8 / 23
第2章 神様の妻はセレブでした
4.会長、倉稲魂命様
しおりを挟む
また抱き抱えられて移動する。
鳥居の中で一度、朔哉は私の目隠しを外した。
「お色直し、だよ」
ふふっと悪戯っぽく朔哉が笑う。
「でもまた、偉い神様のところに会いに行くんだよね?」
なら、正装じゃなくていいのかな。
「うか様はそうだな……働いている会社の、会長くらいの感じだから。
だからこんな仰々しい正装は必要ない」
「そうなんだ」
朔哉がぱちんぱちんと二度指を鳴らす。
途端に朔哉はスーツ姿に、私は桜色のワンピーススーツ姿になった。
確かに相手が会長さんなら、これでいいかもしれない。
「スーツの朔哉って格好いいね」
「そう?
で、心桜にやってほしいことがあるんだけど」
「なに?」
「ネクタイ、結んで」
はい、と朔哉からネクタイを渡された。
いわれると彼のVゾーンにはネクタイがない。
「えっと……」
「結び方、知らない?」
「知ってる、けど」
高校の制服はネクタイだった。
だから当然、結び方は知っている。
でも指パッチンでお着替えが済むのに、なぜにわざわざ私に結ばせる?
「なら、結んで?」
私が結びやすいように、その高い背を屈めてくる。
仕方ないのでその首に手を回し、ネクタイを結んだ。
「これで、いい?」
「うん、ありがとう」
にへらと、面のせいでそこしか見えない口がだらしなく緩む。
「ほら、新婚さんとかがよくやるだろ。
出勤する旦那さんのネクタイ結ぶの。
あれ、一度やってみたかったんだよねー」
「はぁ」
ドラマの観すぎかっ、って一瞬、突っ込みそうになった。
でも朔哉は嬉しそうだし、いいことにする。
「じゃあまた、目隠しね」
「うん」
今度は、ワンピースと同じ桜色のリボンで目隠ししてくれた。
また、手を繋いで朔哉と歩く。
「朔哉。
天照大御神様は私の目を潰せとか言ってたけど、いいの?」
私の目が見えなくなれば、みんな危険がなくなるのだ。
痛いのは嫌だし、見えないのは困るけど、それでみんなが助かるのならそうするのも仕方ない。
「心桜は自分の目を、潰していいと思ってるの?」
「それでみんなが助かるんだったら、仕方ないかなーって」
そうなれば、あのうるさい鈴も必要ないし、朔哉と一緒にどこへでも行ける。
あ、それにキスするときに面が邪魔になるってことだってなくなる。
朔哉の顔が見えないのは、悲しいけど。
「心桜はみんなのために自分を犠牲にするんだ」
「いや、別に、犠牲ってわけでも……」
「そういうのは心桜のいいところだけど。
……悪いところでもあるよ」
パン、朔哉の手が勢いよく、まるで頬を叩くかのように私の顔を掴む。
目隠しされていても、彼が責めるように私をじっと見つめているがわかった。
「自分が不幸になればみんなが幸せになれるならって、諦めてしまうのはダメだ。
みんなが幸せになって自分も幸せになれる手段をいつも考えなさい」
「……はい」
怒られた。
でも彼のいうことはもっともだ。
自己犠牲に酔うのは簡単だが、それで救われた人は本当に幸せなんだろうか。
私だったらずっと、犠牲になった人を引きずってしまう。
ならそれは――よくない選択だ。
「私は心桜を大事にするよ。
だから心桜にも自分を大事にしてほしい」
「……はい。
ごめんなさい」
「別に怒ってなんかないよ」
仲直り、とばかりに繋いだ手が揺れる。
うん、私も朔哉を大事にして、自分も大事にするよ。
鳥居を抜けたであろう先でまた、朔哉に抱き抱えられた。
今度通された部屋は洋間みたいで、座ったのはふかふかのソファーだった。
「……倉稲魂命様って」
「新しもの好き。
うちはお願いを手書きで書き留めているけど、ここはパソコン入力しているくらいだよ」
「へー」
もしかして、普通の会社みたいだったりして。
見られるならちょっと見てみたい。
「さっくやー、おっまたせー」
少しして私の耳に聞こえてきたのは、若い女性の声だった。
「私に嫁、見せびらかしに来たんだってー?」
「……婚姻のご報告に参っただけです」
朔哉の声が苦々しげだけど、それもそうだろう。
ケラケラと笑う彼女の声は軽い。
軽すぎる。
「私も面を着けるから嫁の目隠し、外してやりなさいよー」
「そういうわけには」
「私がいいって言ってるからいいのー。
ほら、面着けたし」
「……ちっ」
え、いま、朔哉、舌打ちしなかった?
