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第二章 野間さんが好きです
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野間が近くに止めてあった車の後部座席に、飯田を乗せる。
運転席には野間が座り、愛未は助手席に収まった。
「……起きない、ですかね?」
「睡眠薬のカクテルとお酒ですからね。
そうそう簡単に起きませんよ」
ルームミラーをちらっと見て、野間が後部座席を確認する。
これからの運命を知らないのか、飯田は気持ちよさそうにいびきを掻いていた。
飯田のいびきをBGMに、目的地まで向かう。
ずっとふたりとも無言だった。
着いたのは奥深い山の中だった。
野間が明かりをつけた懐中電灯を口に咥える。
さらに飯田を担ぎ、反対の手にスコップを下げた。
「あの。
……持ちましょうか?」
両手に荷物……と言うべきかあれだが、とにかく両手が塞がった状態で山の中を、しかもこの暗闇で歩くのは難儀じゃないだろうか。
さらに懐中電灯まで咥えた状態は、どう見てもあぶなっかしい。
「ふぃふぃ」
懐中電灯を咥えたまま野間はなにか言おうとしたが、すぐにスコップを持つ手に懐中電灯を落とし、改めて口を開いた。
「じゃあ、これをお願いします」
「わかり、ました」
差し出された懐中電灯受け取り、前を照らす。
がさがさと落ち葉を踏む足音だけが暗闇に響いた。
「この辺で」
「はい」
声をかけられ、足を止める。
少し開けた場所に野間は飯田を降ろし、跪いた。
懐中電灯を下に向け、飯田の顔を照らす。
まだ彼はのんきに眠っている。
「今、楽にしてあげますからね」
それは飯田にではなく、愛未にかけられた言葉だった。
愛未を見上げた彼は今からやろうとしている行為とは不釣り合いに、優しく微笑んでいた。
「じゃあ」
黒革の手袋が嵌められた手が、飯田の首にかかる。
これで飯田は、死ぬ。
理解すると同時に、急激に恐れが身体を支配していった。
「あの!」
耐えきれず、野間に声をかける。
彼は手を飯田の首から一旦離した。
「怖くなりましたか?」
黙ってそれに、頷く。
「うーん」
首を左右に倒しなにかを考えている野間は、この緊迫した状況とは反対にとてものんきに見えた。
自分はこんなにも緊張しているのに、彼は気楽そうで理解できない。
「これは、愛未さんを苦しめたコイツを、僕が殺したいから殺すんです。
愛未さんはその気持ちすらこの殺人には関係ない。
これではダメですか?」
「え……?」
野間がなにを言いたいのかわからない。
しかし、戸惑っている愛未を無視して、野間は再び飯田の首に手をかけた。
「そういうわけで、僕はコイツを殺します」
徐々に、彼の手に力が入っていく。
それを黙って見ていた。
飯田は薬と酒で深く眠っているようで、幸いなのか目を覚まさない。
それでも、死を感じ取った彼の身体がバタバタと抵抗しだす。
そのうち、カッ!と飯田の目が、目玉がこぼれ落ちんばかりに見開かれた。
「ひぃっ」
ぐりんと飯田の目玉が回転して愛未の姿を捕らえ、短く悲鳴が漏れる。
思わず懐中電灯を落としそうになったが、慌てて掴み直した。
「覚えて、ろ」
飯田が言葉を発し、止めるようにぐっと思いっきり野間がその手に力をかける。
ごきんとなにかが折れる音がすると同時に、がくんと飯田の身体から一気に力が抜けた。
「死んだんです、か……?」
「はい。
これで愛未さんは自由になりました」
そう言われてもまるで実感がない。
飯田の最後の言葉が、呪いのように愛未の心を縛った。
運転席には野間が座り、愛未は助手席に収まった。
「……起きない、ですかね?」
「睡眠薬のカクテルとお酒ですからね。
そうそう簡単に起きませんよ」
ルームミラーをちらっと見て、野間が後部座席を確認する。
これからの運命を知らないのか、飯田は気持ちよさそうにいびきを掻いていた。
飯田のいびきをBGMに、目的地まで向かう。
ずっとふたりとも無言だった。
着いたのは奥深い山の中だった。
野間が明かりをつけた懐中電灯を口に咥える。
さらに飯田を担ぎ、反対の手にスコップを下げた。
「あの。
……持ちましょうか?」
両手に荷物……と言うべきかあれだが、とにかく両手が塞がった状態で山の中を、しかもこの暗闇で歩くのは難儀じゃないだろうか。
さらに懐中電灯まで咥えた状態は、どう見てもあぶなっかしい。
「ふぃふぃ」
懐中電灯を咥えたまま野間はなにか言おうとしたが、すぐにスコップを持つ手に懐中電灯を落とし、改めて口を開いた。
「じゃあ、これをお願いします」
「わかり、ました」
差し出された懐中電灯受け取り、前を照らす。
がさがさと落ち葉を踏む足音だけが暗闇に響いた。
「この辺で」
「はい」
声をかけられ、足を止める。
少し開けた場所に野間は飯田を降ろし、跪いた。
懐中電灯を下に向け、飯田の顔を照らす。
まだ彼はのんきに眠っている。
「今、楽にしてあげますからね」
それは飯田にではなく、愛未にかけられた言葉だった。
愛未を見上げた彼は今からやろうとしている行為とは不釣り合いに、優しく微笑んでいた。
「じゃあ」
黒革の手袋が嵌められた手が、飯田の首にかかる。
これで飯田は、死ぬ。
理解すると同時に、急激に恐れが身体を支配していった。
「あの!」
耐えきれず、野間に声をかける。
彼は手を飯田の首から一旦離した。
「怖くなりましたか?」
黙ってそれに、頷く。
「うーん」
首を左右に倒しなにかを考えている野間は、この緊迫した状況とは反対にとてものんきに見えた。
自分はこんなにも緊張しているのに、彼は気楽そうで理解できない。
「これは、愛未さんを苦しめたコイツを、僕が殺したいから殺すんです。
愛未さんはその気持ちすらこの殺人には関係ない。
これではダメですか?」
「え……?」
野間がなにを言いたいのかわからない。
しかし、戸惑っている愛未を無視して、野間は再び飯田の首に手をかけた。
「そういうわけで、僕はコイツを殺します」
徐々に、彼の手に力が入っていく。
それを黙って見ていた。
飯田は薬と酒で深く眠っているようで、幸いなのか目を覚まさない。
それでも、死を感じ取った彼の身体がバタバタと抵抗しだす。
そのうち、カッ!と飯田の目が、目玉がこぼれ落ちんばかりに見開かれた。
「ひぃっ」
ぐりんと飯田の目玉が回転して愛未の姿を捕らえ、短く悲鳴が漏れる。
思わず懐中電灯を落としそうになったが、慌てて掴み直した。
「覚えて、ろ」
飯田が言葉を発し、止めるようにぐっと思いっきり野間がその手に力をかける。
ごきんとなにかが折れる音がすると同時に、がくんと飯田の身体から一気に力が抜けた。
「死んだんです、か……?」
「はい。
これで愛未さんは自由になりました」
そう言われてもまるで実感がない。
飯田の最後の言葉が、呪いのように愛未の心を縛った。
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