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第1章 一夜の過ちの相手と再会!?
6.変わって、見返してやる!
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もともとお酒にさほど強くないので、一杯も開けると口が軽くなる。
「だからー、フォロワー増やせってうるさいくせに、当たり障りのない商品宣伝しか呟かせてくれないんですよ。
それならこまめにキャンペーン打ちましょう、って提案しても予算がないで却下だし」
「うんうん」
「しかも自分こそメタボ診断で引っかかってるのに、私にデブだってー」
「そりゃ酷いな」
ミツミさんは笑って私の話を聞いている。
そういえば金曜も適度に相づちを打つだけで変なアドバイスとかしてこなかったから、気持ちよくなってついつい話しすぎていたような……。
「でもですね、やっぱり私、ダイエットしようと思うんですよ。
ミツミさんだって理想体重よりは重いって言ってたじゃないですか」
ビールを二杯も飲めば、酔いもかなり回り、それに伴って口もさらに軽くなる。
「ミツミじゃない。
滝島だ。
滝島蒼馬」
不機嫌そうに眉を寄せてそう言い、グラスを持ち上げたミツミさんだけど、空なことに気づいてテーブルに戻した。
「えー、だってみんな、会社名で呼びあっていたじゃないですか」
「いまはプライベートだろ」
店員を呼び止め、ミツミさんが新しいビールを注文する。
「あ、私も」
「お前はそろそろやめとけ。
週末の二の舞になりたいのか」
頬を膨らませながらも反論はできない。
ミツミさんが目配せし、店員は去っていった。
「ミツミさん、狡い」
「だから、ミツミじゃない」
アヒージョの残ったオイルにパンを浸し、ミツミさんは口に入れた。
「うっ」
プライベートだと言われれば、会社名で呼ぶのは確かにおかしいとは思う。
でもなんとなく、名前で呼ぶのは気恥ずかしかった。
「た、滝島さん」
顔が熱いのは酔っているからなのか。
「うん」
満足げに笑い、ミツミ――滝島さんが指に付いたオイルを舐める。
それが妙に絵になって、ぽーっと眺めていた。
不意にレンズ越しに目があい、途端にぽっと顔が熱を持つ。
ニヤッと、滝島さんの右の口端が僅かに持ち上がった。
「ダイエットは賛成だな。
確かに少し、痩せた方がいいとは思うし。
……でもさ」
言葉を切った彼がテーブルの上に身を乗り出し、私の方へぐっと顔を近づけた。
じっと見つめられ、喉がカラカラに渇いてくる。
知らず知らずごくりとつばを飲み込んでいた。
「どうせなら、お前を振った彼氏と、お前を馬鹿にする上司、見返してやりたくないか」
ニヤリ、と右頬だけを歪め、滝島さんが不敵な笑みを浮かべる。
「それは……」
「痩せて綺麗になって、彼氏の方から復縁してくれって頼み込んでこさせたくないか。
フォロワー倍……いや、とりあえず十万突破したくないか」
できるんだろうか、そんなこと。
現状の私を見れば、無理ゲーにしか思えない。
「お前がそうしたいって言うなら、俺が全力でサポートしてやる。
でも無理強いはしない。
俺もサガさんと同じで、現状でも伊深は可愛いと思うし」
さらりと滝島さんが可愛いなどと言ってのけ、慣れていない私はぽっと頬が熱くなった。
「でも少し痩せて化粧も服も変えたらもっと可愛くなる。
仕事だって俺がいままで培ってきたノウハウ、叩き込んだら絶対変わる。
……どうする?」
レンズの向こうから私を見つめる瞳には、揺らぎがない。
どうして、リアルでは週末あったばかりの私に、彼がここまでしてくれるのかわからない。
けれど――。
「……変わりたい」
「うん」
「そんなふうに変わって、彼氏を、上司を見返してやりたい。
私に、できますか」
強い意志を込めレンズ越しに滝島さんの目を見返すと、満足げに彼は頷いた。
「できますか、じゃない。
やるんだ」
「はい!」
私が力強く頷いたら、彼はくいっと眼鏡を上げた。
「わかった。
じゃあまずは……」
これからの計画に耳を傾ける。
私は、変わる。
いまよりもっといい女に。
待っていろ、英人。
きっと後悔させてやる。
待っていろ、大石課長。
絶対まいりましたって言わせてやるんだから!