いいのかな、自分よりも偉い人にそんな態度。
「心桜。
目隠し外すけど、いいと言うまで目を開けちゃダメだよ」
「……うん」
ぎゅっと目を強く閉じる。
すぐに朔哉はするりと私の目隠しを解いた。
「いいよ」
ゆっくりと目の開けた先に見えたのは……チャラい、巫女のコスプレをした女子高生のような人だった。
「初めましてー。
倉稲魂命でーす。
気軽にうかちゃんって呼んでくれていいのよ?」
彼女の面は、シンプルな、朔哉のお宅の人たちとは違い……キラキラしていた。
ラメとかラインストーンだってついているし。
まるで仮面舞踏会の面のように、すっごく派手だ。
「え、あー、はい。
心桜、です……」
「……うか様」
朔哉の声には苦悩が滲み出ている。
私もうか様……でいいかな、についていけないし。
「いいじゃない、別に」
「……はぁーっ」
朔哉の口から重いため息が落ちる。
これってあれだね、わがまま社長とそれに振り回される部下の図だ。
「それで朔哉は心桜の目、潰さないの?」
言っている内容に釣り合わないほど、にっこりと綺麗にうか様の口角がつり上がる。
「……私は心桜を、大事にすると決めましたので」
面の奥から眼光鋭く、キッと朔哉がうか様を睨んだ。
けれど当のうか様はへらへら笑っている。
「えー、だって人間の嫁取りってあれじゃない?
慰み者にするのがだいたい目的」
あ、これで謎が解けた。
形としては嫁に迎えるけれど、そういうことが目的だから天照大御神様へお披露目へ行ったりしないんだ。
「……私は心桜を、そのようにするつもりはありませんので」
静かな、静かな朔哉の声が響く。
それはまるで、鋭利に研がれた刀のように鋭かった。
「えー、じゃあなんで、人間の嫁なんて取ったのよー」
うか様が脳天気な声で言う。
朔哉の発する気に私は指先すら動かせずにいたが、彼女は例外だったようだ。
「私は心桜を愛しています。
だから大事にして守り、慈しむ。
代替わりも考えています」
「えっ、ちょっと待って……!」
初めて、うか様の態度が変わった。
いままで横柄にソファーの背に寄りかかっていたのに、身を前のめりに乗り出してくる。
「そんなの、許さない」
「許すもなにも、許可は必要ないはずですが?」
うっすらと朔哉が笑う。
さっきまでと立場が変わっていた。
まるで莫迦社長に引導を渡す、優秀な部下みたい。
「そんなのダメよ。
朔哉はずっと、私に仕えてくれなきゃ」
「もう決めたことですので」
「ダメよ、ダメ」
うか様はせわしなく、着物の襟に触れては離しを繰り返している。
「従えません」
「そんな……。
じゃ、じゃあ、その女が本当に朔哉の嫁にふさわしいか、私が見極めてあげる!」
「は?」
思わず、朔哉と仲良く同じ一音を発した。
「明日から、私のところへ奉公に来なさい?
それで見極めてあげるから」
「えっと……」
「うか様!」
朔哉が勢いよくソファーから立ち上がる。
それをまだ状況が理解できずにただ見ていた。
「なにを考えているのですか!?」
「なにって、代替わりにはその女も必要でしょう?
ちゃんとふさわしいかどうか見極めないと。
今後のためにもね」
意味深にうか様がぱちんとウィンクしてみせる。
「はあぁぁぁぁぁーっ」
地面にゴトンと鈍い音を立てそうなほど重たいため息が、座り直した朔哉の口から落ちた。
「住み込みなんて言わない。
それはこっちとしても迷惑だし。
どうせ朔哉も日中は仕事でしょう?
その間、私の元で働いてもらえばいいから」
「……心桜、諦めて」
ぽん、私の肩に手をのせた朔哉は疲れ果てている。
「あの人、言いだしたら聞かないんだ」
「あー、えっと。
……アルバイト的なもの、と考えたらいいんでしょうか……」
「そうそう!
上手いこと言うね!
そんな感じ!!
できるでしょ、アルバイト」
楽しくて仕方ないのか、うか様はにこにこと笑っていた。
「はい、私にできることなら……」
「決まりね!」
パン!とうか様が胸の前で手を叩く。
なにもしないのは居心地が悪いので、朔哉にできることを探してもらうつもりだった。
それが計らずともアルバイトすることになったんなら、いいのかな……?
