
じゃあ、梅酒ソーダで」
「梅酒ソーダね。
……すみません」
店員に声をかけ、彼が注文をはじめる。
……過剰に反応して、悪いことしちゃったな。
「で。
つくねがオススメだけど、あと、食べたいの、ある?」
遠慮がちにメニューを勧めてくる西山さんへ、自分から少し身体を寄せた。
「この、ボンジリ、ってなんですか?」
「お尻のところ。
食べてみる?」
うんうん、と勢いよく頷く。
彼は再び、店員に注文をした。
「じゃあ、お疲れ」
「お疲れ様です」
梅酒ソーダと生ビールで乾杯。
焼けるまでのおつまみにと、西山さんはサラダを取ってくれた。
「仕事はどう?」
「もうバッチリです! っていいたいところですが、まだ」
笑いながら梅酒ソーダを口に運ぶ。
今日だって京塚主任が帰ったあと、突発的なトラブルにわたわたしてしまった。
「あー……。
でも、オレなんかよりずっとちゃんとできてると思うよ。
二年目だって言うのにオレはさ……」
はははっ、と乾いた笑いを落とし、西山さんはぐいっとビールを呷った。
しょっちゅう京塚主任から怒られている彼からしたら、そうなんだろう。
しかし。
「あの。
訊いてもいいですか?」
「なに?」
ジョッキが空になっていることに気づき、彼は新しいビールを頼んだ。
「なんで京塚主任が営業のこと、口出ししているんですか?
確かに京塚主任の方が西山さんより上役ですけど、事務なんですよ?」
ずっと謎だった。
どうして皆、反発せずに京塚主任の言うことを聞いているんだろう、って。
西山さんだけじゃない、京塚主任より年上の三島さんや他の人間も、彼の意見に耳を傾ける。
「あー、そうか。
星谷さんは知らないのか。
あの人、以前は営業でかなり鳴らしてたんだよ。
課長だったし。
でもあんなことがあって、杏里ちゃんのために会社に頼み込んでいまの立場にしてもらったらしい。
……って、オレも聞いただけなんだけど」
「あんなこと、って」
「それは……」
「へい、お待ち!」
西山さんの言葉を遮るかのように、店員が焼き鳥を置く。
「ほら、冷めないうちに食べよ」
「そうですね」
結局、話はそこで終わってしまい、それ以上は訊けなかった。
「美味しかったです!
ありがとうございました」
お腹も満腹、ほろ酔い加減で店を出る。
「満足してもらえたんならよかった」
西山さんと一緒に、駅へ向かって歩く。
「あのさ」
「はい」
「次、また誘ってもいいかな……?」
つい、足が止まる。
三歩ほど先まで言った彼も足を止め、私を振り返った。
「ダメ、かな……?」
不安そうに彼が瞳を揺らし、私を見つめる。
今日は当たり障りのない話しかしなかったが、居心地は悪くなかった。
むしろ少し、楽しかったくらい。
彼の気持ちだってもう、気づいている。
――けれど私には、彼を好きになれる自信がない。
『付き合ってみれば案外、ありかもしれない』
美空の言葉が、あたまの中に蘇ってくる。
このまま何度か食事を重ねれば、そういう感情も出てきたりするんだろうか。
「そう、ですね。
いいですよ」
「よかった!
次はお洒落なところ、調べておくから!」
急に、西山さんの足取りが軽くなる。
反対に私は、心の中ではぁーっと重いため息をついた。
これで本当によかったんだろうか。
もっとも、私には断るなんて勇気がないんだけど。
「じゃ、行こうか」
「はい」
西山さんと一緒に会社を出る。
男の人とふたりで食事って、初めてだ。
な、なんか急に、緊張してきた……。
「……あのさ」
しばらく歩いたところで突然、彼の足が止まる。
「誘っといてなんだけど。
オレ、デートで行くようなお洒落な店、知らないんだよね……」
はぁーっ、とため息の音と共に、がっくりと彼の肩が落ちた。
「え、じゃあいまは、どこへ向かって歩いていたんですか?」
「……なんとなく、適当に」
「……ぷっ」
悪いとは思いつつも、つい笑ってしまう。
テンパっていたのは私だけじゃなく、彼もだった。
「あの。
お洒落な店じゃなくていいので、西山さんのお勧めのお店に連れていってもらえませんか?」
「……焼き鳥屋とかになるけど」
悪いと思っているのか、彼は俯いたままだ。
「いいですね、焼き鳥。
私、実は女子校育ちで、そんなところにいったことがないんです」
「でも……」
いつもでもいじけている彼の腕を取る。
「どっちですか?
