極秘蜜愛結婚~俺様御曹司のトップシークレットは私!?~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ

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第5章 婚約者とか言わないで!

6.それって誰のこと?

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食堂でお昼ごはんを食べながら、中尾さんの追求がはじまる。
……追求、は言い過ぎだけど。

「そもそもなんで、國方マネージャーと婚約なんて話になってるの?」

「それは……」

父の策略に嵌まってお見合いしたことから、断ったのになぜか諦めてくれずにつきまとわれてる話まで全部した。
私と蔭木さんが付き合っていると彼が思っているところだけ端折って。

「それは、災難だったね」

同情の言葉が出るということは、とりあえずは國方マネージャーと婚約などといことはないと納得してくれたのだろう。

「そもそもなんで、私なんかがいいんでしょうね?
こんな冴えない女」

それを言えば、蔭木さんもだけど。

「美月ちゃん、それ、本気で言ってる?」

「え?
本気ですけど?」

だから、父と兄が心配しなくったって、私に寄ってくる男性はいないのだと思っていた。
合コンでは比較的よく話しかけられたが、それもおとなしそうな私なら、自分の好きなようにできそうってことでじゃないの?

「……無自覚って怖い」

ぶるり、と中尾さんが身体を震わせる。
私なんか、おかしなことを言っている?

「知らないの?
店内どころか本部にも、美月ちゃんをお嫁にしたいって男性がいるの」

「いやいや、それはさすがに嘘ですよ」

そんな人がいるのなら、私は無理して人に迷惑をかけてまで、合コンに行く必要がなかったはず。

「いるよ、たとえば」

中尾さんが名前を出したのは、私によくお茶出しを頼んでくる人と、なにかとお菓子をよくくれる人だった。

「え、嘘。
まさか」

「ほんとだって。
皆、牽制しあっているから手を出してこないだけで」

そんな無駄なことをするなら、早く声をかけてほしかった……なんて、いまさら思っても遅いけど。

「美月ちゃんはお化粧と服装が地味なだけ。
気配り上手で笑顔が可愛いのは私が知ってるし」

「ありがとうございます……」

さりげなく、お皿の上の唐揚げをひとつ、彼女のお皿へ移動させた。

「あら、いいの?」

「はい」

「じゃあ、遠慮なく」

その言葉どおり、早速彼女はそれに噛みついた。

「でも早く教えてくれれば、合コンなんて無理していかなくてよかったのに……」

「あら?
私は美月ちゃんの自主性を重んじてたんだけど」

けらけらとおかしそうに中尾さんが笑う。
観察が足りずにそんな人たちに気付けなかった私も悪い……のか?

「だから、國方マネージャーが美月ちゃんに惚れるのもわかる。
もう諦めて、彼にしちゃったら?
高学歴、高身長、イケメン、しかもあと一、二年もしたら本部勤務って話だし?
間違いなく優良物件だよ」

それだけ聞けば、結婚相手としては不足がないようだが。

「でもあの人、性格悪いんですよ!」

「私は爽やか好青年だって聞いてるけどね」

「皆、外面に騙されているんですよ!」

「じゃあ、素顔をそれだけ美月ちゃんにさらすって、よっぽど気に入られてるんじゃない?」

中尾さんは完全に面白がっている。
きっと、私がすでに蔭木さんと結婚しているって告白できれば反応は違ってくるんだろうが、言えないのがつらい。

「……とにかく私は、あの人が嫌いなんですよ……」

ぽり、ぽり、と力なく、お漬物の大根を囓る。

「わかった。
私の目の届く範囲なら、美月ちゃんに手を出してこないようにするから」

「ほんとですか!?」

さすが、中尾さん。
なんだかんだいいながら、ちゃんとわかってくれた。

「でも、私の目の届かない範囲は知らないよ」

「ありがとうございます!」

うんうん、と勢いよく何度も頷く。
あとでお茶とお菓子を献上しよう。
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