鳥居の中で一度、朔哉は私の目隠しを外した。
「お色直し、だよ」
ふふっと悪戯っぽく朔哉が笑う。
「でもまた、偉い神様のところに会いに行くんだよね?」
なら、正装じゃなくていいのかな。
「うか様はそうだな……働いている会社の、会長くらいの感じだから。
だからこんな仰々しい正装は必要ない」
「そうなんだ」
朔哉がぱちんぱちんと二度指を鳴らす。
途端に朔哉はスーツ姿に、私は桜色のワンピーススーツ姿になった。
確かに相手が会長さんなら、これでいいかもしれない。
「スーツの朔哉って格好いいね」
「そう?
で、心桜にやってほしいことがあるんだけど」
「なに?」
「ネクタイ、結んで」
はい、と朔哉からネクタイを渡された。
いわれると彼のVゾーンにはネクタイがない。
「えっと……」
「結び方、知らない?」
「知ってる、けど」
高校の制服はネクタイだった。
だから当然、結び方は知っている。
でも指パッチンでお着替えが済むのに、なぜにわざわざ私に結ばせる?
「なら、結んで?」
私が結びやすいように、その高い背を屈めてくる。
仕方ないのでその首に手を回し、ネクタイを結んだ。
「これで、いい?」
「うん、ありがとう」
にへらと、面のせいでそこしか見えない口がだらしなく緩む。
「ほら、新婚さんとかがよくやるだろ。
出勤する旦那さんのネクタイ結ぶの。
あれ、一度やってみたかったんだよねー」
「はぁ」
ドラマの観すぎかっ、って一瞬、突っ込みそうになった。
でも朔哉は嬉しそうだし、いいことにする。
「じゃあまた、目隠しね」
「うん」
今度は、ワンピースと同じ桜色のリボンで目隠ししてくれた。
また、手を繋いで朔哉と歩く。
「朔哉。
天照大御神様は私の目を潰せとか言ってたけど、いいの?」
私の目が見えなくなれば、みんな危険がなくなるのだ。
痛いのは嫌だし、見えないのは困るけど、それでみんなが助かるのならそうするのも仕方ない。
「心桜は自分の目を、潰していいと思ってるの?」
「それでみんなが助かるんだったら、仕方ないかなーって」
そうなれば、あのうるさい鈴も必要ないし、朔哉と一緒にどこへでも行ける。
あ、それにキスするときに面が邪魔になるってことだってなくなる。
朔哉の顔が見えないのは、悲しいけど。
「心桜はみんなのために自分を犠牲にするんだ」
「いや、別に、犠牲ってわけでも……」
「そういうのは心桜のいいところだけど。
……悪いところでもあるよ」
パン、朔哉の手が勢いよく、まるで頬を叩くかのように私の顔を掴む。
目隠しされていても、彼が責めるように私をじっと見つめているがわかった。
「自分が不幸になればみんなが幸せになれるならって、諦めてしまうのはダメだ。
みんなが幸せになって自分も幸せになれる手段をいつも考えなさい」
「……はい」
怒られた。
でも彼のいうことはもっともだ。
自己犠牲に酔うのは簡単だが、それで救われた人は本当に幸せなんだろうか。
私だったらずっと、犠牲になった人を引きずってしまう。
ならそれは――よくない選択だ。
「私は心桜を大事にするよ。
だから心桜にも自分を大事にしてほしい」
「……はい。
ごめんなさい」
「別に怒ってなんかないよ」
仲直り、とばかりに繋いだ手が揺れる。
うん、私も朔哉を大事にして、自分も大事にするよ。
鳥居を抜けたであろう先でまた、朔哉に抱き抱えられた。
今度通された部屋は洋間みたいで、座ったのはふかふかのソファーだった。
「……倉稲魂命様って」
「新しもの好き。
うちはお願いを手書きで書き留めているけど、ここはパソコン入力しているくらいだよ」
「へー」
もしかして、普通の会社みたいだったりして。
見られるならちょっと見てみたい。
「さっくやー、おっまたせー」
少しして私の耳に聞こえてきたのは、若い女性の声だった。
「私に嫁、見せびらかしに来たんだってー?」
「……婚姻のご報告に参っただけです」
朔哉の声が苦々しげだけど、それもそうだろう。
ケラケラと笑う彼女の声は軽い。
軽すぎる。
「私も面を着けるから嫁の目隠し、外してやりなさいよー」
「そういうわけには」
「私がいいって言ってるからいいのー。
ほら、面着けたし」
「……ちっ」
え、いま、朔哉、舌打ちしなかった?