「だからー、フォロワー増やせってうるさいくせに、当たり障りのない商品宣伝しか呟かせてくれないんですよ。
それならこまめにキャンペーン打ちましょう、って提案しても予算がないで却下だし」
「うんうん」
「しかも自分こそメタボ診断で引っかかってるのに、私にデブだってー」
「そりゃ酷いな」
ミツミさんは笑って私の話を聞いている。
そういえば金曜も適度に相づちを打つだけで変なアドバイスとかしてこなかったから、気持ちよくなってついつい話しすぎていたような……。
「でもですね、やっぱり私、ダイエットしようと思うんですよ。
ミツミさんだって理想体重よりは重いって言ってたじゃないですか」
ビールを二杯も飲めば、酔いもかなり回り、それに伴って口もさらに軽くなる。
「ミツミじゃない。
滝島だ。
滝島蒼馬」
不機嫌そうに眉を寄せてそう言い、グラスを持ち上げたミツミさんだけど、空なことに気づいてテーブルに戻した。
「えー、だってみんな、会社名で呼びあっていたじゃないですか」
「いまはプライベートだろ」
店員を呼び止め、ミツミさんが新しいビールを注文する。
「あ、私も」
「お前はそろそろやめとけ。
週末の二の舞になりたいのか」
頬を膨らませながらも反論はできない。
ミツミさんが目配せし、店員は去っていった。
「ミツミさん、狡い」
「だから、ミツミじゃない」
アヒージョの残ったオイルにパンを浸し、ミツミさんは口に入れた。
「うっ」
プライベートだと言われれば、会社名で呼ぶのは確かにおかしいとは思う。
でもなんとなく、名前で呼ぶのは気恥ずかしかった。
「た、滝島さん」
顔が熱いのは酔っているからなのか。
「うん」
満足げに笑い、ミツミ――滝島さんが指に付いたオイルを舐める。
それが妙に絵になって、ぽーっと眺めていた。
不意にレンズ越しに目があい、途端にぽっと顔が熱を持つ。
ニヤッと、滝島さんの右の口端が僅かに持ち上がった。
「ダイエットは賛成だな。
確かに少し、痩せた方がいいとは思うし。
……でもさ」
言葉を切った彼がテーブルの上に身を乗り出し、私の方へぐっと顔を近づけた。
じっと見つめられ、喉がカラカラに渇いてくる。
知らず知らずごくりとつばを飲み込んでいた。
「どうせなら、お前を振った彼氏と、お前を馬鹿にする上司、見返してやりたくないか」
ニヤリ、と右頬だけを歪め、滝島さんが不敵な笑みを浮かべる。
「それは……」
「痩せて綺麗になって、彼氏の方から復縁してくれって頼み込んでこさせたくないか。
フォロワー倍……いや、とりあえず十万突破したくないか」
できるんだろうか、そんなこと。
現状の私を見れば、無理ゲーにしか思えない。
「お前がそうしたいって言うなら、俺が全力でサポートしてやる。
でも無理強いはしない。
俺もサガさんと同じで、現状でも伊深は可愛いと思うし」
さらりと滝島さんが可愛いなどと言ってのけ、慣れていない私はぽっと頬が熱くなった。
「でも少し痩せて化粧も服も変えたらもっと可愛くなる。
仕事だって俺がいままで培ってきたノウハウ、叩き込んだら絶対変わる。
……どうする?」
レンズの向こうから私を見つめる瞳には、揺らぎがない。
どうして、リアルでは週末あったばかりの私に、彼がここまでしてくれるのかわからない。
けれど――。
「……変わりたい」
「うん」
「そんなふうに変わって、彼氏を、上司を見返してやりたい。
私に、できますか」
強い意志を込めレンズ越しに滝島さんの目を見返すと、満足げに彼は頷いた。
「できますか、じゃない。
やるんだ」
「はい!」
私が力強く頷いたら、彼はくいっと眼鏡を上げた。
「わかった。
じゃあまずは……」
これからの計画に耳を傾ける。
私は、変わる。
いまよりもっといい女に。
待っていろ、英人。
きっと後悔させてやる。
待っていろ、大石課長。
絶対まいりましたって言わせてやるんだから!
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