ほら、行きましょう!
お腹、空いちゃいました!」
「そうだね」
気持ちが持ち直したのか、ようやく彼の顔が上がった。
並んで、お店までの道を歩く。
「ここ」
五分ほど歩いて西山さんが連れてきてくれたお店はお洒落にはほど遠かったが、思っていたよりもずっと小綺麗だった。
「わー、楽しみです!」
また恐縮してしまいそうな彼を、半ば急かすように店に入る。
運良くカウンター席が空いていて、すぐに通された。
「なにがオススメなんですか」
おしぼりで手を拭きながら、軽く辺りを見渡す。
カウンターの上のガラスケースにはネタがたくさん入っていた。
「つくねはオススメ。
軟骨入ってて美味しいんだけど、……軟骨、嫌いじゃないよね?」
「はい、大丈夫です」
「あ、先に飲み物頼むけど、なにがいい?」
メニューが開かれ、身体を寄せた。
肩がとん、と当たり、反射的に離れる。
「あ、ごめん……」
気まずそうに西山さんが、メニューを私の方へ少し押す。
「えっと……。
じゃあ、梅酒ソーダで」
「梅酒ソーダね。
……すみません」
店員に声をかけ、彼が注文をはじめる。
……過剰に反応して、悪いことしちゃったな。
「で。
つくねがオススメだけど、あと、食べたいの、ある?」
遠慮がちにメニューを勧めてくる西山さんへ、自分から少し身体を寄せた。
「この、ボンジリ、ってなんですか?」
「お尻のところ。
食べてみる?」
うんうん、と勢いよく頷く。
彼は再び、店員に注文をした。
「じゃあ、お疲れ」
「お疲れ様です」
梅酒ソーダと生ビールで乾杯。
焼けるまでのおつまみにと、西山さんはサラダを取ってくれた。
「仕事はどう?」
「もうバッチリです! っていいたいところですが、まだ」
笑いながら梅酒ソーダを口に運ぶ。
今日だって京塚主任が帰ったあと、突発的なトラブルにわたわたしてしまった。
「あー……。
でも、オレなんかよりずっとちゃんとできてると思うよ。
二年目だって言うのにオレはさ……」
はははっ、と乾いた笑いを落とし、西山さんはぐいっとビールを呷った。
しょっちゅう京塚主任から怒られている彼からしたら、そうなんだろう。
しかし。
「あの。
訊いてもいいですか?」
「なに?」
ジョッキが空になっていることに気づき、彼は新しいビールを頼んだ。
「なんで京塚主任が営業のこと、口出ししているんですか?
確かに京塚主任の方が西山さんより上役ですけど、事務なんですよ?」
ずっと謎だった。
どうして皆、反発せずに京塚主任の言うことを聞いているんだろう、って。
西山さんだけじゃない、京塚主任より年上の三島さんや他の人間も、彼の意見に耳を傾ける。
「あー、そうか。
星谷さんは知らないのか。
あの人、以前は営業でかなり鳴らしてたんだよ。
課長だったし。
でもあんなことがあって、杏里ちゃんのために会社に頼み込んでいまの立場にしてもらったらしい。
……って、オレも聞いただけなんだけど」
「あんなこと、って」
「それは……」
「へい、お待ち!」
西山さんの言葉を遮るかのように、店員が焼き鳥を置く。
「ほら、冷めないうちに食べよ」
「そうですね」
結局、話はそこで終わってしまい、それ以上は訊けなかった。
「美味しかったです!
ありがとうございました」
お腹も満腹、ほろ酔い加減で店を出る。
「満足してもらえたんならよかった」
西山さんと一緒に、駅へ向かって歩く。
「あのさ」
「はい」
「次、また誘ってもいいかな……?」
つい、足が止まる。
三歩ほど先まで言った彼も足を止め、私を振り返った。
「ダメ、かな……?」
不安そうに彼が瞳を揺らし、私を見つめる。
今日は当たり障りのない話しかしなかったが、居心地は悪くなかった。
むしろ少し、楽しかったくらい。
彼の気持ちだってもう、気づいている。
――けれど私には、彼を好きになれる自信がない。
『付き合ってみれば案外、ありかもしれない』
美空の言葉が、あたまの中に蘇ってくる。
このまま何度か食事を重ねれば、そういう感情も出てきたりするんだろうか。
「そう、ですね。
いいですよ」
「よかった!
次はお洒落なところ、調べておくから!」
急に、西山さんの足取りが軽くなる。
反対に私は、心の中ではぁーっと重いため息をついた。
これで本当によかったんだろうか。
もっとも、私には断るなんて勇気がないんだけど。
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