いいのかな、自分よりも偉い人にそんな態度。
「心桜。
目隠し外すけど、いいと言うまで目を開けちゃダメだよ」
「……うん」
ぎゅっと目を強く閉じる。
すぐに朔哉はするりと私の目隠しを解いた。
「いいよ」
ゆっくりと目の開けた先に見えたのは……チャラい、巫女のコスプレをした女子高生のような人だった。
「初めましてー。
倉稲魂命でーす。
気軽にうかちゃんって呼んでくれていいのよ?」
彼女の面は、シンプルな、朔哉のお宅の人たちとは違い……キラキラしていた。
ラメとかラインストーンだってついているし。
まるで仮面舞踏会の面のように、すっごく派手だ。
「え、あー、はい。
心桜、です……」
「……うか様」
朔哉の声には苦悩が滲み出ている。
私もうか様……でいいかな、についていけないし。
「いいじゃない、別に」
「……はぁーっ」
朔哉の口から重いため息が落ちる。
これってあれだね、わがまま社長とそれに振り回される部下の図だ。
「それで朔哉は心桜の目、潰さないの?」
言っている内容に釣り合わないほど、にっこりと綺麗にうか様の口角がつり上がる。
「……私は心桜を、大事にすると決めましたので」
面の奥から眼光鋭く、キッと朔哉がうか様を睨んだ。
けれど当のうか様はへらへら笑っている。
「えー、だって人間の嫁取りってあれじゃない?
慰み者にするのがだいたい目的」
あ、これで謎が解けた。
形としては嫁に迎えるけれど、そういうことが目的だから天照大御神様へお披露目へ行ったりしないんだ。
「……私は心桜を、そのようにするつもりはありませんので」
静かな、静かな朔哉の声が響く。
それはまるで、鋭利に研がれた刀のように鋭かった。
「えー、じゃあなんで、人間の嫁なんて取ったのよー」
うか様が脳天気な声で言う。
朔哉の発する気に私は指先すら動かせずにいたが、彼女は例外だったようだ。
「私は心桜を愛しています。
だから大事にして守り、慈しむ。
代替わりも考えています」
「えっ、ちょっと待って……!」
初めて、うか様の態度が変わった。
いままで横柄にソファーの背に寄りかかっていたのに、身を前のめりに乗り出してくる。
「そんなの、許さない」
「許すもなにも、許可は必要ないはずですが?」
うっすらと朔哉が笑う。
さっきまでと立場が変わっていた。
まるで莫迦社長に引導を渡す、優秀な部下みたい。
「そんなのダメよ。
朔哉はずっと、私に仕えてくれなきゃ」
「もう決めたことですので」
「ダメよ、ダメ」
うか様はせわしなく、着物の襟に触れては離しを繰り返している。
「従えません」
「そんな……。
じゃ、じゃあ、その女が本当に朔哉の嫁にふさわしいか、私が見極めてあげる!」
「は?」
思わず、朔哉と仲良く同じ一音を発した。
「明日から、私のところへ奉公に来なさい?
それで見極めてあげるから」
「えっと……」
「うか様!」
朔哉が勢いよくソファーから立ち上がる。
それをまだ状況が理解できずにただ見ていた。
「なにを考えているのですか!?」
「なにって、代替わりにはその女も必要でしょう?
ちゃんとふさわしいかどうか見極めないと。
今後のためにもね」
意味深にうか様がぱちんとウィンクしてみせる。
「はあぁぁぁぁぁーっ」
地面にゴトンと鈍い音を立てそうなほど重たいため息が、座り直した朔哉の口から落ちた。
「住み込みなんて言わない。
それはこっちとしても迷惑だし。
どうせ朔哉も日中は仕事でしょう?
その間、私の元で働いてもらえばいいから」
「……心桜、諦めて」
ぽん、私の肩に手をのせた朔哉は疲れ果てている。
「あの人、言いだしたら聞かないんだ」
「あー、えっと。
……アルバイト的なもの、と考えたらいいんでしょうか……」
「そうそう!
上手いこと言うね!
そんな感じ!!
できるでしょ、アルバイト」
楽しくて仕方ないのか、うか様はにこにこと笑っていた。
「はい、私にできることなら……」
「決まりね!」
パン!とうか様が胸の前で手を叩く。
なにもしないのは居心地が悪いので、朔哉にできることを探してもらうつもりだった。
それが計らずともアルバイトすることになったんなら、いいのかな……?
0
あなたにおすすめの小説
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
魔性の大公の甘く淫らな執愛の檻に囚われて
アマイ
恋愛
優れた癒しの力を持つ家系に生まれながら、伯爵家当主であるクロエにはその力が発現しなかった。しかし血筋を絶やしたくない皇帝の意向により、クロエは早急に後継を作らねばならなくなった。相手を求め渋々参加した夜会で、クロエは謎めいた美貌の男・ルアと出会う。
二人は契約を交わし、割り切った体の関係を結ぶのだが――
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる